僕はまだ「マイナス」なんだッ!
「ゼロ」に向かって行きたいッ!
概要
『ジョジョの奇妙な冒険』第7部「スティール・ボール・ラン」の主人公の1人。ジョニィ、もしくはジョーキッドの名で呼ばれるが、基本的には前者の方で統一されている。
調教師として米国三冠を7連覇するという偉業を果たした名調教師にして大牧場主のジョージ・ジョースターの子として生まれ、5歳の頃から騎乗の才能を見せ、わずか16歳でケンタッキーダービーを制覇するほどの天才ジョッキーだったが、有名になるうちに兄のニコラス・ジョースターの死や父の言葉もあったためか、次第に高慢になっていった。
この高慢さは最後まで変わることがなかったが、過去に比べれば大分マシになっている。
2年前、当時付き合っていた恋人にせがまれて映画館に入ろうとしたところ、「ジョニィ・ジョースターなら列を無視して入っても大丈夫」と囁かれ、先頭に並んでいた小男の前に割り込んでしまう。当然咎められたが、金で買収した映画館の人たちを使って追い出すことで黙らせようとする。その結果、キレた小男から腰を銃撃され、下半身不随となってしまった。以降は、落ちぶれた天才として世間から冷ややかな目で見られ続ける人生を過ごすこととなった。
その事を後悔しながら生きていたが、スティール・ボール・ランレースのスタート地点で謎の男・ジャイロ・ツェペリと出会い、自分の足を動かした鉄球の回転の秘密に希望を持ち、レースに参加。レース中はジャイロと協力関係という形で行動を共にすることとなる。
レース参加に際して選んだ馬の名前は『スローダンサー』。他の参加者の馬と違って高齢だが、その分経験豊富で慎重という長所を持っている。
レース序盤で『悪魔の手のひら』に遭遇し、そこを通過。
その際にミイラ化した遺体が左腕に取り憑き、スタンド能力を得た。
更にそのスタンドが動かないはずの自身の足を動かしたため、『マイナス』である自分を『ゼロ』に戻すべく遺体を集めることを決意した。
自分達に襲い掛かってくるテロリスト達の目的が自分の所持している『遺体』であることを知ってはいるが、『遺体』が何なのか、なぜテロリストが奪おうとしているのかについては知らない。
劇中の冒頭と終盤で語っている通り、これは『ジョニィが歩き始める物語(再生の物語)』である。
なお、本編から100年以上の未来を描く第8部「ジョジョリオン」では、(当然ながら)既に故人ではあるものの、意外なところで名前が登場し、彼の妻と子供の存在も明らかとなった。
人物
誰が『正義』で誰が『悪』だなんて どうでもいいッ!!
『遺体』を手に入れて 自分の『マイナス』を『ゼロ』に戻したいだけだッ!!
性格
登場当初はモノローグ以外の一人称が「オレ」で言葉遣いも少々悪かったが、すぐに「僕」に統一され、口調も大人しめのものになった。
物語序盤では歴代ジョジョに比べて精神的未熟さや弱さ、利己的な面がかなり目立つ。上記の半身不随の経緯や頼りない面から、読者の間ではネタにされる事も。また、下半身不随になったことについては、「恋人がせがまなければオレは映画館なんかに行かなかった」と独白しており、自分の非については一切認めていない。
しかしその一方で、目的を達成することへの執着心は恐ろしい程であり、時には手段を選ばない。その覚悟と美しさを持った殺意はリンゴォから『漆黒の意思』を持つ者と評された。
そして、レースや遺体を狙う追っ手との闘い、ジャイロとの関わりを通して成長していく。第6部の主人公・空条徐倫と並んで成長の幅が大きいと評される「ジョジョ」である。
とはいえ、終盤においても金で相手を買収しようとする悪い癖は2年前と変わっておらず、成長した今でも「下」と見た相手に対しては傲慢な態度を取る。これはもはや彼の生まれ持った性と捉えるべきか。
また、レースの合間によくジャイロとどうでもいい会話を交わしている。ジャイロがジョークや歌を披露した際はメモを取るほど大絶賛しており、「バンド組む?」とまで言った。ただし無表情で。
「ん~~!! なかなかオモシロかった かなり大爆笑!」
「いいよジャイロ! 気に入った」「激ヤバかもしれないッ!」
…………が、『オールスターバトル』内での仗助に対するセリフの棒読み加減からすると、上記のセリフも心がこもってない可能性も。
歴代ジョジョの中でも劇中で泣くシーンが多い人物。絶望や失望または恐怖から泣く事が多い(物語終盤でもその傾向は変わっていない)が、終盤における友との永遠の別れが確定した際には悲しみの涙を流している。
『気高い飢え』や『漆黒の意思』といった、それまでの歴代ジョジョが持つとされる『黄金の精神』と異なった価値観を持っていることからも、その異色さは際立って見える。
「他者を救うため」に戦うジャイロとは正反対に、「自身を救うため」に進み続けるのがジョニィの姿勢であり、それまでのジョースター一族の家風から脱却した存在とも言える。ともすれば自分勝手な輩でもあるが、それ故に一際人間くさいジョジョである。「正義と悪との戦い」を描いた『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズとは異なる、「人間と人間のぶつかり合い」を描いた「スティール・ボール・ラン」の作風を象徴する存在とも言えようか。
