吉川優子
よしかわゆうこ
プロフィール
概要
北宇治高校の2年生で、吹奏楽部に所属。トランペットを担当している。
勝気な性格の持ち主で、そのストレートな物言いによって部内でも大きな影響力を持っている。また、自分自身よりも部の仲間を思いやる姿勢や、裏表のない純粋な心根ゆえに、周りの部員たちからの信頼は厚い。
フルートパートの傘木希美やダブルリードパート(オーボエ担当)の鎧塚みぞれと同じく、それなり以上の吹奏楽部の強豪校である南中学校の出身。中学時代から吹奏楽部を続けている。
また、低音パートに所属する同級生の中川夏紀とは自他ともに認める”犬猿の仲”の間柄だが、互いにいがみ合いつつもどこか信頼し合える存在でもある。
人物
容姿
原作小説ではきちんとセットした黒髪をなびかせた、異性から見てかなり魅力的に映る可愛らしい容姿であることが記載されている。(原作2巻、260ページ、短編集1巻、124ページ)
もっとも、具体的なビジュアルについては原作小説の表紙絵等に登場することはなかったものの、コミカライズ版では団子頭が、TVアニメ版では亜麻色のロングヘアーに黄色のうさ耳リボンが特徴となっている(※短編集2巻の表紙絵もTVアニメ版のデザインを踏襲したものになっている)。そのため、ファンの一部や中の人等から「デカリボン先輩」とも呼ばれている。
なお、TVアニメ版のうさ耳リボンは、吹奏楽コンクール等の正式な演奏の場では派手さを抑えた茶系のものに付け替えられている。(TVアニメ版1期13話、2期5話)
性格
明るく活発な性格で、ハキハキとしていて誰に対しても物怖じせず、自分の意志をはっきりと伝えるタイプ。(短編集1巻、125ページ、167~168ページ)
負けず嫌いな面も併せ持っており、自身が信じるものを阻む相手に対しては敢然と立ち向かおうとする行動力も身につけている(原作2巻、272ページ、第二楽章前編、173ページ、短編集2巻、96ページ)。さらに面倒見も良く、空気を読むことにも長けており、かつ人情の機微にも敏感である。(短編集1巻、245ページ、第二楽章前編、251ページ)
そのような優子のことを、直属の先輩である中世古香織は「優しい子」と評している。(短編集2巻、98ページ)
活発で気立てのいい性格に可愛らしい容姿も相まって、北宇治高校に進学した当初は男子生徒に人気があった。しかし、”犬猿の仲”である夏紀や、憧れの先輩である香織が関わると、やたら短気になったり冷静さを失う面を露わにしてしまう(それについては本人も認めている。※原作2巻、212ページ)。その影響もあって、本作の主人公である黄前久美子からは一時「感情的で恐い先輩」と思われていたり、また、優子に積極的に関わろうとする男子もあまりいなくなった。しかしそれでもなお、たまに男子生徒から告白を受けている。(短編集1巻、124ページ)
基本的には裏表のない素直な性格の持ち主であり、彼女に対する周囲の信頼は厚い。また、リーダーシップやイニシアチブ(掌握術)にも秀でているため(短編集1巻、219ページ、原作公式ガイドブック、30ページ)、のちには吹奏楽部の部長にも指名されている。
その他
- 声を担当している山岡ゆりも中学時代から高校時代にかけて吹奏楽部に所属しており、トランペットを担当していた。Webラジオ(『境界の彼方 ふゆかいラジオ』ニコニコ生放送スペシャル 2013年12月30日放送分)でも素晴らしい腕前を披露している。ちなみに、彼女は中学時代は吹奏楽部の部長を務め、高校時代には吹奏楽コンクールの全国大会に出場し、同大会で金賞を受賞した経験がある。(NHK『沼にハマってきいてみた』 2019年3月20日放送分)
- 好きな食べ物はコロッケ。さつまいもの入ったものがお気に入りであるほか、夏紀といがみ合うきっかけを作ったのも購買のコロッケパンであった。(短編集1巻、131ページ、第二楽章前編、44ページ)
- 定期演奏会の希望曲を部員たちから募った際には、「ヤングマン」や「学園天国」といったJポップの吹奏楽編曲版を推している。(原作公式ガイドブック、31ページ)
演奏技術
担当楽器であるトランペットの実力に関しては、原作小説においても特に描写がないため具体的には不明だが、中学時代から強豪の吹奏楽部で活動してきた楽器経験者であり、さらに吹奏楽コンクールに向けたメンバーを選出するオーディションにも合格していることから、それ相応の実力を持っているものと見積もられる。
また、優子は同級生の鎧塚みぞれに対して「トランペットを吹くことが好き」と胸の内を明かしているほか、重ねて「高校卒業しても、大学行っても、楽器は続けたいと思ってる」と述べている。(短編集1巻、170ページ)
彼女が使用するトランペットのモデルは、YAMAHA YTR-850S。香織が使用しているYTR-850と同シリーズの銀メッキ仕様で、癖のないサウンドと快適な吹奏感によってジャンルを問わず愛用されている人気モデルである。(『「響け!ユーフォニアム」北宇治高校吹奏楽部 体験ブック』 株式会社ヤマハミュージックメディア 2016年7月10日発行 10ページ)
