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エイワスの編集履歴

2019-10-04 17:19:10 バージョン

エイワス

えいわす

アレイスター・クロウリーに「法の書」を授けた高次知性体。※本記事ではとある魔術の禁書目録のエイワスに関しても解説しています。
  1. 英国の魔術師アレイスター・クロウリーに「法の書」の知識を授けた高次知性体。本記事で詳しく解説する。
  2. 1を基にしたとある魔術の禁書目録の登場キャラ。英国の魔術師アレイスター=クロウリーに「法の書」の知識を授けた高次知性体。本記事で詳しく解説する。
  3. 1を基にした女神転生に登場する仲魔。種族は幻魔

史実・魔術史におけるエイワス

英国の魔術師アレイスター・クロウリーがエジプトのカイロでホルス召喚の儀式を行った際に、「声」により「法の書」を授けた高次元生命体。

クロウリーはエイワスを自身の「聖守護天使」とみなした。同時に「秘密の首領(シークレットチーフ)」「地球外生命体」「ホール・パアル・クラアト(ホルス)の使者」でもある。


聖守護天使

近代西洋魔術結社『黄金の夜明け団マグレガー・メイザースが翻訳して広めた「術士アブラメリンの聖なる魔術の書」において聖守護天使という概念が登場する。


古来よりオカルトの世界では人間が内包する神聖的な一面(例えば「高次の自己(ハイヤーセルフ)」「ジーニアス」「アウゴエイデス」等)が提唱されていた。

聖守護天使はそれらとほぼ同じ概念で、個々人にとって唯一無二の霊的存在、神聖面の一欠片にして高次元との媒介者である。異論はあれど『黄金の夜明け団』では聖守護天使をハイヤーセルフあるいはハイヤージーニアスとして扱っていた。

新旧問わず魔術師(オカルティスト)と呼ばれる者達は各々の聖守護天使の知識と対話し、「真の意志」を見出す事を目標に掲げている。


クロウリーはエイワスをこの聖守護天使だと確信していたが、後年になるとクロウリーの見解には変遷が見られ、自己とは独立した別個の存在として扱われるようになった。

クロウリーは聖守護天使エイワスを「秘密の首領(シークレットチーフ)」(アストラル界から人類を導く究極の高次元存在の総称)とも見做しており、その全体像が完全に固まっていない。


なおトマス・アクィナスが成立させた「守護天使」とはまた別の概念である。


法の書

※「セレマ」も参照。


1904年3月、クロウリーとその妻ローズ・ケリーの旅行の際に行われた空気の精シルフの召喚作業で、ローズに謎の高次元存在が憑依した。その名も「エイワス」(Aiwass,Aiwaz)。現代の米国の魔術師は「アイワス」または「アイウォシュ」と発音する。


エイワスは彼女の体を借りて「貴方はホルス神を怒らせた」と何度も呟いたという。ローズにはエジプト神話は愚か神秘的知識など無いに等しく、これをすぐさま神秘的存在と認識したクロウリーはその「声」を聞く。

エイワスの重用な宣託は次の通りであった。「神々の分点が到来し、人類史の画期的な新時代が始まっており、クロウリーは太陽霊の力を人類とを結びつける鎖となる」。つまりクロウリーは新時代の預言者となるべき存在だという。


エイワスの「声」の内容を聞いたクロウリーは、4月8日~10日にかけてさらなる啓示を得ることに成功し、霊界通信の内容を書き留めている。


Had! The manifestation of Nuit.

ハド!ヌイトの顕現よ。

The unveiling of the company of heaven.

天上の一団がヴェールを上げる。

Every man and every woman is a star.

全ての男女は星である。

Every number is infinite; there is no difference.

全ての数は無限。そこには如何なる差異も無し。

Help me, o warrior lord of Thebes, in my unveiling before the Children of men!

我を助けよ、おおテーベの戦将なる君主よ、人の子らの前でヴェールを脱ぐ事を!

