概要
読んで字のごとく、石炭を運ぶ貨車であり構造としてはホッパ車の一種である。
昔は鉄道車両の燃料といえば石炭であったため、専用に記号が起こされ国鉄式記号では「セ」が割り当てられていた。
蒸気機関車の後ろについているのは燃料としての石炭と蒸気材料の水を載せた炭水車(テンダー)である。
明治から昭和前半の日本の鉄道では多くの石炭車が運用されていたものの、鉄道の無煙化や工業全体の石油への転換で日本ではほぼ見られなり、現在のJR貨物では事実上ホッパ車に統合(ホッパ車を示す「ホ」記号で石炭運搬用に用いられている車両がある)される形で形式としては消滅した。
九州地区向けと北海道地区向けで大きく外観が異なるが、これは積み下ろし設備などを含めた基本設計がどこの国の流儀であったかによる。
九州はドイツ、北海道はアメリカのそれである。勿論鉄道の規格が本国より小さいので、どちらも原型より一回り以上小ぶりになっている。
車両と設備でセットの設計なので、片方で余剰が出てもそのまま転属ということはできない。
巨大な炭田を有するカナダやオーストラリアやアメリカといった国々ではずらりと石炭車を連ねた運炭列車が今でも現役。
昔の北海道では石炭車を連ねた2000トン貨物列車をD51やD61単機で牽引していた。
(室蘭本線などは平坦なので引き出しにさえ成功すれば辛うじてだが牽ききれた)
終戦直後は物資不足の混乱期であったため、東北から東京へ蒸気機関車用の石炭を運炭列車で送ったら、途中の操車場でも石炭足りねーぞとばかりに一両、また一両と抜かれて目的地に着いた時には編成両数が半減していたなんて話もある。
関連タグ
貨車(石炭車とホッパ車についての説明もある)