部内における活躍
自由曲のソロパートを巡る争い(TVアニメ版1期7話~1期11話)
北宇治高校吹奏楽部のコンクール自由曲である「三日月の舞」には、トランペットのソロという大きな見せ場が存在する。(なお、原作小説及びコミカライズ版の自由曲である「イーストコーストの風景」の第2楽章にはコルネットのソロが登場する)
パートリーダーを務める3年生の香織、新しく入ってきた1年生の高坂麗奈のふたりがソロの練習に励むなか、優子は敬愛する3年生の香織を応援していた。反面、1年生の麗奈に対しては少し疎ましく思う面を見せており、ソロパートの練習をする麗奈を見ながら「これ、ソロパートのところじゃないですか。香織先輩がいるのに……」とむすっとする様子を見せていた。(TVアニメ版1期7話)
ソロパートの演奏者を含むメンバー選抜オーディションの結果、自由曲のソロパートはパートリーダーの香織を差し置く形で麗奈が担当することになった(原作1巻、252ページ、TVアニメ版1期9話)。パートリーダーの香織が選ばれなかったことに納得がいかない優子であったが、当の香織は既に結果を受け入れており、私情よりも部活とパートの調和を優先する姿勢を見せていた。
そのようななか、ホルンパートの交わしていた噂話から顧問の滝と麗奈が知り合いであったことを知った優子は、滝に面と向かってオーディションに贔屓があったのではないかと問い詰める。麗奈と面識があったことを認めた滝に、優子はなおも勢いづくが、それを滝への侮辱と受け取った麗奈によって制止される。
滝を守ろうとしてオーディションの絶対的な正当性を主張する麗奈に対し、香織の側に立つ優子は頬を怒りに染めながら麗奈につかみかからんとする勢いで詰め寄る。この両者の対立はいさかいを収めようとする香織の叫びによって収拾したものの、発端となった滝と麗奈に対する不信感は、不和という形で次第に部内全体に広まっていくこととなる。部内全体に蔓延した不信感を解消するべく、滝はオーディションの結果に不満がある部員を対象として公開型の再オーディションを提案し、これに本心ではソロパートを諦めきれていなかった香織が参加を希望した。(原作1巻、293ページ、TVアニメ版1期10話)
香織の再挑戦を喜ぶ優子であったが、香織と麗奈のあいだにある絶対的な実力差については認めざるを得なかった。優子は、先輩である香織に有終の美を飾ってもらいたいと願うがために後輩の麗奈に向かって「ソロパートを譲ってほしい」と頭を下げて頼み込むなど、演奏それ自体での決着を望む香織の思惑から外れた行動をとるようにもなる。学年の差と実力の差、それぞれに対する想いが交錯するなか迎えた再オーディションにおいて、香織は努力相応の素晴らしいソロを披露する(原作1巻、295ページ)。しかし、続く麗奈はそれを覆しうるほどの演奏を見せつけ、挑戦者の香織や優子たち聴衆を圧倒した。自らの実力のすべてを出し切り、部員たちの見守るなかで麗奈との実力差を示すことのできた香織は、「ソロは、高坂さんが吹くべきだと思います」と後悔のない本心からの言葉を告げる(原作1巻、297ページ)。そして、そのような心からトランペットを愛するがゆえの決断を下した香織の姿を前にして、優子は人目もはばからず号泣することになる。(TVアニメ版1期11話)
希美の復帰騒動(TVアニメ版2期1話~2期4話)
吹奏楽コンクール京都大会(府大会)において金賞を受賞し、あわせて関西大会(支部大会)への代表校にも選出された北宇治高校吹奏楽部に、かつての部員であった傘木希美が復帰を願い出るために訪れるようになる。彼女の直談判は部活の終了後を見計らって秘密裏に行われていたが、やがてその一件は部内の噂となり、優子や部長の小笠原晴香たちの知るところとなる。優子は希美のかつての親友である鎧塚みぞれにも「希美が復帰したがっている」という噂を知らせるが、その話を聞いたみぞれは嬉しがることはなく、逆に何かを拒絶するかのように表情を強張らせることになる。(原作2巻、86ページ、TVアニメ版2期1話)
希美が復帰の許しを得たい一番の相手である副部長の田中あすかが一向に許可を出さないため、彼女の復帰をめぐる一件は膠着状態に陥っていた。希美の親友であるみぞれが彼女に対してトラウマを抱いていることをよく知っている優子は、希美とみぞれの接触によって彼女が取り乱すことを防ぐために、希美の復帰を支える側にいる夏紀と口論を巻き起こす日々を送っていた(TVアニメ版2期3話)。しかしある日、偶発的な出来事によってみぞれと希美が鉢合わせてしまう事態が生じ、パニックを起こしたみぞれは行方をくらましてしまう。その場に駆けつけた優子はみぞれを追いかけようとする希美を取り押さえるが、状況がつかめない夏紀に「ちょっと! 希美が何したっていうの!?」と制止される。その際に、優子は逆に「何もしてない…… だから怒ってるの!」と、みぞれに何の誘いもかけないまま部を去り、彼女に強いトラウマを植えつけてしまった希美に対する憤りをあらわにしている。(原作2巻、251ページ)
