クリフトはゲーム『ドラゴンクエストⅣ』の登場キャラクターである。
概要
サントハイム王国に仕える神官。サントハイムのおてんば姫アリーナに密かに恋心をいだいており、壁を蹴破って冒険に出たアリーナを追いかけてブライと共に旅に出た。旅の果てにアリーナが見事にエンドールの武術大会優勝を成し遂げ、報告の為に3人がサントハイムへと戻ると、そこは子猫一匹しか残っていない無人の城となっていた。
以後、彼とブライ、アリーナは、消えたサントハイムの人々を探す為、世界を冒険する事になる。
冒険中に病に倒れるが、クリフトのため薬を探しに行ったアリーナや、それを追って行った勇者らの活躍により回復し、アリーナと共に世界を救う導かれし者の一人として勇者一行のパーティーに加わる。
原作のFC版では台詞が少なく攻略本や解説書でも真面目なお兄さんキャラを強調されていたため、かた物な印象が強く、恋心も匂わせる程度のセリフがあるのみであった。また、FC版の攻略本や設定解説本には女性に人気が高いという設定もあった。ちなみに恋心も匂わせる台詞は、
「ひめにもしものことがあっては このクリフト・・・・・・・・・・・・。いや、おうさまがどんなになげかれることかっ!」
というもので、当時この一文を額面通り受け取ったプレイヤーも多かったが、秘めた恋心が思わずこぼれてしまった台詞だと解釈したプレイヤーも少なくはなかった。
そしてゲーム発売後に出版され人気を博したドラゴンクエスト4コマ漫画劇場(公式アンソロジー)シリーズでもアリーナへの片想いネタが多くの作者陣によって大量に描かれた。小説、CD、漫画版などのスピンオフ作品でも同様に片想いが強調されており、多くのファンの間でクリフトの片想いは定番ネタとして定着していった。
リメイク版はこれらの影響を強く受けており、新たにクリフトの部屋の本棚にアリーナのブロマイドが隠してあったり、仲間との会話機能ではアリーナに一途でぞっこんであったり、実は高所恐怖症であるなどの、いわゆる二次創作要素の強かった設定が大量に追加されている。仲間会話では一途で純情な面や、身分違いであることや自身が聖職者であるために、叶わぬ恋であることを悩んでいる様子もうかがえる。
また、AIの仕様もPS版ではクリフトだけはアリーナを誰よりも最優先で回復するような過保護な設定にされており、たとえ自分が瀕死であってもかすり傷程度のアリーナの方を回復してしまうほどであったりする。
ここまで露骨に性格設定が変更されたり、AIに性格が反映されたキャラクターはシリーズでも他になく、ドラクエにて二次創作設定が公式に影響を与えた代表的なキャラクターである。
FC版ではこれらの要素は無いため、FC版しか知らない人がリメイク版をやると違和感を感じる場合もある。
FC版を元にしたCDシアターの中ではアリーナに対し
「あぁ姫様ぁ~~一生ついて行きますぅ!!」
と思いを爆発させるシーンがあり、キャストの中村大樹氏がそれを熱演している。
(ブライ「尻にしかれるのぅ…こやつは…(小声)」)
なお劇中では強行軍で魔物を薙ぎ倒す時にザラキを一度使うのみであり、連発(※後述)する事はない。
ほとんどのスピンオフ作品や他作品へのゲスト出演でもアリーナとセットで片想いネタを強調されたりザラキ厨ぶりをネタにされるなど、キャラが立っていてアリーナとのコンビでもいじりやすいためか、とにかくネタにされやすい。
柴田亜美の4コマでは剣の代わりに大根を背負った姿で描かれていたが、これはさすがに再現されていない。
ザラキ神官
クリフトといえばザラキであり、ザラキといえばクリフト … というイメージになっていることが多い。
『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』でも扱われている程に定着しているザラキ=クリフトネタだが、この元ネタはFC版ドラクエ4のAIである。
FC版ドラクエ4のAIは、以降の「敵のデータを把握しているので常に適切な行動をとる」といったものではなく、まさに学習型AIであった。つまり「この敵にこの呪文は効果がある、ない」等、幾多の戦闘の繰り返しで成長していくものであり、非常に画期的な要素だったが、クリフトはAIの性格とプレイスタイルが相性が悪いケースが多かったようだ。
クリフトの攻撃呪文にはザキ系しかなく、初めて相対する敵には、特に作戦が「ガンガンいこうぜ」の際は、「とりあえずビール」の様な要領で「とりあえずザキ(ザラキ)」であった。また、「じゅもんをせつやく」でも、節約しろと言ってるそばからザラキを唱えたり、なんてことも。効かないことを学習した場合、同じ敵には以後使用しなくなるが、戦闘経験がない相手には「コイツにザラキが効くかどうかわからん」ため、同一戦闘中に何度もザラキを唱えることになる。
