ゆかれいむとは、「上海アリス幻樂団」製作による「東方Project」のゲームのキャラクター「博麗霊夢」と「八雲紫」の百合カップリングの名称であり、pixiv内においてこの二人のイラストにつけられるイラストタグである。
百合カップリング要素を含むものが多いが、単純に二人が一緒に描かれたイラストも該当する。
同様のカップリングを指すもので「ゆかれい」・「結界組」タグも存在する。
東方二次では表記の前後でいわゆる受け攻めが決められているのではなく、組み合わせの語呂の良さで名前が定着する傾向があり、ゆかれいむのタグが一番多いのもこのためである。
以下は原作における二人の係わり合いと百合視点での二人を説明する。
出演作品
二人が物語の中で何らかの係わり合いある作品のみ。
ゲーム
- 「東方妖々夢」自機とPhantasmステージボス
- 「東方萃夢想」霊夢ストーリー6面ボス(紫)、紫ストーリー5面ボス(霊夢)
- 「東方永夜抄」自機『幻想の結界チーム(結界組)』
- 「東方緋想天」紫ストーリー1面ボス及び紫EDに登場(霊夢)
- 「東方地霊殿」霊夢サポート妖怪
書籍
- 「東方紫香花」『六十年ぶりに紫に香る花』(紫一人称の小説、「東方花映塚」Exステージ前の話)
- 「東方香霖堂」紫出演が第11話、第11.5話、ほか作中の話題で登場
- 「東方三月精」第二部第23話~25話『二つの世界 前中後編』、第4話『異変の向こう』(霊夢の回想)、第三部第10話『忘れ物の果て』
- 「東方求聞史紀」八雲紫の項目における霊夢の証言
- 「東方儚月抄」漫画1話・最終話、小説最終話
概容
キャラ二人の詳しい説明については、それぞれ「博麗霊夢」と「八雲紫」の項を参照。
主要登場人物のほとんどが女性である東方においては百合カップリングが非常に多いが、中でもこの二人は原作での接点が多いためか、イラストも多く存在する。
主に神出鬼没で行動の読めない紫に翻弄される霊夢、という構図が多いが、霊夢が強気に出るケースもある。
二人の身長は、紅魔郷と妖々夢登場キャラ中で霊夢が<やや高>紫が<高い>グループに属し、公式で紫>霊夢である。
作画面では特に身長比に気をつけて、原作者ZUN氏になるべく確認をとっているとの発言がある三月精作画担当比良坂真琴氏の作画を見ると、目の高さ分~頭半分弱の身長差が見られる。
「永夜抄体験版」テキストによると、もともと「紅魔郷」・「妖々夢」・「永夜抄」は三部作で作ることがあらかじめ決められており、永夜抄では自機を人間と妖怪のチームとすることも決めて製作されていた。
ただ突然新キャラと霊夢を自機として組ませても唐突過ぎるため、妖々夢において前もって紫をPhantasmステージボスとして出演させた。
そのため紫のキャラクターは霊夢に合わせて造型されており、その能力・性格もまた霊夢との対比によって製作されている。
新キャラを主人公霊夢のために用意したと明言されているのは、数多くキャラクターのいる東方Project内だけでも、紫ただ一人だけである。
『あと紫は、霊夢と能力を被らせて、性格も浮世離れしている所を似させました。霊夢と釣り合いが取れる様にこんな形に。胡散臭いのはその為。』
作品内
「霊夢→紫」
霊夢はそのキャラ設定からか、原作において、その場その場での相対した者に条件反射的な喜怒哀楽はあっても、その人物に対して『自分が普段どう思っているか』を書かれることがほとんどない。
これは主人公のもう一人「魔理沙」に対しても例外でなく、登場キャラほぼ全てに対してそれを推察できる発言がない。
