曖昧さ回避
- 20世紀初頭に実在したアレイスター・クロウリーが召喚した悪魔。第10番目のアエティールにして深淵の主。→本項で詳しく解説。
- とある魔術の禁書目録に登場するキャラクター。かつてアレイスター=クロウリーが召喚したとされる悪魔。クロウリーの2人目の娘ローラ(史実でいうローラ・ザザ・クロウリー)に取り憑きローラ=スチュアートと名乗っているらしいが…?→本項で詳しく解説。
史実・魔術史におけるコロンゾン
知識の本質に近づく者を様々な手段を用いて誘惑し、妨害を試みようとする邪悪な意識の集合体。
30ものエノキアン・アエティールの内、10番目の領域にわだかまる深淵(アビス)の悪魔であり「混乱と拡散」を目的とする。
この喚起は、ジョン・ディーのエノク魔術体系における「魔術的宇宙解釈」が基となっている。クロウリーが実践したのはディーがかつて示した30もの「アエティール」(エアとも言う神秘領域)から何らかの高次意識体、広義的に「天使」と表現される存在との交信を試みる方法に限りなく近いものであった。
天使達はクロウリーに「叫び」を、様々な秘儀を伝授した。
元々クロウリーは1900年に30番目(テクス)と29番目(リイ)への没入は済ませていたのだが中断しており、1909年にアルジェリアにて没入を再開している。
クロウリーはアエティールへの没入を次々と成功させたが、11番目のアエティール「イクー」に没入した際、クロウリーは呪われた10番目のアエティール「ザクス」(コロンゾン)の危険性、注意を促す声を聞いた。
「理解する者は一番遠くの深淵まで行かなくてはいけない。そしてそこで四重の恐怖の上に立つ悪の王子、すなわち最も遠い深淵の主コロンゾンと語り合わなくてはならない」(叫びの一部を抜粋)
これがかの有名なコロンゾン召喚実験の前段階である。
第10番目のアエティールはザクスと呼ばれる
「このアエティールは呪われており、霊視を得るものがそのことを事前に警告されているので、筆記者のために予防措置を取る事にする」(霊視と幻聴より)
1909年12月6日、アルジェリアで魔術師アレイスター・クロウリーが《銀の星》に所属する弟子のヴィクター・ニューバーグを付き従わせ、召喚実験を行った。その方法は三羽の鳩の血で魔法陣を描き、クロウリー自らを媒体に内側の三角の陣の中で降臨させるというもの。
召喚実験が始まり鳩を生贄に捧げて陣を描く。古の呪文「ザザス・ザザス、ナサタナダ・ザザス」と唱えるといつの間にか悪魔コロンゾンが降臨していた。
悪魔は美女、老人、蛇、様々な姿に変化してニューバーグを誘惑したが、彼は数々の誘惑を意志と話術で打ち破った。
ニューバーグが守護天使エイワスに祈りを捧げた際、悪魔は「私は天使(エイワス)を知っている。天使と汝らの交渉は全て、不潔な魔女の仮面にすぎないのだ」と言った。
ニューバーグの巧みな手法で「本質」を引きずり出された悪魔は数価333、自分の本質が「拡散」であると打ち明ける。
そして隙を見て魔法陣に砂をかけ、ニューバーグに襲いかかる。ニューバーグは魔術的意味を持った剣を使い、なんとかコロンゾンを陣に押し戻す事に成功する。
コロンゾンはこう言う。「全ての物事は拡散である。拡散こそが物事の本質足り得る。10番目のアエティールは付随物の世界で本質がないのだ」
幾つか言葉を交わした後、コロンゾンの意識はクロウリーの身体から失われた。
残りの九番目のズィップから一番目のリルなどのアエティールは、コロンゾンと比べればかなり温厚で優しかったように思える。
召喚実験は成功に終わり、個々の体験によってクロウリーの「位階」も繰り上がっている。
とある魔術の禁書目録のコロンゾン
コロンゾンとしての初出は新約18巻。
ただし、2006年に刊行された「電撃BUNKOYOMI」収録の卒業式SS『とある三月の二〇一巻』において「サハラの一点で蠢く『アレ』」として今後登場することが示唆されていた。本編でも新約14巻で『魔神』ネフテュスが存在に関して言及している。
史実通り1909年にアレイスター=クロウリーが召喚した大悪魔。
当時、クロウリーは「30の天使」と接触することで、セフィラとセフィラの間を越えようとした。彼は10番目の領域にわだかまる意識的な『深淵』を乗り越える為に、その『深淵』と同化することで霊的なダメージを負うことなく目的を達成しようとしたらしい。
大悪魔コロンゾンとは「三羽の鳩の血」で形成された魔法陣の中で、クロウリー自身の体を霊媒に召喚された30ある天使の内10番目の存在。
カバラの数秘術で「333」の数価を本質とする。別名はザクス。
禁書ではクロウリーの2人目の娘「ローラ」…史実における「ローラ=ザザ=クロウリー」の体に憑依してローラ=スチュアートと名乗っている。
クロウリーと並ぶ“とある魔術の禁書目録シリーズ”のラスボス候補の1人である。
本作でもクロウリーの身体に憑依し弟子であるヴィクター=ニューバーグに阻まれたが、実はクロウリーに召喚される前に『黄金夜明』の創始者の一人サミュエル=リデル=マグレガー=メイザースによって“こちら側”に呼び出され、“クロウリーを破滅に導く旨の契約”を交わしていた。クロウリーはこの事には気づいていなかった。
上記の契約の元、密かに北アフリカから英国へと渡り、クロウリーの第二子であるローラ=ザザの体を乗っ取るとローラ=スチュアートと名乗り、表向きは必要悪の教会のアークビショップとして活動するのと同時に、メイザースとの契約を履行する為に暗躍していた。
