概要
一年戦争末期に量産試作機が完成したジム改をベースに、地球連邦軍が近接戦闘に特化した機体として開発したモビルスーツ。
敵機との接近時に被弾することを考慮し、着弾時の衝撃を外部へ拡散するよう内部炸薬を搭載した装甲「ウェラブル・アーマー」(ウェアラブル・アーマー)が全身に施されている。
デザート・ジムの「リアクティブ・アーマー」を発展させたもので、パイロットが任意でパージさせることが可能。
「アーマーレス状態」と呼ばれるパージした姿は通常のジム改と大差なく、各部位がアーマーを装着するための形状に改修されている。
この装備による機動力低下をカバーするために大型バックパックや脚部スラスターを増設しており、これによって高い推力を発揮したとされている。
装甲強化型ジムは本機とコンセプトが類似しており、リアクティブ・アーマーと推進システムが装備されている。
通常機の他にテスト機カラーや、森林型と砂漠型といった特殊迷彩を施した仕様などが確認されている。
また、指揮官用はバックパックに2本のビームサーベルが装備されている。
そして教導隊ネメシスなどの特殊部隊用に改良された特別仕様である強化型が存在する。
主に実戦経験の豊富なエースパイロット用の機体として配備されたが、接近戦特化という特殊な機体構成は乗り手を選び、目立った戦果を挙げた機体は少ない。
一方で、本機を試験的に改良された機体が運用されており、また後世に本機のコンセプトを受け継ぐ機体(ジーライン・アサルトアーマーやジムⅡ・セミストライカー)が存在している事からも、その有用性は認められているのも事実である。
主なパイロットは、『オレら連邦愚連隊』の主人公で教導大隊「ネメシス」所属のユージ・アルカナ中尉。
機体のカラーリングはダークブルー(公式設定画では黒)に塗装されている。
彼の場合はかつてボクサーだった経験を活かし、敵の攻撃を自分の狙った所へ被弾させる事で本機の防御特性を十二分に発揮し、戦果を挙げている。
ガンプラの解説でも名前が登場し、説明書に掲載されたストーリーでも彼について触れられている。
スペック
型式番号 RGM-79FP
所属 地球連邦軍
生産形態 試作機
頭頂高 18.0m
本体重量 50.2t
全備重量 76.3t
ジェネレーター出力 1,250kW
装甲材質 チタン・セラミック複合材
武装 100mmマシンガン
ツイン・ビーム・スピア
ビームサーベル
60mmバルカン砲
スパイク・シールド
グラップ・シールド
出典元 メカニックデザイン企画『ハーモニー・オブ・ガンダム』
武装
ツイン・ビーム・スピア
近接戦闘において優位に立ち回れるように開発された格闘兵器。
伸縮可能なロッドにビームサーベルが2本装着されており、突きのロッドモードと斬撃のサイズモードの2形態を状況に応じて使い分ける。
スパイク・シールド(パイルバンカー装備型シールド)
伸張機構をもつパイルバンカーが装着された専用のシ-ルド。
敵機の装甲に直接突き刺すことが可能。
グラップ・シールド(大型クロー装備型シールド)
グラップル・シールドとも表記される。
先端にクロー・アームを装備した専用のシ-ルド。
陸戦型ガンダム等が使用しているシールドの先端部分を換装した物で、敵機を捕縛することが可能。
掃討部隊の機体や、ユージのジム・ストライカー改が装備している。
ガンプラでは「システムウェポン003」で立体化された。
バリエーション
ジム・ストライカー改(RGM-79FP)
『機動戦士ガンダム カタナ』に登場。
戦時中に未実装に終わった無重力下での運用能力が付与された機体。
後継機であるストライカー・カスタムと装備の互換性を高められており、バックパックと脚部スラスターがストライカー・カスタムと同型の物に換装されている。
ストライカー・カスタム(RGM-79FC)
格闘戦を重視したエース専用機の一つとして一年戦争後に開発された機体。「ジム・ストライカーの次世代対応型モデル」と位置づけられ、宇宙空間でも使用可能。
ジム・ストライカーと同様全身にウェラブル・アーマーを装着しているが、頭部はガンダムタイプに変更されている。
ヒート・ロッドを応用したスパーク・ナックルやチェーン・マインを応用したバースト・ナックルなど武装にジオン系の技術を組み込んだ装備が用意されており、新型バックパックにそれらの武装を装着出来るように設計されている。
それに伴い脚部スラスターも新型のものに改修された。
なお、ジム系の機体の頭部をガンダムタイプに変更し新装備を取り付け強化する手法は、同じ時期にティターンズで開発された、ガンダムTR-1[ヘイズル]と同じである。
