土方竜
ひじかたりゅう
「そうだ、宇宙戦艦ヤマトだ。俺の親友の艦・・・・・・そして、地球最期の希望だ」
映画『さらば愛の戦士たち』
概要
- 所属:地球防衛軍 第11艦隊⇒ヤマト
- 肩書:第11艦隊司令・兼任・旗艦『ゆうなぎ』艦長⇒ヤマト艦長
- 座乗艦:パトロール艦『ゆうなぎ』⇒ヤマト
劇場版『さらば愛の戦士たち』に登場。沖田十三の士官学校での同期で親友の間柄であった。また、古代進の教官を務めた人物である。太陽系外を守るパトロール艦隊に所属しており、第11艦隊の司令並びに旗艦『ゆうなぎ』艦長を務めていた。因みにひおあきら氏の漫画版では、パトロール艦ではなく護衛艦になっている。
ガトランティス軍の先制攻撃を受けた最初の人間となり、艦隊を殲滅させられてしまう。それからと言うもの、敗残の身として屈辱に耐え忍びつつもヤマトの2代目艦長として、ガトランティスとの戦いに身を投じていくこととなる。
性格
古典的な武人とも言える性格の持ち主で、ガトランティス軍の奇襲を受けて艦隊が全滅し、古代達に助け出されようとしたところ、「艦長は艦と運命を共にする!」と言って救出を固持をした程である。
ただしTV版ほどの手厳しさは無く、寧ろ己が敗残者である事を自覚している。この事にヤマトクルーの中には「負けた人間を艦長にするのは縁起が悪い」等と非常に辛辣な声さえ聞かれた。それでも土方は、救助されて以降は常に控えめな態度であった。
しかし、戦闘時になれば冷静な判断力で危機を切り抜け(対ゴーランド戦など)。最終的にはクライマックスで都市帝国との激戦で命を落とすが、その際にも「これで、私もやっと・・・・・・」と、最初に負けた苦い思いと、戦死した兵士らの元へ逝ける事を素直に受け入れていた模様。
人間関係
古代との間柄は悪くなく、寧ろ古代が教官・訓練生の関係で世話になったことからも、一番無難に土方と接していたと言える。その他の乗組員とは折り合いがそれ程に悪いわけではなかったものの、ガトランティス相手に敗北した事実が隔たりを作っていたと思われる。しかし、ゴーランド艦隊との戦闘で完勝すると、クルーの見る目が変わっていき、土方の実力を認めていった。
経歴
太陽系外を護る第11艦隊の司令官として、太陽系外をパトロール中にガトランティス軍に襲われた。土方によると、成す術もなかったようで結果は惨敗を喫した。最も、第11艦隊はパトロール艦や駆逐艦、護衛艦等で構成されていたと思われ(旗艦以外は残骸と化していた為判別不能)、航空戦力を主流とするガトランティス軍とは相性が悪かったと思われる。
微弱なSOSを受信したヤマトの救助隊に救助される際、古代と久々に再会する。この時、生き恥に耐えられないとして自害しようとしたが、無理にでも救助されることとなった。ヤマトに運び込まれた後、「この船には沖田がいるようだ」と不思議な気持ちになっていた。
敗軍の将として生き恥を晒す事となり、古代から艦長として指揮してもらいたいと頼まれたが、案の定、古代以外のクルーは「あの人を艦長にするなんて」等と辛辣な評価を下していた。それでも土方は、それに反論する事もなく全て受け止め「部下を救う事も出来なかった土方だ」と自虐的な自己紹介をしていた。また、テレサからの通信に対して、「あれはSOSではなく、宇宙全体への警告だ」と見ぬいていた。
テレサのいるテレザート星へ向かった折、ゴーランド艦隊と戦闘になる。しかし、テレザート星へ向かうワープのワープアウト地点で宇宙気流を横断せねばならず、気流を横断中に攻撃を受けてしまう。満足に叩く事も出来ないことと、このまま無理に出て波動砲を発射してもテレザード星を直撃してしまう危険性を看破し、わざと流れに飲み込まれて場所を移動する判断を下す。
