概要
石英(クォーツ)という二酸化ケイ素 (SiO2) が結晶化してでできた鉱物で、六角柱状のきれいな自形結晶をなすことが多い。中でも特に無色透明のものを水晶(ロッククリスタル)という。
古くは玻璃(はり)と呼ばれて珍重された。
電圧をかけると高い精度で発振する性質を利用し、人工的に作られたものはクォーツ時計など電子機器の発振子の材料として使用される。
水晶の種類
紫色に色づいた水晶。
英語名 "amethyst" はギリシア語の amethustos(酔わせない)から派生した。
微量の鉄イオンを含む水晶が放射線の影響を受けることで発色する。
アメシストを持つと酔いを防ぐはたらきがあると信じられていた。
含まれる鉄分により黄色に色づいた水晶。流通する物の多くは紫水晶を加熱処理したもので、天然の物は希である。
11月の誕生石で、「富・繁栄」を意味し、あらゆるものにエネルギーを与える”太陽”を象徴する石といわれている。
含まれる酸化チタンの影響で、薄いピンク色に色づいた水晶。産出する物のほとんどは塊状の紅石英で、結晶した真の紅水晶は1cm以下の小さな物が希に産するのみである。
ローズクォーツのピンク色は光に敏感で退色しやすい。
茶色や黒っぽい煙がかったような灰色に色づいた水晶。微量のアルミニウムイオンを含んだ水晶が放射線の影響を受けることで発色する。
かつては、トパーズの一種と考えられ、「スモーキートパーズ」という名称で呼ばれていたこともある。
不透明と言えるほどこげ茶から黒に色づいた水晶。
色の濃い煙水晶との区別は、結晶構造が破壊されたもの、表面に透明感のないものなどと言われることもあるが、黒水晶と色が濃くなった煙水晶を区別する明確な定義は存在しない。
レモン水晶
硫黄により黄色に色づいた水晶。
緑水晶
微細な角閃石等が水晶中に含まれ、全体が緑色を呈色して見える水晶。
抱有物によるもの
針入り水晶(ルチルクォーツ)
水晶の結晶中に金紅石(ルチル)の針状結晶が内包物としてあるもの。
とても細い金色の針が入り込んだように見える。
ススキ入り水晶
水晶の結晶中に電気石などの柱状の鉱物が内包物としてあるもの。
細い苦土電気石が入り込むとほのかに緑色にみえ、まさにススキのように見える。
草入り水晶(ガーデンクォーツ)
水晶の結晶中に緑泥石などの不定形な(あるいは草のように見える)鉱物が内包物としてあるもの。
内包物の形によって苔のように見えたり、毬藻のように見えたりする。
水入り水晶
水晶の結晶中に空洞があり、それが液体で満たされているもの。
閉じ込められた液体は、水晶の成長当時の環境を保存していると考えられる。