いかりとは――
- 【怒り】……感情のひとつ。起こっている状態。
- 【碇/錨】……水底に沈めて船が流されないようにするる錘(おもり)。アンカー、ハープーン。
- 任天堂の育成バトルRPG『ポケットモンスター』のわざのひとつ。以下参照。
ポケモンの「わざ」としての“いかり”
データ
初登場 | 第一世代 |
---|---|
タイプ | ノーマル |
分類 | 物理 |
威力 | 20 |
命中 | 100 |
PP | 20 |
範囲 | 1体(選択) |
直接攻撃 | ○ |
パレス | たたかう |
効果(第一世代) | 攻撃を受けるごとに攻撃力が上がる。一度使うと相手を倒すまで攻撃を続け、元に戻らない。 |
(第二世代) | 攻撃を受けると攻撃力が2倍、3倍、4倍……と跳ね上がる。別の「わざ」を出すと元に戻る。 |
(第三世代~) | 「いかり」状態となって、攻撃を受けごとにと攻撃力が1段階上昇する。 |
わざマシン | 20(第一世代) |
解説
初代から存在するノーマルタイプの「わざ」のひとつ。
第三世代に至るまでに「わざ」の性質が変遷しており、第三世代になってようやく落ち着いた。
怒りにまかせて攻撃し、さらに攻撃を受けると怒りのボルテージが上がって攻撃力が上がるという、何やら危険な雰囲気のする「わざ」。
これだけ聞くと割と強そうだが、第一世代から一貫して不遇な性能だったりする……。
原因はその攻撃力の低さ。
「たいあたり」や「ひっかく」ですら35以上の威力なのに対し、威力【20】という致命的な低さが足を引っ張っている。
もちろん、これは「攻撃を受けると次に繰り出す攻撃の威力が上がる」仕様を考慮したものだが、そもそも上がる威力が致命的に低いという有様。そしてなにより、一度使うとバトルが終わるまでそのままという欠陥とも言えるシステムがあったこと。特に初代では、ボールに引っ込めようとしてもずっと戦い続けるせいでボールに戻ってくれない。
この仕様のせいで、「CPUが「いかり」を使ったら勝ちフラグ」「そもそも死に技」「覚える価値なし」と、散々な扱われようだった。
またポケモンリーグチャンピオンとして待ち構えるグリーンは、主人公が最初のポケモンにフシギダネを選んだ場合にリザードンをエースとして繰り出してくるのだが、このリザードンになぜか「いかり」を覚えさせている。CPUはある程度ランダムで「わざ」を使用するため、最初から「いかり」を使ってくるなんてのはよくある光景である。そのせいでフシギバナでも工夫次第でタイマンを張って勝てたりする。グリーンぇ……
さすがにこれはまずいとスタッフも考えたのか、第二世代では「ころがる」のような増幅効果へと変化。さらに威力の上昇も一定で増えていくと、かなり優秀な性能に変化した。
しかしこれも、“他のわざを使うと効果が消える”せいで大したアドバンテージに成らず、なによりノーマルわざなので倍にダメージが入る属性がないのが痛かった……。
一応、耐久型のポケモンがこれを覚えるとそれなりの威力にはなったが、そもそも初期ダメージが低く攻撃を受けないと威力が上がらないという当初からの欠点もよりはっきりしてしまった。
それから第三世代になり、“いかり状態”というステータス変化を起こして効果が持続するように変化したことで、ようやくある程度は使えるように収まった。
攻撃力の上がり方も、通常の積み技と同様の仕様に変更され、効果も分かりやすく改善された。
それでも「ダメージレースに耐える必要性」と「微妙な威力」という問題、そして優秀な積み技の台頭によって採用率は低い……。
致命的なバグ
この「わざ」、何の呪いかなにかとバグに見舞われる傾向にあったりする。
初代・ゴースト永久機関バグ
初代は相手を倒さないと止まらない(ボールにも戻せない)仕様から、ゴーストタイプ同士が「いかり」で殴り合うと永久にバトルが終わらないという、身も蓋もないバグ同然の現象があった。こうなるとリセットする以外に、バトルを終わらせる手段は無くなる……。
HGSS・へんしんバグ
HGSSには「へんしん」を使うポケモンが“いかり状態”の相手に変身すると、相手のわざをコピーしたままになるという、これまた致命的なバグが存在する。
たとえば野生のメタモンをゲットする際に「いかり」を使い、その状態でメタモンが“いかり状態”のポケモンをコピーすると、メタモンはそのポケモンのわざをコピーしたまま「へんしん」が使えなくなるのである。
このバグは、野生の個体だろうと手持ちで丹精込めて育成したメタモンだろうと容赦なく発生するため、“いかり状態”のポケモンに「へんしん」を不用意に使ったが最後、メタモンは唯一にして最大のアイデンティティを失うことになる……。