キリシマ(宇宙戦艦ヤマト2199)
きりしま
『宇宙戦艦ヤマト』に登場した沖田艦のリメイク版。金剛型宇宙戦艦としての艦型を与えられ、細部に渡りディテールアップを施されている。オリジナルの艦首の穴を陽電子衝撃砲と解釈したり、ミサイルを追加装備したりと、地球の戦艦としてはそこそこの重武装を誇る。陽電子衝撃砲は1門のみだが、ガミラス艦に対抗しうる有力な兵装であるとされた。
また、艦首上下のフィンは、リメイク版ではある程度折りたたんで収納できることになっており、砲撃戦での障害を減らしている。さらにオリジナル版とリメイク版では、兵装における変更の他にも、詳しい艦型の情報や兵装も付け加えられているため、よりミリタリー成分の濃い設定となった。
ちなみに一見ミリタリー要素皆無に見える赤白のド派手な塗装は、赤い地球に合わせた迷彩塗装とされている。名称は火星迷彩改地球迷彩で、元は火星域用の迷彩だった模様。
何気に『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』まで皆勤賞である。
金剛型は、キリシマを除いてその全てが撃沈している。5隻(ヨシノ、ミョウコウ、ヒエイ、チョウカイ、フソウ)が外惑星防衛戦で戦没。残る3隻(コンゴウ、ハルナ、キリシマ)は火星会戦で、キリシマを残してコンゴウ、ハルナが戦没してしまっている。
金剛型宇宙戦艦5番艦『キリシマ』
- 全長:202m
- 主機:核融合推進式機関×1基
- 兵装
・36㎝艦首陽電子衝撃砲×1門
・36㎝三連装高圧増幅光線砲×4基(うち1基は艦橋砲塔)
・ミサイル発射管(VLS)×16門(上甲板8門、艦底部8門)
・艦首魚雷発射管×8基
・対宙機銃×多数
- 搭載機、不明
- 同型艦:コンゴウ、ハルナ、ヨシノ、ミョウコウ、ヒエイ、チョウカイ、フソウ
性能
西暦2171年に進宙した金剛型宇宙戦艦の1隻であり、南部造船が設計して建造した戦艦でもある。2199年時点では、国連宇宙海軍・極東方面空間戦闘群・連合宇宙艦隊・第一艦隊の旗艦を務めている。識別番号はBBS-555、金剛型5番艦である。就役当時と2199年では、大分姿形が異なっているとされているが、就役当時にどのような姿をしていたのかは通算5作目となる『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』でようやく明らかになった。
冥王星海戦に参加するまでに改装を幾度か受けている。まず艦橋砲は、後から設置されたものであり、目標の補足・照準・射撃を一元化して効率を高めるためである。次に艦首の陽電子衝撃砲や、対ビーム用複合装甲が追加されたり、対宙機銃の増設がされていった。
攻撃性能において、本艦の主砲とミサイル兵装では歯が立たなかった(駆逐艦ユキカゼの場合は、ヤマトの為に積み込む試作魚雷の成果である)。ただし艦首先端に装備されている陽電子衝撃砲は、ガミラス艦を撃破する十分な威力を有した兵器であるが、通常の核融合炉機関では、発射するためのエネルギー確保が困難であった。
発射するためには充填時間が必須となり、一度打つとエネルギー不足に苛まれてしまい連続使用は難しいとされている。中には無理をすると機関部が暴発してしまう場合もあるようである。その為、決戦兵器としてここぞと言うときにしか使用できない。
防御性能においては、追加装甲の効果があったのか強固なものである。巡洋艦や駆逐艦は概ね一撃で撃沈されているが、本艦はガミラス艦の陽電子ビーム砲(180㎜~330㎜口径)を3発受けても耐えているほど。
航行性能においては、冥王星から火星まで約3週間程の日数を必要としている。また機動性能はそこそこ高いらしく、通常の姿勢制御スラスターに加え戦闘用の高機動スラスターも艦首と艦尾に備えるため、それらを駆使する事で戦艦とは思えぬ機動を一部見せる事もある。例えば冥王星海戦では、ユキカゼが合流する直前辺りで3秒足らずでの右90度回頭をやってみせている。
2199
