ENNEAD
えねあど
エジプト神話に基づいた韓国のBL漫画。
原題は『엔네아드(ENNEAD)』
作者は모히또(Mojito)
エジプトの王の座を賭けたセトとホルスの争いを中心に、複雑に絡み合った神々の思惑を描く。
韓国では2018年9月20日から2020年6月10日の期間で第1部、2021年5月30日に第2部の連載が開始。第1部完結後にはR15外伝1話とR19外伝の2話、合計3話が公開された。
現在、韓国語版(R15)と繁体字中国語(台湾版、R19)で、単行本(第1部全6巻)が発行されている。
韓国語の他に、英語、フランス語、ドイツ語、中国語、タイ語、日本語に翻訳・配信されている。
日本では2020年2月28日から電子限定配信フルカラーコミックとしてR19版での連載を開始し、2021年6月18日に全73話で第1部が完結した。
2022年4月1日に外伝(R15版1話、R19版2話)公開。第2部の配信開始。
また、2018年に韓国で出されたスピンオフ作品『신을 집사로 둔 고양이』では、猫のシンバをとりまく本編前の平和な日常を描いている。(小冊子。現在は韓国内でも入手困難)
ENNEADはR19版(日本のR18相当)とR15版が存在するが、日本ではR15版は配信されていない。両者は基本的に同じだが、性描写や欠損による流血がある話は内容が異なる。
韓国語の単行本を入手するか、韓国語版や英語版の配信サイトで購入して読むことができる。
【違う話数】
28、29、30、31、32※、42※、43※、44
※印はキャラクターの心情を中心に描かれている。
舞台は古代エジプト、神々の時代。
戦争と砂漠の神、セトの暴政によって土地は荒廃し、人々は疲弊していた。
前王オシリスは弟のセトによって殺害され、ナイル川にその体を流された。
オシリスの妻イシスは姿を消した。
セトの強大な力の前に、神々は為す術もなく縮こまり、繰り返される殺戮と暴虐に、エジプトは血で染まった。
ある日、セトの前にひとりの若者が現れる。
「お初にお目にかかります、叔父様。」
それはイシスの息子、ホルスだった。
オシリスの子と名乗るホルスは、自分が正当な王の後継者だと主張し、セトとホルスは王座を賭けた三本勝負をすることになった。
セトの断然有利と思われたが、勝負は拮抗する。
そして次第に明らかになっていく、セトの狂乱の裏に隠された衝撃の過去。
執着と裏切り、愛と苦悩、交差する呪い。
それぞれの思いを乗せて、運命の車輪は廻り始めた。
果たして勝負の先にあるものはー
セト
(세트/Seth)
戦争と砂漠の神。オシリスたち4兄弟の末っ子。赤い髪と目を持つが、普段は四角い耳のついた黒い獣のマスクをしている。ネフティスは妻、アヌビスは息子。オシリスを殺害して王位を簒奪、数百年にわたり暴政を行った。その後、正統な後継者を主張するホルスと、エジプトの支配権を賭けた三本勝負に挑む。
口も柄も悪いが、鮮やかな色彩と容貌の美しさも相まって人目を惹く非常に魅力的な姿をしている。元々の性格は愛情深く、誇り高く、イタズラ好き。オシリスを信頼し、イシスと友情を築き、ネフティスとアヌビスを大切に慈しんでいた。だが、厄災の神セクメトにある秘密を告げられたことで、動揺と喪失、絶望の中に落ちていく。
身長/約184cm
趣味/狩り.散歩.乗馬.嘲笑.砂漠で道に迷った人間を弄びながら道を探してあげること
好きなもの/狩り.運転.戦闘.彫刻
嫌いなもの/オシリス.セクメト.水.生臭いにおい
好きな色/赤.黒.金色
ホルス
(호루스/Horus)
イシスが逃亡中に生んだオシリスの子どもであり、セトの甥。直感力に優れた青年で、隼のマスクをしている。ヌトの加護を授かった天空の代行者だが、まだ完全な神ではない。母イシスの望みを叶えるため、エジプトの王の座を賭けてセトと三本勝負で競うことになった。その一方でセトへの憎悪や敵意の念は無い。三本勝負の最中、父オシリスとセトの間で過去に起きた惨劇の真相を知った。
身長/約195㎝
趣味/これまで余裕のない生活だったため、これといった趣味がない。
好きなもの/セト.イシス.読書.飛行
嫌いなもの/アヌビス.オシリス.キャラバン.神として覚醒すること
好きな色/赤色.青色.青緑色.黒
以下重要なネタバレ
