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概要編集

エジプト神話に基づいた韓国のBL漫画。

原題は『엔네아드(ENNEAD)』

作者は모히또(Mojito)

エジプトの王の座を賭けたセトとホルスの争いを中心に、複雑に絡み合った神々の思惑を描く。

韓国では2018年9月20日から2020年6月10日の期間で第1部、2021年5月30日に第2部の連載が開始。第1部完結後にはR15外伝1話とR19外伝の2話、合計3話が公開された。

現在、韓国語版(R15)と繁体字中国語(台湾版、R19)で、単行本(第1部全6巻)が発行されている。

韓国語の他に、英語、フランス語、ドイツ語、中国語、タイ語、日本語に翻訳・配信されている。

日本では2020年2月28日から電子限定配信フルカラーコミックとしてR19版での連載を開始し、2021年6月18日に全73話で第1部が完結した。

2022年4月1日に外伝(R15版1話、R19版2話)公開。第2部の配信開始。


また、2018年に韓国で出されたスピンオフ作品『신을 집사로 둔 고양이』では、猫のシンバをとりまく本編前の平和な日常を描いている。(小冊子。現在は韓国内でも入手困難)


R15バージョンについて編集

ENNEADはR19版(日本のR18相当)とR15版が存在するが、日本ではR15版は配信されていない。両者は基本的に同じだが、性描写や欠損による流血がある話は内容が異なる。

韓国語の単行本を入手するか、韓国語版や英語版の配信サイトで購入して読むことができる。


【違う話数】

28、29、30、31、32※、42※、43※、44

※印はキャラクターの心情を中心に描かれている。


ストーリー編集

舞台は古代エジプト、神々の時代。


戦争と砂漠の神、セトの暴政によって土地は荒廃し、人々は疲弊していた。


前王オシリスは弟のセトによって殺害され、ナイル川にその体を流された。

オシリスの妻イシスは姿を消した。


セトの強大な力の前に、神々は為す術もなく縮こまり、繰り返される殺戮と暴虐に、エジプトは血で染まった。



ある日、セトの前にひとりの若者が現れる。


「お初にお目にかかります、叔父様。」


それはイシスの息子、ホルスだった。


オシリスの子と名乗るホルスは、自分が正当な王の後継者だと主張し、セトとホルスは王座を賭けた三本勝負をすることになった。


セトの断然有利と思われたが、勝負は拮抗する。


そして次第に明らかになっていく、セトの狂乱の裏に隠された衝撃の過去。


執着と裏切り、愛と苦悩、交差する呪い。


それぞれの思いを乗せて、運命の車輪は廻り始めた。


果たして勝負の先にあるものはー



登場人物編集

セト編集

(세트/Seth)

戦争と砂漠の神。オシリスたち4兄弟の末っ子。赤い髪と目を持つが、普段は四角い耳のついた黒い獣のマスクをしている。ネフティスは妻、アヌビスは息子。オシリスを殺害して王位を簒奪、数百年にわたり暴政を行った。その後、正統な後継者を主張するホルスと、エジプトの支配権を賭けた三本勝負に挑む。


口も柄も悪いが、鮮やかな色彩と容貌の美しさも相まって人目を惹く非常に魅力的な姿をしている。元々の性格は愛情深く、誇り高く、イタズラ好き。オシリスを信頼し、イシスと友情を築き、ネフティスとアヌビスを大切に慈しんでいた。だが、厄災の神セクメトにある秘密を告げられたことで、動揺と喪失、絶望の中に落ちていく。


身長/約184cm

趣味/狩り.散歩.乗馬.嘲笑.砂漠で道に迷った人間を弄びながら道を探してあげること

好きなもの/狩り.運転.戦闘.彫刻

嫌いなもの/オシリス.セクメト.水.生臭いにおい

好きな色/赤.黒.金色



ホルス編集

(호루스/Horus)

イシスが逃亡中に生んだオシリスの子どもであり、セトの甥。直感力に優れた青年で、隼のマスクをしている。ヌトの加護を授かった天空の代行者だが、まだ完全な神ではない。母イシスの望みを叶えるため、エジプトの王の座を賭けてセトと三本勝負で競うことになった。その一方でセトへの憎悪や敵意の念は無い。三本勝負の最中、父オシリスとセトの間で過去に起きた惨劇の真相を知った。


身長/約195㎝

趣味/これまで余裕のない生活だったため、これといった趣味がない。

好きなもの/セト.イシス.読書.飛行

嫌いなもの/アヌビス.オシリス.キャラバン.神として覚醒すること

好きな色/赤色.青色.青緑色.黒




以下重要なネタバレ

幼い頃にセトと出会っており、酩酊したセトにアヌビスと勘違いされたまま数日間の生活を共にしている。セトは覚えていないが、ホルスはその時の「自分だけを愛してくれる最強の神」の存在を忘れられず、密かにセトのことを想い続けていた。第1部の後半には、アヌビスへの嫉妬心を露わにする場面もある。



オシリス編集

(오시리스/Osiris)

