概要
シンデレラ・眠り姫と並んで、三大プリンセス物語というべき童話界の巨頭の一角を担う物語でもある。
グリム童話の例にもれず、時代ごとに非常に多くの解釈のズレが存在し、現在一般的に伝わるものは非常にマイルドに改正された筋書きである場合がほとんである。
本当はいろいろ怖い(Wikipedia日本語版記事参照)。
あらすじ
王妃様はいつも魔法の鏡に向かって「この世で一番美しいのは誰?」と尋ね、鏡はいつも「それは王妃様です」と答えていました。
ある寒い雪の日、黒檀の窓のそばで裁縫をしていた王妃様は誤って自身の指を刺してしまい、血が滴り落ちるのを見て「この血のように赤く、雪のように白く、黒檀のように黒い子供が欲しい」と祈りました。
しばらくして王妃様は身籠り、一人の女の子を授かります。生まれてきた女の子は願いどおり赤い唇と頬っぺた、真っ黒な髪、そして雪のように白い肌をしていましたので『白雪姫(スノーホワイト)』と名付けられました。
そして白雪姫が大きくなった頃、王妃様はいつものように魔法の鏡に、いつもの質問を投げかけました。しかし、魔法の鏡は『この世で一番美しいのは白雪姫です』と答えてしまいます。
美しさで負けたことから、王妃様は白雪姫に嫉妬を覚えるようになり、段々と白雪姫に厳しく当たるようになっていきます。
そして遂に、森へ散歩へ行かせることを口実に従者に白雪姫の抹殺を命じるのでした。ところが、従者は白雪姫の美しさと純粋な心に殺すことをためらい、森に置いていくことにとどめてしまいました。
森を彷徨っていると、白雪姫は一件の山小屋を見つけます。宿を貸してもらおうと尋ねたそこは、七人の小人たちが棲む小屋でした。小人たちは、自分たちの身の回りの世話や家の留守を預かることを条件に白雪姫を自分たちの元に住まわせることを許しました。
しばらくたったある日、王妃様はいつものように鏡にいつもの質問をしました。すると鏡は再び白雪姫の名を答えたのでした。従者に問いただして白雪姫の居場所を探させると、王妃様は醜い老婆の姿に変装し、白雪姫の元に向かいました。そして小人たちの留守を狙い、リンゴを売る振りをして白雪姫に毒リンゴを食べさせ、とうとう白雪姫を殺してしまうのでした。
小人たちが帰ると白雪姫はすでに息絶えており、その様子を見て小人たちは驚きとても哀しみました。せめてもと思い、小人たちは水晶で出来た棺に白雪姫を寝かせ、弔うことにしました。
そこに白馬に乗った王子様が通りかかり、王子様は白雪姫の美しさに魅せられてしまいます。王子様はその棺を自分に譲ってほしいと小人たちに頼み、白雪姫を連れ帰ることにしました。
帰りの道中、棺の白雪姫が気になって仕方ない王子様は、棺の蓋をあけて白雪姫を眺めていました。そして思わず白雪姫の唇に口付けしてしまうのですが、なんとその口付けで白雪姫が生き返ったのでした。
今までの事を聞いた白雪姫は王子様に感謝し、彼の王国へ連れて行ってもらうことにしました。
そして二人は結婚し、幸せに暮らしたということです。
解釈の多岐
おそらく『三大プリンセス物語』でも、最も多くの解釈が存在する物語。
上記のあらすじも、編者の記憶の元に世間で大筋に認知されてストーリーに沿わせたものであり、物語の編者によって登場人物、登場アイテム、老婆の存在、死ぬのか呪われて眠るのか、といった要素に誤差が生じる。特に最後のものは眠り姫と混同された部分も大きい。
現代版の多くが、「(白雪姫を殺そうとする)王妃は継母」「毒りんごで眠りの呪いに掛けられる」「呪いを解くのに純粋な心を持った男性の口付けが必要」というのが大筋のパターンとなっている。
ただし「王子様の口づけで目覚める」と云うのは、ディズニーが映画化した際にグリム童話版「眠れる森の美女」と言える「いばら姫」からいただいたシーンで、グリム童話や元になった民話には、そのようなシーンは無い。
ではグリム童話ではどのようにして目を覚ましたのかというと「死の眠りについた白雪姫が何らかの衝撃を受けることで毒リンゴを吐き出した」となっており、その衝撃を受ける経緯についても版によって「王子様がどこへ行くにも白雪姫の棺を運ばせることに苛ついた従者が棺に八つ当たりをした(初版)」「棺を運んでいた従者がつまづいた」等と説明されている。
- 「衝撃によって女性の喉を詰まらせた食べ物が取れて生き返って結婚する」という話は、日本にも存在する(『まんが日本昔ばなし』・「死人とめおと」)。
また「中々死なない」「死んでも生き返る」「鏡がキーアイテム」などから、「白雪姫=吸血鬼」と云うホラー展開の作品も有る(諸星大二郎『スノウホワイト』、タニス・リー『鏡の森』など)。
- その他の有名な解釈として継母が原典では実母、嫉妬の原因は国王(夫)が白雪姫(実の娘)と関係を持ってしまったから、白雪姫の結婚式の日に王妃に焼けた靴を履かせて死ぬまで踊り続けさせる、王子は死体愛好家などのえげつない解釈が多い。
- アニメ版グリムノーツにおいて『魔法の鏡は王妃の奥底に眠る嫉妬心を煽るアイテム』として、『毒リンゴは母親から受けた愛情を忘れさせて、憎しみを煽るアイテム』と解釈されている。よって王妃は本来は心優しい人物として描かれている。(正体は先代の白雪姫。)運命の書によってそれもいずれは歪んでしまう運命にあったのだが、エクスが半ば不本意な形で介入してしまった事により、それらの運命が変わるきっかけが出来た事が示唆されている。(これは近代における物語のオチの改変に通ずるものがある。)
- また、このようなえげつないオチを考えたストーリーテラーに対し、シェインが毒突くシーンがあるが…桃太郎の想区出身の貴方がそれを言いますか。
関連タグ
白雪姫をモチーフにした作品・キャラクター・パロディ
作品
キャラクター
白雪姫リボン(『モンスト』より)
パロディ