それは紫に対しても同じだが、他のキャラに比べると個人的感情を推察できる発言や態度が見受けられる。
「紫→霊夢」
紫はその胡散臭い性格から、霊夢であっても普段まともに相手をしてくれない。
しかし紫のほうはそれとなく普段から霊夢の行動を見ている節が伺える。
紫はその能力と来歴ゆえ博麗神社と博麗大結界にも関わりが深く、こと大結界関係については、考え無しの行動に出る霊夢を叱ったりもする。
霊夢に自分の言葉が信用されなかったときなどは、心の中で軽く凹んでいたりもした。
「比那名居天子」に博麗神社を壊されたときは怒りを露わにし、神社に調査に来た「鈴仙・優曇華院・イナバ」相手に博麗神社を『私の神社』と言い切った。
妖々夢でのゆかれいむ
ゲーム中の会話から紫側は霊夢を知っている節があるのが推察できる。
クリア後の会話でも終始、紫に手玉に取られる霊夢が見れる。
萃夢想でのゆかれいむ
<霊夢ストーリー>
●Border Line 一日結界-Daylight and Moonlight-
霊夢 「というかねぇ、何企んでるのよ。この連続宴会も妖霧もあんたの仕業でしょ?」
紫 「あらまぁ、呼ばれてもないのにそんな暇なことしないわよ」
霊夢 「怪しすぎるわ。大体いつも怪しいのよ。 呼ばれてもないのに出てくる。呼んでも出て来ないし・・・」
紫 「あら、私を呼んだ事なんてあるの?」
霊夢 「ない!」
呼んでも出て来なかったんですね、れいむさん。
紫は紫で、霊夢の文句に対してからかうような言葉を投げかけて反応を楽しんでいる。
やはり「信用できない、誰からも心が読めない性格」である。
●Immaterial and Missing Power 萃まる夢、想い-Pandemoniac Land-
霊夢 「あんたがこの騒動の主犯ね?で、何でこんなことしたのよ」
萃香 「こんな事、って、何が起きてるか判ってるんだ。私にはあんた一人が色々な所で、ただ暴れてるだけにしか見えないんだけどね」
霊夢 「最近、宴会が多いじゃない。それから、妖霧が出ていて・・・。って、私の行動を見ているって事はやっぱり・・・!」
萃香 「ちょっとちょっと、宴会が多いのは私の所為なの?」
霊夢 「って、紫が言ってた」
萃香 「まぁそうなんだけど」
霊夢 「ほら、私の言った通りじゃない!」
紫と会っていたときは、上のような態度なのに紫が居なくなると一転この言動である。
実は萃夢想の頃から、紫の言っていることを素直に信じていたれいむさん。
<紫ストーリー>
●Stage5 神に奉るお酒-Sea of Nectar-
紫 「崩れ堕ちてく砂の城~♪溶けて消えるは土の国~♪そこの通りすがりの巫女さん。ちょいとお時間良いかしら?」
霊夢 「あー?今日は何?って、通りすがってるのはあんたでしょ?」
紫 「あら、そこをツッコんだのは霊夢が初めてよ」
みなが話半分でスルーする中、何故か律儀に突っ込むれいむ。
紫のいい加減な話も、一応は聞いているということか。
いずれにせよ、他のみなと霊夢の「紫の見方」はちょっと違うのである。
これとは別に幽々子ストーリーの紫戦において、幽々子が夕方の博麗神社で霊夢に「おはようございます」とボケる場面がある。
このとき霊夢は「こんばんは」と答え、幽々子のボケを華麗にスルーする。
紫と幽々子の会話やストーリーは、萃夢想でも緋想天でも非想天則でも対比が見られるつくりになっている。
が、対比のつくりとはいえ、皆がスルーした紫のボケには律儀につっこみ、紫以外にもつっこむのかと思えば幽々子のボケはスルーするれいむさんであった。
<パチェストーリー>