幼い頃にセトと出会っており、酩酊したセトにアヌビスと勘違いされたまま数日間の生活を共にしている。セトは覚えていないが、ホルスはその時の「自分だけを愛してくれる最強の神」の存在を忘れられず、密かにセトのことを想い続けていた。第1部の後半には、アヌビスへの嫉妬心を露わにする場面もある。
オシリス
(오시리스/Osiris)
生命を司る神。妻は魔法の神イシス。絶大な力を持ち、太陽神ラーをも退け王となった。エジプトに繁栄をもたらし人々から厚い信頼を得ていたが、弟セトに殺され、ナイル川に流された。死後はドゥアトの王となり冥界を統治している。
身長/約200cm
趣味/園芸.読書.音楽.瞑想.自分だけが読める言語で日記をつけること
好きなもの/セト.イシス.読書.園芸.瞑想
嫌いなもの/ネフティス.アヌビス.ホルス.セクメト.太陽神.創造神
好きな色/ 青.緑.水色.青緑色
※冠を被るために髪は剃っている。
以下重要なネタバレ
表向きは優しく物静かな性格だが、心の中には弟セトへの激しい情愛と執着を秘めていた。セトの心を掴むために数千年間必死に手を尽くしてきたが届かず、その果てに狂気的な計画を実行する。成功には至らずセトに殺されたが、その夜の出来事がこの物語の根幹となっている。
ドゥアトの王になってからもセトのことは未だ諦めておらず、様々な方法を画策し続ける。
イシス
(이시스/Isis)
魔法の神。オシリスの妹であり妻。ナイル川の主神でもある。オシリスを殺害したセトに関係を迫られ地下に幽閉されたが、ネフティスの手助けで逃げ出した。オシリスの体を執念で復活させ、その際にホルスを身籠る。その後、セトの捜索の手を逃れ身を潜めながらホルスを育てた。成長したホルスにヌトから天空の加護を受けさせ、セトへの復讐と王座の奪還を狙う。
強気で怒りっぽいが情に厚い。登場する神の中では最も人間に寄り添い、民衆からとても人気があった。しかし他の神々からはセトから隠れ続けたことで地上が荒れたと非難される。 セトを恐れ自分を助けなかった神達に恨みを持っている。
身長/約171cm
趣味/音楽演奏.歌.読書.水泳.魔法の開発.薬の調合.人間の教育.
好きなもの/家族.人間.子供.愛.芸術
嫌いなもの/裏切り.犯罪.大切な人を失うこと.体と精神が汚い成人男性
好きな色/青.青緑.赤.金色
ネフティス
(네프티스/Nephthys)
調和と平和の神。セトの姉であり妻。暴政を敷くセトに監禁された、と周囲には長らく思われていた。おっとりした儚げな印象の女神で、アヌビスの母。
身長/約170㎝
趣味/絵を描くこと.散歩.作詩.野生動物と仲良くなること
好きなもの/家族.芸術.平和.人間.新しいもの.見知らぬ文明と交流すること
嫌いなもの/平和を害するすべてのもの
好きな色/白色.金色.水色
以下重要なネタバレ
物語の悲劇の発端となった人物のうちの1人。心にオシリスへの想いを秘めており、セトとの間に子どもができないことを理由にオシリスの種を求めた。アヌビスはその結果として生まれた子どもである。セトがその事実を知ったために狂気に駆られたと思ったネフティスは、自らを罰するために牢に入った。
また、ホルスが鏡の中に閉じ込められた際、そこでもう1人のネフティスと出会っており、鏡の中の彼女は「外にいるネフティスは偽者」だと告げた。真相は未だ不明。
アヌビス
(아누비스/Anubis)
セトとネフティスの息子。とある呪いから完全な神になれず、長らく少年の姿をしている。豹変したセトとそれを取り巻く現実に絶望し、一度は自らドゥアトへ向かったが、オシリスの助けを得て蘇った。
監禁された母ネフティスを救い出し暴君となったセトを止めるために、伯母イシスとその息子ホルスと通じて、セトを裁判にかけることに協力する。
かつては両親の愛情を一身に受け、将来は父のような神になりたいとセトに話していた。性格は心優しく真面目であるが、セトから直接戦いの手ほどきをされてきたため、武術にはそれなりの自信がある。物語の第1部は彼が神の姿となったところで終わっている。
身長/約150~163㎝(ある条件下で外見に変化が起きる)
趣味/歌.乗馬.料理.武器の収集.野良猫の世話
好きなもの/音楽.動物.料理.槍術.弓術.物語.旅行.人間の文化
嫌いなもの/狩り.克己訓練.死
好きな色/赤色.金色.空色.白色
ラー
(라/Ra)