懐疑的なクルーだったが、気流で勢いよく移動した御蔭でゴーランド艦隊とテレザート星の位置が直線状に重なる事は無くなり、隙を見て気流を脱出。ミサイル攻撃に耐えつつも波動砲でゴーランド艦隊を殲滅せしめた。この辺りから、クルーは土方を信頼し始める。
テレザート星への強襲の祭には、ミサイル攻撃などで地表の航空基地を早々に殲滅せしめ、上陸部隊を掩護するなどの手腕を発揮した。しかし、さしものデスラーが行ってきた奇襲攻撃には対処しきれず、戦闘不能に陥れられた(が、古代の案でワープによる奇襲攻撃を採用し、見事乗り切る)。
地球艦隊が全滅した後、彗星本体を波動砲で破壊しようとるすが、本体を見せた彗星都市のミサイル攻撃を浴びてしまう。都市下部の岩盤部分に逃げ込むも、そこで苛烈な砲撃を受けて損傷。その際に土方も負傷。古代に指揮権を渡し、作戦を授けた直後に息を引き取った。
TV版
概要
TV版として放送された時は、映画版とは大きく変更されて、地球防衛軍連合艦隊司令長官の座に就いていた。同時に最新鋭艦アンドロメダの艦長も兼任。映画版と比べて頑固さや厳しさが目立つようになっているが、分からず屋ではなく、公平に言葉を聞こうとする良識のある人物として描かれている(頑固なイメージがあるのは、古代が頑なにしているのが原因でもある)。
手腕
堅物なイメージが強いものの、臨機応変かつ柔軟な思考が出来る。ヤマトが逃亡した折には、アンドロメダの未熟なクルーでは追いつけないと判断するや否や、ルートを変えて先回りをする等の対応を見せた。
予想を上回るガトランティス軍の侵攻速度に対して、緊急事態として連合艦隊司令長官の指揮権をフル活用し、素早い陣地変換等を行ってガトランティス艦隊の来襲に対して万全を期した(結果としては土方が正しかったが、上層部の防衛会議を無視したことも事実である)。またガトランティス軍の新兵器火炎直撃砲を素早く分析し看破、地の利を生かした自滅へと持ち込むなど、その戦術家としての手腕も侮りがたいものがある。
性格
劇場版以上に堅物な印象を与えるものであるが、さして頑固者とは言い難いのは上述したとおりである。何分、古代が土方に対して何ら事情説明をしようとはしなかったばかりに、帰還中のヤマトと発進したアンドロメダのニアミスと言う事態を引き起こしていた。この件に関しては土方の言うとおり、「何故、あの時にそのこと(ガトランティスの襲撃を受けて損傷していた事)を報告しなかった?」と常識的な対応をしなかった古代に被が合ったのは当然と言えよう。
柔軟に対応できるのは手腕からも分かるが、ただし本人にとって危ない橋を渡っているのも見受けられる。それが、ヤマト追撃の折で、当初は古代を諫めるべく忠告を申し出ており、テレサの警告メッセージに対して理解を示す一方時期尚早だと反論し、なおかつ「ヤマト1隻でどうしようと言うのだ?」と無謀な航海を辞めさせようとしている。
しかし、結局は頑な決意を見せる古代の意志をくみ取って作戦中止を命令し、上層部の命令を無視してヤマトを見逃した。この時、上層部に対して「ヤマトに遭遇せず」と虚偽の報告を行っており、現実的に考えれば大きな問題となるのは艦がるに難しくは無い。
また命令違反として、上記した防衛艦隊の配置転換の件だ。迅速な対応を求められる事態に対して独断で判断した事は、上層部の防衛会議を無視した違反である。が、土方の言うとおり、会議で時間を費やしていてはあっという間に太陽系に侵入される事は疑いようがないもので、良し悪しはつけがたい。
漫画版