●Border Line 月の記憶-History of Moon-
パチェ 「結局、何処にいるのか判らなかったわ」
霊夢 「幽々子の友人?紫の事? あいつは居て欲しくない時はよく見るんだけどねぇ」
パチェ 「まぁ、仕方が無い。この異変に関しては、自分で調査するしか無さそうね」
霊夢 「異変って何?」
??? 「あら、居て欲しい時なんてあるとは思わなかったわ」
紫 「私を呼んだのは貴方かしら?」
パチェ 「あれ?なんだ、神社に住んでいたのね」
紫 「住んでいたの」
居て欲しくない時は~なら、居て欲しい時はどうなんですか霊夢さん。
と思ったら、自分への悪口は聞き逃さない紫さんでした。
最後の台詞はさすが緋想天で『私の神社』と嘯くだけのことはある紫である。
また霊夢の紫に対する勝ち台詞にも本編に絡めたやりとりがある。
「あんたは、いっつも邪魔な時に出てきて……邪魔な時に居ないんだから。」
会話内の三点リーダーが絶妙である。
この部分に色々と想像をめぐらすことはできなくもないだろう。
永夜抄でのゆかれいむ
1面からExクリア後まで漫才のようなやりとりでゲームが進む。
また相手キャラに対しては息のあった口の悪さも見せる。
二人のスペルカードの名称が被せて作られている。
- 夢符「二重結界」⇔境符「四重結界」
- 境界「二重弾幕結界」、大結界「博麗弾幕結界」⇔紫奥義「弾幕結界」
『~紫の弾幕結界に比べると見た目は派手だが内容は見劣りする。まぁ所詮人間だし。~』
まねっこれいむ。
緋想天でのゆかれいむ
<異変中>
妖夢と対戦中博麗神社の倒壊を察知した紫は、『神社が壊されたわね。私もそろそろ怒って良い頃ね』と異変の犯人の行動と博麗神社を常に見ていたことが伺える発言をする。(妖夢ストーリー対紫戦敗北後)
こののち霊夢が一度天子を倒して異変が一応の解決を見せるが、天子が博麗神社の乗っ取りを計画している事を察知して動き出す。
紫は霊夢が異変解決さえすれば、表立って動くのを面倒に思っていたようだが、霊夢はこの乗っ取り計画に関して気付いていなかったためである。
<異変解決後>
紫 「神社はまだ復興していない。霊夢、出てきなさい」
霊夢 「何よもう」
出てきなさいと言われて素直に出てくるれいむ。
またこの対戦前の会話や敗北後の会話に、「だもん」と語尾に付ける霊夢が見られる。
霊夢が会話内でこういった言い方をするのは作品内でも珍しい。
こののち紫は天子が再建した神社をスペカ戦で巻き込んでもう一度崩壊させ、あらかじめ頼んでおいた萃香に再々建させる。
天子を倒した直後、神社に現れた鈴仙に対して警戒するそぶりがある。
三月精によると、博麗神社には大結界を維持するため紫の仕掛けた細工がいくつかあり、天子の神社乗っ取りや鈴仙の調査などは具合が悪いのだろう。『私の神社』だし。
鈴仙 「地震で壊れたっていう神社の事なんだけど」
紫 「だーめ」
鈴仙 「え?」
紫 「調べさせないわ。私の神社」
鈴仙 「何よ、調べても良いじゃないの。 どうも神社の倒壊は腑に落ちないのよ」
紫 「神社は貴方の出る幕ではない」
勝ち台詞によると、霊夢も紫が自分の住む神社に自分より詳しいことをわかっているようである。
ここでも神社について紫の考えを仰ぐ霊夢が見て取れる。
「あー、神社壊れちゃったよ。取り敢えず雨風は凌げるけど。」
「神社って壊れても大丈夫だったのかな?ま、建物なんて飾りよね。」
地霊殿でのゆかれいむ
4面ボス戦前の会話シーン。
霊夢 「当たり前じゃない。誰が妖怪の言う事なんて真に受けるのよ」