太陽神。エジプトの最初の支配者。長身筋肉質で迫力のある女神。自分自身を誕生させた後、テフヌトをはじめとする太初の神々を生み出した。トトの予言を警戒し回避するよう行動していたが、トトが提案した賭けに負けたことでオシリス・イシス・ネフティス・セトが誕生した。裁判でオシリス殺害の秘密を暴こうとする。普段は気軽に振る舞っているが、トトが悲鳴をあげてマアトの後ろに隠れるくらい怖い。
セクメト
(세크메트/Sekhmet)
ラーから生まれた厄災と破壊の神。獅子のマスクをしている。物語の悲劇を目撃してきた重要人物で、オシリスを殺害したセトに、死体をナイル川に流すよう唆した。神出鬼没、サディスティックかつ奔放な性格で、神を含めた生き物の負の感情を敏感に感じ取ることができる。
ハトホル
(하토르/Hathor)
愛と美の神。太陽神に贔屓されていると自他ともに認める太陽神の娘。裁判でホルスに将来性を感じ、一目惚れして積極的に様々なアプローチをするも、相手に期待させない紳士的な対応のホルスに躱され続けている。物語の鍵の一つとなる鏡を所有していたり、本来使えないはずの炎を操ったりと謎が多い。
シュー、テフヌト、バステト
(슈/Shu、테프누트/Tefnut、바스테트/Bastet)
ラーから生まれたハトホル、マアト、セクメトの兄姉。
シュー:青い肌をした大気の男神。ホルスに加護を与え、セトとホルスの三本勝負の初戦で水中息止め対決を発案した。テフヌトとは夫婦。
テフヌト:湿気の神。白い獅子のマスクをした青い肌の女神。シューとは常に一緒にいる。
バステト:多産と豊穣の神。猫のマスクをした黒い肌の女神。
マアト
(마트/Maat)
真理と正義の神。オシリス殺害と数百年間の悪行についてセトを裁判にかけるが、セトが王位の正当性を主張したため、エジプトの統治権を巡る三本勝負を執り行う。イシスとの契約でエジプトに攻め入ろうとした異国の神を押しとどめ、不干渉の誓約書を書かせた。トトとは夫婦。出会った頃は言い合いばかりしていたが、現在の夫婦仲は大変良好。
トト
(토트/Thoth)
知識と知恵の神。マアトの夫。繊細な容姿に輝かしい英智と知識を有する。トキの神でもあり、自身もトキの姿になることがある。全ての鳥達と会話ができる。未来を見る予言者の顔も持ち、度々重要な予言をしている。太陽神ラーとは古くから交流がある。気の弱い一面があり、ラーやイシスのような強気の女神には圧倒されっぱなしだが、物語の要所では古き神ならではの迫力を醸し出す。
ゲブ、ヌト
(게브/Geb、누트/Nut)
ゲブ:大地の神。ヌト:天空の女神。共に大気の神シューと湿気の神テフネトの子。ふたりは愛し合い子を欲したが、トトの「ゲブとヌトの子がエジプトの支配者となる」という予言を聞いた太陽神ラーに出産を禁じられてしまう。ヌトはトトに助けを求め、トトはラーにセネトの勝負を申し込んで勝利し、太陽の目を4日間眩ませた。その4日の間にオシリス、イシス、ネフティス、セトが生まれた。
クヌム
(크눔/Khnum)
ナイル川の神の一柱。水平に伸びた角の羊マスクと、水の衣をまとった涼しげな姿をしている。イシスの指示に従って動いていたが、裁判の場からアヌビスを連れ出す際に負傷。第2部開始時点では特殊な治療が必要な状態の模様。猫のシンバがいる日常を描いたスピンオフ「신을 집사로 둔 고양이」では、セトや幼いアヌビスと交流する様子を見る事ができる。
異国の神
(이국신/Foreign god)
イシスとの契約のため、援軍として海を越えてやってきた異国の神。名前や出身国などの詳細は未だ不明。髭をたくわえた逞しい見た目だが、セクメト曰く「エジプトの神に比べたらやっと歩き始めたばかりの赤ん坊」。好奇心旺盛で軽薄な言動が目立つ。マアトに「エジプトのことに絶対干渉しない」と誓約して滞在を許可された。裁判を見学してセトに心奪われる。彼の主な活躍の場は第2部になる。
クエンターメン
(크엔타멘/Kuentamen)
セトを崇拝する不敵でしたたかなキャラバンの長。セトに心酔する一方で、セトの実力を繰り返し試そうとする。
オシリスの種のようなものを所持していたり、その素性は謎が多い。
背景の壁画には色々なことが書かれている。
ヒエログリフをアルファベットに置き換えると英語の文章になっているものがあるので、隅々までチェックしてみると随所に作者の遊び心が見えてくる。ただし、第2部のネタバレが含まれるものもあるので注意されたし。
Try to translate the egyptian mural in this book.