生命を司る神。妻は魔法の神イシス。絶大な力を持ち、太陽神ラーをも退け王となった。エジプトに繁栄をもたらし人々から厚い信頼を得ていたが、弟セトに殺され、ナイル川に流された。死後はドゥアトの王となり冥界を統治している。


身長/約200cm

趣味/園芸.読書.音楽.瞑想.自分だけが読める言語で日記をつけること

好きなもの/セト.イシス.読書.園芸.瞑想

嫌いなもの/ネフティス.アヌビス.ホルス.セクメト.太陽神.創造神

好きな色/ 青.緑.水色.青緑色

※冠を被るために髪は剃っている。



以下重要なネタバレ

表向きは優しく物静かな性格だが、心の中には弟セトへの激しい情愛と執着を秘めていた。セトの心を掴むために数千年間必死に手を尽くしてきたが届かず、その果てに狂気的な計画を実行する。成功には至らずセトに殺されたが、その夜の出来事がこの物語の根幹となっている。


ドゥアトの王になってからもセトのことは未だ諦めておらず、様々な方法を画策し続ける。



イシス編集

(이시스/Isis)

魔法の神。オシリスの妹であり妻。ナイル川の主神でもある。オシリスを殺害したセトに関係を迫られ地下に幽閉されたが、ネフティスの手助けで逃げ出した。オシリスの体を執念で復活させ、その際にホルスを身籠る。その後、セトの捜索の手を逃れ身を潜めながらホルスを育てた。成長したホルスにヌトから天空の加護を受けさせ、セトへの復讐と王座の奪還を狙う。


強気で怒りっぽいが情に厚い。登場する神の中では最も人間に寄り添い、民衆からとても人気があった。しかし他の神々からはセトから隠れ続けたことで地上が荒れたと非難される。 セトを恐れ自分を助けなかった神達に恨みを持っている。


身長/約171cm

趣味/音楽演奏.歌.読書.水泳.魔法の開発.薬の調合.人間の教育.

好きなもの/家族.人間.子供.愛.芸術

嫌いなもの/裏切り.犯罪.大切な人を失うこと.体と精神が汚い成人男性

好きな色/青.青緑.赤.金色



ネフティス編集

(네프티스/Nephthys)

調和と平和の神。セトの姉であり妻。暴政を敷くセトに監禁された、と周囲には長らく思われていた。おっとりした儚げな印象の女神で、アヌビスの母。


身長/約170㎝

趣味/絵を描くこと.散歩.作詩.野生動物と仲良くなること

好きなもの/家族.芸術.平和.人間.新しいもの.見知らぬ文明と交流すること

嫌いなもの/平和を害するすべてのもの

好きな色/白色.金色.水色




以下重要なネタバレ

物語の悲劇の発端となった人物のうちの1人。心にオシリスへの想いを秘めており、セトとの間に子どもができないことを理由にオシリスの種を求めた。アヌビスはその結果として生まれた子どもである。セトがその事実を知ったために狂気に駆られたと思ったネフティスは、自らを罰するために牢に入った。

また、ホルスが鏡の中に閉じ込められた際、そこでもう1人のネフティスと出会っており、鏡の中の彼女は「外にいるネフティスは偽者」だと告げた。真相は未だ不明。



アヌビス編集

(아누비스/Anubis)

セトとネフティスの息子。とある呪いから完全な神になれず、長らく少年の姿をしている。豹変したセトとそれを取り巻く現実に絶望し、一度は自らドゥアトへ向かったが、オシリスの助けを得て蘇った。

監禁された母ネフティスを救い出し暴君となったセトを止めるために、伯母イシスとその息子ホルスと通じて、セトを裁判にかけることに協力する。

かつては両親の愛情を一身に受け、将来は父のような神になりたいとセトに話していた。性格は心優しく真面目であるが、セトから直接戦いの手ほどきをされてきたため、武術にはそれなりの自信がある。物語の第1部は彼が神の姿となったところで終わっている。


身長/約150~163㎝(ある条件下で外見に変化が起きる)

趣味/歌.乗馬.料理.武器の収集.野良猫の世話

好きなもの/音楽.動物.料理.槍術.弓術.物語.旅行.人間の文化

嫌いなもの/狩り.克己訓練.死

好きな色/赤色.金色.空色.白色



ラー編集

(라/Ra)

太陽神。エジプトの最初の支配者。長身筋肉質で迫力のある女神。自分自身を誕生させた後、テフヌトをはじめとする太初の神々を生み出した。トトの予言を警戒し回避するよう行動していたが、トトが提案した賭けに負けたことでオシリス・イシス・ネフティス・セトが誕生した。裁判でオシリス殺害の秘密を暴こうとする。普段は気軽に振る舞っているが、トトが悲鳴をあげてマアトの後ろに隠れるくらい怖い。



セクメト編集

(세크메트/Sekhmet)

ラーから生まれた厄災と破壊の神。獅子のマスクをしている。物語の悲劇を目撃してきた重要人物で、オシリスを殺害したセトに、死体をナイル川に流すよう唆した。神出鬼没、サディスティックかつ奔放な性格で、神を含めた生き物の負の感情を敏感に感じ取ることができる。