さとり ****「しかし鬼の言う事は真に受けた。そして地上の妖怪の事を信用している。貴方がその妖怪の事を思い出している事が私にも判るよ。」
霊夢が、作中で誰かを『信用している』と明言され、しかもその相手が誰からも胡散臭い言動で信用されない紫であったことは、百合抜きにしても驚くべき事である。
なお霊夢は永夜抄のキャラテキストでは『誰に対しても仲間として見ない。周りに沢山人間や妖怪が居たり、一緒に行動を行っても、常に自分一人である。実は冷たい人間なのかも知れない。』と書かれていた。
また霊夢は紫香花の小説において、紫の言う事は信用できないといった旨の台詞もあったりする。
神主は永夜抄→萃夢想→紫香花→地霊殿という製作過程において、霊夢のキャラを徐々に変化させてきたとも見られる。
言葉とは裏腹に、と言う事なんですね。なにせ、さとりが心を見たのだし。
またExにおいて萃香・文装備を選ぶと、霊夢が地上なのに陰陽玉を使って自分が借り出される不満を両者に対し唱える。
しかし紫装備では、そういった不満を紫に言う事は一切見受けられない。
萃香・文とは違う何かがあるのでしょう。
非想天則でのゆかれいむ
両者ともにストーリーはないのだが、勝ち台詞からゆかれいむを感じられる部分がある。
霊夢→紫
「なんか退屈なんだけど……。」
対して霊夢が「退屈」というキャラは、紫と魔理沙のみ。
幽々子と萃香は「退屈」といったあとに、紫にそれぞれ要求をする。
また霊夢も魔理沙には「退屈」といったあとに、具体的に河童のところへ行こうと続く。
しかし霊夢は紫に対しては言葉が続かない。
なぜ、テキストでこのようにキャラごとにはっきりとした区別がついているのかは、神主のみぞ知るところである。
紫香花でのゆかれいむ
正確には「東方紫香花」においてZUN氏が書いた作品『六十年ぶりに紫に香る花』での二人についてである。
作品は紫の一人称で書かれており、東方内において胡散臭い言動の紫というキャラの心情が、比較的わかりやすく読み取れる。
時系列では「東方花映塚Exラストステージに続く。
(正確には『東方花映塚エクストラに続く、のかもしれない』という文で作品が結ばれている)
紫が花の異変を察知し、無縁塚で霊夢と出会ってから幻想郷を一回りして、再び無縁塚で霊夢・幽々子と会って別れるまでの話である。
<冒頭>
霊夢が(霊夢ストーリーで)閻魔様と戦ったあと無縁塚に来た紫は、霊夢の態度を見て、霊夢が異変について既に察知してる事を確信し安心する。
紫が霊夢の異変に対する態度と、彼女の妖怪退治に対して言及する箇所は東方作品でも多く見られる。
その裏ではつい本分を忘れがちな霊夢に対して、誠実に仕事をしているのか心配する気持ちがある。
<終盤>
他の人間のところをめぐり、再び無縁塚に帰ってきて桜の花を眺める紫の前に、霊夢が現れる。
「ようやく見つけたわ。一体何処に行っていたのよ」
「あれ?また霊夢じゃないの。さっき神社に帰ったんじゃないの?」
「なんかね。あんたに聞けば、この異変のことがもっと理解できるんじゃないかと思ってすぐに戻ってきたの。そしたらすでに居なくて……何処に行っていたのよ」
完全に他人任せです。
胡散臭く言動が信用ならないとされる紫に、物を聞くため探し回る霊夢。
紫に対してある程度の信頼はあるのだろう。
紫は、本来幻想郷で教えを説くなんて行為には適任者がいることを知っているが、今回のチャンスを逃すと短い生の人間である霊夢に、この異変について教える機会は二度と来ないだろうと思い、異変について話し出す。
小説内でのこの数行の中でナチュラルに語られる二人の持つ時間の違いが、生きる種族の違いを感じさせる。
