プロフィール
名前 | 小日向夢 |
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誕生日 | 12月12日 |
身長 | 157cm |
星座 | 射手座 |
血液型 | A型 |
担当楽器 | トランペット |
好きな色 | 灰色 |
趣味 | ポエムを書くこと、自己嫌悪 |
特技 | 歴代の総理大臣の名前を全部言える |
好きなもの | 冷凍みかん、可愛い文房具、トランペット |
嫌いなもの | 缶詰のみかん、自己啓発本、目立つこと |
CV | 南真由 |
概要
北宇治高校の女子生徒で、主人公の黄前久美子のひとつ下の代にあたる新1年生。吹奏楽部に所属し、トランペットを担当している。
三つ編みに結われたサイドテールとハーフリムの眼鏡が特徴で、己に引け目を感じて殻に閉じこもろうとする臆病な性質の持ち主である。しかし、中学時代から続けているトランペットの実力は1年生部員たちのなかでも群を抜くレベルにあり、2年生の先輩である高坂麗奈も彼女の持つ演奏技術を高く評価している。
夢はもともと北中学校(大吉山北中学校)の出身であり、同校の吹奏楽部で久美子や麗奈たちと一緒に活動していた過去を持っている。北宇治高校に進学し、ほかにやりたい部活もなかったために消去法で吹奏楽部を続けることを選んだ彼女は、吹奏楽コンクールの”全国金賞”を目指そうと奮起する部活のなかで、持ち前のハイレベルな演奏技術と引っ込み思案な性格によって波乱な軌跡をたどることになる。
人物
容姿
サイドに結わえた黒髪の三つ編みを胸元に垂らし、シンプルなデザインのハーフリム(ナイロール)の眼鏡をかけた、おとなしそうでどこか頼りなさげな印象を漂わせる女子生徒(第二楽章前編、31~32ページ、第二楽章後編、22ページ、225ページ、347ページ)。また、普段は楕円(だえん)形のレンズに遮られている垂れ下がった眉尻や肩身が狭そうに丸まった小さい背中、膝をすっぽりと覆い隠すほどのスカート丈など、夢を構成する一つひとつのパーツは彼女自身の気の弱さを表すようなものとなっている。(第二楽章前編、35ページ、第二楽章後編、26ページ、272ページ、短編集2巻、213~214ページ)
なお、中学時代の彼女は現在の印象とは打って変わって快活そうな雰囲気をまとっており、高校に進学してからの変わりぶりに同じ中学校出身である久美子は首を傾げている。(第二楽章前編、82ページ、第二楽章後編、26~27ページ)
性格
自信のなさゆえに目立つことが苦手で、何かにつけて己の殻に閉じこもろうとする臆病な性格の持ち主(第二楽章後編、178~179ページ、369ページ、短編集2巻、224ページ)。そのような陰鬱(いんうつ)で卑屈な気質のために自己評価はめっぽう低く、相手に気を遣いすぎるあまり自虐のスパイラルに陥ってしまうことも少なくない。(第二楽章前編、83ページ、第二楽章後編、270ページ、274ページ、277~278ページ)
なお、普段の彼女は他者に対して委縮する姿ばかりが目につくものの、気を許せると認識した場においては自ら進んで踏み込んでいくなど、意外性のある図太い一面を垣間見せることもある。(第二楽章後編、278ページ)
その他
- 得意な教科は日本史。歴代の総理大臣の名前を全部言えるという特技の持ち主でもある。(短編集2巻、30ページ)
- コーヒーをたしなむ際にはミルクや砂糖は入れず、「匂いが好きなので」という理由からブラックで飲んでいる。(第二楽章後編、273~274ページ)
- 劇場版『響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』では、尺の都合上原作小説にあった夢のエピソードはカットされているものの、キャラクターデザインと総作画監督を担当した池田晶子は彼女の設定に思い入れを持っていたことを公式パンフレット掲載の座談会で明かしている。(劇場版『誓いのフィナーレ』公式パンフレット、19ページ)
- 上述の劇場版『誓いのフィナーレ』のラストシーンであるコンクール帰りのバスの車内では、1年生の月永求に対してヘッドロックをかけながらふざける塚本秀一の愉快なやり取りを目の当たりにして、口元を押さえながら頬を赤らめる夢の様子が登場している。
演奏技術