そして、事態の一刻も早い収拾を図ろうとする優子は、みぞれのことをよく知る後輩である久美子とともに手分けしてみぞれを探し出すことになる。
物理講義室のなかで久美子に真相を語るみぞれの姿を認めた優子は、とっさに彼女のもとへと駆け寄る。自分には希美しかいないと語り、優子がこれまで優しくしてくれたのも単なる「同情」によるものだったと主張するみぞれのことを激しく叱責しながら、優子はみぞれに「本当に希美のためだけに吹奏楽続けてきたの!?」と問いかける。かつての退部していった部員たちを思い、これまでのコンクールでの躍進を心から喜べなかったと語るみぞれに、優子は「いいに決まってるじゃん!」と即答するとともに、「だから、笑って」と心からの言葉をもってみぞれに語りかける。
感極まったみぞれは溜めていた想いをすべて吐き出すようにして泣き崩れ、希美と向き合って真実を知ることを決意する。
希美の本当の気持ちを知ったみぞれが彼女と和解したのち、優子は夏紀とともにみぞれにとっての希美がいかに大きな存在だったかを語り合う。その際に、夏紀は「みぞれには、アンタがいてよかったと思うよ」と、希美が退部したころからずっとみぞれを支えていた優子の働きを称賛する言葉をつぶやき、それを受けた優子は照れ隠しで夏紀を茶化しながらその場を立ち去ることとなる。(原作2巻、272~274ページ)
(なお、副部長のあすかも希美の不在間に優子が果たした役割を「みぞれにとっての保険」という形でありながらも高く評価している。※原作2巻、275~276ページ)
関西大会当日(TVアニメ版2期5話)
吹奏楽コンクール関西大会(支部大会)の本番前、舞台袖越しに聴こえる全国常勝校の明静工科高校吹奏楽部の圧巻の演奏を前にして、北宇治高校吹奏楽部の部員たちは出場校のレベルの高さに恐れおののいていた。
トランペットパートのリーダーである香織もそのなかのひとりであり、彼女は今日の舞台での演奏を最後の機会であると意識し、傍らに立つ優子に「これからも部のこと、よろしくね」と引退後の部活を託そうとした。あわせてパートのメンバーたちに対してもこれまでついてきてくれたことに対する感謝を述べようとするが、優子はそんな香織を遮って「違います! ここで終わりじゃありません!」と口を挟み、「私たちが目指しているのは全国です! 私たちは香織先輩と一緒に全国に行くんです!!」と続けながら人差し指を伸ばした右手を高らかに掲げている。
これを見たトランペットパートのメンバーたちも優子に倣って右手を上げ、つられるようにして傍にいた久美子や麗奈たちも同様のポーズを決めた。香織も同パートの笠野沙菜に名前を呼ばれて促され、微笑みながら「行きましょう、みんなで全国へ!」と声高に宣言している。
部長としての優子
部長就任~3月末まで
TVアニメ版2期13話の冒頭では、3年生引退後の新体制の要である次期部長・副部長の選出を取り扱っている。(準拠元の原作としては短編集1巻の「新3年生会議」が相当)
北宇治高校の吹奏楽部では、部長と副部長の選出は前任者からの指名制であり(ただし、指名された本人には拒否権がある)、指名された次期部長が新体制の役職を決める新3年生会議の議事進行を担う決まりになっている。また、同会議において指名に関して異議がなければ正式に部長、副部長の就任が決定するシステムにもなっている。
なお、優子の部長指名はあすかにより行われた模様だが、副部長については新3年生会議の当日まで候補者は伏せられていた。(第二楽章後編、376~377ページ、378ページ)
優子の次期部長就任に関しては、新3年生(現2年生)のあいだでも特に異議はなかったものの、続いて夏紀の副部長指名が明らかになると、優子は一応の反発を示し、後藤卓也も「あの人(※前任者である田中あすか)、完全に面白がっているな……」と頭を抱えている。結局、副部長の選定を覆す決定的な反対票が挙がらなかったこともあって夏紀の副部長が確定し、優子・夏紀による新体制が始まることになった。
部長としての優子は大人数の部員の統率に腐心し、そのため険しい表情を浮かべることも多くなったが、一方で優れた統率力を発揮し、部内会議の議事進行も円滑に進めている(※ただし、夏紀のツッコミが入ると、進行を中断して言い争いを始めることもある)。久美子によれば、3月に行われた立華高校との合同演奏会のころには、部員たちのあいだでも優子の部長というイメージがすっかり定着してきている。(原作公式ガイドブック、107ページ、177ページ)
かかる優子が掲げる北宇治高校吹奏楽部の目標は「全国大会金賞」の獲得であり、当該目標を単なるスローガンに終わらせないように部長としての職務に励んでいる。また、部長としての彼女の姿を同級生の鎧塚みぞれは高く評価しており、「優子は頑張ってます。すごく」や「安心して、大丈夫です」等と、先代の幹部職であった小笠原晴香や中世古香織たちに熱心に語っている。(原作公式ガイドブック、48ページ)
4月以降~コンクールシーズン
新入部員の加入により新体制が本格的に始動すると、改めて「全国大会金賞」を部の目標に掲げ、この目標を口先だけのものにしないように部員たちに一致団結を呼びかけている。(第二楽章前編、72~76ページ)