と、紫が異変について説明したは良かったが、霊夢は説明内の特に外の世界について疑問を覚え、自分で聞いておいて『あんたのいうことは信用できないのよね』と言い出す始末。
『霊夢は納得してるようには見えなかった。私ってそんなに信用なかったのか……』
紫でも落ち込むことはあるのである。
しかしこの部分、地霊殿をプレイするとまた違って見えてくるかもしれない。
二人がそうして話していると、亡霊姫が登場。
「あら。こんなところで逢い引き?それとも何かの密約?」
逢い引きにみえるらしい。
幽々子の登場で、霊夢はあさっての方向を向き紫の話を聞かなくなる。
自分から尋ねに来たのにである。
二人の会話についていけず、どこか面白くない…というように解釈することもできなくはない。
香霖堂でのゆかれいむ
毎回出る霊夢と違い、紫が直接出るのは第11話と第11.5話(と第13話)のみである。
しかし他の話でも霊夢の口から紫の話題が上ることが多々あった。
<第10話『無縁塚の彼岸花』>
香霖との会話で大結界のことに話題が及び、体の一部だけ結界を渡れるのは妖怪の証と教えられ
「私の知り合いで、平気で体の一部だけ結界を渡る奴が居るんだけど……って、なるほどあいつは人間じゃなかったわね」
<第11話『紫色を超える光』>
・香霖堂のストーブの燃料を求め、紫の居場所を尋ねられる霊夢。
「知らないわよ。住んでいる場所も知らないし、神社にも来てほしくないときに来て、やっぱり来てほしくないときに来ないんだから」
「……いつも来てほしくないんだな」
「それに、もうそろそろ紫は出て来なくなるわよ」
「打ち止めか?」
「おみくじの大吉じゃないんだから。紫はね、いつも冬は出て来なくなるのよ」
霊夢はこの時点で紫が冬はほとんど出てこなくなることを知っているみたいだが、時系列的にこの話は妖々夢で二人が出会った後初めての冬とされる。
いつ知ったのか、というか実は霊夢も紫の事を前々から知っていたかのような話し振りである。
・魔理沙に唆され、最終手段にでる霊夢。
「何か本当に紫を呼ぶ方法はないのか?」
「しようがないわね。紫はこれをやると怒るんだけど……」
「何だ手があるのか」
「あるんだけどねぇ……。これをやると、危険だから止めなさい、って紫が出て来るの」
「出て来るんだな。それで良いんじゃん?」
「幻想郷の結界を緩めるの。外の世界の近くにいると、外の世界に放り出されるかもしれないわよ?」
以前に一度は結界を緩め、紫に怒られたことが見受けられる会話である。
妖々夢では結界に穴を開けたと言う紫に怒っていたのに、見事に立場が逆転している。
このあと出てきた紫に説教される。
<第11.5話『神々の道具』>
紫から香霖への言付けを頼まれてわざわざ香霖堂へ出向く霊夢がみられる。
「でも今日はそんなんじゃなくて、言付けを頼まれてきたのよ。」
「言付け?」
「『暫くしたら例の物、取りに行くから』って。例の物って何よ?」
「……例の物って何だ? そもそも誰の言付けだい?」
「勿論、紫の言付けよ」
おつかいれいむである。
<第23話『うるおいの月』>
外の世界の桜を見てきたと霊夢に語った紫を、霊夢が紫の口調を皮肉げに真似て魔理沙と香霖に話す。
「私たちは過去を振り返らない程に前向きだけど、ちょっと前に紫が『幻想郷の桜は咲くのが遅くて良いね』みたいな事言っていたわよ」
「ん?それはどういう意味なんだい?」
「『外の世界は急激に冬が短くなってぇ、今は三月中に桜が咲いて散ってしまうのよぉ』って言ってた」
霊夢は妙にゆったりとした口調で説明した。紫の真似のつもりだろうが……全く似ていなかった。アレンジされ過ぎて誰なのか判らない。