特に一度しか戦わないボス(ラスボス含む)にも、とりあえずザラキでアタックする為、ユーザーから「ザラキ厨」と言われる事になってしまったのである(全滅を繰り返す事でボスでも学習させられる)。
ただし、作戦が「ガンガンいこうぜ」以外の場合は暴発は少ないし、特に天罰の杖などの攻撃補助アイテムを持たせておけばそちらを優先して使うことが多く、ボス戦ザラキを見たことの無いプレイヤーも結構居るのだが、世間にはインパクトの強い行動のほうが語り継がれてしまったようだ。
PSリメイク版では作戦に「めいれいさせろ」が追加されている為、ザラキ連発を防止出来るが、作戦を変更してAI戦闘モードに変えた時は高確率でザラキを使用する様になっている。なお、リメイク版では学習機能は存在せず、パターンに従って行動する様になっている為、製作側が意図的にクリフト=ザラキを再現しようとしたものと思われる。
モンスターバトルロードでのトドメの一撃「ザラキーマ」でも、クリフトがザラキを連発するもザラキが全く効かず、結果的にブチ切れてザラキーマを放つという演出になっている。このとき、「クリフトはザラキをとなえた! しかしあいてにはきかなかった」と表示されたメッセージ欄を踏みつけている。
また、ドラゴンクエストヒーローズにおける必殺技もバトルロードと同様の演出になっている。
DQ9においてはクリフトの衣装を揃える事で、称号「高望み神官」を得る事が出来る。
その際にはサンディにまで「姫に恋したりボスにザキしたり」と言われる始末。
ザラキネタに関して
クリフトのザラキネタは他作品の人気漫画などでもたびたびネタにされ、公式でもバトルロードやヒーローズで必殺技として採用されているほど、当時のプレイヤーからは有名。
だが彼は決して役に立たない無能なわけではなく、むしろスクルト、ザオリク、ベホマラーといった非常に重要な補助・回復呪文を唯一使え、すばやさ、HP、MPがいずれも高く、またFC版ではすばやさが防御力になるという計算式の都合からすばやさが高いクリフトはパーティー内での防御力も一番高く、さらに最強装備のはぐれメタルシリーズを全装備できるなど装備品にも恵まれており、きせきの剣やはぐれメタルの剣によるサブ火力で物理攻撃もそこそここなせるため、むしろパーティーには必須のキャラであった。またFC版においては同じ補助回復タイプであるミネアのHPとレベル成長率がなぜかかなり低かったこともあり(リメイク版ではミネアのステータスも大幅に強化された)、クリフトをパーティーに入れる人も多かった。
そのためザラキを効かない敵やラスボスにまでかける場面を目撃した人も多く話題になり、本来有能なはずのキャラがAIのせいでマヌケを晒すということでこれほどネタにされるようになった。
ちなみにクリフトがなぜザラキを多く唱えてしまったのかについては、堀井雄二氏自身が2014年6月11日に放送されたラジオFM西東京『漫学~Nちゃんねる(仮)~』内にて解説していた。
以下一部を要約抜粋
(―ドラクエ4は一緒に旅をしてる感じが生まれてかなり個性的なキャラ作りになったと思います。
堀井「ええそうです、それは意図したことです。仲間だけれどちょっと自分の思い通りにはならないようなところで人間っぽさが出るみたいな。しかもパーティーが増えちゃったんで、いちいち自分で入れるのが面倒くさいと思いAIにしようと。」
―おまかせにしておくと自分だけ入力すればあとは仲間が勝手に動くわけですよね。ただ、クリフトのザラキ連発とか色々ありましたよね(笑)
堀井「そうそう、あれ。どうしてあのザラキを連発するかというと、コンピューターが内部で評価してるんです。ザキは効くと一発で敵のHPを100%無くすので、どうしてもAI的に評価が高くなってしまうので、唱えやすくなってしまったんですよ。 それでその反省を生かして次からは呪文に先入観を与えることにして、AIにザキは効きにくいだろうという先入観を持って唱えにくくして、それで効くと効果があるというふうにちょっとずつ学習するようなAIにしたりとか、いろんな工夫をしていったんです。」
―クリフトのキャラ付けとして、ちょっと賢そうなのにおバカっぽいという愛されキャラだなと思いましたがそんな深いお話だったとは。