松本零士氏の漫画版においてはTV版と同様アンドロメダ艦長兼艦隊司令の役職に就いているが古代の恩師という設定は無いようで(古代は相原から教えられて初めて土方の事を知ったような描写でありその後も「俺が信じるのは沖田艦長だけだ」と命令を拒否し続けた)、TV及び映画版より気性が荒く護衛艦とのニアミスの際には古代が進路変更の命令に応じないと見るや、直接通信で
「邪魔だどけ!」
と怒鳴りつけ再び拒否されると
「踏み潰せ!」
と至近距離を通過しつつ
「バカ者めが!」
と、その短気振りや気性の粗さが目立ち叫んでいた。
ヤマトが逃亡した折にはTV版同様アンドロメダで追撃にあたり火星軌道で対峙、反航での睨み合いから同航に切り替え全砲門を向けるが最終的にはTV版同様に見逃しまたアンドロメダ艦載機だった加藤、山本のコスモタイガー隊を差し向け合流させている。連載がヤマトがテレザート星に向かう場面で終了したため以降は登場しない。
因みに見逃した際の言い訳がTV版と異なり、漫画版では
「あれはヤマトではない。ヤマトはもっと違う形状の艦だ」
とどう考えても苦しい発言ではあったが、そのまま見逃す形となり、何だかんだで古代らの事を心配し
「死ぬなよ古代。沖田さんは死ねとは教えなかったはずだ」
と見送っていった。
概要
- 所属:国連宇宙軍 空間防衛総隊
- 階級:宙将(司令長官クラスからして、大将と考えられる)
- 肩書:空間防衛総隊司令長官
- 年齢:
TV版
ヤマト第1作目のリメイクに際して、『ヤマト2』と『さらば』に土方が登場した事を踏まえた故の登場と思われる。リメイク版では、国連宇宙軍の防空隊を指揮する立場にあり、本土防空隊や、各惑星の艦隊を統括していた模様。沖田の親友であり、古代と島大介の教官を務めていた事もある(古代守とも面識はあった模様)。雰囲気としては『ヤマト2』版に準えている。
また親友の沖田の身体が病に侵されている事を知っており、ヤマト艦長には自分が代わりに努めようとするなど、心遣いも見て取れる。また、漫画版ではヤマト発進時に、損傷から回復していないキリシマに乗り込んで、惑星間弾道弾ミサイルの迎撃に努めようとするなど、気骨ある場面が描かれている。
星巡る方舟版
劇場作品でも、冒頭と終盤に登場。冒頭では、ヤマトを見送った後に月基地の空間騎兵隊の生存者を救出に向かった。その際、空間騎兵の斎藤始から救出対応に送れたことに対して非難の声を受けるも動じず、「特務艦護衛の為に立ち寄った」とハッキリと言い返す(実際に国連軍には救助できる余力すらなかった)。
終盤では帰還を待ち続ける藤堂兵九郎と共に中央指令室におり、暴徒鎮圧に嫌気の差した斎藤から意見具申を受ける。誰もが苦しい事は理解していると思われ、そんな中でも沖田十三の帰りを信じ続け、「俺の親友は帰ってくると言った・・・・・・必ずだ!」と言い放った。その直後、太陽系外縁部からのヤマトからの通信によって帰還を知ることとなる。
概要
- 所属:地球連坊防衛軍 外洋防衛師団
- 階級:宙将
- 肩書:外洋防衛師団司令官
- 年齢:
古代達の波動砲に対する意思を代弁し、地球連邦政府へ反対の意見を主張した。ところが、それが上層部の忌避を飼ってしまい、政府の意向にそぐわない頑なな性格(波動砲艦隊計画に異を唱えた事)が災いして、地球を離れて第11番惑星の外洋防衛師団司令官へと左遷されてしまった。
だがその頑固な融通の利かなさは、第11番惑星に配属されても健在で、参謀本部の紹介状を持って来た調査団の責任者の要請に対しても、調査船の臨検作業が終わるまでは絶対に動かせないと「規則ですから」の一言で拒否してしまう。
その後にガトランティス前衛艦隊の襲撃を受けてしまい、成す術なく蹂躙されてしまった。後にヤマトの艦長として収まり、指揮を執ることとなる。