Not all walls have riddles.
コメント
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すべて見る- 流離回帰・砂神再誕
砂神再誕15
お待たせしました。 ホルス復活回でございます。頑張ってピヨ〜〜! 上手く繋げられなくて、ほぼ会話文。 情報共有って大事。 ▲▽▲▽▲▽▲ (ストーリーとまったく関係ない話) 本棚の整理していてふと思い出したので、せっかくだしここに書こうなネタ。 私が「セト神」って名前を最初に意識したのって、エジプト神話じゃなくてクトゥルフ神話だったなあ……と。 元祖ラヴクラフトのお弟子でハワードって人がいるんだけど、この人の小説で地味にあっちこっち出てくる神様なのです。 (※ファンタジー小説だけど、ハイパーボリアとかの設定を一部共有してるので、広い意味でクトゥルフ世界らしい) 古代の砂漠の王国スティギア(紀元前一万年世界のエジプトにある国とされる)で、主神として崇められる神様、っていうか邪神。 容姿は黒い大蛇で、人間の頭を持つとも。暗黒神殿や黒いピラミッドの地下で眠る古代の蛇、とぐろを巻くセト神、蛇神セト、などと描写される。 …………思いっきりアポピスと混ざっとるやんけ。 ハワード先生はわざと書いたのか、それとも習合されてた時代の資料とかを元ネタに書いたのか…… なお、作中に出てくるセト神の下僕、悪の神官の名前は「トート・アモン」。呼び出される魔物の姿は黒ヒヒ。……さらに混ざってる…… こっちのセト様が知ったら、バチ切れるか盛大に馬鹿にして笑うかどっちやろなあ。6,054文字pixiv小説作品 - 太陽の船を脱出せよ
太陽の船を脱出せよ!外伝 ホルスの妄想
!注意!セトが辛い目にあっている表現があります! セト様を幸せにしたいと言っておいてわたしは何を書いているのか・・・ ※ブックマーク、ウォッチリスト登録、フォロー、本当にありがとうございます!そして温かいコメント、スタンプ、感謝してもしきれません・・・! これからも愛の続く限り投稿してまいりますので、どうかお付き合いのほどよろしくお願いします! 登場させてほしいキャラ、展開などありましたら是非コメント欄で共有してください!2,465文字pixiv小説作品 - 流離回帰・砂神再誕
砂神再誕8
……おかしいな?? ハトホル様が悪役令嬢みたいになってもうた。 えーしるの中のハトホル様のイメージは「控えめに言って『超絶箱入りお姫様』」ですかねー……。 太陽神の実子、太初の神ってセレブリティ。愛と美の女神という肩書きに権限、神々からも人間からも崇められる立場。まあ、そうなるな。 まあ、純真で素直が必ずしも善良とは限らないと思うのですけどね。 少なくとも、このお話のハトホル様に一度も「悪気があった」ことはありません。まあちょっと頑張って「可愛いイタズラ」程度です。(フォローになってるかな??) え、後半黒くなってる?……それはアレですよ……この先はまだちょっと…… ▲▽▲▽▲▽ 原作再履修していて思った事。 夜の神殿でぶつかったシーン。 一周目だと、セト様に「うわコイツ横暴…」ってなるが(そしてセト様の言い方がガラ悪いのも事実なんだが)……真夜中に、あからさまに不審なモノ抱えて、人んちの庭を歩いてるハトホル様がそりゃ怪しいな?? ましてや勝負の前日にそんなコソコソしてたらまず不正疑われるだろうし、そりゃ疑いますねセト様。逆の立場ならそう(仕込み)するだろうし。周りじゅう敵だらけなのはもう嫌ってほど知ってるし。 そんなある種の地雷原を「きゃー♡推しピに宝物あげちゃった~~(*´艸`*)ルンルン」で走り抜けられるハトホル様…………一周回って強いな…… まあ、まだまだ謎多き御方だし、もしかしたら見えてなかった裏とかあるかもだけど。 ▽▲▽▲▽▲ 【おまけ】 このシリーズ、ホルセト前提なのに(というか最推しホルセトなのに)まともにくっついてるホルセト書いたことねぇな……と思い立って。 うちのホルセトは(たとえば)こんな感じですかね ↓ ↓ ↓ 「オマエさぁ……もし俺が裏切ったら、どうすんだよ」 西日が照らす午後の執務室。 なんの脈絡なく彼の叔父はそう口にした。 「叔父様?」 たった今持ち込まれたばかりの書簡を広げた最高神が顔を上げた。青い肩布が揺れた拍子にわずかな砂ホコリを落とす。 鍛錬の後、軽く身繕いはしてこさせたが、絡んだ細かな砂は落としきれなかったようだ。 そんな甥っ子に、話しかけておいて目線をやる事もないセトは、持ってきた報告書と交換に渡された軍事関係の書簡を立ち読みしている。 「まったく俺が言えた立場じゃねぇが、お前の危機管理意識どうなってんだ。悪神(オレ)に任せるとこ多すぎねぇか?もし俺が『また』野心起こしてお前の寝首かいたらどうする?」 「確かに、まったく叔父様が言うべき事ではないですね」 「そこに同意が欲しかったワケじゃねえんだわ」 やっと彼は少し顔を上げた。 冠から覗く紅い瞳は少し不貞腐れたようで……いや、声音からすると、これは彼なりの気不味さなのかもしれない。 傍若無人なだけに見えて、この御方はかなり繊細なのだ。 「だって叔父様はそんなことなさらないじゃないですか」 「ハッ!わからねぇよ。ひょっとしたら明日にでもテメェを見限るかも知れねぇぜ?」 そもそも一度やっている、二度がない保証なんてどこにもねぇ、と笑う。その笑みがどこか寄る辺ない子供のように見えるのは、その「明日」が崩れ去る光景を見たことがあるからか。 「ありえません。ですが……そんな日が来るなら甘んじて受け入れますから、心配など無用ですが」 だって。 この御方が『また』自らの全てを裏切るというなら、過去の轍も、思い出した誇りと幸福も、やっと受け取ってくれたこの愛も、余さず天秤にかけて苦しんで、それでも譲れなかった結果だろうから。 「貴方になら殺されても良いので」 臆面もなくそう返せば、秀麗なかんばせがぐっと詰まって……白い肌に朱が走る。 この小っ恥ずかしいヤロー……と負け惜しみめいた声が投げられた。 「つーか、そこは無茶でも、俺だろうが殺して生き残れ。そんぐらいの覚悟ねぇのか。根性ねぇ野郎は嫌いだ」 「あ、申し訳ありません。善処します」 甥っ子は秒で方針転換した。 この叔父の「嫌いだ」に自分が勝てるわけなかった。 かと言って「俺だろうが殺して生き残れ」も出来る気がしないけど。物理的にも精神的にも。なるほど、つまりは殺さずにセトを無力化出来るようになれば無問題と言うことだな。 「ハン。そんな日和り具合じゃ、俺でなくてもそのうちどいつかに刺されるんじゃねえか?」 呆れたように頬杖をついてしまったセトの、しかし聞き捨てならない言葉にホルスは「それだけはありえませんね」と速答した。 「だって叔父様がそのような事お許しにならないでしょう?それとも軍神セトは、王が眼の前で殺されようとしているときに黙って見ているような男神なんですか」 「……はっ倒すぞ。そんなもん、お前に刃を向けるどころか影も踏ませるわけねぇだろうが!」 ドンッとテーブルが叩かれた衝撃で、書簡とインク壺と印鑑が飛び跳ねた。 「ほら、ありえません」 「あ……」 ニッコニコと笑う天空の神。 真っ赤になった軍神が、その顔面にパピルスを投げつけるのはこの3秒後のこと……7,124文字pixiv小説作品 【新刊サンプル】暁月夜、貴方を探して
5/4 スパコミで頒布予定の新刊の冒頭部分サンプルです。 叔父様が太陽の船に旅立った後〜現代に続くシリアス中編と、後日談のイチャイチャ度高めの短編(結腸責め要素あり)を収録。 オリキャラがたくさん出ますのでご注意ください。 文庫サイズ / 128P / R-18 会場販売価格 1,000円 サークル: サツマイモ (東5 に27b) とらのあな https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/04003114985210,075文字pixiv小説作品最高神ホルスの多趣味な日々・番外編「読書」