部長としての統率力も十分に発揮しており、後輩である麗奈も「アタシさ、優子先輩って結構部長に向いていると思うねんな」と久美子に評している(第二楽章前編、29ページ)。また、5月に行われたサンライズフェスティバルではドラムメジャーを務め、パレードの本隊を先導している。(第二楽章前編、172ページ、219ページ、劇場版『誓いのフィナーレ』)
しかし、周囲に頼ることをよしとしない性格が災いし、部長としてのあらゆる仕事を抱え込んでしまうという負の面も徐々に顕在化するようになる。副部長である夏紀や新入生指導係の加部友恵たちはそのような優子のことを心配しており、夏紀は口頭注意と実力行使による優子の舵取りを、友恵は「優子が抱えている仕事をぶんどってこようかな」と役職の新たな役割分担を模索する形でそれぞれ動きを見せている。
上記の通り、部の目標として「全国大会金賞」を掲げているものの、前年度のコンクールシーズンにおける上級生と下級生の対立等の反省を踏まえたことにより、今年度は部内の融和を重視し、部員の一人ひとりが無理をせずストレスがない形でベストな状態を実現しようとしている(第二楽章後編、178~179ページ)。その結果、局地的なトラブルはあるものの、前年度のように部内に決定的な亀裂が走る事態は起こらず、部員たちはあまりストレスを感じることなく活動できている。しかし、上記の部内の状態について麗奈は「いまの北宇治は、少しずつの妥協が積み重なっている」と不安を感じており、また、久美子もこれまで見てきた部長としての優子の働きぶりから、ほかの部員たちが負うべき負担も優子がたったひとりで背負っているのではないかと危惧している。(第二楽章後編、213ページ)
吹奏楽コンクール関西大会以降
競争ではなく融和をもとに団結を図った北宇治高校吹奏楽部は、万全の体制のもとに関西大会の本番を迎える。部員の誰しもが完璧な演奏であったと確信を抱くその演奏は、コンクールの審査員たちから「金賞」と評されるものであったものの、”全国常勝”の雄である明静工科高校と秀塔大学附属高校、そして今年度に特別顧問を迎え入れた新興勢力である龍聖学園高等部の演奏にはあと一歩及ばず、部員たちの想いも空しく全国大会への代表枠から外れてしまうことになる(第二楽章後編、328ページ、330ページ)。明確に突きつけられた「ダメ金」という現実に、部長である優子はショックのあまり退場後に泣き崩れるが(第二楽章後編、356ページ)、部長として皆の前に立ってからはそのような顔を一切見せず、「何落ち込んでんの? 私らはあの瞬間、間違いなく最高の演奏をした。そうやろう?」とうなだれる部員たちに発破をかけるとともに、「北宇治は、ここで終わりなんかじゃない。たったいま、今日という日は、来年のコンクールに向けての一日目。明日からの練習は、切り替えてやっていきましょう!」と、部員たち一人ひとりを未来に向けて強く奮い立たせている。(第二楽章後編、333~334ページ)
関西大会から数週間後、優子は改めて部員たちの前に立ち、北宇治高校吹奏楽部が全国大会に進めなかった要因をまとめ上げる。新興勢力である龍聖学園高等部の成長速度を甘く見て、今年は全国大会の枠に絡むことはないだろうと高をくくっていたこと、カリスマ的指導者である滝の統率力を過信し、今年もまた全国大会に出れるだろうと無意識のうちに安心しきっていたこと、そして、融和を重視するあまり対立や競争を潰し、結果として全国大会を目指すという「バチバチとした貪欲さ」を部全体と部員たち一人ひとりの双方が忘れてしまったことの3点を主要な反省点として挙げた優子は、これまで指導者と練習環境に恵まれていたためにあまり目を向けていなかった「部員一人ひとりの実力」に着目し、この底上げを図るために部としてアンサンブルコンテストに出場することを部長としての最後の活動方針として定めている。(第二楽章後編、340~345ページ)
引退後と部員たちからの評価
部長としての評価は非常に高く、久美子や麗奈、秀一をはじめとする主要登場人物たちからは、優子が部長でよかったと心の底から感謝されている(第二楽章後編、349ページ、356ページ)。また、中学時代に吹奏楽部の部長を経験していた希美からも、「理想的な部長だった」と評されている。(短編集2巻、136ページ)
また、優子は自身が引退してからも、「新部長が心配」とたびたび新体制の吹奏楽部に顔を出しており、アンサンブルコンテストの部内予選に向けて腕を磨く下級生たちの技術指導を兼ねて本選出場に絡まない管打六重奏を組んで練習にあたっている。(短編集2巻、229~236ページ、242~243ページ)
卒業後
北宇治高校を卒業後、優子は夏紀や希美と同じ大学に通う予定で、かつ希美と夏紀は自宅から通学することから、進学先の大学は少なくとも遠隔地ではない模様である。また、優子は卒業後に自宅を出てひとり暮らしを始める予定であるとも語っている。(短編集2巻、12ページ)
主要キャラクターとの関係
中世古香織
