PRIEST(マンファ)
ぷりーすと
アメコミやハリウッドのバイオレンス映画に根強い影響を受けている作品である。
作品の特徴は、直線を主体とした荒々しいビジュアルや、激しい暴力描写が鮮烈なアクションシーン。
そして、アメリカ建国当時を中心に、現代からなんと人類創生以前まで遡るとんでもなくスケールの大きいストーリーである。
なお、西部開拓時代のアメリカを舞台としておきながら20世紀以降に製造されたハンドガンの描写もあり木に竹を次ぐかのような曖昧さも窺える世界観も特徴的である。
プリーストは、日本でもエンターブレインより翻訳版が発売されていた。しかし、あまり人気を得られなかったためか、6巻を最後に打ち切られてしまった。
ではなぜ日本で人気が出なかったのか。
何といっても人気コミック『HELLSING』との類似性が強いからだろう。
HELLSINGは平野耕太作の吸血鬼ものバイオレンスアクションで、曲線的だがやはり荒々しいビジュアル、激しい暴力描写などの点で、プリーストと共通項がある。
しかし、中でも一見して分るのは両者の主人公の姿。プリーストの主人公イワン・アイザックの「鍔広帽を被り、コートを纏った長身の男」という設定は、HELLSINGの主人公アーカードにあまりに酷似していて、日本の読者にはパクリに映っても無理はない。
(さらに、一巻目が共に、「主人公が銃を乱射してゾンビを殺しまくる」といった内容だった)
これらの要因で、HELLSINGが先に出ていた日本では、「プリーストはHELLSINGを模倣した二流品」というイメージがついてしまったのではないかと考えられる。
そのうえ、韓国の作品は左向きに読む作品が多く、プリーストも左読みであった点や、ハングルの効果音による表現の点も、現在のように韓国発の漫画(webtoonなど)が浸透していなかった日本では違和感が強かったと思われる。
また、日本語版発売当時・2002年辺りの韓国が日本人社会からはマイナーな立場であったこともイマイチ人気が出なかった原因と考えられる。
なお、日本語版には1巻~3巻まで縦にラメがあり、4巻~5巻は横にラメがあるのに対し、最終巻の6巻のみラメの装飾がない。