同じ場所に隣りの世界を同時に存在させられる
それがスタンド能力 “ いともたやすく行われるえげつない行為 ”
『 D・D・D・D・C (ディー・4・シー) 』
概要
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - A】
「JOJOVELLER STANDS」より。
第7部「スティール・ボール・ラン」に登場するスタンド。
正式には英文で「Dirty deeds done dirt cheap」であり、「いともたやすく行われるえげつない行為」はその日本語訳に当たる。頭文字を略して「D・D・D・D・C」もしくは「D4C(ディー・フォー・シー)」と呼ばれる(以下D4C)。
本体はファニー・ヴァレンタイン大統領(以下大統領)。
容姿は、巨大な2本の角がウサギの耳のように生えた頭部と全身にある縫い目状の模様が特徴な人型のスタンド。第7部自体にまともに近接格闘する人型スタンドが他におらず、純粋にスマートなフォルムというだけでかなり目を引く。
最終盤で大統領が老化攻撃を受けた際には、それに伴い顔の角含めた外装が剥がれ落ちた。この状態は別次元の大統領に乗り換えても改善しなかった。
あまりラッシュを多用しない戦闘スタイルだが、DIOや吉良がやっていたような手刀を久しぶりに披露している。能力パラメータがスタープラチナと同じなのは驚きだが、最強というほどの格闘能力ではない模様。
一方で、能力に関しては数あるスタンドの中でも屈指の難解さを誇るスタンドの一つである。
能力
性能
原作内では「同じ場所に隣の世界を同時に存在させられる」と表現される能力。
要するに「平行世界、パラレルワールド間を自在に行き来することができ、さらに他者を異世界へ引きずり込む(又は送り出す)ことができる」能力である。
D4Cの能力上では、「聖人の遺体」が存在する世界が「基本の世界」となっているらしく、平行世界に「遺体」は存在しない。
何らかの物体の隙間(「扉と壁の間」「国旗と地面の間」等)に挟まれる、或いは挟み込むことで発動する。ただし、自分の体で自分を挟む行為(舌を噛むなど)、または既に身に着けているもので自分を挟む行為は発動条件とみなされない模様。
大統領以外の人間でも同じ条件を満たすことで、もともと自分がいた世界に帰ることはできるが、「同じ世界」で「同一の物、人が2つ」出会うと重なり合って崩壊し、消滅する。作中の解説では並行世界から物を持ち帰ることができないという意味で「お金持ちにはなれない」と喩えられる。
これはD4Cの攻撃で最も恐るべきものであり、崩壊する際の破片は「メンガーのスポンジ」に酷似している。唯一本体である大統領だけは崩壊の対象にはならず、何人同じ世界に集おうが平気である。このため、人海戦術のような使い方も可能。ただしその場合、いくら同じ自分とはいえ並行世界ごとに行動は微妙に異なるため、使いたい状況に応じて似たような場面から「自分」を引っ張ってくる必要がある。
更に、大統領はたとえ致命傷を負っても並行世界の自分に意思とD4Cを託すことができる。
致命傷を負った大統領は死ぬが、並行世界から同じ意思を持った別の大統領が来るため、対峙するジョニィらにとっては不死身と同意である。戦闘上とても便利そうな能力に見えるが、本体が死を恐れてD4Cを手放さなければそのまま消滅してしまうのであるから、国家のためなら自身が死んでも問題ないという狂信的な愛国者である大統領だからこそ成立する疑似的な不死身である。(それ故、ホワイトスネイクのように能力を抜き取って他人が用いても十分に使いこなせないと思われる。)
祖国のためならどんな犠牲も厭わない大統領にとって、まさにその理想を具現化したような能力だが、異世界移動の能力以外は、他のスタンドにパワーで劣ることもある上、飛び道具を持たないため、完全無敵というわけではない。
つまり、「挟む」という行動が伴う攻撃には無敵だが、削ったり抉ったりなどの攻撃では死亡する可能性がある。
