概要
フルネームはウィーグラフ・フォルズ。
五十年戦争において、平民出身の騎士からなる義勇軍「骸騎士団」の団長を務め勇敢に戦ったが、戦後、上官である貴族たちから何の褒章も与えられぬまま切り捨てられ、その憤りから「骸旅団」という革命軍を立ち上げ、各地で貴族を標的としたテロ行為に及んでいる。
妹にミルウーダ・フォルズがおり、彼女もまた兄に同調し骸旅団の女剣士として活動している。
その気高き生き様と、物語に翻弄された悲劇的な結末から、本作に数多く登場するキャラクターの中で一二を争うほどの人気を誇る敵役(かたきやく)である。
人物
金髪中分けのボブカットに、険しい顔立ちが特徴の偉丈夫。
平民の生まれでありながら、騎士としての義勇と弱者に寄り添う人情を併せ持った人格者だったが、こうした騎士としての矜持を重んじる精神故か、妹含む他の団員たちとは意見を対立させることも少なくなかった。
当時、士官アカデミーの学生軍のリーダーとして骸旅団の鎮圧作戦にあたっていた主人公ラムザ・ベオルブとは、互いに愛しい人を奪われた経緯から因縁浅からぬ関係にあるが、ラムザ自身はウィーグラフの持つ高い理想について一定の理解を示し「自分とは異なる正しさ」を持つ人間だと認めていた。
専用ジョブは「ホワイトナイト」。
アグリアスらのジョブ「ホーリーナイト」と同じく特殊コマンド「聖剣技」を持つ。
作中での動向
骸旅団の結成
かつて五十年戦争において、平民出身の戦士たちを集い義勇軍「骸騎士団」を結成し、ウィーグラフは騎士団の団長として第一線に立ち活躍した。しかし戦後、上官である貴族たちは骸騎士団の上げた戦果に対して褒章を与えずに切り捨て、ウィーグラフたちは極貧の暮らしを強いられることになる。これに憤ったウィーグラフたちは決起し、貴族へのテロ行為を目的とした「骸旅団」を結成。苛烈な身分差別が横行するイヴァリースに「貴族も平民もない平等な世界」を築こうと理想を掲げる。
しかし、明日食えるかもわからぬ暮らしに焦燥する団員たちは、理想論ばかりを並べるウィーグラフの方針に不安を抱くようになり、その命令に背いて各地で略奪や要人襲撃といった強行手段に及び、ついには騎士の名門ベオルブ家からティータを誘拐する。だがティータはベオルブ家の血筋ではなく、先代バルバネスの恩情で保護されていた平民の娘であった。ウィーグラフはすぐにティータを解放するように命令するが、その間、彼女の兄ディリータ・ハイラルと、彼ら二人と兄妹同然に育ったラムザは怒りのままにティータの攫われた骸旅団のアジトへと侵攻し、この道中のレナリア台地にて防衛戦線を張っていたミルウーダが戦死することになる。妹を失ったウィーグラフはラムザたちを強く憎み、お互い譲れぬ立場として激闘を繰り広げる。
敗北したウィーグラフは、いつか復讐を果たすことを誓うとともに潔くティータを手放し、テレポを使いその場から撤退したが、副官ゴラグロスは己の保身のためティータを人質にとりジークデン砦まで逃走。その後に駆けつけたザルバッグ軍の容赦のない発砲によりティータは絶命してしまう。
神殿騎士団として
落ち延びたウィーグラフはローファル・ウォドリングの誘いに応じ、南北の内乱の裏で覇権を狙うグレバドス教会が組織する「神殿騎士団」に入団し、聖石アリエスを与えられる。妹の死や骸旅団の壊滅、特権階級への造反が失敗に終わったことで彼の思想は理想論から現実的なものへと変わってしまった。ウィーグラフ同様、現実に打ちのめされ一度は逃げ出すものの、再起し理想を追い続けるラムザとは対照的な変化を遂げたといえる。
オーボンヌ修道院の図書館にて再びラムザと対峙。今度こそミルウーダの復讐を果たそうと戦いに及んだ。グレバドス教会という大きな後ろ盾を得たことで地位を確立したウィーグラフだったが、ゾディアック・ブレイブの伝説をダシに弱者を利用する教会の実態を知るラムザからは失望の言葉を向けられる。
再びラムザに敗した彼は、重体を引きずり寺院を脱出しようとするも、その傷は深くいよいよ最期を迎えようとしていた。そのとき、ローファルから与えられた聖石アリエスからの不気味な声を聞いたウィーグラフは、アリエスと契約を交わしルカヴィ化、「魔人ベリアス」へと変貌を遂げる。
翻弄の果て
ベリアスと融合を果たしたウィーグラフは、もはやかつての人間だった頃の彼ではなくなっていた。
ルカヴィの強大な力に心酔し、それまでの彼の目指していた理想も、散っていった妹や仲間たちの想い、そして、あれだけ守ろうとしていた虐げられる平民たちをも全て唾棄し、ただただ「混沌と絶望が支配する世界」を望む人外の怪物と成り果てていた。
不器用ながらも強い信念のもとに行動し、誰よりも人間臭かったウィーグラフ・フォルズという男は、オーボンヌ修道院で完全に死んだのだ。リオファネス城内部にて宿敵ラムザとの最後の決戦に挑むが、このときはラムザからも哀れみを向けられていた。
戦闘は序盤、本来の姿であるウィーグラフとの一騎打ちとなるが、敗北するとルカヴィ化し、三体の悪魔を召喚し、合流したラムザの仲間たちと再び戦闘を開始する。最期は、ルカヴィの力をもってしても敗北した事実を受け入れられず「たかが人間ごときに…!」と唸りながら消滅した。
余談
リオファネス城のトラウマ「一騎打ち」
彼が多くのプレイヤーの記憶に残る要因としては、そのキャラクター性だけでなく、彼との一騎打ちによるものも多分に関係している。
FFRK
ラムザの宿敵として何度も立ち塞がった彼はファイナルファンタジーレコードキーパーにも参戦した。