安倍首相が、2014年11月18日に記者会見で、消費税を8%から10%への引き上げを2015年10月から2017年4月に先送りするとともに、国民に信を問うと表明し、11月21日に衆議院を解散した。この時、伊吹衆院議長が解散詔書を読み始めたときに、一部の議員が万歳三唱をし、詔書を読み終えた伊吹議長から、「万歳はここでやってください」と注意され、改めて万歳三唱をするという珍事があった。
選挙戦では、安倍首相の経済政策、いわゆる「アベノミクス」や消費税引き上げ延期の是非を争点に、公示前から議席の3分の2以上を持つ自民党と公明党の与党が議席の維持を目指す一方、野党は与党の過半数(238議席)獲得阻止を掲げた。また、今選挙から、議席が5減る「0増5減」により、議席が475となった。候補者数は野党候補者が少なかったために、前回選挙の1504人から1191人に大幅に減少した。
結果
当初から与党勝利との見方が多く、各メディアの情勢調査では一時、自民党が単独300議席獲得との予測があった。投票の結果は、予想通り与党が大勝。引き続き、安定した政権運営が継続することとなった。一方、投票率は、前回を下回る52.66%となり、戦後最低記録を更新した。
与党
自民党は前回から2議席減らし、300議席獲得まではならなかったが、それでも安定的に国会運営ができる絶対安定多数(266議席)を大幅に超える291議席を獲得した。一方沖縄県では、総選挙前に行われた県知事選で、アメリカ軍普天間基地の辺野古移設に反対する翁長雄志候補が当選した影響もあり、全小選挙区で落選した。また、「政治とカネ」の問題に揺れた小渕優子、松島みどりの両議員は野党候補からの批判をものともせず、当選した。
公明党は4議席増やし35議席を獲得。合わせて326議席を獲得した。
野党
不意打ちを受けた形の野党は、準備不足が響き苦戦。前回大敗した民主党は、候補者を過半数(238議席)を下回る198人しか擁立出来なかった。また、前回野党が共倒れしたことを受け、維新の党と選挙区調整を行ったが、不調に終わった。結果は11議席増やし、73議席になったが、目標としていた3ケタ確保には及ばなかった。さらに、野党第一党の党首でもある海江田万里代表が落選したほか、大臣経験者も相次いで落選するなど、民主党の凋落ぶりが改めて鮮明になった。
日本維新の会から分党後、初の選挙戦となった維新の党は、1議席減らしたものの41議席を獲得。一方、次世代の党は、19議席から一気に減らし2議席になった。また、党最高顧問の石原慎太郎議員は自身が落選したことを受け、政界を引退した。
生活の党は、小沢一郎代表が16回目の当選を果たしたが、議席を5議席から2議席に減らし、政党要件を失った。社民党は、2議席を維持。日本共産党は、18年ぶりに小選挙区で1議席を獲得し、8議席から倍以上の21議席を獲得する大躍進となり、法案を提出できることが可能となった。
一方、党運営を巡り、解散後に解党したみんなの党出身の候補者は、無所属または他党に移籍し選挙戦に挑んだが、渡辺喜美元代表が落選し、父親の美智雄氏から続いた「渡辺王国」は陥落した。また、2代目代表の浅尾慶一郎は無所属で当選した。