中学時代からトランペットを続けている楽器経験者で、部内に40人以上いる1年生部員たちのなかでもダントツの実力を有している。(第二楽章前編、33ページ、212ページ、第二楽章後編、22ページ)
北中学校(大吉山北中学校)の吹奏楽部での3年間の活動を通して盤石な基礎を築き上げてきた夢は、高い音域の箇所を安定した響きで軽々と吹きこなし、ポルタメントをはじめとする高度で繊細な技巧もよどみなくつなげることのできる優れた腕前を持っており、その実力によって1年生でありながら吹奏楽コンクールA編成部門の出場メンバーにも選出されている(第二楽章前編、376~377ページ、映画『リズと青い鳥』)。低音パートの久石奏をはじめとする多くの1年生部員たちや2年生の高坂麗奈や黄前久美子といった実力派の先輩たちもまた、彼女の持つ技量を高く評価している。(第二楽章後編、22ページ、269~271ページ)
しかし、夢はトランペットを吹くことそれ自体は好きであるものの、全体での合奏練習や本番の舞台などでは、緊張による委縮によってそれまでの積み重ねである高い実力を活かせないでいる(第二楽章後編、178~179ページ、284ページ、364~365ページ)。それは生まれ持っての引っ込み思案な性格によるところもあるが、中学校3年生のときに臨んだ吹奏楽コンクールで「絶対に失敗しちゃだめ」と気負い過ぎるあまりにソロを外してしまったことによるトラウマも少なからず影響している(第二楽章後編、282ページ)。トランペットパートのメンバーのなかでも上位の実力を誇りながら「本番が怖い。自分のせいで誰かに迷惑をかけるかもと思ったら、頭が真っ白になる。目立つことが嫌なんです」と花形を任せられることを嫌う彼女の存在は、パートリーダーの吉川優子をはじめとする先輩たちの悩みの種となっている。(第二楽章前編、279~281ページ)
経歴
高校1年生時
北中学校から北宇治高校に進学した夢は、新たな学生生活を送るにあたり、中学から引き続き吹奏楽部に入るべきかどうかをためらっていた。中学時代の吹奏楽部においてトランペットの高い実力を獲得したものの、引っ込み思案な性格や過去の発表の際のトラウマなどによって周囲に引け目を感じ、楽器を吹く楽しさを見いだせなかったことがその理由であった。その一方で、高校から新たな部活を始めることに対しても気が進まなかったこともあり、彼女は結局消去法によって吹奏楽部を続けることを選択する。(第二楽章前編、31~34ページ)
体験入部期間の前にこっそりと吹奏楽部の楽器室をのぞき見た夢は、そこで同じ中学校出身の先輩である久美子を見かける。練習の最中であった久美子に見つかった夢はいっとき慌てふためくものの、そののち彼女から入部を希望するかどうかを問われたことにより、夢は確たる意志もなくなりゆきで吹奏楽部を選んでしまったという思いを明かしている。そして、北宇治高校での活動を通して成長した久美子の姿に接したことにより、夢は「吹奏楽部に入ったら、私も変われますかね」という憧れを覚えながら入部への意向を固めるようになっている。(第二楽章前編、34~37ページ)
(※なお、劇場版『誓いのフィナーレ』では、楽器室において久美子とやり取りをするキャラクターは久石奏に変更されている)
ほどなくして北宇治高校の吹奏楽部に入部を果たした夢は、中学時代に磨き上げられた実力のもとに1年生部員たちのなかでもダントツの腕前を発揮しており、オーディションを通して吹奏楽コンクールA編成部門の出場メンバーに選ばれたほか、顧問の滝昇からもトランペットパートの1st(ファースト)を担当してもらいたいと指示されるようになっている(第二楽章前編、376~377ページ、第二楽章後編、178ページ)。しかし、1stの座に1年生である自身がつくのは「荷が重すぎる」と尻込みした彼女は3rd(サード)への配置換えを希望し、その是非を巡ってパートリーダーの優子とエースの麗奈は衝突してしまう。最終的に優子の采配によって3rdを担当することになった夢だったが、自身の配置のためにパートのトップ奏者同士が揉める光景を目の当たりにしたことにより、「演奏でみんなで迷惑をかけたくないから」という逃げるような思いのもとにマネージャーへの転向を思い描くようになっている。(第二楽章後編、178~179ページ、279~280ページ、283ページ)
