M2カービンは、アメリカのM1カービンにフルオート機能を付与しセレクティブファイア(フル・セミ兼用)とした銃。
第二次世界大戦中の1944年10月に採用されたものの、結果的に採用時点で大戦終結まで1年を切っていた時期であったために大戦中は大々的に使用はされず、主に朝鮮戦争やベトナム戦争で使用された。
概要
元々、M1カービンは後方部隊向けの「セミオートマチックカービン」を配備させる計画の産物で、フルオート機能は「有れば望ましい」とされた程度で重要視はされていなかった。
実際にM1カービンにはフルオート射撃が可能な試作銃が存在したものの、試験の結果フルオートで射撃すると銃口が上に跳ね上がってしまうために実用的では無いと判断されて量産型では削除されている。
ところが、M1カービンを後方部隊向けとして採用した軍の目論見と違って、現場では前線の将兵がこの銃を積極的に使うようになり、彼らから威力不足と制圧力の強化を望む声が出るようになった。
そこで、1944年5月にはフルオート機能を「復活」させる研究が始められ、およそ半年後の10月に『M2カービン』として制式採用された。銃本体と同時に30発入りのマガジンが採用されている。
期待されて登場したものの、結局まとまった数が使われたという沖縄戦などを除いて大戦中は大々的に使われる事はなく、多くの将兵が手にすることとなるのは朝鮮戦争まで待たなくてはならなかった。
ところが、朝鮮戦争では威力不足とされて忌避され、ベトナム戦争中にM16等に取って代わられた。