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戦時設計の編集履歴

2020-02-11 07:42:07 バージョン

戦時設計

せんじせっけい

戦時設計とは、文字通り戦時に行われる設計のこと

概要

戦時中に、戦争期間だけ使うことを見据え、耐久性より生産性を重んじて設計された輸送機械や構造物のこと。多くはデザイン性も犠牲にされ、内外装ともに貧相な見た目であることがしばしば。安全装備の一部省略も行われたが、このことよりも素材・工作の粗悪化が事故を多発させた事例が多い。国鉄63系電車のように設計自体が欠陥として問題になったりしたこともある。戦後も引き続き大量生産され、戦後復興に活躍した例も多く、戦時設計のはずが改修を繰り返され長期間活躍した例も少なくない。


具体的な方法

  1. 銅・ニッケル・アルミニウム・ゴムといった戦略物資の使用量を減らすため、木・普通鋼・陶器・布・コンクリートなど代替素材を使う。
  2. 工期短縮のため、曲面加工や削り出しなどの複雑な加工工程を減らし、プレス加工を多用。単純な直線円筒の組み合わせで工作する。削り出し加工は時間がかかる。
  3. 筐体や部品の薄肉化(資材の節約と軽量化を兼ねる)。
  4. 一部の装備を省略。無くてもいい部品は作らない(使用量削減と工期短縮)。

戦時設計で有名なもの(一部)

交通

ドイツ技術陣の本気。耐用年数3年のはずが70年以上走っている化物機関車。

炭水車の底部を船底のような形にすることで台枠を無くし、除煙板を無くし、ボイラー上の砂箱などの形状を変えることで資材削減と工期短縮を図った。

戦後はヨーロッパ各国に流出した車両が復興を支え、コピーまでされる始末。結果、何両作られたか把握できない。

通称木とセメントで造った機関車。快適装備・安全装備を極端にケチったら運用側から嫌われてしまった。ホントにセメントで作ってある。隙間風が酷く、冬場の運用は辛かったらしい。他の車両と一緒に展示された時、設計担当が時の首相東條英機に「寿命はどれくらいか」と聞かれ、とっさに「大東亜戦争に勝ち抜くまで保ちます」と応じてその場を取り繕ったという話がある。戦後に大規模改修を受けて内外共に生まれ変わり、戦後復興と高度経済成長を支えた。

  • 国鉄D52形蒸気機関車

貨物輸送を担う最強の蒸気機関車として設計されるも、材料と工法をケチりすぎた結果、想定したパワーを発揮できないばかりか、走行中に自爆する事故が多発した。もちろん死者が出ており、当時の乗務員からは「爆弾の上に乗務しているよう」とまで言われた。生産能力の偽装工作としてナンバーを意図的に飛ばし、生産数を誤魔化していたことも有名。EF13同様、戦後に大規模改修を受けたりC62等に改造され、戦後復興を支えた。

、戦時体制下の輸送力増強を目的に開発された電車であるが、21世紀現在に至るまでのJRや大手私鉄でラッシュ輸送に広く用いられている「全長20m、片側4扉」タイプの、通勤輸送向け大形車体を本格採用した最初の電車として、日本の鉄道史上画期的な存在である。戦後も大量生産されるが構造的欠陥が車両火災事故「桜木町事故」を引き起こしたため、安全対策を主とした更新修繕を受けた上で、全車両が72系に改称された。

石炭輸送を主目的として登場した無蓋車。最大積載量を稼ぐために3軸で設計されるも、中間車輪を固定してしまったためカーブで抵抗を生み、走行不能に陥ったり脱線したりと散々な有様だった。この先天的欠陥は改善しようがなく、EF13やD52と違い戦後は早々に淘汰された。戦時設計の失敗例として語られることが多い。

大戦期に各国が建造した戦時設計の量産貨物船。詳細は記事参照。

兵器

言わずと知れたヒトラーの電動ノコギリ。MG34は優秀だが高価(357ライヒスマルク)で生産性が低かった(一丁当たり約150人)ので、プレス加工を多用した構造に変更した。そしたらMG34のおよそ半分の人員(75人)や低いコスト(250ライヒスマルク)で作れるようになった。あまりに優秀だったもんだから戦後に7.62mmNATO弾仕様に変更したMG3を作り出してしまった。

  • M3サブマシンガン

通称グリースガン。当時制式採用のトンプソン・サブマシンガンの生産性が低かった&重かった&古かった為、新規に製造された。プレス加工と溶接のみで生産でき、設計も優秀。アメリカの同盟国に大量に供与され、フィリピンでは今も現役。本国でも2005年のイラクやアフガンで使われていたらしい。

通称リベレーター。1丁あたりの組立時間は7秒足らずで、「装填から発射までよりも短い時間で製造された唯一の拳銃」とも呼ばれる。ヨーロッパ各国の対独抵抗運動への支援を目的に設計された単発銃。弾丸を加速させるには短い銃身・スムースボア(滑腔銃身)の為、狙った所に飛んでいかない撃ち続けると溶接部分から裂ける薬莢は自動排出されないなど、欠点の盛り合わせ。まぁ近距離で1、2発撃ち込めりゃいいやと割り切るならこれで十分なのだが・・・。

前述したグリースガンのインスパイア元で、英国が生み出した元祖戦時設計短機関銃。ほぼ鉄パイプ同然の見た目と今一つな性能で悪名高かったが、その圧倒的な生産性と最低限の必要を満たした能力でWW2英国陸軍の歩兵戦闘を支えた。大戦末期にはドイツでもコピー品が生産され、戦後もこれを原型としたSMGが各国で開発されている。

日本海軍最後の量産駆逐艦。量産数は32隻と日本海軍最多であり、建造日数5ヶ月という最短記録ホルダー。未成艦と建造取り止めを含めれば合計74隻の大所帯になる予定だった。この艦級の一隻である梨は戦後に護衛艦わかばとして再就役している。

米帝様の本気。週刊護衛空母とは言いえて妙。

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粗製濫造:失敗例はこうなりやすい。

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