「そっくりだ……シシーにそっくりだ……」
「シシー、2人で復讐しよう。私たちの両親と仲間たちを皆殺しにした地球人を火の海に葬るのだ!」
データ
別名 | 身長 | 体重 | 出身地 |
---|---|---|---|
幽鬼宇宙人 | 0.99~42m | 0.97~3万t | トーク星 |
概要
3000年もの昔に武器を捨て、戦いというものを否定した友好的で平和的な宇宙人。
外見は髪の毛が赤いという以外は地球人と同じ姿をしている。
自身の体を半透明にすることで、自分達に危害を加えようとする者たちから身を守る事ができる。
300年程の昔に母星とよく似た地球と友好を結ぶためにやって来たが、髪の毛が赤いという理由だけで迫害され(おそらく伝説の鬼と誤認されたためだと推測される)、仲間と家族、さらには最愛の妹であるシシーをも焼打ちで殺された事で心に大きな傷を負ってしまう。
その為、復讐という憎しみの心に囚われた彼はデスマスクのように無表情であり、とある森にある洋館(おそらく地球における彼らの滞在場所『平和郷』の跡地だとおもわれる)へと身を隠し、館に近づく地球人を殺し続ける一方、その地下研究施設で妹を殺された復讐の為に、“地球人皆殺し”の為の兵器を制作し続けていた。
そんなある日、偶然迷い込んできたウルトラ警備隊のアンヌ隊員と会合した彼は、彼女に妹の影を重ね(偶然にも妹のシシーとアンヌの容姿が瓜二つであった…)、彼女を軟禁してしまう。
その後、ダンと共に館を脱出したアンヌたちは彼の事情を知る事になるが、復讐に囚われた彼が開発を進める兵器の脅威から危険人物と判断した“言っていることは正しいが、ある意味あなたこその方こそが、後々災いを振りまいているのではないか?と思うような行動をとりがちな上の判断”と、アンヌに防衛軍基地に会いに来て殺戮を振りまく彼の行動から、彼の暗殺が決定してしまう事に…。
ためらうアンヌだったが、上からの命令やこれ以上被害を出さない為にもやむなく作戦を決行し、誘き寄せられたトークは『超兵器8』に蜂の巣にされ、妹の名を叫びながら絶命するが…。
悪鬼・トーク星人(仮称)
絶命したトーク星人の肉体より出現した彼の深い悲しみや怨念のマイナスエネルギーが実体化した怪物。
ニ本の角に耳まで裂けた口というまさに伝説上の鬼を思わせる容姿に、炎のように全身に纏った布がメラメラと靡いているという悍ましい姿をしている。
手にした巨大な鎚であらゆるものを粉砕し、口からは発火性の闇よりも黒い霧を吐き出す。また、全身の布は伸縮自在であり、これを使って敵を拘束することが可能なほか、『超兵器8』をものともしない防御力を秘めている。
登場したセブンと激しい攻防戦を展開(多分セブンも説得使用したのだろうが…)するが、その凄まじい怨念の力の前には流石にセブンも追い詰められ劣勢に陥り、窮地に立たされるが、戦いの虚しさを必死に訴えるアンヌの言葉を聞き、亡き妹の面影を見出したことにより戦意を喪失。
最後は『エメリウム光線』を受け本来の姿に戻り、アンヌの見守る中、静かに消滅していった…。
※本来の姿に戻れたのは、アンヌの言葉で本来の優しさを取り戻したことを暗に示していることから、最後の最後で彼は救われたのだった…。
しかしあの隊長、仕方ない事とはいえ、やっぱり非道な人物である…。
余談
元々はウルトラセブンの未制作シナリオ『300年間の復讐』に登場する宇宙人であったが、NHK製作ドラマ「私が愛したウルトラセブン 第1部『夢で逢った人々』で一部が映像化されている。
こちらでは上記の内容と少し違う部分があり、星人とアンヌとの交流や、それによって次第に彼の心が癒されていく描写が付け加えられている。
また、漫画家の居村眞二氏によりコミック化(「ウルトラマン80宇宙大戦争―ザ☆ウルトラマン ウルトラセブン」 出版元:ミリオン出版に収録)もされており、そちらでは、いかにも異星人の姿をしていたNHK製作ドラマのデザインとは違って、地球人と同じ姿をした異性の住人として描かれている。
なお、そちらでは『イドシステム』という生物を怪獣化させる装置をつかって、自身が直接怪物化して復讐しようとしていた設定や、セブンとの戦闘時にアンヌだけではなくセブンも彼の説得を試みようとするなど、細部が変更されており、最後はアンヌに看取られてかつての優しさを取り戻し、静かに息を引き取る描写に変更されている。
ちなみに、ボーグ星人はこのシナリオで登場する筈だった幽鬼兵・甲冑人間の流用である。
名シーン
私達のトーク星は地球とよく似た星だ。
私達は地球人と交流を図りたかった。
ところが地球へ来てみて驚いた。
地球人同士が武器を振り回し殺し合いをしているのだ。
そこで私たちはひとまず山間に平和郷を作って住みついたのである……
地球人たちに私たちの平和郷が焼き討ちにされた。
私たちの髪の毛が赤いというそれだけの理由からだ。
トーク星では、三千年も前に武器を捨ててしまっていたので無抵抗のままだった。
地球人の残忍さ獰猛さは猛獣の比ではない……
トーク星の武器を完成するのに三百年もかかってしまった。
武器をまるで玩具のようにふり回す地球人たちに、
本当の武器の恐ろしさを教えてやるのだ……
「上原正三シナリオ選集」より抜粋
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