またジョニィのタスク ACT2による攻撃を挟み込んでも、追尾する「穴」はその挟んだものに移ってしまうため、下記の新たなる段階の現象が無ければ防ぐことは出来ない。
ちなみに、「基本の世界」の大統領以外の大統領は平行世界を行き来できず、その場合、D4Cはただの格闘タイプのスタンドである。
D4C-ラブトレイン-(新たなる段階)
遺体の完成に伴ってD4Cに起こった現象。D4Cの強化ではなく大統領が遺体が切っ掛けの「現象」に乗っかっているだけだが、一方で遺体が大統領の味方をしているのも事実なので難しいところ。
遺体となったルーシー・スティールを中心とした空間のスキ間にこの世のあらゆる吉良(きちりょう)な事が濾過されて集まり、害悪は隙間に入れず遠くのどこかに飛ばされる。
この能力はつまり、大統領がスキ間の中にいる間はここに放たれた攻撃は大統領に通用する事は無く、その攻撃は何らかの災厄の形となって、遠くの誰かが代わりに「おっかぶる」事になる(列車に轢かれる等)。
また、大統領の攻撃等で受けた傷は例えかすり傷であろうが体を駆け巡って心臓や体の器官に登って来る為、致命傷を与える事が出来る。
元のD4Cの挟み込むことで自分を別の次元へ送り込む能力も、そのまま使用する事ができる。
スキ間(遺体の力が作用する範囲)に大統領が居る限り、D4C-ラブトレイン-に「弱点」と呼べるものは無い。
まさに「いともたやすく行われるえげつない行為」。
――「弱点」ではないが、大統領という人間は(そして、遺体という存在も)『観測可能』であるため、一般相対性理論に基づき重力相互作用によって存在が成り立っている。例えどのようなパラレルワールドへ渡ったとしても、その宇宙に大統領が生きているならば、絶対の前提条件として重力に支配されているはずである(重力に支配されていなければ、それは存在しないのと同じである)。
スタンドは精神が結んだ像ではあるが、他のスタンド能力者の目に見え、物質へと攻撃する。『自分以外の存在から観測される』、『自分以外の存在に作用できる』という事はすなわち、重力に支配されているという事であり、次元を越える時も重力を引き連れていく必要がある。一瞬でも重力から解き放たれてしまえば、D4C-ラブトレイン-を構成するモノ――例えば素粒子のような――同士が結び付こうとする力も消え失せ、すぐさまバラバラに崩壊してしまうだろう。
聖なる遺体が引き起こす現象もまた、重力からは逃げられない。
如何なる存在も“自身以外の存在が居てくれる”からこそ、存在することを許されている。これは宇宙の絶対条件である。
よって、もしも重力そのものを攻撃として用いたならば、それは必然として如何なる壁をも超えて届き、何処までもついて行く。
繰り返す形になるが、重力に支配されている事は「弱点」ではない。単に“そうでなくては存在できない”だけなのだ。
なお、この能力はオールスターバトルにも登場し、ステージ3ヶ所に落ちている【聖人の遺体】を全て手に入れることで発動する。
ラブトレイン状態だと攻撃中でない限りHHAかGHA以外の射撃攻撃を無効化する。
また、ステージギミックや相手の攻撃によるダメージが約半分になる。
余談
- スタンド名最長
英語でも日本語でもスタンド名としては最長。
更に今までの最長であったゴールド・エクスペリエンス・レクイエムのように物語のラストで出てきたわけでもないため、普段は省略され本記事のように「D4C」と記述及び呼ばれることのほうが多い。
- 元ネタ
オーストラリアのバンドAC/DCの発表したアルバムおよびそこに収録された楽曲に「Dirty deeds done dirt cheap」があり、恐らくこれが元ネタ。
直訳すると「安く請け負われた汚い仕事」となり、歌詞の内容も含めて意訳すると「どんな仕事も安く請け負う」となるらしい。
なお、元ネタとなったアルバムおよび曲の邦題は「悪事と地獄」となっている。
因みに、AC/DCは第2部に登場する柱の男の1人:エシディシの名前の由来になったことでも有名。
ラブトレインはアメリカのソウル・トリオのO'Jaysの楽曲「Love train」が元になっている。