Be thou Hadit, my secret centre, my heart & my tongue!

我が秘密の中枢たる汝 ハディートよ、我が心臓そして我が舌となれ!

Behold! it is revealed by Aiwass the minister of Hoor-paar-kraat.

見よ! それはホール・パール・クラアトに仕えるエイワスによりて啓示された。

 ...

 ~法の書(リベル・エル・ヴェル・レギス)より抜粋~


エイワスの知識(法の書)はクロウリーの新興宗教「テレマ」の土台となり、テレマの神秘体系において、エイワスからの啓示があった1904年は新たな時代「ホルスの時代(アイオーン)」の幕開けと考えられた。この時よりクロウリーは「新時代の預言者」を自称し始めた。

それまでの旧時代はキリスト教の奴隷であるオシリスの時代(アイオーン)、原始宗教が蔓延るイシスの時代(アイオーン)等と呼ぶ。


エイワスとの接触は、クロウリーの人生を左右する運命の分岐点であった。

神秘の世界で霊的存在との接触が重要な事は歴史が証明している。かつてエリファス・レヴィが魔術師アポロニウスの霊と接触したり、〈黄金の夜明け団ウィリアム・ウィン・ウェストコットアンナ・シュプレンゲル(秘密の首領SDAとも)との文通で結社設立許可を貰った事のように。


ジョン・サイモンズはエイワスを指して「神秘的な知性がない」「超人的存在とは相容れない」と冷笑的に記した(サイモンズのクロウリーへの否定はこれだけではないが)。結局、エイワスが〈黄金の夜明け団〉の後継に収まろうと考えたクロウリーの無意識の投影なのか、はたまた捏造の知性なのか、本当に神秘的知性なのかは定かではない。


しかしイスラエル・リガルディは次のように書いた。「その書がエイワスと名付けられた超人の知性によって書き上げられた物でも、クロウリーの創造的観点から花咲いた物でも、大した違いはない。要は、その書は生まれた、そして時代の代弁者となって、これまでどこの誰もが表現しなかった我々の時代の本質的性格を見事に表現してくれた」。

確かに後世の魔術師・神秘学者にはエイワスの正体を探る行為が物事の本質をつまらなくしていると考える者が多いという。


コロンゾン、30ものアエティール、アブ・ウル・ディズ、アマラントラ、ラム。クロウリーに影響を与えた数ある知性体の中でも特に重要な存在なのは間違いない。


別名セト。あるいはヨグ=ソトースという説も。


マートのアイオーン

クロウリーの思想に影響を受けた人物は数多く存在するが、中にはそれが高じて新たなアイオーンを宣言した人物もいる。

その内の一人フラター・エイカドは「銀の星」やクロウリー色に染まった「東方聖堂騎士団」(O.T.O.)の一員、ブリティッシュコロンビア州におけるグランドマスターで、一時期はクロウリーの魔術的な「息子」となるくらい認められていたが後に関係は悪化し、最終的にクロウリーの時代を否定している。


エイカドは、まるでエイワスそのものが邪悪な存在であるかのように非難し、ホルスのアイオーンは到来せずに「マートのアイオーン」が到来した事を1948年に宣言。エイカドはクロウリーの価値観を自分の提唱した新たなアイオーンに置き換えたのである。

当然クロウリー派のセレマイトはこれを受容しなかったようだが、意外にもマートのアイオーンはその後の魔術業界に潮流が残った。


クロウリー系の魔術師にしてマート魔術の創始者ソロール・ネマの「ホルス/マートのアイオーン」も存在する。もっとも、こちらの見解では上記とは別にホルスと次なるマートのアイオーンが重なって(二重に)進行している。


