概要
ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険アイズオブヘブン』に登場するオリジナルキャラクター。本作のラスボスでもある。通称天国DIO。
「もし、エンリコ・プッチ神父ではなくDIO自身が「天国の行き方」を実行したとしたら?」「DIOが天国へ到達したらどうなるのか?」
そんな、読者が一度は考える「もしも」を現実にした存在であり、原作者である荒木飛呂彦自身が構想・デザインして形にしている。
例えるならジョジョの奇妙な冒険版超サイヤ人4状態のブロリーと呼んでも過言ではない……かも。
死人の如き青白い肌、腰まで伸びた長髪、顔に星形の模様が出ている事も特徴。
↑こんな感じ
正体
その正体は、並行世界のDIO。この世界のDIOは、ジョースター一行を返り討ちにした後、世界征服を成し遂げ、更にはスタンドを極限まで進化させていた。「聖なる遺体」の脊椎部を所持している。
劇中の活躍
ジョニィ・ジョースターから無限の回転を撃ち込まれたファニー・ヴァレンタイン大統領は、なんとか逃れようと並行世界を渡り続けていた。やがて彼が辿り着いたのは、「ジョースター一行に勝利したDIO」のいる世界だった。
DIOは大統領を『スタンド能力』によって助けた後、「基本世界」が存在することを知る。DIOは次の目標を基本世界の支配に決定。大統領を操り、更にはエンヤ婆やヴァニラ・アイスといった配下たちをジョースター一行にけしかける。そしてエンリコ・プッチ神父を自身の右腕に迎えた。
DIOはエンヤ婆を通じてジョースター一行が「聖なる遺体」を集めたことを知ると、自身が持つ脊椎部を利用し「遺体同士が引き合う」性質を逆手にとって基本世界へと入門する。居合わせた承太郎、ジョルノ、ジョニィの三人をあっさりと打ち倒し、その圧倒的な力を見せつけた。遺体の殆どを奪ったものの、承太郎の分だけは奪うことができず、トドメを指す前に遺体の効力によって承太郎たちはいずこかへワープしてしまった。
実は大統領は操られてなどいなかった。「国家と国民のために」動いていた大統領からすれば、天国DIOは脅威でしかない。そこでDIOに従う振りをして、彼を倒せる者たちを探していたのである。大統領は天国DIOの脅威をジョースター一行に伝えていたが、それをプッチに知られてしまう。DIOは自らの手で大統領を始末しに向かった。並行世界を逃げ続ける大統領に対し、能力を用いて自分のもとへ呼び出し続けた。圧倒的なスタンドパワーを前にした大統領は「たとえ遺体をすべて集めても勝てない」と恐怖する。そこでDIOは、改めて自分の配下にならないかと説得を行うが、拒否されたため大統領を殺害した。
天国DIOの能力とは「真実を上書きする」こと。この力によって大統領を消滅させ、更にはジョースターの仲間たちも洗脳していたのだった。
再びジョースターの血族との戦いになるが、仲間たちを洗脳して相手をさせ、戦力を分散させる。だが真の狙いは戦力の分散ではなく、ジョースターたちの魂にあった。ジョースターの血族は、困難に立ち向かうことでその魂の力を限界まで高める。「最大の強敵を前に仲間たちとの戦い」を起こさせることで魂の力を引き出し、能力を用いて彼らから魂を奪い取る。これがDIOの真の目的だった。
実は「上書き」するたびに多大な魂のエネルギーを消費する。そこでDIOは、ジョースターの血族と仲間たちの魂を取り込むことでパワーアップを計ったのだった(基本世界の侵略のために力が必要だった)。
最後は承太郎と一騎討ちとなる。同じタイプのスタンドのため、承太郎も「上書き」の能力に目覚めたが、DIOは絶対的な力で追い詰める。だがトドメを刺す瞬間、承太郎が所持していた「基本世界のDIOの腕輪」が「天国DIOの腕輪」に投げつけられ接触。二つの異なる世界の物体が衝突したことで破壊が起こり、DIOの片腕が巻き添えとなってしまう。その間隙を突いた承太郎の攻撃により、もう片方の腕も破壊されてしまった。