ハトホル編集

(하토르/Hathor)

愛と美の神。太陽神に贔屓されていると自他ともに認める太陽神の娘。裁判でホルスに将来性を感じ、一目惚れして積極的に様々なアプローチをするも、相手に期待させない紳士的な対応のホルスに躱され続けている。物語の鍵の一つとなる鏡を所有していたり、本来使えないはずの炎を操ったりと謎が多い。



シュー、テフヌト、バステト編集

(슈/Shu、테프누트/Tefnut、바스테트/Bastet)

ラーから生まれたハトホル、マアト、セクメトの兄姉。

シュー:青い肌をした大気の男神。ホルスに加護を与え、セトとホルスの三本勝負の初戦で水中息止め対決を発案した。テフヌトとは夫婦。

テフヌト:湿気の神。白い獅子のマスクをした青い肌の女神。シューとは常に一緒にいる。

バステト:多産と豊穣の神。猫のマスクをした黒い肌の女神。



マアト編集

(마트/Maat)

真理と正義の神。オシリス殺害と数百年間の悪行についてセトを裁判にかけるが、セトが王位の正当性を主張したため、エジプトの統治権を巡る三本勝負を執り行う。イシスとの契約でエジプトに攻め入ろうとした異国の神を押しとどめ、不干渉の誓約書を書かせた。トトとは夫婦。出会った頃は言い合いばかりしていたが、現在の夫婦仲は大変良好。



トト編集

(토트/Thoth)

知識と知恵の神。マアトの夫。繊細な容姿に輝かしい英智と知識を有する。トキの神でもあり、自身もトキの姿になることがある。全ての鳥達と会話ができる。未来を見る予言者の顔も持ち、度々重要な予言をしている。太陽神ラーとは古くから交流がある。気の弱い一面があり、ラーやイシスのような強気の女神には圧倒されっぱなしだが、物語の要所では古き神ならではの迫力を醸し出す。



ゲブ、ヌト編集

(게브/Geb、누트/Nut)

ゲブ:大地の神。ヌト:天空の女神。共に大気の神シューと湿気の神テフネトの子。ふたりは愛し合い子を欲したが、トトの「ゲブとヌトの子がエジプトの支配者となる」という予言を聞いた太陽神ラーに出産を禁じられてしまう。ヌトはトトに助けを求め、トトはラーにセネトの勝負を申し込んで勝利し、太陽の目を4日間眩ませた。その4日の間にオシリス、イシス、ネフティス、セトが生まれた。



クヌム編集

(크눔/Khnum)

ナイル川の神の一柱。水平に伸びた角の羊マスクと、水の衣をまとった涼しげな姿をしている。イシスの指示に従って動いていたが、裁判の場からアヌビスを連れ出す際に負傷。第2部開始時点では特殊な治療が必要な状態の模様。猫のシンバがいる日常を描いたスピンオフ「신을 집사로 둔 고양이」では、セトや幼いアヌビスと交流する様子を見る事ができる。



異国の神編集

(이국신/Foreign god)

イシスとの契約のため、援軍として海を越えてやってきた異国の神。名前や出身国などの詳細は未だ不明。髭をたくわえた逞しい見た目だが、セクメト曰く「エジプトの神に比べたらやっと歩き始めたばかりの赤ん坊」。好奇心旺盛で軽薄な言動が目立つ。マアトに「エジプトのことに絶対干渉しない」と誓約して滞在を許可された。裁判を見学してセトに心奪われる。彼の主な活躍の場は第2部になる。



クエンターメン編集

(크엔타멘/Kuentamen)

セトを崇拝する不敵でしたたかなキャラバンの長。セトに心酔する一方で、セトの実力を繰り返し試そうとする。

オシリスの種のようなものを所持していたり、その素性は謎が多い。



ハヤブサ編集

ホルスが授かったヌトの加護の鳥形態。ホルスと一部の感覚を共有している。セトが好き。



シンバ編集

(심바/Simba)

出典は韓国で発行された作者のスピンオフ冊子「신을 집사로 둔 고양이」。幼少期のアヌビスが拾ってきた子猫。メス。セトは猫嫌いを理由に飼う事に反対したが、結局、セトがシンバと後に生まれた子猫達の世話を焼いた。老衰で死亡後、一度、オシリスの能力により生き返る。セトにパンチ出来る数少ない存在。本編では背景の壁画に姿を確認できる。



※身長、趣味、好きなもの、嫌いなもの、好きな色は韓国語単行本特装版2(4〜6巻)特典「엔네아드Q&A부록」より



小ネタ編集

背景の壁画には色々なことが書かれている。

ヒエログリフをアルファベットに置き換えると英語の文章になっているものがあるので、隅々までチェックしてみると随所に作者の遊び心が見えてくる。ただし、第2部のネタバレが含まれるものもあるので注意されたし。

Try to translate the egyptian mural in this book.

Not all walls have riddles.

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