CV:深見梨加(OVA版) / 高木早苗(ゲーム版) / 三輪勝恵(ASB版) / 鈴木れい子(TVアニメ版)
概要
本名はエンヤ・ガイル。一人称は「わし」。
DIOにスタンドの存在と能力の発現のさせ方を教えた張本人であり、彼女自身もスタンド使い。通称「魔女エンヤ婆」。スタンドは「正義(ジャスティス)」。
「ハングドマン(吊られた男)」のスタンド使いJ・ガイルの母親で、息子と同じく両手とも右手。
DIOに対しては忠誠心以上に神や悪魔の如く崇拝しており、DIOが自らの手でジョースター一行を始末しに行こうとした時は「あなたはそんなくだらんことをしてはいけない」と独断で7人のスタンド使いを差し向けていた。その振る舞いにはDIOも訝しんだのか「フン! 変わった老婆だ……お前の欲しいものはなんだ?」と真意を問うている。ただエンヤ婆が言うには「あなた様の側にいること。とてつもない守護霊(スタンド)の影響で送る変わった人生を見てみたい」と返し、裏表はないようである。
息子を異常なまでに溺愛しており、彼の死を悟った時は「心の清い誠実なお前が死ぬなんてさぞ卑劣な真似をされたんだろうね」と滂沱の涙を流したほどである。J・ガイルがどんな外道だったのかは言うまでもないが、おそらく後の第4部に登場する吉良吉廣同様、息子への狂った愛が善悪を凌駕する「子故の闇」なのであろう。ちなみにこの時、DIOには「息子を殺されて冷静さを失っている」と見られていた。また息子の実力も高く評価しており、7人もスタンド使いを送り込んでおきながら「息子の右腕がジョースター一行を始末する」とDIOに告げている(もっとも、光の速さで動くスタンドを的確に捕捉・討伐する芸当を実行できる人間等、真っ当に考えても「普通に存在しない」と帰結してもおかしくない為、彼女の評価自体は間違ってはいない)。
J・ガイルがポルナレフに妹の仇討ちで殺されて以降は、彼とジョースター一行、更には息子とコンビを組んでいたホル・ホースに対しても「息子を見捨てて逃げた」とし、逆恨みそのものの憎悪を示す。
ジョースター一行を始末すべく、パキスタンの小さなホテルの主を装ってホテルへと誘い込む。ホテルにはホル・ホースが先回りして合流するつもりだったようだが、上述の通り「息子を見捨てて逃げ出した卑怯者」としてスタンドで殺害する。しかしポルナレフがその騒がしさに気付いて様子を見に来た為、ホル・ホースの死体をベッド下に隠してやり過ごそうとするが、女性には老若問わず紳士的なポルナレフが必要以上に優しく接する為、はらわたが煮えくり返る思いを必死でこらえながら応対する羽目になる。
そしてポルナレフが、実は生きていたホル・ホースが這い出してきたのに気を取られた隙に、遂に本性を現して襲撃。ジャスティスの操る死体の軍団から逃げ出したポルナレフをトイレに追い込み、鍵穴から舌を傷つけるのに成功し、便器を舐めさせる屈辱を与えた。
だがホテルに誘った際、名乗ってもいないのに「ジョースター様」と呼んでいた事態に違和感を覚えていた空条承太郎が登場。エンヤ婆はしらを切ろうとするが、宿帳に「空条Q太郎」と偽名を書かれていたのに気づかず「承太郎」と呼んでしまい、正体が露見してしまった。
すかさず呼び寄せた死体の群れはスタープラチナのオラオラで全員吹っ飛ばされながらも、承太郎の左脚を傷付けるのに成功するが、霧であるスタンドの頭部をスタープラチナに吸引されて酸欠状態に陥り気絶し、敗北した。
承太郎達に「DIOのスタンド能力の手がかり」として生かされていたものの、上述の通り息子を失い冷静さを失ったことで、DIOからは見放されていたらしく、最期はDIOから口封じを命じられた鋼入りのダンによって「肉の芽」を埋め込まれ、体内から食い破られて死亡する。それでもDIOに対する忠誠心を失わず、彼のスタンドの秘密を守り通した。
ポルナレフも彼女の執念に敬意を表しており「復讐が復讐の連鎖を生んだ」事態に心を痛めたのか、彼女を憎み切れなかった。「妹の因縁もあって複雑な気持ち」と吐露し、そんな彼女を惨殺した鋼入りのダンの方に、激しい怒りを露わにしている。
さらに承太郎も命乞いをするダンに「ゆるしはてめーが殺したエンヤ婆にこいな……おれたちははじめっからてめーをゆるす気はないのさ」と言い放ち、エンヤ婆の仇を討つためにダンに渾身のオラオラをぶちかました。
ちなみに外伝小説『OVER HEAVEN』では、DIOがエンヤ婆に肉の芽を植え付けたのは“J・ガイルの死に正気を失ったエンヤ婆を落ち着かせる為、やむを得ず行った”扱いになっている。
その後はラストバトルでのDIOの回想に登場し、DIOにスタンドの使い方を教え、ザ・ワールドの能力についても把握していた事実が判明した。
DIOのスタンド能力は彼女がディアボロから買い取った「矢」によるものであり、それらは4部以降で重要なアイテムとなる。
即ち、エンヤ婆こそが世界中にスタンド使いを増やすきっかけになった人物である。
アニメ版5部のディアボロの回想では「発掘した矢の使い方を教える代わりに何本か売ってほしい」と彼女から持ち掛けてきた扱いになっている。
ハサミ1つでチャリオッツに反撃を許さない程のラッシュを放つ、ポルナレフに「ジョイナー(※)以上」と評される脚力等、老婆とは思えない程の驚異的な身体能力を誇る。
(※「フローレンス・グリフィス=ジョイナー」女史を指すと推測。1988年に陸上競技女子100m走及び200m走の世界記録を作り、今尚破られていない)
余談
彼女の名前の元ネタはアイルランド出身の女性歌手「エンヤ(Enya)」と思われる。「Anywhere is」「Only time」等々、日本でも彼女の楽曲の一部がテレビCM等で多数使われており「この歌声聞いた事ある! この声がエンヤだったのか!!」と驚く人も多いのではないだろうか。
また、2000年初頭ではヒーリングミュージックの代表格として扱われていた為、癒しからは程遠いこのキャラに名前が使われていた事実に、困惑した人も少なくないだろう。
OVA版アニメではジャスティスの能力で自身も若く美しい姿に擬態してみせており、ファンの一部からは「エンヤ姐」とも呼ばれている。もしかしたら彼女の若い頃の姿なのかもしれない。詳細は当該記事を参照。
スタンド 「正義(ジャスティス)」
「正義(ジャスティス)は勝つ!」
王冠を被った骸骨の姿をした、不気味な霧状のスタンド。詳細は当該記事へ。