「上書き」するには物体を殴る必要がある。これに気づいていた承太郎は見事に逆転の策を成功させたのだ。一転して追い詰められたDIOは、血の目潰しを承太郎に見舞い、不意打ちで勝利を掴もうとする。悲しいかな、それは「承太郎に倒された基本世界のDIO」が取ったものと同じ行動だった。DIOの攻撃よりも承太郎の方が早く、オラオララッシュを打ち込まれ肉体が崩壊。この世界から消え去った。
言うまでもなく、天国DIOの最大の敗因は「承太郎を怒らせたこと」であった。
原作(基本世界の自分)と同じパターンで、承太郎の能力開花(スタープラチナとザ・ワールドが同じタイプのスタンド故に同じ能力を持つことに気づいた点)に動揺したり、目潰しで隙を作り殺そうとしたこと、原作と同じ台詞(例:『ジョースターというのは我が運命という路上に転がる……』など)で勝利への確信を露にしたことを考えると…
余談
劇中の描写から天国DIOは、原作の「我が運命に現れし天敵どもよ、さらば」のコマで平行世界の承太郎に止めを刺し、勝利したことが伺える。
そのため、スタープラチナもザ・ワールド(オーバーヘブン、時間停止能力の両方)とまったく同じ能力を持つこと、血の目潰しが通じないこと等にも気づかなかった。
原作ではこのコマで、承太郎の磁石を使ったトリックで、あたかも彼が止まったときの中を動けると錯覚したため(本当は一瞬だけ動けたが、実は動けないと見せかけるためのブラフとして利用した)、止めを刺すのを中断している。
知らなかったとはいえ、最後に残した承太郎を図らずも基本世界の自分と同じパターンで殺そうとした時点で、『承太郎に倒される』という真実を上書きできずに死ぬ運命だったのかもしれない。
また、皮肉にも彼の企みのおかげで、原作では死亡した花京院たちが生き残っていたり、塗り替えられた4部の冒頭部分で承太郎が6歳の徐倫を連れて杜王町にやってくるなど、彼らの近況が良くなった部分があるため、複雑なものもある。
↑一部の2次創作もまた、『アイズオブヘブン』の設定として、読者側の受け取り方が『上書き』されることになったりしている
スタンド:『ザ・ワールド・オーバーヘブン』
【破壊力 - 不明 / スピード - 不明 / 射程距離 - 不明 / 持続力 - 不明 / 精密動作性 - 不明 / 成長性 - 不明】
姿かたちは元のザ・ワールドと変わらず、体色の金と白が入れ違いになっている。
能力は「スタンドか本体が拳で殴った(触れた)ものにDIOの望む真実を上書きする」、すなわち現実の改変。
例えばDIOが「消す」と言う意思を持って殴れば、相手がどんな能力を持とうが問答無用で消滅する。
回復にも用いられ、DIOを文字通り一撃で殺さなければ何度でも復活する。
その他にも花京院典明やモハメド・アヴドゥルのように死んだ人間を蘇生したり洗脳するなど、非常に幅が広い。ちなみに洗脳に関しては触れる必要はなく、紫のオーラを任意の場所に発生させ、取りつかせて支配できる。どこにでも肉の芽を送り込めるようなものである。
この能力を考えると、おそらくこのDIOは吸血鬼としての再生能力とそれ故に太陽が苦手という弱点も、オーバーヘブンの力で上書き…つまり以前と異なり、昼でも活動可能である可能性がある。
その執行力は同様の性質を持つゴールド・エクスペリエンス・レクイエム(GER)、タスクact4すらも上回り、彼らの攻撃を無効化している。
実の息子であるためかジョルノ・ジョバァーナのGERとは「真実」に関係した真逆の性質を持っており、それ故にオーバーヘブンの能力に一番早く気付いたのもジョルノだった。
一方で弱点も多く、膨大な「魂のエネルギー」を消費する上、次に能力を使えるようになるまでの時間も非常に長い。
DIOが拳を使えないと当然ながら意味をなさず、プッチ神父のように進化前の能力が消えるのか、元々のザ・ワールドが持つ時間停止も使えない。
また、オーバーヘブンを以てしても「同じ世界に2つ以上同一の人物や物が存在すると消滅する」という、D4Cにおける平行世界の法則は無視できない。このことを知らなかったため、敗因の一つとなった。
関連タグ
ゴールデンフリーザ:同じくジャンプで連載されていた漫画の大物悪役の新形態。
ようじょりーん:元々は2次創作の一種だったが、『アイズオブヘブン』のエピローグで初登場を果たす。