概要
「モテに非ず」という字面そのままの意味であり、「モテ」という単語と共に存在してきたものと考えられるが、広く用いられるようになったのは2009年頃である。
ネット上には以前より「喪男」「喪女」というモテないことを表す単語が存在しており、2ちゃんねるの当該板を中心にコミュニティを形成していたが、自虐ネタの側面があるそれらとは異なり、モテない事を社会問題と捉えてより政治・経済に踏み込んだ議論とするためのキーワードとして広められた。
成立の背景
「草食系男子」にまつわる一連の騒動の中で、多くの男性が肉欲を失ってはいないという事実が確認され、公的機関も乗り出したカップリング作業である「婚活」が始まった。
しかし、直接結婚を見据えただけに対象は一定以上の階層に絞られ、多くの若者が原因として挙げる「恋愛するだけの金も時間も無い」という問題は手つかずのままであった。
そこで「非モテ」を「非正規雇用」等と同根の社会的弱者と捉え、「したくてもできない」若者の現実を訴える必要性が唱えられたのである。
殊に恋愛においては強がる傾向のある男性達が、自らを進んで「弱者」と定義した事は新鮮で、「低コストでの付き合い方」から「少子化の是非」まで幅広い内容が話し合われた。
一方、女性は「草食系男子」の段階で敵として認定されていた関係上、定義の適用自体を否定される事も多かった。中には「女は股を開けば男が寄ってくるだろう」といった差別的発言で追い返す者さえ見られ、男性限定の意味を込めて「弱者男性」という呼称も使われるようになった。
用法の変遷
先述の通り元々差別的傾向はあったものの、議論が白熱するに伴って更に先鋭化が進み、「風俗利用に補助金を出すべき」「性犯罪を合法化すべき」といった明確な利己的・反社会的言説さえ横行するようになった。
そうした状況から次第に犯罪者予備軍として議論の正当性が疑問視されるようになり、「ネトウヨ」の台頭と共に「弱肉強食」を礼賛する風潮も強まったため、2011年頃になると嘲笑の意味で用いられる傾向が明らかとなる。
最終的には再び自虐ネタに走った「非リア充」ブームに統合される形で終結に向かった。
現在は比較的インテリ寄りの層が、犯罪者予備軍扱いされていた時期に関わったフェミニストを攻撃対象の中心に据える形で少数活動している。
逆風との折り合いを付ける中で革新的な気風は抜け落ちており、むしろ現状を肯定しつつ各種の改革案に反対する事が活動の主目的となった。そのため恋愛を「しない」理由付けをする「絶食系男子」との境界が曖昧になっている。
なお、日本人男性には過去生涯未婚率1%台という時代があり、国際的な幸福度調査でも配偶者の有無が結果を大きく左右する国民性である事が立証されている。そのため彼らの利益だけを考えるならば、現在の反動的な方向性が必ずしも間違っているとは言えず、部分的にならば賛同する男性も少なくはないものと思われる。