堀井「ええ、それでクリフトがザキって言った記憶がけっこうあったので、リメイク版ではAIもかなり進化して賢くなって、クリフトがザキ言わなくなっちゃった時に、これはクリフトらしくないなと思いまして、とりあえず作ってできた物を見てから、これAIがどう言おうと4分の1の確率でランダムにザキいくことにしようって作ったことがありますね(笑)。」
―そういうキャラ付けもあったんですね。
堀井「ええ、そうです。」
―私ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場を全部集めてて、クリフトがザラキを唱えるイメージがあるからみんなクリフトに対してちょっとひどいんですよちょっとおバカみたいな感じの位置づけになってて(笑)
―でもあれ面白かったですよねキャラとしては(笑))
ザラキ以外の性能
上記のように攻撃呪文はザキ/ザラキしかなく、同じ回復役のミネアよりも「ちから」が低いため、火力面ではかなり辛い。反面、「すばやさ」はミネアよりも断然高く、守備力アップのスクルト、全体回復のベホマラー、完全蘇生のザオリクを唱えられるため、ボス戦ザコ戦問わず何かと重宝する。特に、エスターク以降は強力な全体攻撃や凍てつく波動を使う敵も多いため、それらを受けた次のターンでは迅速な対応が可能。
バルザック(5章)戦あたりは、魔法の法衣を装備したクリフトを出しとけば全滅はしないだろう。
ただ、フバーハはミネアしか唱えられず、クリフトの長所であるザオリクやベホマラーなどはピサロが使えるので、メンバー4人固定となる真の最終戦であるエビルプリースト戦ではきつい。ここでクリフトは外し、ミネアを入れる人もいる。プレイスタイルによっては、クリフト、ミネアの両方を入れる場合もあるようだ。
また、FC版では、全はぐれメタル装備を装備できるキャラでもあった(ミネアも)。
いただきストリートWiiではレベルアップ時にバック中を見せてくれることから、実は
身体能力は普通の僧侶と比べてもかなり高い様子。
ちなみにドラゴンクエスト4におけるスカラ・スクルトの効果は他のドラクエシリーズよりもかなり高いため絶大で、1回使うだけで単体、またはパーティー全員の守備力が大幅に上がりダメージ量を劇的に減らすことができ、重ねがけすればボス敵であろうとも物理攻撃はほぼ無効化することができるため重宝する。
プレイステーション版で明かされた設定
かなりの高所恐怖症。子供の頃に溺れかけた事があり、水恐怖症でもある。高所恐怖症設定はリメイク以前のゲームブック版にもある。
クリフトの帽子の家紋
クリフトの帽子に描かれているサントハイム王家の家紋には2種類ある。ひとつは「丸に十字」のデザインであり、FC版とPS版のキャラクターデザインでこのデザインを用いている。九州の島津家の家紋と同じデザインであるとファンの間では以前から囁かれていた。
もうひとつは初心者マークに似たデザインのもの(逆さの五角形の中央に縦線)で、DS版ではこちらが採用されている。
これは旧デザインのマークは十字架を連想させる為、海外輸出に配慮して現実の宗教とは関係の無いデザインにした為である。
ちなみに帽子の名前は「ロケットぼうし」・・・というのは、漫画家衛藤ヒロユキが勝手に付けた名前である。
4コマ漫画番外編の読者投稿では、神官の階級によって長さが変わる、というネタもあった(クリフトの長さで見習いらしい)。
いただきストリートのクリフト
PS2版、DS版、Wii版で登場する。どのシリーズでもあまり積極的に5倍買いや相乗りを行わない
ものの、地道にコツコツ増資していくので気がついたら高額物件になっていたこともあるので、
彼が相手なら素早く決着をつけたいところ。
Wii版では原作に近いデザインだが、DS版だとかなり可愛い外見になっている。
ドラゴンクエストヒーローズのクリフト
ボイス付きの作品。堀井雄二氏直々の指名で声は緑川光氏が担当することになった。基本的にはアリーナの身を案じる真面目な従者だが、異世界の美景を見てアリーナとのデート風景を空想したり高所恐怖症であったりとリメイク版の設定が反映されている。
クリフトはアリーナ姫と2人で登場、メインキャラとして参戦しており、一時的とはいえアリーナとの2人旅を実現していた。主人公一行の仲間になる際には「せっかく姫さまと2人きりだったのに……」とこぼす場面もある。
また豪華声優陣が参加しており、クリフトも原作者の堀井雄二氏直々の指名により人気声優の緑川光氏が担当することとなり話題になった。
