概要
2006年頃に、コラムニスト・編集者である深澤真紀によって「恋愛に縁がないわけではないのに積極的ではない、肉欲に淡々とした性格の若い男性」を指す言葉として定義された・・・と世間では思われているが、深澤氏が提唱したのは「草食男子」。「草食『系』男子」を造語したのはマーケティングライターの牛窪恵であり両単語は全くの別物である。(事実、両名は厳格に単語の使い分けをしている)
また、「女々しい」と同義語に扱われてしまう事も多いが、これも全く違う為、注意。
現在は語義が拡散しつつあるが、おおむね
- 穏やかで大人しい性質
- 恋愛やセックスに対して積極的ではない
- 傷ついたり傷つけたりすることが苦手
などの特徴を持った若い男性を指す言葉として扱われている。
過大解釈を行い「恋愛に対し一途である」「浮気をしない」「女性を丁寧に扱う」などの意味を持たせる女性もいるが、これらは本来の草食男子の定義には含まれない(例えば、対極と言われる肉食系男子にも、女性を丁寧に扱ったり、恋人がいるときは恋人一筋の人は普通にいる)。
なお、実際の野生動物においては、肉食動物よりも、捕食対象である草食動物の方が個体数が多く多産である必要があるため、生殖行動は活発である。
また、積極的に他の動物を襲わないだけで獰猛な種族も多く、例えば野生のキリンがライオンを蹴り殺したという実例が存在する。
pixivでは稀に、文字通り食人的な意味で『食われる』草食系男子も見受けられる。
また、実際に草を食んでいる男性キャラクターのイラスト(いわゆるネタ絵)や、草食系の獣人を描いたイラスト等にこのタグが付けられている事がある。
意味の変遷
当初は社会学・ジェンダー論方面で現代の若者を解釈するためのキーワードとして受け入れられ、例えば大阪府立大学教授・森岡正博は「心が優しく、男らしさに縛られておらず、恋愛にガツガツせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な男子」と定義している。
そうした分野に携わる者の思考・嗜好もあって概ね好ましい態度と受け止められた。
しかし、大衆向けの報道が増え、「草食系男子」に対し「肉食系男子」という言葉が登場する頃になると、徐々に「恋愛行動に対して消極的」という面が否定的に取り上げられるようになってきた。
そこに「ゆとり世代」に否定的な考えを持つ世代や「若者の○○離れ」の原因を求める各種業界が、「草食男子」に対するネガティブな意見を表明するようになり、それがワイドショーや週刊誌などで報じられるようになり、批判された当の若年男性層や「昆虫系男子」などと命名されたオタク層からは恋愛至上主義による用語として反発を集めた。また生物学者からは草食動物に対する無理解を批判されている。
命名者である深澤は「自分の意図とはまったく反対の意味である」とする声明を出したが(こちらの外部リンクを参照)、その頃には既に「草食系男子」ブームは下火になっており、各メディアも黙殺したため、世間ではほとんど知られる事がなかった。
なお、一般的に若い独身女性はワイドショーや女性週刊誌を見る事が少ないため、そういったネガティブな報道をほとんど知らないケースが多い。それゆえネットで「草食系男子」と検索すると、2016年現在でも、肯定的な意味や、単なる性格分類として「草食系男子」という言葉が用いられている若い女性向けのサイトが上位に表示される。
このように、「草食系男子」という言葉は、世代や使う人間によって意味合いが異なる場合があるため注意が必要である。