概要
三銃士(原作題名:les Trois Mousquetaires)は、フランスの小説家、アレクサンドル・デュマ・ペール氏原作の小説である。
正確にはデュマの書いた「ダルタニャン物語」の第1章的存在であって、この小説ひとつが独立したものでないが、日本ではこっちが有名。(三銃士→二十年後→ブラジュロンヌ子爵と物語が進行していく)
また「三銃士」とあるが、これは主人公のダルタニャン(ダルタニアン)がアトス、ポルトス、アラミスの三銃士と呼ばれる面々と熱い友情を交わしいろんな活躍を見せる物語であって、ダルタニャンは三銃士の1人ではない。銃士が銃を使うのは戦場であり、決闘(当時は既に違法だがしばしば有名無実)では剣を使っている。
原作の魅力があってか、アニメ(→アニメ三銃士も参照)や人形劇、数々の創作物のネタにされてきている。
登場人物
主人公と三銃士
物語の主人公。ガスコーニュ地方出身でパリに出る。
なんかいろいろあってアトス、ポルトス、アラミスの三銃士と仲良くなる。
人妻に恋したり、枢機卿相手に喧嘩売ったり女と寝たり、放っておけばいいのにいろんなことに自ら足を突っ込む。
実在した銃士隊代理隊長シャルル・ドゥ・モンテスキュー・ダルタニャン(銃士隊の真の「隊長」は国王である)を大まかなモデルにしており、三銃士もモデルらしき銃士がいるが、歴史上のダルタニャン達とは設定が大幅に異なる。
プランシェ
ダルタニャンの従者。ピカルディー出身。勤務に一時不満があったが、三銃士から貰ったアドバイスを全部盛りした(=拳で語ったり普通に話し合ったり)ダルタニャンと改めて仲良くなった。
三銃士の一人で最年長。原作では理性的で紳士的なお方。でも女は信用しない。
「アトス」は実は偽名であり、ミレディーとは深い因縁がある。
グリモー
アトスの従者。主人になるべく無口でいるように仕込まれている。
三銃士の一人。大柄で明るい性格の色男。戦闘力は高いと思われるが、「三銃士」ではあまりその活躍を見られない。
ムスクトン
ポルトスの従者。
三銃士の一人。アニメの影響で女と思われがちだが男。
僧籍に身を置きたがっているが、実は恋人がいたり…。
シリーズ後期には敵方の黒幕となり、ダルタニャンと対立する。
バザン
アラミスの従者。アラミスと同じく僧籍に身を置きたがる野心家?
フランス国王・王妃側
リシュリュー枢機卿に政治の実権を奪われそうになるお人。枢機卿を信頼し、王妃の浮気を疑っている。
作内には出てこないが、銃士隊の隊長も名義上兼任している。父のアンリ4世は、ダルタニャンと同じガスコーニュ出身。
続編では息子のルイ14世が登場。
アンヌ王妃
ルイ13世の妃で美人。スペイン国王の娘。
本作では、イギリスのバッキンガム公爵と恋仲になっている。
トレヴィル
銃士隊隊長(前述の通り、厳密には「代理隊長」)。ダルタニャンに同郷のよしみで色々と便宜を図ってくれる。
モデルになった実在のトレヴィルは、三銃士全員とも同郷どころか、アトスとアラミスとは親戚である。
コンスタンス・ボナシュー
ボナシュー氏の妻。アンヌ王妃の下着係で、王妃には忠実。
ダルタニャンと不倫関係に落ちるも、途中で放置させられたり、さらには毒殺されるヒロイン。
……さすがにそんな設定で子供向けのアニメに登場させるわけにもいかず、そちらではボナシュー氏の「娘」になっている。
枢機卿側
リシュリュー枢機卿
フランスの実権を握っている、枢機卿兼公爵で宰相でもある人物。政治的に対立している王妃を陥れようとしている。また、ロシュフォール達のような護衛士を抱えている。
終盤にはダルタニャン達を味方に引き入れようとし、ミレディーを殺したダルタニャンを平然と許している。
政治的な後継者はマザラン。第一作ではまだ登場しないが、続編では重要人物になる。
美人でミステリアスな女性。アトスとはとある縁がある。
アンヌ・ド・ブリュイ、シャルロット・バクソン、ミレディー・クラリックなど、様々な名前を名乗ってる。
ダルタニャンに騙されて、彼に復讐をしようとしている。
ケティー
ミレディーの従者。ダルタニャンに恋をする。……が、既に人妻とデキているダルタニャンに利用されてしまう。
リシュリューの腹心。紹介状を奪ったためにダルタニャンに恨まれる。
ワルド伯爵
ロシュフォールの従兄。ミレディーに好かれていた。
小金持ちでダルタニャンの住まう家の家主。後に枢機卿側になる。
イギリス人
名前をジョージ・ヴィリアーズ。フランス読みだと、ジョルジュ・ヴィリエ。
アンヌ王妃と熱い関係にあり、彼女のためならフランスとイギリスが戦争になってもかまわないお方。ラ・ロシェルのユグノー(プロテスタントの長老派)軍を支援するが、ミレディーに手を回され暗殺される。
という設定だが、実在のバッキンガム公爵は非常に横柄で傲慢な人物で、チャールズ1世とのホモセクシャルな関係で引き立てられたうえ、暗殺された理由も「無謀な外征で戦友を大勢殺された」というものであった。
ウィンター卿
イギリスの貴族。ダルタニャンと戦うがその後仲良くなる。ミレディーとはちょっとした縁がある。
フェルトン
ウィンター卿の部下。ミレディーにそそのかされて、バッキンガム公爵を暗殺する。
史実でも公爵を暗殺しているが、そちらでの理由は前述の通り。
その他
リールの首切り役人
ミレディーとは因縁がある人。
コクナール夫人
のちに正式に結婚する。