テリー役の神谷浩史氏のラジオによれば、キャストは相当こだわって決めていて、クリフトの声優を緑川光にするか神谷浩史にするかは製作側もかなり悩んだらしいが、熟考したうえでクリフト緑川、テリー神谷で行こうと決められたらしい。
クリフトの声優発表に関してはファンの間にも賛否両論を巻き起こしたが、緑川氏はクリフト役をイメージ通りにみごとに演じ、好評だった。
神谷氏もラジオで実は元々ドラクエ4が好きでクリフトの方が好きだったが、緑川氏のクリフトを聞いたらとてもかっこよくてまさにクリフトのイメージ通りで感動したと語っていたと語っていた。
また緑川氏は『ドラゴンクエストヒーローズ』緑川光さんのアリーナへの愛はクリフト級!?というインタビュー記事の中で、アリーナが唯一一番お気に入りの女性キャラクターであると言っており、「やっぱりクリフトといえばアリーナなので、ときめきます」「クリフトと2人で1セットみたいなところがある」「クリフトって昔からずっと応援してくれる人がいるくらいの人気キャラクターじゃないですか。そういう人たちの期待は裏切りたくない」「いい芝居ができたなと思います」などとも語っていた。
またアフレコはすべて堀井雄二氏の監修のもと演技指導やテキスト修正などもその場でやりながら行われたとのことで、ヒーローズでのクリフトの言動などは原作者の堀井氏のイメージに近いものと思われる。
ヒーローズのクリフトはリメイク版同様にかなりのアリーナ大好きな性格で、ほとんどの台詞がアリーナへの片想いを全面に押し出したものになっており、高所恐怖症など時折軟弱な面も垣間見えるが、同時に従者としてアリーナを守るために前に出てかばったりアリーナの向う見ずで無鉄砲な行動をいさめたり身を呈してひきとめるなど頼もしい一面の見える場面も多い。
公式の紹介文にも「軟弱そうに見える部分を時々垣間見せるが、アリーナのためならどんな逆境にも打ち勝つという強い意思を持つ」と書かれている。
そしてアリーナを引きとめる際には、クリフトがアリーナに抱きつくような格好になったりするなど役得な場面も多く、親しげな会話も沢山あり、アリーナとは原作よりもかなり親密な様子になっている。
「姫さまの身に もしものことがあっては このクリフト……」など原作の台詞も多く再現されており緑川氏のボイス付きで聞くことができる。
また戦闘面では、ヤリの使い手になっており、公式イラストも本来の剣を背負ったものからヤリを背負ったものへと変更されており、その事に関する台詞もある。
(クリフト「私も 昔は 剣を使うこともありましたが 最近は めっきり ヤリですね!」)
そして通常戦闘技では彼の代名詞ともいえるザキ・ザラキ、スクルトの呪文を使えるが、その代わりにもう一つ僧侶タイプである彼の代名詞であった回復系呪文がいっさい使えなくなってしまっており、これにはショックを受けたファンも少なからずいたようだ。
またザラキは必殺技でもモンスターバトルロードと同様の演出で使用するようになっている。
その他
他作品での出演
銀魂では「クリフト以外ガンガンいこうぜ」 「クリフト以外いのちをだいじに」 「クリフトにガンガンいこうぜ」などと言われ、さらにはブライやアリーナなどと共に召喚され、トイレに流されたりお姫様だっこで馬車に送られたりブライとともに顔面から地面に叩きつけられるなど散々な目に合っている。
また、いぬまるだしっなどの漫画でもザラキがネタにされている。
テレビでの紹介
2014年に放送されたテレビ番組アメトーークのドラゴンクエスト芸人特集回の中では、お笑いコンビ麒麟の川島明に「実はクリフトは女子に一番人気のキャラ」だと説明されていた。発言の真偽は定かではないが、FC版当時に発行された読者投稿本DQⅣマスターズクラブでのキャラ人気投票ではクリフトが1位になっておりさらに女性に人気とも書かれていて、また近年の公式キャラ人気投票でもクリフトは上位に入っているため人気が高い事は間違いないようである。ちなみに同番組内ではクリフトがアリーナに惚れている事の紹介もされていた。
年齢
小説版では2章開始時に17歳と書かれていが、それ以外では公式にクリフトの年齢が公表されたことは無い。
ドラゴンクエストX
魔法の迷宮ゲストキャラにイケメンが来るという発言を公式スタッフがしたが、後にスタッフが、イケメンと言ったために皆クリフトだと思っているが、イケメンと言ったことを本当に後悔している、確実にみなさんの期待を裏切ります、と言う出来事があった。
関連イラスト
関連タグ
DQ / ドラクエ / ドラゴンクエスト ドラゴンクエストⅣ / DQ4
神官 帽子 ザキ / ザラキ ザオリク スクルト ベホマラー