国連宇宙海軍第1艦隊旗艦として、2198年12月に冥王星へ向けて出撃し、2199年1月の冥王星海戦に参加した。艦長は山南修一等宙佐で、艦隊司令官として沖田十三宙将を乗せている。戦艦は本艦のみで、後は村雨型宇宙巡洋艦9隻と磯風型突撃宇宙駆逐艦12隻であった。
この戦いの真の目的はイスカンダルからの使者を、ガミラスの妨害を避けて地球へ迎え入れる為の陽動であった。その為に残存戦力を動員して無謀とも言える戦いを挑んだのである。それは一部の者しか知らず、大半はガミラスの冥王星基地を撃滅する事だと信じていた。
第1艦隊は冥王星宙域に差し掛かったところで、ガミラス艦隊の待ち伏せにあった。右後背から急接近し、あっという間に平航戦に持ち込まれていることから、恐らくは陽電子衝撃砲の攻撃を懸念してのことだと推測されている。
そこからは、ガミラスの降伏勧告を蹴り飛ばしたことにより砲撃戦を展開。初弾で命中弾を出したが、虚しく装甲で弾かれてしまった。それからはガミラス艦隊の猛撃が続き、第1艦隊は次々に艦を損失。キリシマも艦尾に被弾し、続けて2発が右舷に命中。艦が衝撃で傾くなどの激しい損害もあったが、それでも孤軍奮闘して時間を稼いだ。イスカンダルの使者が何とか辿りついたのを機に作戦を終了。本艦はユキカゼの援護によって辛うじて戦線を離脱し、無事に火星へ辿りつき回収要員を収容、その後地球へ帰還している。
ヤマトが発進した時は、その見送りとして先に宇宙へ出ており、土方竜が乗艦していた。
漫画版
漫画家むらかわみちお氏による展開では、ヤマトへ迫りつつあった惑星間弾道弾を迎撃するために出撃。撃破は出来ずとも、進路の変更と時間稼ぎは出来ると目論んでいた土方だったが、ミサイルと主砲を斉射しても進路を修正されてしまったうえに、整備修理中だった事もあって一斉射で戦闘不能になってしまった。ただし、その修正分だけ時間は稼げたので、無意味ではなかった。
また、第6巻では火星会戦の模様が少し描写されている。この時は奇襲部隊として待ち伏せしており、残骸に紛れて隠れていた。激しく消耗した味方艦隊を犠牲としつつも、射線上に入ったガミラス艦を艦首のショックカノンで砲撃している。
星巡る方舟
ヤマトを見送った後、月面に取り残されていた空間騎兵第7連隊の無線を傍受し、そのまま月面へと向かった。第7連隊はガミラスの艦載機攻撃(ポルメリア級強襲航宙母艦の攻撃だと思われる)を受け、殆ど全滅状態にあり、救助されたのは斉藤始含めわずか5名だった。
この事に関して斉藤は、救援の遅れを厳しく批判。だがヤマト護衛の為に展開していただけで、そのついでに救助したという土方の説明に、彼は不満を募らせた。しかし彼の言う事も現実であり、冥王星での決死の囮作戦で最後の機動戦力を失った地球には、もはや地球周辺さえ満足に維持できる規模の戦力すら残っていなかったのである。
2202
波動エンジンを搭載した発展型の金剛改型宇宙戦艦が誕生しているが、本艦はさすがに艦齢30年近い老朽艦のため、近代化改装などは行われず既に退役している。マーキングはされ直しているものの塗装は剥がされており、ところどころに錆もあるなど、解体されていない割に扱いはややぞんざいだった模様。
ヤマトが無断発進を実行しようとした際に、ヤマト乗組員の移動用として利用される。海中を移動してヤマトドック付近に浮上して乗組員を上陸させた。
小説版
ヤマト乗組員に利用される前の状況が描かれている。ガミラス戦争以前に進宙した軍艦の中で唯一現存する艦という貴重な代物のため、おいそれと破壊も払い下げもできないが、記念艦にするのも国民感情的に難しく(赤い地球に合わせた赤白の塗装が戦時を思い出させるとのこと)、扱いに困った結果、宇宙港の隅に野ざらしで放置されるという状態になっていた。若い軍人たちがこっそり練習台にしているため、大気圏内航行くらいならできる程度には整備されている。
その後、この部署に配属(左遷)されていた平田一の手引きでヤマト乗組員の移動用に利用された。