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ポケットが虹でいっぱい

ぽけっとがにじでいっぱい

YMOの楽曲タイトル。または2009年4月25日に公開されたアニメーション映画『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』のこと。本記事では主に後者について解説する。

曖昧さ回避

作品解説

2009年4月25日に公開されたアニメ映画。2005年から2006年にかけて放送されたテレビアニメ『交響詩篇エウレカセブン』の劇場用アニメーション作品である。

制作はボンズ。アニメーション制作はキネマシトラスが行った。

脚本監督はTVシリーズ版でも監督を務めた京田知己。TVシリーズでシリーズ構成を担当した佐藤大は参加しておらず、京田知己監督自身がストーリー構成・脚本を手掛けているため、より京田監督の作家性が強く反映された作りになっている。

TVシリーズで使用された旧作カットと本作のために描き下ろされた新作カットを交えて制作された作品だが、いわゆる劇場版総集編ではなく、TVシリーズの旧作カットをカット単位で分解して使い回して全く別の世界観で新しい物語を構築するという野心的な試みが行われた一作である。

それ故に本作の登場人物はTVシリーズと共通していながらも、その性格付けや背景設定、物語上の立ち位置、関係性(ある者に至っては名前すら)が全く違うものとなっており、ある種のパラレルワールド、或いはスターシステム的な用法が用いられている。

そして、この「旧作カットを使ってパラレル設定で世界観と物語を新しく構築し直す」という制作手法自体が、本作のストーリー及び物語構造においてメタ的にある特別な仕掛けとして機能しているのがミソである。

TVシリーズではそれまで存在した様々なアニメや漫画、映画作品、テクノ音楽といったサブカルチャーにおける類型(有り体に言うとお約束)、オマージュパロディといった引用を大量かつ大胆に集積させるという作劇手法を行い、それをメタ的に象徴するモチーフとして文化人類学者ジェームズ・フレイザーの著書『金枝篇』(世界中の神話や呪術、魔術、タブー、祭礼を蒐集・考察した学術書)が導入されていたが、本作ではサブカルチャー要素は抑えられ、『ピーターパン』を全体のモチーフとしつつも童話神話、ひいては『物語』という概念そのものが展開上、重要なテーマとして扱われている。

物語

突如、南太平洋に出現した謎の生命体イマージュと、人類との間に戦争が始まって、約半世紀もの月日が流れた。

地球は荒廃し、止めどない恐怖と憎悪が世界を覆い、人々は希望を失っていった。

少年レントンと少女エウレカ、そしてKLFの幼生ニルヴァーシュ

彼らにとって大切な大人だったドミニク先生はある日、別れも言わずに彼らの前から姿を消す。後にレントンは自分の両親がチームの中心となっていた研究が、5万人もの犠牲者を出した「ドーハの悲劇」という未曾有の災厄を引き起こし、その渦中で両親だけでなくドミニクも犠牲になったことを知る。

そして、突如現れた人民解放軍によってエウレカが拉致されるが、未熟で無力な子どもであるレントンは泣き叫ぶ彼女を助けることが出来ず、初めて味わう大人の暴力に屈し、ただ自分に打ちのめされてしまうだけであった。

その後、ドーハの悲劇を引き起こした者たちの息子としてレントンは壮絶なイジメに遭う荒んだ日々を過ごすが、成長したレントンは同じくKLFに成長したニルヴァーシュを相棒に凄まじいまでの適性を発揮し、人民解放軍空軍パイロットに少年兵として抜擢される。

西暦2054年、人民解放軍第303独立愚連隊の戦闘母艦・月光号に配属されたレントンはホランド隊長の指揮の下、サウス・ダコタ軍基地にある最重要機密回収の任務に就く。

作戦中、突然暴走したニルヴァーシュに導かれ、レントンはイマージュの群れが取り囲んだ基地の中に生き別れとなっていたエウレカを発見する。だが、エウレカはなぜかなにかに怯える様子で、レントンとの再会を涙ながらに喜びながらも、彼と共に行くことを拒絶する。

すると基地が崩落、大空に投げ出されたエウレカに反応したかのようにニルヴァーシュは変化を遂げ、凄まじいエネルギー波を放ってイマージュの群れを消滅させた。

無事にエウレカを助け出したレントンは月光号に帰投しようとするが、彼にホランドは作戦目的である軍の最重要機密がエウレカであるという事実を告げるのだった…。

果たしてエウレカの秘密とは何か、そして「ドーハの悲劇」を引き起こした「神話再生計画」とは何なのか。

エウレカとレントンの愛と絆の行方は…。

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