概要
1981年に結成されたアメリカのカリフォリニア州出身のヘヴィメタルバンド。
同時期に結成されたMETALLICA、MEGADETH、ANTHRAXと並んでBIG4と称される。
他の3バンドがスラッシュメタルから音楽性を変える中、今もスラッシュメタルを貫いている。
他のスラッシュメタルバンドよりも、ひたすらアグレッシブな作風が特徴的で、歌詞のテーマも、殺人、虐殺、死、サタニズム、自殺、精神病など、猟奇的で暴力的な内容が多く、教育委員会やPTAの批判にさらされることも少なくない。
その代表例として、1986年リリースの『レイン・イン・ブラッド』収録の『エンジェル・オブ・デス』は、発売当時、歌詞の内容を巡り、大きな論争を呼んだ。この楽曲は、アウシュヴィッツでのヨーゼフ・メンゲレによる人体実験がモチーフであり、結果的に、アメリカ国内のユダヤ人組織やホロコーストの生存者の逆鱗に触れてしまったのがきっかけであった。このため、彼らを『反ユダヤ主義者』、『ネオナチ』、『レイシスト』などと誤解するものもいたという。
これらの経緯から、しばしば誤解されることの多いバンドでもあるが、トムは敬虔なカトリック教徒であり、無神論者のケリーも悪魔主義にも否定的な考えを持っている。また、先述の『エンジェル・オブ・デス』を手掛けたジェフも、インタビューでメンゲレを厳しく批判している。ちなみに、オリジナルメンバーのうち、2人はヒスパニックの血を受け継いでいる。
しかし、その世界観や作風は、デスメタルやブラックメタルなどに分類される数々のバンドにも多大な影響をもたらしている。
メンバー
トム・アラヤ (Vo, B) オリジナルメンバー。チリとの二重国籍者。吐き捨てるようなボーカルスタイルが特徴。
ケリー・キング (G) オリジナルメンバー。長いヒゲと上半身のタトゥーが特徴。
ポール・ボスタフ (Dr) デイヴほどではないが、複雑なリズムも奏でられる巧みな演奏力から、メンバーの評価を買い、オリジナルメンバーのデイヴの後任として加入。2013年6月より、彼の再脱退に伴い、再び加入することになった。
元メンバー
ジェフ・ハンネマン (G) オリジナルメンバー。先述の「エンジェル・オブ・デス」をはじめ数々のバンドの人気曲を手掛けていた。2011年に、クモに噛まれた傷が原因で壊死性筋膜炎を引き起こし、長らく休業していたが、2013年5月、アルコール中毒による肝不全で死去。享年49歳。
デイヴ・ロンバード (Dr) オリジナルメンバー。キューバ・ハバナ生まれ。激しいドラミングが特徴で、複雑なリズムも刻める凄さから、メタル界でも非常に高く評価されている。一時復帰していたが、2013年に再び脱退。
ジョン・デッティ (Dr) ポール・ボスタフが一時脱退した時に加入。ツアーのみの参加で、アルバムのレコーディングには参加していない。
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