セトのアイオーン

悪魔崇拝者にして米国の元陸軍マイケル・アキノ中佐、彼によるとクロウリーに法の書をもたらした聖守護天使エイワスは「セト」と同一存在であるらしい。


1975年6月21日、アキノは「悪魔教会」(アントン・ラヴェイ)と袂を分かった後、自らの指針を仰ぐべくサタンの召喚を実行したのだが、実際にアキノの前に現れたのはサタンの姿を装った死と破壊の神「セト」であった。

セトはアキノに新たな時代「セトのアイオーン」の到来を宣告。これを受けてアキノは「Temple of Set」(セトの寺院)という新興団体を設立した。


新時代の起源は一九〇四年まで遡ることができる。

セトはこの時、アレイスター・クロウリーの守護天使アイワスに化け、カイロにいた彼の前に現れた。そしてクロウリーを「太陽神ホルスの永劫(アイオーン)」の幕開けの布告者と宣言した。

一九六六年、ラヴィはサタンの永劫を導いた。それは耽溺を象徴する中間段階である。その後にセトの永劫が訪れ、教化をもたらすのだ。

...

~「黒魔術のアメリカ」(邦訳版P204)~


上記の経緯はアキノにより「セトの寺院」の聖典『The Book of Coming Forth by Night』(夜に現れしことの書)にまとめられた。

セトによって新たな時代の指導者に選ばれたアキノは、自身をクロウリーとその悲運の弟子ジャック・パーソンズの正当後継者「第二の獣(セカンドビースト)」と称している。


出典

「法の書」

「英国魔術結社の興亡」

「霊視と幻聴」

「大いなる獣」(未邦訳)

「アレイスター・クロウリーの告白」(未邦訳)

「アレイスター・クロウリーの魔術世界」

「アレイスター・クロウリーの魔術日記」

「黄金の夜明け」

「現代魔術の源流 黄金の夜明け団入門」

「図解 クトゥルフ神話」

「図解 近代魔術」

「クロウリーと甦る秘神」

「黒魔術のアメリカ-人はなぜ悪魔を信じるのか」

「封印された黒聖書(アポクリファ)の真実」


とある魔術の禁書目録のエイワス

CV:宮本充

名前の初出は7巻、登場は19巻


魔術師アレイスター=クロウリーに「法の書」の知識を授けた高次元存在。「聖守護天使」「シークレットチーフの真なる者」「地球外生命体」「ドラゴン」など様々な称号で呼ばれている。本人曰くドラゴンの方が本質により近いらしい。


史実通り1904年のクロウリーとその妻ローズ=ケリーの新婚旅行中にローズに憑依し、彼女の口述から「法の書」が執筆された。

同書はテレマ僧院、そしてテレマ僧院を科学に擬態させた「学園都市を始めとする魔術師クロウリーの科学思想の土台となった。


クロウリー曰く、十字教が支配する「オシリスの時代(アイオーン)」は「法の書」が世に投下された1904年に崩壊し、現在は人類が真なる目覚めを果たす新たな時代「ホルスの時代(アイオーン)」を迎えているらしい。

「テレマ」(意志)と同じ「93」の数価を背負う聖守護天使エイワスの召喚は、クロウリーにとって最大の転換点でもあった。

※禁書では説明されてないが、aiwassのゲマトリアは418なので本当のスペルはaiwaz=エイワズ。クロウリーが後年に変更して対応させている。

※93は意志下の愛すなわちアガペー/テレマであり、新時代の基本術LAShTALであり、I・A・Oのクロウリー流であるFIAOFと等価である


魔術が生む運命に反旗を翻したクロウリーにとって、エイワスがもたらした反十字教的な魔術思想は魅力的だったのだろう。その思想は作中時代に至るまでのクロウリーの足跡にもはっきりと表れている。

「法の書」以外で最も有名なのが「トート・タロット」だろう。これはクロウリーが晩年に編纂したタロットで、十字教の誕生からハルマゲドンの到来、すなわちエイワスの接触があった1904年を起点に、次の時代を謳歌する配列が組み込まれている。