まねっこれいむ。
<第25話『八雲立つ夜』>
この話はすでに儚月抄第一話と時系列が被っている。
なので話題は紫が霊夢に稽古をつけているところから始まる。
紫は出てはいないが、博麗神社にも詳しい香霖が『八雲紫』の名から進める霊夢と紫の関係の考察が見もの。
「……八雲、紫か。自ら『八雲』って名乗るぐらいだから、どうあがいても『巫女は彼女の言いなりになる』しかないだろうね」
(略)
『八雲立つ 出雲八重垣妻ごみに 八重垣作る その八重垣を』
(略)
「結論から言うと八雲紫という名前は、境界を意味する下の名前と合わせて『神様を閉じ込める堅固な囲いを表しているんだ。神様を巫女に置き換えればまさに幻想郷の構図だね。紫は決して幻想郷から巫女を逃そうとはしない」
霊夢は黙ってしまった。思い当たる節はいくらでもあるのだろう。
いわゆるひとつの『八雲の巫女』である。
このあと「八」という言葉の説明の後、
「何にしても、紫が何を企んでいても大丈夫な様に修行するしかないのね」
「ま、そういう事になるかな。霊夢にとっても稽古になって力が付くのなら良い事だし、それに……」
紫に敵う訳が無いのだから、逆らう理由もないのだ。
こう霊夢は決意する。
しかし、儚月抄ではこのあと紫が神社にこなくなり、変わりに三ヵ月後咲夜から紫の表向きの目的を聞き、紅魔館のロケット住吉計画に手を貸して、月に行くことになる。
月に行った後、依姫に霊夢が地上で神を降ろしたせいで自分が疑われたといわれ、『そんなの知らないわよ、修行はやらされてたんだから』と言い返す。
自分で自発的に修行すること決めたのに…。
あまつさえ、依姫とのスペカ戦後、姉妹に霊夢だけ月に留め置かれ事情聴取されたおりは、誰に修行を受けさせされて神降ろしを行ったか、半ば忘れかけていたりした。
三月精でのゆかれいむ
・第二部 東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity.
<第4話『異変の向こう』>
霊夢の回想で紫が登場。
紫は霊夢にタラの芽を差し入れ、外の世界が暖冬だったことを語る。
案外、普段から紫はいろんなものを霊夢に差し入れているのかもしれない。
<第23話~第25話『二つの世界 前中後編』>
第二部の最終回であり、三月精初の三話構成だった。
時系列では緋想天後の秋にあたる。
第22話において霊夢が祀った大木は、その後霊夢が祀ったことを忘れたため放置されていた。
紫は霊夢が祀ったあとのこの大木を、実に季節が一つ進む間監視していた。
そしてそのまま放置すれば、大結界と幻想郷に重大な危険をもたらすことになると判断。
霊夢(と魔理沙)の前に姿を現す。
紫はやはり霊夢と神社を常時見ている節が伺える。
博麗神社は私の神社と言うだけあり、神社の境界であり大結界にも重要な役目を果たす境内内の大木について、紫は落雷程度では枯死しないよう仕掛けをほどこしていたりする。
22話において落雷後妖精も住まない大木に、若枝と芽が出て再生が始まっていたのは、この紫の細工のせいと考えられる。
結界維持のためいろいろ細工する神社に、考え無しに乗っ取りちょっかい出されたら、いかな紫とて怒るだろう。
霊夢が考え無しの行動で大結界を危うくしてしまうのはいつものこと。
それを紫がフォローするのもいつものこと。
紫の注意を文句言わずに素直に受け入れるのは、霊夢が紫に逆らえないからか。
「霊夢 あなたには勉強とお仕置きが必要のようね」
・第三部 東方三月精 ~ Oriental Sacred Place.