しかしながら、関西大会(支部大会)でコンクールへの挑戦を断たれてしまうという現実は夢の勝手な思いを許しはせず、次年度で全国大会への出場を果たすために部長である優子がとった施策の一環として、夢もまた演奏会でトランペットのソロを披露することになる。1stの座でさえも尻込みする夢にとって、曲中で任されるソロは鬼門中の鬼門であり、演奏会に向けた合奏練習のなかで失敗してはふさぎ込み、引け目を感じてまた失敗してしまうという負のスパイラルに陥ってしまう。夢はそのような自身を恥ずかしく思い、このまま消えてしまいたいという思いを次第に強くしてしまうものの、そんな彼女をこれまで献身的に支えてくれた先輩である加部友恵から叱責(しっせき)と応援を受けたことで一転して強く奮い立ち、エース奏者としての自覚を抱くようになる。(第二楽章後編、368~373ページ)
代替わり以降~高校2年生時
代替わりを経て「チーム黄前」による新体制の部が始まってからも、夢は奏者としての自信を身につけるために積極的な動きを見せており、アンサンブルコンテストへの出場に向けた部内予選が行われる際には先輩である麗奈に「中学のときからこの曲をやりたかった」と明かしながら管打八重奏(原作小説では『彩吹~Ibuki~』、特別編『アンサンブルコンテスト』では『フロントライン〜青春の響き〜』)の演奏への誘いを持ちかけるなどしている(短編集2巻、223~224ページ)。夢の期待どおり管打八重奏のメンバーはそろったものの、彼女を除くほかのメンバー全員が2年生であるほか、八重奏のトップ奏者である麗奈が厳しい指摘を繰り返していたために、八重奏の企画者である夢は練習の始終を通して肩身の狭さをあらわにしている(短編集2巻、213ページ、247ページ)。しかし、時には八重奏のメンバーかつホルンパートのリーダーでもある森本美千代と和やかなムードで会話したりするなど、奏者として周囲との交友の輪を広げる様子も垣間見せている。(短編集2巻、252ページ)
アンサンブルコンテスト部内予選をはじめとする数々の演奏のなかで、トランペットソロも含めた多くの場数を経験してきた夢は、翌年4月から始まった新年度の活動においても「優秀な奏者」として立派な活躍ぶりを発揮している。優子や友恵といった先輩たちと交わした約束をもとに先輩としての立ち居振る舞いを磨こうとする彼女は、コンクールメンバーを決めるオーディションの結果発表を堂々と受け止めたり、パートリーダーの麗奈からトランペットソロの座を奪取するべく練習に励んだりするほか、合奏中に注意されてうなだれるトランペットパートの後輩を肩を叩いてフォローしたりするなど、奏者としてのみならず人間的にも大きく成長するに至っている。(最終楽章前編、87ページ、318ページ、最終楽章後編、34~35ページ、267ページ、TVアニメ版3期7話)
主要キャラクターとの関係
加部友恵
トランペットパートに所属しているふたつ上の先輩。3年生。
夢は友恵のことを「加部先輩」と呼んでおり、対する友恵は「夢」と呼んでいる。
先輩相手に委縮することの多い夢が心を開きながら接することのできる数少ない部員のひとりであり、その楽しげな対話の様子から彼女たちの親密ぶりをうかがうことができる。(第二楽章前編、227ページ、第二楽章後編、199ページ、209ページ)
演奏者として周りに対する引け目を感じているという共通点を抱えている夢と友恵は互いに一緒に過ごすことも多く、夢はしばしば友恵に練習の腕前を見てもらったり、内に抱える不安を彼女だけに打ち明けたりしている(第二楽章後編、265ページ、348~349ページ、362~363ページ)。対する友恵は、夢の合奏時における委縮癖を解消するために「見えなくしてしまえば緊張しない」という発想のもとに眼鏡をはずして合奏に参加することを提案したりするほか(第二楽章後編、283ページ)、ソロを任せられた夢が合奏中に塞ぎ込んでしまった際には「失敗するの、そんなに怖いんか。なんもせんで、アンタはそうやっていつまでも誰かの陰に隠れてるんか」と夢のことを挑発しつつも、「アンタの演奏はめっちゃすごい。うちが保証する。だから、胸張っていっぺんやってみ。最高の演奏を、うちにちょうだい!」と、これまでつながってきた者同士だからこそできる励ましをもって夢のことを大きく奮い立たせている。(第二楽章後編、368~373ページ)
吉川優子
トランペットパートのリーダーを務めているふたつ上の先輩。3年生。
