概要
終末の時を迎えた
生き延びる術はもうない
これはあなたが如何にして死ぬかの物語である
ProjectZomboidとはSteamで配信中の見下ろし型オープンワールドゾンビゲームである。
プレイヤーはゾンビ映画等に登場するモブキャラを演じ、街を占領しているゾンビの群れから
逃げ隠れ(ときに立ち向かい)一日でも長く生き延びることが目標となる。
このゲームの最大の特徴は(前述のキャッチコピーにて示されているように)
プレイヤーの生存を最初から想定していないあまりにも尖った仕様である。
たとえばゾンビに襲われて殺される、高所からの落下死などはよくあることだろう。
食中毒や餓死、凍死などもサバイバル要素のあるゲームでは決して珍しくはない。
だが、断水や停電といったライフラインの停止に見舞われ、焦った結果
発電機を屋内で起動した結果、一酸化炭素中毒で死亡する
旧式の調理器具の片づけを怠ったばかりに火災を起こし、拠点ごと焼死する
探索に入った家の目覚まし時計が起動し、音を聞きつけたゾンビに包囲されて食われる
などという要素があるのは恐らくこのゲームぐらいではないだろうか。
この手のジャンルのゲームによくある銃器も実装されている。
されてはいるのだが……このゲームにおける銃は(特に低レベルで用いた場合)
ゾンビを倒すどころか銃声で援軍を呼び込むだけの自殺装置となることが大半である。
失敗に対するペナルティも厳しく、一度死んだキャラクターは二度と復活しない。
プレイヤーキャラが死んだ直後に操作するのはまた別のモブキャラである。
(同姓同名・同じ外見の別人を作ることはできるがスキルは上げ直しとなる)
また、一度でもゾンビに組み敷かれ、噛まれてしまった場合、たとえその場は
生還したとしてもゾンビ病を治療する方法もない。
数日後に確実に訪れるゾンビ化に備えてできることは最後の思い出を作ること
少しでも次のキャラクターが有利に立ち回れるように物資を集めること
もしくは人間で居られる間に自殺することだけである。
このように救いがないほどのリアル指向が特徴であるのだが、その一方で
現実でできることならほぼなんでもできる高い自由度も売りである。
先ほど、主人公はゾンビ映画のモブキャラと書いたが実際はスコップ片手に憧れの先輩や恩師の眠る学校を守る女子高生を演じたり大都市の大通りをゾンビから奪還するためにヒロイックな大立ち回りを演じる自由なども存在している。
(後者の結果は多くの場合『死ぬ自由』でしかないのだが……)
あるいはそういったヒロイックな活躍に興味がなくともリアルな耕作や料理
車両整備システムなどに惹かれ、このゲームを続ける者も多い。
特に料理システムは自由度が高くサラダやスープに入れる具材を自由にプレイヤーが選択でき
名前や効果もそれに応じて変わるといった具合。
……ホットドッグ入りシチューなどの謎料理を作れてしまうのはご愛敬
また、サンドボックスの設定の自由度も高く
Steamワークショップが開設されているためMODの開発も盛んである。
さすがに総数ではこの辺りには負けているものの
こちらも個人では到底遊びきれない量のMODが次々とリリースされている。
中にはゾンビ治療薬を追加したり街を脱出して生還するMOD
あるいは日記という形で死んだキャラのスキルを移植するMODなどというものすらある。
ストーリー
前述したようにこのゲームはキャラクターが死ぬまでの物語である。
そのためハッピーエンドに通じるストーリーやそれに裏付けされたクリア目標などはない。
もちろんプレイヤーに同行してくれるヒロイン(もしくはヒーロー)などもいない。
ただ、(特に最初の数日間は)ゾンビの襲撃や群衆のパニックに怯えるアメリカの様子が
作中世界のテレビやラジオという形でリアルに描かれており、没入感に大きく貢献している。
また、地味なゲーム画面ではあるものの文明が終わることの重大さなどは丁寧に描かれている。
たとえば、ゲーム序盤はスーパーやコンビニに行けばアイスクリームやソーセージ、ケーキや新鮮な果物がいくらでも手に入る。
だが、それらもほとんど全て賞味期限で、もしくは停電による冷蔵庫の機能停止で次々と失われ
否応なしに缶詰と貧相な自然食を組み合わせたサバイバル生活に切り替えざるを得なくなる……
(これを少しでも遅らせるためキャラクターが開幕と同時にスーパーに駆け込み
食品を無差別に冷凍庫に突っ込む光景などもよく見られる)
道路なども時間とともに荒れ果てていき、一年後には樹木が生い茂る森と化す。
そうなってしまったら車も無用の長物となり長距離の遠征すら支障をきたす……
ライフラインが途絶えた後の電気を得るには発電機が必要だがそのためのガソリンすらも有限……
(そもそも電気がストップしてしまうとガソリンスタンドが機能不全に陥る)
といった具合である。
総じてストーリーはプレイヤー各自が脳内で補完していくことになるが
そのための材料・ロールプレイのネタはシステム側で十分に用意されている、といった感じである。