<第10話『忘れ物の果て』>
幻想郷に外の世界から古い電波塔が幻想入りする話。
注目すべきは陰陽玉のくだりである。
霊夢は、地霊殿で紫から与えられた遠隔端末の陰陽玉を、この時点でも使っていた。
地霊殿は第123季(2008年)の年末に起こった異変とされる。
対してこの話はゲームと三月精の作中時系列とを照らし合わせると、第125季(2010年)のセミが鳴く夏頃の話となる。
実に1年半もの間、霊夢は(そうとは気付かなかったが)『双方向で会話可能で、紫側には映像も確認できる』『紫お手製』の遠隔端末を、常日頃使っていたことになる。
星蓮船でも陰陽玉は確認できる。
つまり、あとはわかるな。
儚月抄でのゆかれいむ
紫が霊夢に神降ろしの稽古を付けるところから物語が始まる。
儚月抄における紫の真の目的は、漫画と小説五話・最終話を合わせて初めてわかる構成である。
霊夢と紫が直接顔を会わせるのは、実は漫画一話と最終話・小説最終話だけで、非常に少ない。
<漫画第1話『賢者の計画』>
突然稽古を付けてきた紫。
そんな紫の様子をおかしいと言う霊夢。
香霖堂25話でも香霖と魔理沙に同じく様子がおかしいという場面がある。
<漫画第5話『住吉計画』>
香霖堂25話での説明も参照。
紫に稽古を付けられ、自分でも修行する気になった霊夢だが、しかし紫が稽古を付けに来た夏から三ヶ月経ち、季節は秋となっても何も起こらなかった。
痺れを切らしてイライラしつつ、ぱたりと訪れなくなった妖怪=紫を待つ霊夢。
振り返って咲夜を見て落胆。
振り返って妖夢を見て落胆。
完全に紫さん待ちだったが、紫さんは現れないオチ。
<漫画第12話『豊かの海』>
依姫に霊夢が地上で神を降ろしたせいで自分が疑われたといわれ、『そんなの知らないわよ、修行はやらされてたんだから』と言い返す。
香霖堂25話で自分で自発的に修行すること決めたのに…。
紫がいうからやったんだもん、である。
<小説最終話『二つの望郷』前編>
綿月姉妹の疑いを晴らすべく。一人月の都に留め置かれる霊夢。
姉妹は霊夢から月に来た経緯と、神降ろしをどうして行えたかの事情を聞く。
いきさつをほとんど忘れてる霊夢。
姉妹と話すうちに紫に稽古を付けられたことを思い出すわけだが、そのとき紫がロケット使わずに月に来れることを聞いて、
「いやさあ、じゃあロケットなんか作らなくても月の都にいけたんじゃん。何で紫は手伝ってくれなかったのかなぁ」
とのたまう。
霊夢は、咲夜が説明しただろう『紫が月を目指すこととその表向きの理由』及び『レミリアが持ち掛けられた話を蹴った』ことをすっかり忘れて、思考が早速責任転嫁に走っている。
姉妹の前で紫を『幻想郷一駄目な妖怪』とこき下ろした直後にこの発言である。
二次創作
ニコニコ動画などでのゆかれいむのイメージは「霊夢を好きすぎる紫と紫に追いかけられる霊夢」が多く見受けられる。
が、原作から拾えるイメージとしては「素直になれない霊夢とそんな霊夢を掌で転がしている紫」が近く、同人誌や創想話ではそういう二人も多く見られる。
また両者の種族から寿命の差といったものが想像しやすい。
霊夢が『博麗の巫女』、紫が『幻想郷の管理者』と両者に幻想郷という一つの社会における公的立場があり、また紫に『彼女ほど幻想郷と真摯に接し、幻想郷を愛している者もいない。』といった設定もあることから、好いた相手と立場にジレンマを持つ話もある。
また東方では非公式で紫=「メリー」とする考えと、それに基づいた二次創作がある。
このためゆかれいむの創作話の中にも、紫=メリーとして作られる話がある。
『博麗の巫女』について
『博麗の巫女』については、儚月抄で半ば血縁制が否定された。
しかしこの話が収録された単行本儚月抄底巻が発売されたのは2009年10月であり、
まだ世に登場して日が浅い。
このためゆかれいむの創作の中には、『博麗の巫女』が血縁制のものとして創作された話が現在も多々ある。
関連動画
[nicovideo:nm4716500]