トランペットパートのリーダーを務めるひとつ上の先輩。3年生。
優子は香織のことを「香織先輩」と呼んでおり、対する香織は「優子ちゃん」と呼んでいる。
香織の信者を自称するほどに彼女を一途に心酔する優子は(原作2巻、212ページ)、同じパートの同級生である加部友恵と一緒になって「香織親衛隊」なるファンクラブも結成している(『響け!ユーフォニアム』DVD&BD7巻ブックレット、5ページ)。香織への心酔ぶりを示す一例として、新しく入ってきた新入部員に対して楽器紹介をする香織を見ながら「香織先輩、今日もチョー美人!」と両頬を押さえて悶えていたり(TVアニメ版1期2話)、サンライズフェスティバルにおけるパレード用のコスチュームを配られた際には「きゃあああああ!先輩可愛いいいい! マジエンジェル!」と絶叫し、一緒に写真を撮るよう懇願したりもしている。(原作1巻、116ページ、TVアニメ版1期5話)
そのような香織への心酔は彼女の部活引退後も醒めることはなく、部長就任後初となる定期演奏会のパフォーマンスに際して乙姫役を担当することになった優子は、衣装合わせのときにも香織の乙姫姿を想像して頬を赤らめており(原作公式ガイドブック、90ページ)、卒業式の日、優子は香織の制服のスカーフを握り締めながら彼女の胸に顔を埋めており、香織に頭を撫でられながら「部長でしょ、しっかりしなきゃ……」と語りかけられてもいる(TVアニメ版2期13話)。また、その後の立華高校との合同演奏会当日、すでに卒業生となった香織があすかや晴香とともに姿を見せると、優子は部長という立場を忘れて香織に黄色い悲鳴を上げ、彼女が香織の熱狂的な支持者であるという忘れかけていた事実を部員たちの胸中に思い起こさせたりしている。(原作公式ガイドブック、176~178ページ)
その言動等から誤解されがちであるが、彼女が香織を好きなのは、ただ外見が愛らしいからというだけではなく、実際はもっと深い理由によるものである。
久美子たちが入部する1年前、やる気のある当時の1年生(今の2年生)のグループが当時の3年生(今の卒業生)たちと衝突を起こし、次々と退部する事件が起きた。優子もその「やる気のある1年生のグループ」のひとりであり、同じグループの同級生たちが当時の部の状況に失望し、見限りをつけて次々と辞めていくなかで、優子自身も辞めるかどうかで悩みを抱えていた。そしてそのときに「部活続けようよ」と引き留めて応援してくれたのが、当時2年生だった香織であった(原作2巻、212ページ)。また、香織は当時の怠惰な3年生部員たちに対して「1年生を無視するのをやめてください」と頭を下げるなど部内の環境調整にも奔走しており、その部活に対する自己犠牲的な姿勢もまた、優子が香織に強く惹き込まれる一因となっている。(TVアニメ版1期10話)
そのため、優子の香織に対する敬愛の念はこの物語を通して決してブレることはなく、また、香織がいかに優れた人物であるかを他者に伝えることにも何ら抵抗は持っていない。(短編集1巻、169ページ)
中川夏紀
ユーフォニアムを担当する同級生。2年生。
優子と夏紀は互いに「アンタ」「アイツ(コイツ)」等と呼び合っている。
優子と同じ南中学校の出身であるが、互いに知り合ったのは北宇治高校へ進学してからである。互いに反りが合わないと断言し、自他ともに認める”犬猿の仲”の間柄であるものの、その実互いに相手のことを認め合う関係でもある。(短編集2巻、136ページ)
その不仲ぶりはTVアニメ版でも、優子が楽器を背負った夏紀を無理やり押しのけて通ったり(TVアニメ版1期7話)、あるいはTシャツのデザインを巡って言い争ったり(TVアニメ版2期2話)、また、北宇治高校の文化祭の時に夏紀が優子にサービスと称して生クリームなどを山盛りにして原形をまったく留めていないいちごクレープを提供したりするシーン(TVアニメ版2期6話)等に見て取ることができるが、その一方であがた祭りに一緒に遊びに出かけるシーン(TVアニメ版1期8話)も登場するなど、必ずしも互いに避けているということはない。
また、その不仲ぶりは優子と夏紀がそれぞれ新部長・新副部長へ就任してからも変化がなく、ふたりの争いは新体制が発足してからの部の日常風景と化し、久美子を含む部員の誰もが気にする様子を見せなくなっている(第二楽章前編、27ページ)。むしろ、同級生たちはふたりの不仲ぶりを面白がっている節があり、新体制発足後の定期演奏会においては、優子と夏紀は同級生たちの手によってコスプレをしたままふたりそろって歌を披露する羽目になってしまっている。
このようなふたりの関係は、同じ2年生の長瀬梨子に言わせれば「羨ましいほどに仲がいいふたり」。要するに“喧嘩するほど仲がいい”関係ということなのである。(※実際、肝心なところではふたりの息は合っている)
大学の志望校も同じらしく、夏紀は「大学でもずーっと友達だネ」と優子に揶揄を入れており、そんな夏紀に優子は「最悪」と返している。(第二楽章前編、284ページ)
