鉄道車両の形式の一つであるが、旅客用では小田急電鉄の例しかない。
小田急電鉄30000形電車
1996年に運用開始した小田急電鉄の特急形電車(ロマンスカー)。
愛称EXE(EXcellent Express)。「エクセ」と読む。
稀に拡張子(.exe)と混同して「エグゼ」と読まれてしまうことがあるが、間違わないように。
(ちなみに拡張子の.exeは『executable』(「実行可能な」)の略で「エクセキュータブル」と読み、濁音を使わない読み方の方が正しい)。
箱根観光の斜陽化と途中駅からの利用客(主に通勤客)の増加という利用状況の変化を受け、3100形(NSE)の置換え用として1996年にデビュー。1999年までに6両編成と4両編成が各7編成ずつ製造された。特急列車の分割併合運用を前提とした設計となっており、分割併合をする中間先頭車は幌を内蔵した貫通形の前面とした(※2018年3月改正では30000形による分割併合運用は小田原駅での増結解放を除き中止となり、現在は6両もしくは10両で運用されている)。
しかし、まさに置換え対象の3100形以来ロマンスカーの伝統となっていた前面展望席の廃止やサービス簡略化が、鉄道ファン層からの否定的評価にさらされることになった。本来の趣旨である通勤客対応より箱根方面への優先投入が行われてしまったことも拍車をかけた。
このため、就役翌年(1997年)の第40回ブルーリボン賞にノミネートされ、得票数では最多であったにも関わらず「該当車なし票がそれを上回った」ために、同賞が授与されないという小田急ロマンスカー史上初(2012年現在、歴代唯一でもある)の屈辱を味わう結果となった。
さらに小田急の広告等におけるイメージリーダー車両の座すらも2002年以降は一世代前の10000形(HiSE)に奪われてしまった。次世代のロマンスカーである50000形(VSE)は前面展望席復活、連接車構造採用と伝統回帰することになる。
設計自体は本来の投入目的に見合ったものであり、内装もデビュー15年を過ぎても陳腐化していない(新製当時の通商産業省からはグッドデザイン賞を、日本デザイン振興会からは2007年にロングライフデザイン賞をそれぞれ受けている)等、小田急ロマンスカーでさえなければ十分に人気を集め得た車両であろう。
リニューアル
2016年より30000形をリニューアルする旨の発表が小田急から出された。
内装・外観のリニューアルはもちろんだが、インバウンドへの対応策として座席下に荷物スペースを設置し、さらに従来和式だったトイレも洋式に変更するなど、大改造が実施されることとなった。
このリニューアルデザインに関しては、50000形(VSE)、60000形(MSE)を手掛けた岡部憲明氏が新たに担当することとなり、「プラスアルファの要素が加わる」として「EXEα(エクセアルファ)」という愛称名に変更。2016年11月、その第1陣の改造が完了し、改造元の日車豊川工場から小田急へ甲種輸送され、試運転ののち2017年3月に営業運転を開始した。