ベオウルフ(Fate)
べおうるふ
さぁて、ぶん殴り合いのお時間だ。男女問わず倒れるまでやろうや!
真名
ベオウルフは英文学最古の叙事詩と言われる『ベオウルフ』の主人公である。
叙事詩の舞台となっているのは現在の南スウェーデンからデンマーク近辺。
物語は二部構成であり、第一部はベオウルフが十五人の部下と共に巨人グレンデルを退治に赴く話が、
第二部は 五十年後ドラゴンと死闘を繰り広げる老いたベオウルフが描かれている。
老いたベオウルフが戦ったドラゴンは、財宝を溜め込み、炎を吐き出すという――
ファンタジーに登場するドラゴンの原型とでもいえる存在である。
彼が通常利用している二つの剣も魔剣と呼ぶべき存在であるが、ベオウルフの真の力はそこではない。
人物
サーヴァントクラスの一つであるバーサーカーの語源は北欧神話のベルセルクであるが、ベオウルフの名もまた、このベルセルクと関連性があると、一部文献で伝えられている。
(根拠として、ベオウルフとベルセルクの名が、どちらも熊=ビーウルフを由来としていることが挙げられている)
だが、老いてなおも理性を保ったままドラゴンスレイヤーを成し遂げた彼に、狂気はその片鱗すら浮かんでこない。
とはいえ、本作におけるベオウルフは全盛期で召喚されたこともあり、根っからの戦闘狂。
アキレウスやヘラクレスと出会うと「拳で語り合うしかねえ!」というモードに入ってしまうとか。
実際メインストーリー中においても、ベオウルフと同じく若かりし姿で召喚された為に戦闘狂となっている李書文と出遭うや否や、互いに得物を捨ててのステゴロをおっ始めてしまう。
自ら無趣味であると発言しているが、それとは別に、場のノリに合わせて役割を演じ、戦いを楽しもうとする傾向がある。
人理を脅かすクー・フーリン・オルタに召喚された際には、彼なりに思い描く悪党を演じてみたり、水着イベントで荒廃した島に流れ着いた時には、世紀末覇王を気取ってみたりもした。
とはいえ根っこの部分では、後世に名君として語り継がれた紳士であり、戦う力を持たない原住民(?)に対しては、手を差し伸べて保護したりもしていた。実際、様々な戦場を経て、最後に一番性に合っていると認めたのも、世界を救うための冠位時間神殿での戦いである。
2部1章で再登場した際も、反逆軍の頭目として荒くれの多い兵たちをキッチリ取りまとめ、自分を欠いた場合でも最低限は戦えるよう訓練を付け、戦勝後の執政のイロハを叩き込むなど、統率者として非常に優秀な側面を見せ、反逆軍のメンバーからの信望も厚かった。
マスターに対しては、「悪いことをするなら目をつぶってやるさ。もっとも、限度はあるがな」と発言している。
ちなみに、こんな性格の彼が、何故王として立派にやれていたのかというと、「王政に全く無関心であったが故に、私利私欲に走ることもなく、一切の汚点を見せなかったため」というカラクリがあったらしい。
真っ当に穏当に国を治め、国民を竜から守り抜いたベオウルフだったが、やっぱり政治は性分に合わなかったらしく、「二度とやらねえ」とコメントしている。
能力
狂化のメリット及びデメリットはほとんど失われており、会話による意思疎通すら可能。
ステータス
筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|
A | A | C | D | A | A |
保有スキル
ベルセルク(A) | 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化、格闘ダメージを上昇させる「勇猛」スキルと「狂化」スキルの複合。このスキルを使用すると、彼は本能のままに戦う獣と化す。 |
---|---|
直感(B) | 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。視覚・聴覚への妨害を半減させる効果も持つ。ただし、バーサーカーとして召喚されたせいで、直感を無視することも多い。 |
戦闘続行(B) | 名称通り戦闘を続行する為の能力。決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。「往生際の悪さ」あるいは「生還能力」と表現される。 |
狂化(E-) | この英雄の真名そのものがバーサーカーという言葉に影響を受けている。理性はあり、高等な会話も可能。多少の凶暴性が残っている程度であり、ステータスにも何ら影響はない。 |
源流闘争(グレンデル・バスター)
- ランク:A+ → A++
- 種別:対人宝具
- レンジ:1
- 最大補足:1人
これが闘いの根源だ! 要するに殴って蹴って立っていた方の勝ちってやつよ!