作中では「ドラゴン」のコードネームで匿われる謎の存在として初登場。

ヒューズ=カザキリ(風斬氷華)を製造ラインにして、この世界に再び現出。「オシリスのアイオーン」の力に囚われたアクセラレータを叩きのめした。

その後、携帯電話らしきものを使ってクロウリーと通話し、これまでの全てを見据えて自身が感じた三種のヒーロー像をクロウリーに伝えている。


科学の世界(純粋なる物理法則の世界)

新約18巻で『魔神オティヌスにより、エイワスが最下層の世界「純粋なる物理法則の世界」に佇む天使ということが明かされた。


この純粋なる物理法則の世界とは、全ての位相の下地となる世界である。オティヌスは新約9巻で「科学の世界」と呼んでいた。科学的とはクロウリーにとって「霊的・物理的問わず物事の順序を筋道立てて説明できること」を意味し、すなわち「純粋なる物理法則」こそがクロウリーの定義する科学でもある。


あらゆる魔術的な異世界(重なった位相)の一番下の世界に、テレマの聖守護天使である筈のエイワスがいる理由は未だ不明。

何度も書くようだが本作の学園都市はテレマ僧院を科学に擬態させた巨大機関であった。魔術師クロウリーの同名の思想と直結していることは決して無関係では無いと思われるが…。


強さ

詳細不明。新約18巻オティヌス曰く「理論値で魔神に対抗出来る」とか。

少なくとも素の状態で上条当麻の「中の人」(成長途中の不完全な状態?)を戦闘開始早々潰せる程度には強い。


新約19巻コロンゾン戦の描写によると、どうやら地球から離れると力が解放されていくらしい。地球外生命体説とは一体…。


性格

対の様な立ち位置の存在の大悪魔コロンゾンに対してはかなり口が悪い。

毎回汚い物や酷い物に例えて呼び、事あるごとに貶して詰るなど、徹底的に蔑んでいる。

見た目も価値観も超然としているが「全ての命は幸せになるための努力を怠ってはならない」という考えを持っており、命ある者への態度はやや暑苦しく意外とフランクな事もある。


予め身籠っていたローズに憑依してクロウリーの娘「ニュイ=マ=アサヌール=ヘカテ=サッポー=イザベル=リリス」の生命力を位相に退避させ、救ったのもエイワスだった。この時の彼のセリフにその熱が感じ取れるのではないだろうか。


作者はあとがきにて「エイワスは善人ではない」と言っていたが、これが何かの布石でないことを祈りたい。主にクロウリーと読者のメンタルのために

やっぱり…

魔神は新約10巻でエイワスを失敗作と断言し、今後クロウリーがエイワスの存在に頭を抱える事になると予告した。


そして新約22巻の最後で、契約者であるクロウリーに背いた。

そもそもエイワスは最初からマダム・ホロスに奪われたアンナ=シュプレンゲルの器の奪還を目的に行動していた。つまりクロウリーに真意を告げていなかったのである。


リリスもクロウリーの件も、全ては(本物の)シュプレンゲル嬢が仕組んだ(予言した?)悪趣味なお遊びに過ぎなかった。

シュプレンゲル嬢の器の奪還が達成された後、彼女と共に瀕死のクロウリーを見下しつつ彼の元から離れた。


(補足)

※記事では裏切ったと断言したが未だエイワスの行動には疑問が残る

※新約最終章のNTR22によると、エイワスもシュプレンゲル嬢も秘密結社「薔薇十字団」のメンバーであるらしいが、シュプレンゲル嬢はまだしも聖守護天使にしてシークレットチーフでもあるエイワスが薔薇十字とは…?


関連タグ

アレイスター・クロウリー セレマ 聖守護天使 コロンゾン


とある魔術の禁書目録 アレイスター=クロウリー アンナ=シュプレンゲル

ミナ=メイザース 魔神(とある魔術の禁書目録)

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