ディズニー・ピクサー制作のアニメ映画『カーズ』については「CARS」を参照。
概要
『ジョジョの奇妙な冒険』第2部「戦闘潮流」のラスボス。
二千年の眠りから目覚めた柱の男の首領であり、他の「柱の男」と同じくぱっと見は人間のように見えるが、人間とは異なる進化を遂げた種族の出身である。
カーズの出身である「闇の一族」は驚異的な長寿を持つ反面、太陽光を苦手としていた。
もともと争いを好まないこともあり、「闇の一族」は太陽光のあたらない地下で生活していたが、高い知能と旺盛な好奇心を持つカーズはそんな生活に嫌気がさすようになり、いつしか弱点なき究極生命体(アルティミット・シイング)の追及を信念とするようになった。
カーズは脳に隠された力を引き出すことで究極生命体に近づくことができることを突き止めるが、その研究は地球上の他の生物を根絶やしにしかねないものであり、彼の思想を危険視した「闇の一族」は彼を抹殺しようとする。
だが、カーズは逆に自らの両親もろとも一族を返り討ちにして滅ぼし、自らの思想に共感したエシディシ、そして当時まだ赤子で事情を知らなかったワムウとサンタナを引き連れて旅に出た。
もともと石仮面はカーズが究極生命体になるための研究の過程で作ったものであり、ディオを始めとした吸血鬼も研究の副産物に過ぎない(ただ、吸血鬼は捕食すると通常の人間より高いエネルギーを得ることができたため、結果的には嬉しい誤算となった)。しかし、人間の脳を刺激して吸血鬼の力を引き出す石仮面でさえ、柱の男にとっては脳への骨針の「押し」が弱い「失敗作」であった。
やがてカーズは研究の過程で、光を増幅する性質を持つ鉱石「エイジャの赤石」の力を使えば骨針の問題を克服できると突き止め、一点の曇りもない高純度の赤石「スーパーエイジャ」を入手するためにローマ帝国時代のヨーロッパへ侵攻するも、赤石を入手できないまま休眠期に入ってしまい、エシディシ、ワムウと共にローマで眠りについていた。
そして1939年1月30日にワムウやエシディシとともに復活。
自らの野望を実現するべく再びエイジャの赤石を巡って活動を開始し、ジョセフらと激しい争奪戦を展開する。
容姿
普段はターバンのようなもので隠しているが、ロン毛で且つクセ毛である。
また、額には他の柱の男と同様に短めの角が生えている。
なお、作中で提示された究極生命体(アルティミット・シイング)の定義の一つに
「その形はギリシアの彫刻のように美しさを基本形とする」
というものがあるが、この一文は「カーズは美形」という遠まわしな表現なのかは定かではない(というか、誰が考えた定義なんだろう?)。
性格
彼にとって自らの信念は絶対であり、そのためには手段は選ばない卑劣さと同属さえ皆殺しにする冷酷さを持ち合わせている。
最終決戦時の「勝てばよかろうなのだァァァァッ!」という台詞はそうした彼の性格を象徴していると言える。
その一方で、自分の理念に共感し、行動を共にする仲間に対しては強い仲間意識を持っていたようで、復活直後にワムウの影をうっかり踏んでしまって彼から反射的に攻撃されてしまった際に
「私はお前のその闘争の士気を何よりも頼りにしている。お前の影に入った私が悪かったのだ」
と、罰するどころか彼の持つ戦闘能力を褒め称え、エシディシが郵送した赤石を追って潜伏先のスイスに現れたジョセフ一行との戦いでも
「エシディシが死を賭して輸送してくれたのだ!断じてエシディシの死を無駄にするわけにはいかぬ!!」
と言っている。
また、車に轢かれそうになっていた子犬を助けたり、崖から転落した際に雪の中で健気に咲く小さな花を踏まないように着地したり、独自の博愛精神と価値観を持っている。
最後までこのままでいてくれればよかったのだが、リサリサへの騙し討ち以降(特に究極生命体と化してから)は慢心や復讐心が強くなり、(たとえ表面だけだったとしても)他者を労わることを忘れてしまったのが残念でならない。
その変貌ぶりは、ジョセフに「カーズ!てめーの根性はッ! 畑にすてられ カビがはえて ハエもたからねー カボチャみてえにくさりきってやがるぜーーッ!!」とまで罵らせたほどだった。
「勝てばよかろうなのだ」について
言わずと知れたカーズ様の名台詞。
目的のためには手段は選ばず、結果を最重視するジョジョ各部のラスボスの特徴を示す台詞でもあり(「過程や…!方法なぞ…!どうでもよいのだァーッ!」と承太郎に血の目潰しをかけたDIO、その思想を体現したかのようなスタンド「キング・クリムゾン」を持つディアボロなど)、「恐怖を乗り越える勇気」「真実に向かおうとする意志」といった「結果に至るための過程」を尊重する「人間賛歌」とは相反する思想だといえる。
また、この台詞のインパクトの強さのせいで、カーズに対して「卑怯者」「姑息」というイメージを抱いてしまう読者は多い。
もちろん、究極生命体になってからもワムウやエシディシの仇(さりげなくサンタナだけが省られているのは内緒)としてジョセフを狙うなど、先述したような仲間思いな点もあるのだが…。
そのうち考えるのをやめた
カーズのもう一つの有名なシーンの一つにこれがある。詳細はリンク先を参照。
能力・技
光の流法(モード)「輝彩滑刀(きさいかっとう)」
腕や脚から光り輝く刃を生やすカーズの流法。刃が輝いて見えるのは、刀身の表面でサメの歯のような極小のトゲが高速で動き回ることによる光の乱反射が原因らしい。つまり、全身どこからでもチェーンソーを生やせる能力というわけである。
この刃は生物の体組織が変化したものとしては異常なまでの切れ味を誇り、山小屋の壁からナチス兵士、30ミリの鉄板を撃ち抜く重機関砲の弾、はてはサイボーグになったシュトロハイムの胴体まで、敵対する者を片っ端から切断して回っていた。このほかにも刃の輝きを利用し、戦闘中の目眩ましや離れたところに合図を送る手段としても使える。
また、刃もやはりカーズの体の一部だからか、ジョセフの肩に突き刺した刃を肩の皮膚と同化させる、刃を刺した相手から生命エネルギーを吸い取るなどの芸当も可能。だが、逆に刃から波紋を流される危険もあり、現にジョセフに刃を折られた際は、刃から流れてくる波紋で相当なダメージを受けてしまっていた。
これらのほか、壁越しに温度差を感じ取って壁の向こう側の様子を探る術や「苦しまずに死ねる毒薬」を作るほどの薬学の技術なども披露している。
究極生命体になってから獲得した能力や技能については当該項目にて。