新入生が入部して新体制が本格的に始動すると、部長として「全国大会金賞」を目標に掲げてあらゆる仕事を抱え込む優子を本気で心配しており、梨子の見立て通り、夏紀は突っ走りがちな優子にブレーキをかける役割を担うことになる。実際、夏紀が優子のために色々と動いていることは優子自身も認めており、「アイツ、ああ見えていろいろやってくれるし」と久美子に恥じらいながら語っており(第二楽章後編、214ページ)、また、別の場面では夏紀を意識しつつ「コイツ(※夏紀)みたいにこっちが文句言っても強引に止めてくれるやつが身近にいるといい。本気でアンタのことを想ってくれて、フォローしてくれるやつ」と久美子に語っている。(第二楽章後編、379ページ)
概要および2年生時
トランペットを担当するひとつ下の後輩。1年生。
優子は麗奈のことを「高坂」と呼んでおり、対する麗奈は「優子先輩」と呼んでいる。
吹奏楽コンクール京都大会(府大会)の前にソロパートの担当の件で、上記の通り優子は麗奈と一悶着を起こした。ただし、優子は麗奈の持つ高い実力については認めており、彼女の同級生である黄前久美子に対しては「本気で全国行こうと思うんだったら、上手い人が吹くべきだと思う」とその内情を明かしている。(原作2巻、216ページ、TVアニメ版2期3話)
自由曲のソロパートの問題が解決してからも麗奈とのあいだには少し微妙な空気が漂っており、関西大会への出場が決定してから数日後、ふたりのあいだの微妙な空気を感じ取ったみぞれから「仲が悪いの?」と問われた麗奈と優子は、「そうなんですか? 先輩」「さあ? どうなんだろうね、後輩」と答えた上で、「うふふ」「あはは」と互いに笑い合っている。そして、その場に居合わせていた久美子は背中に何か冷たいものが走るのを感じている。(TVアニメ版2期2話)
顧問の滝に亡くなった妻がいたことを知り、彼に対する様々な想いが込み上げて演奏にキレが無くなった麗奈を気にかけた際には、「ここんとこ、集中、切れているでしょ」と前置きをしつつ「香織先輩も心配してたから。何かあるなら話してよ。私じゃ、話しにくいかも知れないけど」と励まし、麗奈のモチベーションの回復に一役買っている。(TVアニメ版2期11話)
また、吹奏楽コンクール全国大会の表彰式における指揮者賞の授与の際、顧問の滝へかける声援(※出場団体の指揮者に対して賞が授与される際、各団体は指揮者を務める顧問に声援を送ることが慣例となっている)を決めておらずに部員たちがざわついているなか、誰ともなく率先して立ち上がった麗奈が「先生、好きです!!」と大声で叫んだ際には、「高坂、いまのはマジ、ファインプレーやった。ありがとう」と礼を述べている。(原作3巻、355~357ページ、TVアニメ版2期12話)
新体制発足~3年生時
部長への就任後、新体制発足後初の定期演奏会の当日においては、部員たちへの声かけのなかで「去年はいろいろあったけど、でも、それがあったからこそいまこうしてみんなとこんなふうに音楽ができてんのかなって思います」と述べ、その際にちらりと麗奈と視線を交えている。(原作公式ガイドブック、110ページ)
4月以降の新年度においては、優子と麗奈は良好な先輩・後輩の関係を築いており、新入生部員へのパート紹介の際には、パートリーダーを兼務する優子からトランペットの紹介を委ねられている(第二楽章前編、45~46ページ)。また、麗奈の口から何かと優子の名前が出てくることも多くなっている。
さらに、麗奈は優子に関して突っ走りがちな面があることを認めつつも部長職に適していると評しており、傘木希美が優子とあすかを比較した際には麗奈は憮然として「優子先輩は有能やと思いますけど」と反論し、希美を驚かせている(第二楽章前編、283ページ)。なお、麗奈とは部のあり方をめぐって意見が対立することがあるものの、1年前の場合とは異なり、互いの考え方は理解している模様で、久美子たち周囲から見て喧嘩のように映っても、麗奈は「優子の立場などに理解を示しつつ意見を述べているだけ」として喧嘩であることを否定している(第二楽章後編、178ページ)。優子もまた、麗奈の持つ音楽的な実力を高く評価しており、自身の引退後には彼女を部内の人間関係に悩ませることなく、音楽関係に専念させるようなポジションにつかせたいと考えている。(第二楽章後編、377ページ)
そして、コンクールシーズンが終わるころになると、麗奈は「アタシ、優子先輩が部長で良かったと思ってる」と噛み締めるように語っている。(第二楽章後編、349ページ)
黄前久美子
本作の主人公であり、吹奏楽部のひとつ下の後輩。1年生。
優子は久美子のことを「黄前(黄前さん)」と呼んでおり、対する久美子は「優子先輩」と呼んでいる。
上記の通り、麗奈とのあいだで一悶着あったこともあり、その友人でありつねに麗奈の側にいた久美子に対しても何かしら思うところがあったようで、吹奏楽部の夏合宿のとき、夜中に偶然出逢った久美子に対しては「げ」とあからさまに顔をしかめたりしている。(なお、TVアニメ版2期3話では合宿時の久美子との出会いのシーンが原作小説と多少違っていて、優子と夏紀が傘木希美のことで議論を交わしているのを久美子が立ち聞きし、それが優子に見つかるという流れになっている)