夢は優子のことを「吉川先輩」と呼んでおり、対する優子は「小日向さん」と呼んでいる。
気が強くて自分の意志をまっすぐ伝えるタイプの先輩である優子を前にすると、夢はとくに気を遣って縮み上がる傾向が多い。(第二楽章後編、226ページ)
一方、夢の合奏時における委縮癖を深く理解している優子は、吹奏楽コンクール(A編成部門)のメンバー選抜オーディションを経て夢が選ばれた際にも、彼女が1stを吹ける実力を持っていることを認識しつつもプレッシャーの負担が比較的小さい3rdのポジションを割り振っている(第二楽章後編、178~179ページ、279~280ページ、343ページ)。しかし、コンクールシーズンにおける一連の活動を通して部内の奏者一人ひとりがレベルアップする必要性を痛感した優子は、夢にも一人前の奏者になって演奏の最前線に立つことを求めるようになり、「北宇治は上を目指す。そのために、小日向さんに力を貸してほしい」と『テキーラ』のトランペットソロを吹いてもらうよう彼女に頼み込んでいる。(第二楽章後編、347~348ページ)
余談だが、劇場版『誓いのフィナーレ』の吹奏楽コンクール関西大会(支部大会)本番前のシーンでは、応援に駆けつけてきた卒業生の中世古香織にメロメロモードになった優子の豹変ぶりを目の当たりにした夢が愕然(がくぜん)とする様子が登場している。
高坂麗奈
トランペットパートに所属しているひとつ上の先輩。2年生。
夢は麗奈のことを「高坂先輩」と呼んでおり、対する麗奈は「小日向さん」と呼んでいる。
北中学校の吹奏楽部に所属していたころから直属の先輩・後輩の関係にあり、夢は自信にあふれていつも堂々としている麗奈に対して強い憧れを抱いている(第二楽章後編、275~276ページ、『新北宇治高校吹部紹介プロフィールカード(小日向夢)』掲載の紹介文)。一方の麗奈は、夢の持つ卓越した演奏技術を高く評価しており(第二楽章前編、81ページ、212ページ、第二楽章後編、22ページ)、コンクールシーズンの際には彼女の気の弱さを加味して3rdの座をあてがった優子の采配に「1stを吹かせるべき」として強く反発している。(第二楽章後編、25ページ、178ページ、279~280ページ)
黄前久美子
低音パートでユーフォニアムを担当しているひとつ上の先輩。2年生。
夢は久美子のことを「黄前先輩」と呼んでおり、対する久美子は「夢ちゃん」と呼んでいる。
北中学校の吹奏楽部で先輩・後輩としてともに活動していたこともあり、夢は久美子のことを知っていたものの、対する久美子は体験入部期間に夢と再会した際に、中学時代から変わった彼女の第一印象から顔と名前を思い出せず、それを受けた夢は「黄前先輩が私のことを気にも留めてないのは当然なんで」と落胆していた。(第二楽章前編、33ページ、83ページ)
夢は中学時代から先輩である久美子の様子を目にしてきているが、「吹奏楽部に入って変われるかどうかは、自分次第だよ」という彼女からのアドバイスや、新入生指導係の仕事をこなす姿などを通して、「いろんな人から人望があって、行動に軸があって、いまのほうがめちゃくちゃ輝いて見えます」と、中学時代からの変わりぶりを素直に称賛している。(第二楽章前編、35ページ、第二楽章後編、277ページ)
久石奏
低音パートでユーフォニアムを担当している同級生。1年生。
奏は夢のことを「小日向さん」と呼んでいる。
引っ込み思案で押しの弱い夢にとって、観察眼に長けて自身を演じることが上手な奏は「ねずみにとっての猫」のような恐怖の対象であり、夢は彼女自身の卓越した演奏技術を称賛しながらすり寄ろうとする奏に「ひえっ、私を褒めても何も出ませんよ。いったい何が狙いですか」などと涙目でおびえている。その反応を面白がる奏は事あるごとに夢に対してちょっかいをかけるようになっており、夢はその都度久美子をはじめとする先輩から守ってもらっている。(第二楽章後編、269~272ページ、最終楽章後編、37ページ)
関連イラスト
冬制服
夏制服
関連タグ
加部友恵 - トランペットパートのふたつ上の先輩。新入生指導係の3年生。
吉川優子 - トランペットパートのふたつ上の先輩。部長を務めている3年生。
高坂麗奈 - トランペットパートのひとつ上の先輩。夢が強い憧れを向けている2年生。
黄前久美子 - 低音パートのひとつ上の先輩。同じ中学の出身である2年生。