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戦争の落とし子

太平洋戦争末期の1944年に登場した電気機関車。31両が製造された。
戦局の悪化と資材不足から、コストダウンと材料の節約に重きを置いて設計されたが、内外装から機構に至るまで過剰なまでに徹底したことから安全性や快適性までも犠牲にしており、D52と共に鉄道における戦時設計の典型例とされる。
車体も当時一般的だった箱型車体にデッキの組み合わせではなく、凸型車体で製造された。これも金属の使用量を少しでも減らすためで、強度が不要な部品は木材で代用された。
しかし、貧相な見た目通り車体が軽すぎた為に軸重が不足。やむなくコンクリートの死重を16.4tも積む羽目になり、木とセメントで作った機関車と現場職員に酷評されたと言われる。
また、銅の極端な不足により主電動機のバインド線をはじめとした銅系金属が本来必要な配線・接点部分にも代用材であるアルミ系金属が使われるなど、末期戦仕様そのものであった。乗務員室周辺には砂と1cm厚ほどの鉄板とで防弾対策がなされていたが、米空海軍航空機標準搭載のブローニングM2重機関銃弾多数を撃ち込まれたら、機器に当たった弾丸が跳弾したり車両炎上に至る可能性もあり、気休め程度であっただろう。
安全上重視される装備の「高速度遮断器」までヒューズで代用(!)したために、設計者が現場職員のつるし上げを食らったというエピソードまで伝わっている。
このようなEF12の劣化版そのものである機関車がまともに動くはずもなく、本当は「EF12の性能を落とさず生産性を上げる」はずが実際のスペックはEF10をも下回り、その上酷使も祟り故障ばかりで稼働率は従来機を下回った。
敗色濃厚な大戦末期だったため資材不足で生産も進まず、戦時中に造られたのは僅か数両で、大半の車両は戦後に造られることになった。

戦後の改装

終戦後は資材不足が解消されたため、安全性に問題のある部品や機構に改良が加えられた。
更に蒸気暖房搭載に伴って流線型のボディを手に入れたEF58から箱型車体を譲り受け、やっとまともな機関車に生まれ変わったのである。
ただ、少し弁護しておくと一説によると旧車体の方が、運転台が台車芯皿に近い分振動が少なく快適だったという証言もあるらしい。
外見についても、外板の薄さと歪み取り省略に起因する貧相さ(人間で言えば質が悪いようなもの)を除けば「無駄を排した機能的で精悍な形」という声もあったとか。またよく言われる隙間風についても、実は内開き式だった旧型電機の前面扉が大体の原因であり、EF13は運転台から離れている分マシだったとも。極限まで粗悪な構造であった旧車体を早急に処分したかったのが実情だろう。

車両としての構成要因

実は、旧EF58からは車体を機器ごとまるまる譲り受けており、元の残存する構成部分は台車しかない。現代の車両になれたファンからは疑問に思われる方もいると思うが、実はEF58・15までの電気機関車の本体は「台車」なのである。どういうことか?
旧型電気機関車の構造は、原型となったED53以降から蒸気機関車を踏襲しており、おおざっぱに考えれば、ボイラーを車体と電気部品に置き換えただけであり、車体は強度をまったく負担しない、ただの機器の入れ物に過ぎなかったのである。専門書に書かれているこれら旧型電機の「台枠」とは、牽引荷重を負担する台車枠そのものを指すのである。なので、EF58の35・36号機のような車体延長という乱暴な改造も可能であった。現代の電気機関車につながる車体台枠に強度と牽引力を負担されるようになったのはEH10以降である。(なので、新型電機が車体台枠にダメージが加わると、償却期間を過ぎていた場合、原則よほどのことがない限り即廃車判定をされてしまう)
一方、これらの旧型電機は可動部分が多いため新型電機よりも台車枠=台枠にダメージが蓄積されやすく、EF58の61号機などは金属疲労による台車枠亀裂により現役引退せざるを得なかった。

活躍

大東亜決戦機、などと戦意高揚スローガンで喧伝されたものの、末期戦状態でまともな活躍ができるわけもなく、機関車不足から原形状態で冬季の上越線で使用されるなど過酷な運用も目立ったようだ。車体換装後はEF15の初期製造車とさほど違わない外観となり、マニア以外あまり注目しない普通の機関車として地味な運用に充当された。(知識がある人間からしてみれば、構成要素からEF12とEF15のキメラ的な特異な存在に映ったそうだが…)
その後は関東地方を中心に中央東線の客貨列車や首都圏の貨物牽引などに1979年まで活躍し、全車が廃車・解体された。保存機は残っていない。

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