その後、優子は久美子にジュースを奢りながら、香織を慕うようになった理由や吹奏楽コンクールに対する意識の持ち方など、様々な話題をふたりきりで話し込み、久美子はこれをきっかけとして優子を「いい人かもしれない」「憎めない人」と素直に思うようになり、以降の良好な関係の構築に繋げている(原作2巻、217ページ、TVアニメ版2期3話)。その後も、久美子と優子の絡みはしばしば見られるようになり、希美と鉢合わせて逃げ出したみぞれを手分けして探し出したり(TVアニメ版2期4話)、北宇治高校の文化祭で相席を求めた久美子に対して、夏紀に関する愚痴を語ったりもしている。
優子部長による新体制の発足後も、優子は引き続き久美子に目をかけており、みぞれの補佐役として定期演奏会係の担当に充てたり、加部友恵とともに新入生部員の指導係を任せたりしている。とりわけ、久美子が新入生部員たちに行うカウンセリングは評判がよく、優子からもその点を評価されて「黄前相談所」と呼ばれるようになる。また、優子も相談事をもちかける1年生部員に対して久美子に相談するように誘導している。(第二楽章前編、151ページ)
久美子もまた、吉川・中川体制の部活運営に関して、ときおり不安を感じることもあったものの、コンクールシーズンが終わるころには「優子が部長でよかった」という麗奈の言葉に心の底から同意するようになる。(第二楽章後編、349ページ)
鎧塚みぞれ
オーボエを担当する同級生。2年生。
優子はみぞれのことを「みぞれ」と呼んでおり、対するみぞれは「優子」と呼んでいる。
中学時代の吹奏楽部のころからの知り合いであるが、ふたりが親しくなったのは物語の1年前に起こった1年生部員の大量退部事件の後からであった(短編集1巻、167~168ページ)。優子は多くの仲間を一度に失った反動からみぞれのことを気にかけており、その様子はTVアニメ版の第1期、第2期でもたびたび映っている。一方のみぞれは、優子が自身に対して優しくしてくれているのは「私が可哀想だから」と捉えており(短編集1巻、172ページ)、関西大会の前に希美と鉢合わせて逃げ出した自身を追いかけてきた優子にそのような想いをぶつけている(原作2巻、262ページ)。しかし、当の優子は「誰が好き好んで嫌いなやつと行動するのよ! 私がそんな器用なことができるはずがないでしょ!?」という言葉のもとに、彼女の主張を強く否定している。
また、優子は上述のみぞれの騒動のあとも引き続きみぞれを気にかけており、吹奏楽コンクール全国大会の時には彼女にグータッチを勧めており、みぞれは優子の勧められるがままに久美子とグータッチを交わしている。(原作3巻、328~330ページ)
(なお、TVアニメ版ではこの時のみぞれのグータッチが優子に勧められたものかどうかについては触れられていない。余談だが、みぞれはこのグータッチを気に入ったらしく、本番演奏の終了後、希美やその他の部員たちにグータッチをして回っている。※TVアニメ版2期12話)
新体制の発足後は定期演奏会係となったみぞれの補佐に夏紀と協力して久美子を宛て、また、みぞれが定期演奏会のパフォーマンスに際して浦島太郎の亀役に立候補した際にはみぞれに付き合う形で優子は夏紀とともにそれぞれ乙姫役、浦島太郎役を担当することになった。
また、従来、希美が独占していたみぞれの心を優子の存在が少しずつかつ確実に占めつつあり、そのことを久美子もみぞれの言葉から感じ取っている。
傘木希美
1年生のときに吹奏楽部を退部し、その後、2年生の夏に復帰を果たしたフルート担当の同級生。2年生。
優子は希美のことを「希美」と呼んでおり、対する希美は「優子」と呼んでいる。
優子とは中学時代からともに吹奏楽部の活動に励んできた仲で、物語の1年前は「やる気のある1年生グループ」のメンバー同士でもあった。しかしながら、希美が吹奏楽部を退部する際に親友であるはずのみぞれにそのことを告げず、かつ、関西大会直前に騒動を起こすまでみぞれのことを放置していたことにより、優子は希美に対して「何もしてない…… だから怒ってるの!」と彼女の無頓着さに強い怒りを感じていた。(原作2巻、251ページ、TVアニメ版2期4話)
みぞれと希美の騒動の一件後、優子は夏紀、みぞれ、希美といった元南中学校出身の吹奏楽部の同級生4人と行動をともにすることが時々見られるようになる。しかしながら、この騒動のあと、優子と希美のあいだには距離があるためか、ふたりの直接的な絡みは見られない。もっとも、原作小説ではみぞれと夏紀を交えた4人組で行動している描写があるため、少なくとも現在のところは両者に目立った対立はない模様である。(原作2巻の関西大会および原作3巻)
なお、希美は上級生引退後の新役職会議において、優子の部長就任に同意の声を挙げている。(TVアニメ版2期13話)