上記にもあるように行動原理は自分のためだが全く利己的というわけでもなく、助力を求めてきたルーシー・スティールに対してジャイロが大統領の遺体を奪うように指示した際には理解を示しつつも危険すぎると反対し(ジャイロが所持していた聖なる遺体の『右目』を喪うことも関係していたが)、シュガー・マウンテンの泉の試練においてはジャイロを見殺しにすれば聖なる遺体を獲得できたにもかかわらず、彼を救うために敵の持つ飲みかけのワインボトルと交換したことで(ジョニィは与り知らなかったが)泉の試練に失敗し樹木と一体化していた人々を解放するなど、他者のために行動することもある。
一癖二癖ありながらも正義感を胸に秘めたヒロイックな主人公として描かれてきた歴代ジョジョ達とは対照的に、ジョニィは人間として致命的な欠点を抱えながら泥臭く足掻く等身大の存在として描かれている。
容姿
アメリカ国旗を連想させる衣装を身にまとっている。基本的にカラーに決まりはないが、多くの絵師から青や水色などの寒色系で描かれることが多い。
レースの5th STAGEでのサンドマンとの戦闘後、彼のスタンドのようにフードの部分に鳥の羽根を飾るようになった。ちなみに帽子に付いている飾りは『蹄鉄』と呼ばれる馬具。西洋では魔除けとして幸運をもたらすとされる。
騎手時代はかなりモテていたため、人気の高さを差し引いても容姿は悪くないと思われる。
スタンド『タスク(牙)』
爪を回転させ、カッターのように物体を切り裂いたり、弾丸のように射出したりすることができるスタンド。
詳しくは該当記事を参照。
ジョナサン・ジョースターとの比較
ジョニィはあくまで愛称であり、本名はジョナサン・ジョースター。この事から、前の世界におけるジョナサン・ジョースターに相応する存在と目されている。
しかし、まるで鏡合わせのようにジョナサンとジョニィは対比して描かれている。
内容 | ジョナサンの場合 | ジョニィの場合 |
---|---|---|
ディオに対して | ディオに不信感を抱きながらもそんな自分を自己嫌悪し、7年間の青春の間、友情を演じ続けた。 | 常にライバル心と嫌悪感をあらわしている。 |
性格 | 何者をも慈しみ、自己犠牲的。黄金の精神を宿す。 | 自身の目的のためならば、たとえ他者を犠牲にすることすら厭わない。漆黒の意思を宿す。 |
父親 | 父のジョージ・ジョースターとの中は良好。厳しいながらも深い愛情を持って育てられた。 | 父のジョージ・ジョースターは優秀な兄を溺愛し、ジョニィに冷たく当たり続けた。兄が死んだ際には「神は連れて行く子供を間違えた」とまで言ってのけた。 |
兄弟 | 義兄弟としてディオ・ブランドーがいる。 | 実の兄としてニコラス・ジョースターがいる。 |
ペット | 犬のダニー。兄弟同然に仲が良かったが、ディオに焼き殺された。 | 白ネズミのダニー。父に殺せと命じられるが、兄の提案によりこっそり逃すことに成功する。しかしダニーかは不明だが、兄は白ネズミが原因で死亡する。 |
妻 | エリナ・ジョースター(エリナ・ペンドルトン) | 理那・ジョースター(東方理那) |
子 | ジョージ・ジョースターⅡ世とDIOの息子たち。子には一目さえ会うことは叶わなかった。 | ジョージ・ジョースターⅢ世と娘。成長を見守れた。 |
孫 | ジョセフ・ジョースター | ジョセフ・ジョースター |
曽孫 | 空条ホリィ、東方仗助、静・ジョースター | 吉良・ホリー・ジョースター、バーバラ・アン・ジョースター |
玄孫 | 空条承太郎 | 吉良吉影、虹村京、ジョディオ・ジョースター、ドラゴナ・ジョースター |
師 | ウィル・A・ツェペリ | ジャイロ・ツェペリ |
妻との出会い | 悪ガキにいじめられているのを助けた時。 | 大西洋を行く船上で出会う。 |
最期 | ディオの急襲を受け、妻とお腹の子、見ず知らずの赤ん坊を逃して海に沈む。 | 妻から息子へ「等価交換」された病を治すため身代わりになって。 |
首 | 死亡後、ディオに首から下の肉体を奪われる。 | 落石により首を潰される。 |
宿敵の首 | 波紋から逃れるため首だけになり生存。ジョナサンの肉体を奪い蘇る。 | 基本世界の自分の生首を近づけられ対消滅を起こして首を失う(平行世界から来たディエゴ)。 |
宿敵の体 | ジョナサンの玄孫である空条承太郎に縦に真っ二つにされる。 | ラスボスによって横に真っ二つにされる。 |
また、アイズオブヘブンでは二人の共演が実現したがジョニィはジョナサンの名前については特に何も言及はしなかった。こちらでもストーリーで二人は対比として描写されており、ディエゴに恐竜化された人間達との戦闘後の掛け合いでジョナサンは「恐竜化してしまった人達、手荒な事をしてごめんなさい」と謝罪していたがジョニィは「言ってる場合じゃない!まだディエゴ本人が残っている!」と反応している。フリーバトルでの掛け合いも対比のように描かれている。
担当声優
※後にTVアニメ版第4部にて広瀬康一を演じる。またオールスターバトルRでは康一とジョニィの両者を一人二役で演じる。)
関連イラスト
関連タグ
ジャイロ・ツェペリ ディエゴ・ブランドー ファニー・ヴァレンタイン
ジョージ・ジョースター(Ⅱ世?) ニコラス・ジョースター ダニー
歴代主人公