クロウリーたちですら把握していなかった上里翔流や理想送りの存在についてローラだけが知っていたのも、おそらく乗っ取っていたコロンゾンの方が知っていたからと思われる。
なお、本体は正体を隠すために普段はローラの長い金髪の奥深くに隠れている。
ちなみに、此方の世界設定でも悪魔とカテゴライズされているが、全密にはソロモン72柱や邪悪の樹は勿論、現存するあらゆる宗教や伝承にも記されていない(属さない)特異な存在であり、その重要性はクロウリーが推し進める“ありとあらゆる位相を破壊する為に魔術を絶滅させる為の計画(プラン)”に必要不可欠な要素の1つであるエイワスと並ぶとされている。
彼(?)もまた、何かしらの独自の思惑を秘めているらしく、メイザースとの契約からの解放を切に願っており、新約18巻の終盤で、遂にその姿を読者の前に曝け出すと自身の正体を悪意を共にクロウリーに明かし嘲笑しながら始末し、学園都市の制御を奪うことに成功。
メイザースとの契約を完了したとして、今度は学園都市を利用して自身本来の目的を遂げようと目論み行動に移そうとするが、その直後に自身が破滅した時の保険として“無限のifの可能性に分裂”という手段を用いて生きていたクロウリーによって英国およびイギリス連邦加盟国を全て奪われるという事態に陥ってしまい、反撃宣言を受けてしまった。
新約19巻
新約19巻では、クロウリーによって「窓のないビル」と共に宇宙に射出された。
宇宙でエイワスと戦いながら、同時に烏丸府蘭を霊媒にして操り、学園都市の統合データベースである今代の書庫(バンク)「プロセッサスーツ」を奪取している。しかしその過程で囮としてプロセッサスーツを浜面仕上に着せたのだが、スーツ間で競合が発生したことで書庫にアクセスできなくなるというイージーミスを犯してしまう。そこで浜面のスーツを破壊しようと動いたのが新約19巻の騒動の始まりである。
エイワスとの戦闘で勝利したが府蘭はクロウリーによって完璧に救出されていた。コロンゾンは構わず、太陽圏外を高速で移動していた「窓のないビル」の軌道を変更し、学園都市に墜落させた。
だがそこは、学園都市であって学園都市ではない場所だった。
「新天地」
上里翔流の理想送りで生じた世界の余剰スペースであり、正史とズレた時系列。
太陽圏外まで高速で移動した故に戻ってくる際に「奇跡的に」ウラシマ効果が生じ、本来の時系列から少しずれた新天地に墜落していたのだった。
これはクロウリーとエイワスの策略で全て計算通りだったらしい。
「あっれー?ねえネフテュス、なんか面白そうなオモチャが落ちてきたよ???」
「そうね娘々。この閉鎖時系列に許可なく誰かが迷い込むなんて珍しい事象だわ」
クロウリーの罠にハマり新天地に追放された挙句、その場に居た「魔神」の暇つぶしという名の戦闘に付き合わされることになる。
そのまま新天地に隔離されるかと思われたが、疲弊しながらすぐに力業で帰還。しかも真正の魔神たちを相手にしながらである(ちなみに娘々とネフテュスも意図せず現世に戻ってきてしまった)。
上里を新天地から連れ戻した上条たちの苦労は何だったのか…。
クロウリーもコロンゾンの力量を見誤ってはおらず、時間稼ぎにしかならないことは理解していた。
疲弊したコロンゾンに追い打ちをかけるようにクロウリーによって学園都市にウイルスがばら撒かれ、学園都市の先進的技術・機能が凍結される。
これには流石のコロンゾンも焦燥して子鹿のように地面にへたり込んでしまう。
そして遂にはクロウリーに見下され、
「必ず『娘』は返して貰う。だから孤独の城で首を洗って待っていろ、ゴミ虫」
という宣戦布告の言葉を聞くと同時に、頭を踏みつけられてしまった。
(この行為にはコロンゾンを学園都市に封じ込める魔術的意味も込められている)
新約21巻ネタバレ
(※ローラ=スチュアートの記事も参照)
「お、とう、さん……」
「私は、あなたが大嫌いだった」
クロウリーは悪魔から解放されたローラを抱きしめたが、彼女に刺されてしまう。
上条当麻「大丈夫だ、アレイスター……」
上条当麻「それにもう良い、コロンゾン。腹芸は終わりにしろ、ローラ=スチュアートなんて最初からいなかった。二人目の娘は他にいて、何も知らずに普通の人生を歩んでいるだけだった。中に入っていたのも、外の器になっていたのも、どっちも作り物の大悪魔だったんだ!!本当に本物のローラなら絶対にそんな事はやらなかった!!!!!!」
上条に指摘されるとコロンゾンは演技をやめて歓喜の声を上げ、致命傷を負ってその場に崩れ落ちたクロウリーを踏みにじった。
余談
ローラの肉体を乗っ取っている際に名乗っているスチュアート性は、契約者のメイザースがスチュアート王朝の復活を望んでいた為、一種のサービス精神から名乗っている為である。
実際には上記の通りだったが……。
しかしこれにより、インデックスが本物のローラ説(大人インデックスのイメージがローラ、クロウリーと同じ髪の色)、コロンゾンの偽アンナ=シュプレンゲル説(新約21行間のホロス夫人説?)等が新たに提唱され、むしろ考察のネタは尽きない。
現時点では考察に過ぎないが、やっぱり上記やローラ・ザザ本人だったよ的などんでん返しがあったら困るので、概要文は保留にしておきたい。