また、本機の頭部には精神感応AIシステム「妖刀」が内蔵されている。これは、カネサダ・ツルギ准将の主導による強化人間プロジェクトの一環として、ニュータイプの兆候を持つイットウ・ツルギの脳波を元に、波動の影響を用いた人類のニュータイプへの覚醒促進を目的に開発された。
同時にこの波動を転用し、超振動を浴びせ物質を砂塵状にする兵器でもあり、ツルギ流居合いの奥義「空合掌底気」を再現したものである。
しかし、開発段階でイットウの父カネサダへの憎しみの感情が刷り込まれており、カネサダが関与した他の妖刀システムや人為的なニュータイプに反応し自立起動する「超妖刀」が発動するリスクも持つ。
1号機は白を基調としたカラーリング、2号機はネメシス隊仕様機を意味する紺色となっている。
主なパイロットは、連邦軍対破壊工作特殊捜査旅団「BGST」の隊長にしてカネサダの息子であるイットウ・ツルギ中佐と、反地球連邦組織「シン・フェデラル」に所属するユージ・アルカナ中尉。
フルアーマー・ストライカー・カスタム(FA-79FC)
資源惑星ハーモニーIにおいて、スパーダ公の搭乗するドルメルとの戦闘で大破したストライカー・カスタム1号機をベースに、反地球連邦組織シン・フェデラルが運用した2号機、フルアーマー・アレックスのパーツを組み合わせて改修した機体。
当機は「カタナ」の愛称で呼ばれ、型式番号も現地で便宜的に付けられている。
当機には、ストライカー・カスタム、ユージ・アルカナ大尉機に搭載された精神感応AI「妖刀」のコピーを装備しており、全身にフルアーマー・アレックスのアーマーパーツを装備しているが、これは「超妖刀」の自立起動を抑制するためのいわば「拘束具」としての一面もある。
武装面ではフルアーマー・アレックスの2連ビーム・キャノン、背部ロケット砲、胸部ミサイルベイが移植されて火力の充実が図られており、射撃ができないパイロットでもAIの補助によって使いこなすこともできる。
また新たに「フカサク」と呼ばれる格闘兵器のコールド・サーベルを装備。マニピュレーターを介した「妖刀」による超振動を発生させることが可能で、理論上では切れない物質は無い。
イットウはシン・フェデラルとの戦いでは本機を駆り、最終戦まで戦い続けている。
その後、本機に装備されていた「妖刀」はサイド7での決戦後、ムラサメ研究所に回収されてサイコガンダムに転用された。
メタルスパイダー(RGM-79FP-S1)
小説『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場する改造機。
一年戦争後に設立された連邦軍の特殊部隊「シャドウズ」が独自に開発したカスタマイズ機で、ウェラブルアーマーを搭載しないことによって突撃能力を向上させている。
頭部は旧公国軍の闇夜のフェンリル隊で実験されていた技術を応用した、サーマルビジョンゴーグルを装備。また腕部に装備された有線式のショットアンカーを自在に操って縦横無尽に動き回る様から、その外観も動きも愛称と同じく『蜘蛛』を彷彿とさせる。
主なパイロットはシャドウズのチームのリーダー、ホーグ大尉。及び彼の部下兼不良仲間であるサイラス中尉とローデシアン少尉。
ゲーム中のジム・ストライカー
戦場の絆
コスト200の格闘カテゴリで登場。
他の格闘カテゴリとの大きな違いは、格闘攻撃に対しカウンターを取れるタックル攻撃から追撃が可能な事、そしてチャージ時間に比例して威力が跳ね上がるチャージ式ツインビームスピアを持つ事。
またコスト200(後に180)にしては高い耐久力を持つので、多少のクセをモノにすれば絶大な戦果をあげられる。
またストライカーカスタムも登場している(基本コスト280。兵装によって変動)。
Gジェネレーションシリーズ
ジムの派生機体として登場。
一年戦争の量産機としては破格の攻撃力を持つ格闘攻撃を多数取り揃えるも、射程3以上からは貧弱な100mmマシンガンのみであり、宇宙ステージへの適正を持たない致命的欠点を持つ。
このため、宇宙適正を持つストライカーカスタムの早急な開発が求められる。
なおストライカーカスタムは、相手の防御力を無視して一定のダメージを与えるスパークナックルと、如何なる防御アビリティを無効化してダメージを与えるバーストナックルを取りそろえ、爆発力は流石ジム・ストライカーの上位互換と言える。
しかしながら射撃兵器を一切持たないので射程が短く、他の格闘特化機体に比べ移動力に劣る為、使い込むには多少の愛が必要とされる。
なお、ジム・ストライカーとストライカーカスタム共通の強みとして、アーマーにより実弾などのダメージを軽減出来る「フルアーマーシステム」を持つ。