自らが携える二振りの魔剣を破壊し、ステゴロで相手を滅多打ちにするという、文字通りの野蛮で原始的な戦い方。その宝具の名にある魔人グレンデルとの戦いにおいて、奇襲されたために武器を持ち合わせていなかったにもかかわらず、怪物を素手で組み臥せその腕を引きちぎったという、凄まじい戦い方がそのまま宝具として昇華している。
実際、ベオウルフという英雄は武具による技巧よりも、無窮の武錬と天性の肉体を以て得た剛力を最大の武器としており、武具そのものからの恩恵自体は薄い英雄と言える。
この宝具を発動した瞬間、ベオウルフの身体ステータスは、一時的に生前のものへと回帰。武器を手放して相手に突撃し、蹴って殴って拳の連打、トドメに渾身のブロウをぶちかます。
特別に対策するような理論にもとづいているわけでもない、原始の闘法であるがゆえに、「一度使用すれば見切られる」という特質の宝具やスキルを無効化することができる。
赤原猟犬(フルンティング)
- ランク:A
- 種別:対人宝具
- レンジ:1
- 最大補足:1人
血の匂いを嗅ぎつけ、ただ振り回すだけで最適な斬撃を打ち込んでくれる魔剣。
一撃喰らわせるたびに、刀身に血液が流れ込み、赤色に輝き出す。
対軍系のビームのような派手さはないが、バーサーカーとしての膂力も相まってとにかく強引に勝負を決めることが出来る。
赤い外套の弓兵はこの宝具の模造品を矢として撃ち出している。パクリではあるが使い方が上手いと、本人も太鼓判を押しており、「気に食わないが気に入った!今度あったら殴らせろ!」と発言している。
鉄槌蛇潰(ネイリング)
- ランク:B
- 種別:対人宝具
- レンジ:1
- 最大補足:1人
赤原猟犬よりも短めの鋼鉄製の剣…というより棍棒。
叩き潰すことを主な目的としたものであり、切れ味は無いに等しい。
なお、ある程度以上の回数使用すると破壊される恐れがあるが、破壊された瞬間は大ダメージを与えることが出来る。
原典はおそらく、グレンデルの母である「水底の魔女」の館にあった「霧の巨人(ヨトゥン)の剣」か。
ゲーム上の性能
元祖バーサーカーとあってなのか、☆4バーサーカーとしては攻撃よりのバランス型。
HP/ATKともに10,000を自力で超えてくれる。
《Quick:1/Arts:1/Buster:3》とカードバランスもバーサーカー。しかしArtsが3hitする恩恵で、バーサーカーとしてはNPの獲得はそこそこ良好。『虚数魔術』など初期NP50%以上が確保できる概念礼装を付けてArtsチェイン(手数をArtsカード一色で組むコンボ)に最後尾につけてやれば、割と楽に宝具解放までこぎ着けることが出来る。
その代わり「狂化」のランクが「E-」とほぼ補正がない状態に近いため、他の同格のバーサーカーに比するとBuster性能はそんなに高くない。
スキルは、1ターン自身の攻撃力と宝具威力をUPさせる「ベルセルク(A)」、クリティカルスターを供給する「直感(B)」、一度だけ戦闘不能から復帰する“ガッツ状態”になる「戦闘続行(B)」と、シンプルで使いやすいものが揃っている。
ちなみにこのラインナップは、魔術礼装「アニバーサリーブロンド」とほど同一。唯一、「ベルセルク」に相当するヶ所がBuster性能UPのスキル「魔力放出」に替わっている。
宝具「源流闘争」は、【敵単体に超強力な〔必中攻撃〕&クリティカル発生率DOWN】の効果。
必中が確定するため、回避状態付与のスキルを持つ相手でも確実に仕留めに行けるのが強み。宝具ランクも「A+」と威力補正が高く、さらに絆クエストをクリアするとランクが「A++」と星の聖剣と同格にまで跳ね上がる。
使い勝手がよくわかりやすい性能をしているが、やはりバーサーカー特有の打たれ弱さがネック。
思う存分暴れさせたい場合は、俗に言う「介護要員」と呼ばれる専属サポートが必要になってくる。
本領はやはり単体宝具の性能が最大に発揮されるボス戦なので、いっそ対ボス要員として控えに回ってもらい、いざという時に登場してボスを滅多打ちにしてもらうのが良いかもしれない。
余談
実は修正が入る以前、ゲーム中のマテリアルには、ベオウルフとベルセルクが直接同一視されているかのような記述がされていた。
この点から、彼の独特なキャラクター付けは、誤解によって生じた部分も大きいと思われている。実際のベオウルフ叙事詩における彼は全盛期の時点で既にクレバーであり、おおよそ戦闘狂というイメージからは遠い。
関連人物
生前
彼の従者として、最後まで戦いを支え続けた戦士。公式マテリアル内のテキストに記述があるためにサーヴァントとしての登場が有力視されている。
生前に彼が倒した魔人。
原典では武器を逸してやむを得ず素手で対峙したが、型月時空ではフェアプレイ精神から敢えて素手で相手取ったという、喧嘩バカ丸出しな理由から殴り合いに応じている。
決して見縊っていたわけではなく、むしろ変幻自在な変身能力と狡猾な性格を危険視し、倒すべき宿敵として認めてさえいた。
Fate/GrandOrder
ブリュンヒルデ体験クエストで共闘。その後は本編5章で同じ陣営に所属。
「カルデアヒートオデッセイ」で敵対。
彼女の称号である「聖女」を「凄女」と呼称(表記)し、嫌がる彼女の心情などサラサラ慮ることもなくタイマン勝負を熱望した。
1部5章では敵対したが、直接対決はなし。
2部1章では今度は共闘しており、自身がまとめる反逆軍の副将としてサポーターに入った。
互いに根っこはアウトロー気質なので、馬が合う様子。
別の反逆軍勢力を取りまとめる、麗しき弓兵から変容したバーサーカー。
最初は両軍が衝突した際に、遠方からお互いを視認した程度だったが、汎人類史から漂流してきたマスターの手引きで同盟関係を結ぶことになる。
なおアタランテは、ベオウルフの格好が全裸だと誤認していたらしく、思い起こすにあたって少し恥じらう様子を見せた。まぁ、吹雪で視界が霞んでいるところに、魔力で望遠して確認した程度なのでやむなしである。