概要
アメリカ合衆国が有名だが、実は上記の職業で無い人でも銃器を合法的に入手できる国は複数存在し、スイスのようにアメリカ以上自由に入手可能な国も存在する。
理由としては自衛があり、その用を果たす事例もあるが、単なる怨恨や犯罪に使用される例も多い。
アメリカだと、一般人による銃撃での死者数は交通事故の死者数(一年に35,000人)を上回っている。(ただし集計方式によっては正当な反撃や警官の発砲によって生じた犯罪者の死亡もカウントされるため、死亡者数や発砲件数だけ見るのは問題である)
あまりにも銃が行き渡った結果、玩具の銃やまったく関係のない玩具で遊んでいる子供が本物を手にして撃とうとしていると誤認され、銃殺後に真相が明らかになった事件もある。
アメリカでは玩具用の銃(シューティングトイ)に「本物の銃とは完全に異なるデザイン」が求められており、大人の警察官が使う訓練用の銃型模型、エアソフトガンにすら赤や青等の目立つ色をつける事が義務付けられている。(ただし訓練用銃火器に関しては実弾装填も可能な操作訓練用モデルの場合は間違えて通常弾を撃つと銃身破裂などにより負傷するといった事故が起きる、間違って持ち出すの防ぐため、といった理由もあり、規制の無いアメリカ以外でも同様に色を変えている)
この規制は子供向けテレビ番組にも及んでおり、仮面ライダー龍騎のリメイク作品である仮面ライダードラゴンナイトでは、仮面ライダーゾルダに相当する仮面ライダートルクの撃つ銃弾がビーム弾に改変されている。
トルクが使う銃(原典での名称は「機召銃(きしょうじゅう)マグナバイザー」)は現実世界の銃と形状が全く異なるにも関わらずにである。
アメリカでも銃の一般所持の停止(銃規制)を求める人は多いが、地域による意識の差もあり、保守派を中心に銃社会を維持する事に拘る人々も多く、アメリカ合衆国大統領経験者等の有力政治家や著名人も擁する全米ライフル協会(NRA)等の擁護団体の存在もあり、実現できていない。
どうしてこうなったのか
アメリカ合衆国の場合、西部開拓時代から生じている。「開拓」とは白人から見た観点であり、アメリカ・インディアンからすれば侵略であった。
先住民の恨みを買った白人たちは彼らの復讐・襲撃を防いだり反撃するために武器を持っている必要があった。
また、犯罪者の流刑地の一つであった事もあり、同じ白人の開拓民であっても信用が出来るような状況ではなかった。
そして「開拓」が急速に進んだこともあり、公権力の目と力が十分に及ばない地域も生まれた。そこでは白人の盗賊・強盗もさらなる脅威となり、個々人の武装の必要性が強まる。
銃を使えば女性や老人でも、大男や格闘技を修めた男を撃退することができる。
逆に言えばこうした特徴を持つ相手が犯罪者で銃を持っている場合、武器なしではさらに太刀打ちできなくなる。
更には危険な野生動物に対する自衛手段としても銃火器は必要となる。
このような状況下において、白人からもたらされた銃器は、先住民や黒人などの他人種の人々にとっても必要性の高いものとなった。
こうした歴史的背景から、銃所持論者のアメリカ人にとって銃とは、個々人の「自衛権」そのものであり、シンボルでもある。
また、銃規制を強めたところでパーカッションリボルバーなどの古式銃は最近製造されたレプリカであっても規制の対象を逃れるなど穴があり、犯罪者は違法な銃火器を入手するために意味がないとする意見もある。
アメリカで厳しい銃規制が行なわれているカリフォルニア州でさえ乱射事件が起きており、日本であっても違法銃器による銃犯罪が起きている。
ちなみに犯罪率が減少傾向にあった中、イリノイ州では全州で一番厳しいといわれる拳銃所持規制を行ったが結果としては犯罪が増加することとなった。その後、コンシールドキャリー(拳銃を隠して携行)の規制緩和をしたところ、(他の要因もあっただろうが)犯罪率が減少した。
他国の例ではオーストラリアでも同様に銃規制を行い合法であった一般市民の銃の所持を禁止したところ、規制後には減少傾向にあった犯罪数が増加しており、銃による殺人事件では約3%増加、武装強盗は40%以上増加した。殺人事件が300%を超える増加をした州もあった。
イギリスでも犯罪が減少傾向にあった中で同様に銃規制を行ったところ、銃犯罪を含めた犯罪数が増えている。
「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。」 — アメリカ合衆国憲法修正第2条
銃所持論者はこの憲法条文を、自身の立場の論拠としている。条文にある民兵は、イギリスからの独立戦争にも参戦している。
「銃を個々で保有する民兵」は合衆国という国の成り立ちに深く関与したイメージであり、少なからぬアメリカ人をひきつける要因となっている。