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記憶を亡くした男の子。
家に帰った伊邪奈は、両親に報告をして。 アヌビスの容態を確認してから眠りに入った。 次の朝、洗面所に向かい部屋に戻るとアヌビスが目覚めていた。 目覚めた事に安心したが、アヌビスは記憶を無くしていた。 その子が覚えているのは、自分の名前とあるひとを探している、その人に会いたいという記憶しかなかった。 やっと、夢主とアヌビスの会話するところまでいきました!長かった!。 ちなみに夢主と会っているこのアヌビスは幼い頃、 まだ楽しかった頃、レン、イブ、シュトそしてバーが収められた4つの壺に入る前の姿です。 何歳か分からなかったので、こちらの判断で5~6歳かなと思い決めました! (何しろ原作が30話まで見てません!) もし、その頃のアヌビスの年が分かるかたがいたらコメントください;! 5、6歳でも平気だよと思ったら実行します!1,857文字pixiv小説作品 セトから始まる(ガチで下ネタ)話
初めてのENNEAD話がほぼピー音入る話になるとは。 CPはなしでただただ勢いで幼きセトがオシリスとイシスを困らせ、その後ホルスに困らされるギャグ話です。1,193文字pixiv小説作品- ようこそ!ジャミーラ・ドゥアトへ
憂鬱な日曜日
続いてしまった(笑) 意外と好きだな。現パロENNEAD(二次創作の更に創作物だけども) ご注意下さい。現パロなのでキャラ違いますよっ! 今回も会話文のみで始まって急に終わります。 何気無い日常を書いた……つもり(← 三兄弟よ、いつ実家に帰ってるの?1,123文字pixiv小説作品 - ENNEAD
砂漠に種を撒き根を張るために
まだ沼に使ってぷかぷかしてます。 当方、最推しCPはホルセトなんですが、自力でホルセト書こうとすると、なぜかホルスからスパダリ要素ががっつり抜けてしまう勢いツヨツヨサイコパスストーカーになってしまうので、書けない… そしてオシリスの顔面が好み過ぎて、ついついオシセトを書いてしまいます…というか、オシセトって原作ではどうあがいてもラブラブハピエンあり得ないので、幸せになる方法を模索してしまうんですよね… というわけで、『あの夜』ifです。正直ホルスとの三番勝負3日間より、『あの夜』の方が色んな意味で濃度高いし、ここがある種の分岐点なので、つい。エロなしで、お兄ちゃんが怖いw 原作でオシリスはなんで、セトがアヌビスのことを知ったその日に、セトが到着する前にアヌビスの心臓と名前と影と霊魂を手に入れたり、酒を準備したりできたんでしょうね。それに、セトが怒っているきっかけが「セクメトの言葉」となんで断定してるんでしょう。セトは何も言ってなかったのに。もしかしてオシリスの下にもセクメトが来ていたんでしょうかね。 ネフティスも正直よく分からない人です。日本語版最新話以降は海外版をグーグル翻訳さんと協力しながら読んでいるので、よく分からない翻訳になって内容分からないところも多々あるんですよね…ちなみに、髭セトのところまで読みました。もちろんセトとしては不本意だろうけど、やっぱり髭はある種の癒しキャラだなぁ…ホルセト推しだけど。 髭って結局何者なんでしょうか。第一部で髭が引き連れてた軍のメンツの服装とかからして、ギリシャっぽい気がするけれど…イシス姐さんが『ワニ野郎』って呼んでたけど、あれでゼウスとかだったら笑う。 定住地のシリーズ、ちまちまですが書き進めてます~。誰視点にするかで悩んでるんですが… あとENNEAD沼が底なし沼状態で、現状抜け出す方法が見出せません…11,645文字pixiv小説作品