吉川・中川体制の新年度においては、両者の直接的な絡みはなく、また、久美子の前で希美は部の運営能力に関してあすかと優子を比較してみせるなど、優子に対して好意的と見られる感情は抱いていない様子である。その一方で、優子による希美についての言及はないため、優子の希美についての考え等は不明である(※そのため、希美の方が部長としての優子について意識をしている節が見られる)。ただし、あすかとの比較は夏紀が優子の無茶な仕事ぶりをたしなめるために言い出したことであり、希美の発言は有能すぎる人間=あすかの実質的な後釜を担う優子をおもんばかったものであるとも考えられる。希美はこれを「あすか先輩の呪い」と称している。(第二楽章前編、283ページ)
なお、吹奏楽部を引退したあとの夏紀との会話では、希美は部長として振る舞うかつての優子の姿を思い出しながら「引退するその瞬間まで、彼女は理想的な部長だった」と評している。(短編集2巻、136ページ)
加部友恵
トランペットパートに所属する同級生。2年生。
優子は友恵のことを「友恵」と呼んでおり、対する友恵は「優子」と呼んでいる。
吹奏楽部は高校に進学してから始めており、入部当初、右も左も分からなかった初心者の彼女のために、優子は先輩である香織と一緒になって面倒を見ていた(第二楽章前編、251ページ)。そのため、現在では部活の内外を問わず優子とよく遊ぶ間柄であり(TVアニメ版1期8話、2期1話、2期2話)、とくに優子が部長になって以降は、あらゆる仕事を率先してこなそうとする優子のことを支えようとも考えている。
田中あすか
吹奏楽部の副部長とユーフォニアムを担当するひとつ上の先輩。3年生。
原作小説では直接の絡みはなく、あすかや優子の発言のなかで互いの名前が言及される程度である。
ただし、あすかは久美子、みぞれ、希美らのことをちゃんづけで呼んでいるのに対して、優子については同級生たちと同様に「優子」と下の名前で呼び捨てにしていることから、あすかと優子の距離感は近い様子がうかがえる。(※もっとも、TVアニメ版ではあすかは「優子ちゃん」と呼んでいる)
のちに優子が部長に指名された際の振る舞いには、夏紀や卓也をして「あすかを連想させるものがあった」ということから、無自覚ないし無意識にせよ、あすかの持つリーダーとしての手腕に少なからず影響を受けている様子である(短編集1巻、223ページ)。部長への就任後も、優子はあらゆる仕事を周囲にほとんど頼ることなくこなそうとしているが、その姿勢は彼女のあすかに対する意識によるものであることを夏紀や希美といった周りの部員たちに見透かされており、また、彼女自身もそのことを自覚している。(第二楽章前編、282~283ページ)
なお、優子を次期部長に指名したのはあすか自身であり、その理由として優子が「部長以外の役職につけない」ということを挙げている。あすかはこの点について、優子はよくも悪くもカリスマ性がありすぎ、トップ以外の場所に立つとトップが機能しなくなるという「無自覚な部活クラッシャー」としての性質を持っているからであると述べている。(短編集2巻、98ページ)
小笠原晴香
吹奏楽部の部長とバリトンサックスを担当するひとつ上の先輩。3年生。
優子は晴香のことを「部長」「小笠原部長」と呼んでおり、一方、晴香は夏紀たちのことを「夏紀ちゃん」というようにちゃんづけで呼んでいるのに対して、優子については同級生と同様に「優子」と下の名前で呼び捨てにしていることから、両者の距離は近い様子がうかがえる。(なお、あすかたち同級生とのあいだで話題に上がった際には「吉川さん」と呼んでいる。※短編集2巻、96ページ)
また、あすかの退部騒動において部員たちが動揺し、晴香が部員の前で自身の心情と決意を表明した際には、優子は後輩部員を代表して真っ先に動き、彼女なりの言葉で晴香をフォローして励ましている。(原作3巻、82ページ、TVアニメ版2期7話)
もっとも、晴香は優子に関して晴香自身よりも部長という役職に適していることを認めつつも、優子の視野がいささか狭い点や自身が信じる正義にこだわり過ぎる点、そして周りが心配になるほど頑張り過ぎるところ等に不安を感じており、あすかとは対照的に優子を部長に就かせることに反対していた。(短編集2巻、96ページ)
長瀬梨子
低音パートでチューバを担当する同級生。2年生。
優子は梨子のことを「梨子」と呼んでおり、対する梨子は「優子」と呼んでいる。
北宇治高校に進学してからの友達であり、吹奏楽部の新入部員に対する楽器振り分けの日に、優子のほうから声をかけてきたことが知り合ったきっかけである。(短編集1巻、125ページ)
初対面時における優子の梨子に対する印象は「美味しそう」であり、一方、初対面にも関わらず親しげに接してくる優子に対して梨子が抱いた印象は「変な子」。 現在では互いに友達と思っているが、梨子は自身と優子の親密度について、優子と夏紀のそれには及ばないものと考えている。(短編集1巻、135ページ)
トランペットパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)
関連イラスト
冬制服
夏制服
パレード衣装(サンライズフェスティバル)
私服姿(あがた祭り)
Tシャツ姿(プール)
部屋着(夏合宿)