五飛「貴様は、そうして人を見下すことしか出来ない男だ!所詮、エゴでしか戦っていない!貴様のために、何人の人間が死んだと思っているんだ!」
トレーズ「聞きたいかね? 昨日までの時点で99,822人」
五飛「……何?」
トレーズ「レディ、本日の戦死者は?」
レディ「現在確認されているのは、ホワイトファング82名、我が軍105名です」
トレーズ「そうか……あとで名前を教えてくれ……」
五飛「きっ……貴様ァ!」
トレーズ「戦いのために犠牲になった人々は全て記憶している。ノベンタ、セプテム、ベンティ、ドーリアン、ワーカー、オットー、ブント…みな、忘れられぬ人々だ」
五飛「貴様という奴は!」
トレーズ「私は死者に対し、哀悼の意を表することしか出来ない。だが、君もこれだけは知ってほしい。彼等は決して無駄死になどしていない…そして…」
概要
元ネタは新機動戦記ガンダムW48話のトレーズ・クシュリナーダのセリフから。
物語はクライマックスで、46話から3話に渡りトレーズは因縁の相手張五飛との最終決戦(EVE WAR)を繰り広げていた。
トレーズを真っ向な悪と見なし自分のせいでどれだけの人間が死んだと思ってる？と怒りをぶつける五飛。
しかし、トレーズからの返答は昨日までの時点で99,822人という軍に指示を送ってまで調査した正確な数字だった。
それどころか部下のレディ・アンに現在の戦闘での戦死者数(ホワイトファング82名、トレーズ軍105名)を訊き出し、後に戦死者の名前全員を教えてくれるように頼むほどの徹底ぶり。
トレーズ本人は別に五飛を煽る目的で言った訳ではなく戦争の犠牲者の人数と名前を全て覚えておく事で犠牲者の死を真の平和のために無駄にはせず哀悼の意を示すという彼なりの思想に基づいた至って真面目な回答である。
だが、当然このセリフは五飛のトレーズへの怒りを益々刺激する事となり、L5コロニー自爆時にすら見せなかった目を見開いた強烈な顔芸を披露している。
トレーズはこの後、決着にトールギスⅡを五飛のアルトロンガンダムに突撃させるもガンダムのビームトライデントでコクピット部を貫かれ戦死。
この最期には賛否両論あり、わざと自ら貫かれたのかそれとも本当に五飛の攻撃を避けきれず敗北したのかについては議論の種になる。一応小説版ではトレーズは全く手加減などしておらず実力で五飛に敗北した事になっている。
トレーズは「平和のために己のやり方で汚れ役を買い続けた自分を純粋な悪だと見なしてくれる戦士」、つまり五飛を己の最大の理解者として相当気に入っていたため、己の目的を達成した後に憎まれ役として最大の理解者に敗れて死ぬというのはかねてからの望みであったとも言える。
1話から100,010人目の戦死者と化する48話まで全くぶれる事のなかった彼はまさしく最期まで一貫してエレガントであった。
しかし五飛にとってはトレーズに戦いには勝利したものの結局最後まで彼の思想や独学を崩せず一方的に翻弄されたまま終わるという後味の悪い決着となってしまった。このため五飛は続編でもこの「勝ち逃げ」を引きずる事となる。
ちなみに、無人機であんだけ一方的に軍人を殺害するシーンがあったのに99,822人は少なくないか？とよく突っ込まれる。
そのためか『第2次スーパーロボット大戦Z再世篇』では一桁増えて、999,822人になっていた。
用途
このセリフは相手が「どれだけの〜を・・・したと思ってる」系の正確な数字を答えられるはずない問いに対する一種のネタ返答として汎用性が高い。ただしこちらは元ネタのトレーズのような真面目な回答ではなくほぼ確実に煽りの用途で使われている。
特にジョジョの奇妙な冒険シリーズのディオ・ブランドーのセリフ「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」の返しによく使われる。
ディオ「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」
トレーズ「聞きたいかね? 昨日までの時点で99,822枚」
だがこの場合、単純計算だと
99822÷(24(トレーズの年齢)×365(一年の日数)+6(閏年分の日数))＝11.3874…
と生まれてから離乳食に入るまでの期間も含めて1日平均11枚ものパンを食べる計算になってしまう。
某和菓子屋のパンキチだってさすがにそこまでは食わないであろう。
ちなみにTVアニメ版ジョジョのディオのキャストは、ガンダムWでトレーズとも縁の深かった戦友ゼクス・マーキスも演じていた子安武人氏だったという偶然が発生している。
