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概要編集

本社は埼玉県蕨市

かつての模型メーカーであった有井製作所の100%子会社。

鉄道模型プラモデルの製造をしているが、プラモデルは現在は旧製品の再生産のみであり、新製品は手掛けていない(ただし、旧製品に新規パーツを追加することはある)。

ネット上では「蟻」「蕨」と略されることも多い。


歴史編集

マイクロエースの鉄道模型分野は、1980年に倒産した「しなのマイクロ」を傘下に収め、マイクロエースに改称してスタートしたことに始まる。

スタート直後から、当時の最新型特急電車であった185系や、EF64-1000番台などのNゲージ製品を発表し、特に10系客車シリーズは、当時の大手各社の各種製品を凌駕するほどの緻密かつ繊細なディティール再現で高く評価されていた。

また、EF64-1000番台と10系客車をベースに、当時のTGVアムトラック風の塗装にしたフリーランス製品を発売したこともある。

しかし1980年代半ば以降、長らく新製品はおろか再生産もほとんどない休眠状態が続き、会社そのものも一旦は有井製作所に吸収。名称のみが有井のブランドとして残った。


その後、1990年代半ばより、中国の工場に設計と製造を委託する形で、輸出を念頭に置いたと思われるアメリカ型の機関車製品を発売。

1996年にはD51を製品化し国内型Nゲージ向け鉄道模型の製作を再開した。その後は独特の製品ラインナップを展開(仔細は下記参照)、鉄道模型業界の間で独自の存在感を発揮し、趣味者の間でもその名を知られていくようになる。


2004年には、今まで有井製作所が担っていたプラモデル事業が全てマイクロエースに移管された。これにより「有井製作所」本体は模型に関わらない事業形態となる。


2006年にマイクロエース10周年記念商品が発売されたが、これは1996年の新製品の発売を再開した時から起算したものであり、実際には2006年時点で「マイクロエース」ブランドは25年以上の歴史を持っていた。


製品の特徴編集

競合他社との製品ラインナップの差別化を図るべく、他社では数が出ず売れないと判断されるマイナーな車両を旺盛に製品化している。

例として

  • 沿線地域外では売り上げが期待出来ないご当地車両
  • 収集している人口が多くない貨車やコンテナ
  • 一編成しか存在しないジョイフルトレインや事業用車
  • 短期間で消滅した形態
  • 事故などの影響で急遽組成されたイレギュラーな編成

などが挙げられる。中には趣味人の間でも「知る人ぞ知る」ようなものもあり、模型から実車の存在を知った人も多い。


特に2000年頃は蒸気機関車を怒涛の如く製品化しており、国鉄に在籍していた蒸気機関車は大抵ラインナップした実績がある。

中にはC63のような計画倒れに終わったものや、『銀河鉄道999』の999号のようなフィクション、果ては南満州鉄道あじあ号までも製品化している。

電気機関車も同様で、マイクロエースが最初に製品化し、その後に他社が追従して製品化した車両も多い(EF80ED73など)。


これらネタモノ系の商品戦略でファンを獲得し鉄道模型メーカーとしての地位を不動のものとした。

この快進撃は後年の他社の商品展開に大きな影響を与えることとなった。


しかしながら初期の製品はノウハウの不足から、型式図(平面図)と数枚の写真だけ見て製品化したような造形が多く、製品の出来栄えに当たり外れが大きかったこともまた事実である。

こうした外れ製品に2ちゃんねるで様々な蔑称が付けられたり(「は〇なす」「キハ乙乙」「フロ系」など)、店頭の不良在庫品は「蟻塚」とも呼ばれ、時にメーカー自体が「ポリバケツ」「マイクソエース」とまで呼ばれたことすらあった。

一部製品では動力車のダイキャストが経年劣化で変形・破損するという致命的な欠陥も度々報告された。ただし破損した車両はメーカーの部品在庫がある限り無償で修理対応している。


2000年代後半になると現地の技術向上・検品の強化により全体的に品質や精度が良くなった。中でも塗装や印刷技術は目を見張るものがあり、細かい表記の精密さは他社を凌ぐとまで評される。特に煌びやかな装飾を施す観光列車との相性が良く、ヒット製品を多数生み出している。


ラインナップの性格上、生産数が他社ほど多くないことから価格は割高である。これは、同じくマイナー車両を中心に展開するグリーンマックスと同様である。

2010年代以降は製品の品質が上がったこと、また中国の人件費高騰や為替、石油価格の影響を受け、更なる価格の上昇を招いている。


2000年代までニッチな分野はマイクロエースの独壇場だったものの、鉄道コレクションの勢力拡大、更に2010年代後半からはKATOやTOMIXもマイナーな車両の製品化を活発化させ始めたことから、競合を避けるべく保守路線に転換した。

現在では完全新規の新製品は殆どなくなり、既製品の仕様変更または再生産でラインナップを維持している。


理由は不明ながら納期遅延も常態化しており、2年半も発売が延期された製品があった他、発表から約7年後に発売中止となった製品すら存在する

製品化発表後に撤回する事例もあることから、「実は経営難に陥っているのでは」と心配する声もある。

(マイクロエースは従業員15人程度の零細企業である)


プラモデルについては有井製作所を参照。


キャッチコピー編集

マイクロエースを語る上で欠かせないのが、新製品の販促ポスターに記される独特のキャッチコピーである。

簡潔だがどこか浮世離れした説明と、必ず「!」を含む疾走感のある文体で、ファンの間では未だに旧製品のキャッチコピーが語り草になっている。

以下、その一例。


初期の製品はブッ飛んだ表現が多く、2ちゃんねるなどで頻繁にネタにされた。

2010年代になると落ち着きを見せたものの、2020年頃より再びはっちゃけるようになり、ポスターが発表される度にSNSを沸かせている。

これらのキャッチコピーは、製品のブックケースにもバッチリ記入されており、同社のアイデンティティとして愛されている。


その他編集

  • Nゲージ車両の他にも室内灯や交換用カプラー「マイクロカプラー」も製造している。
    • 室内灯は発売当時珍しかったLEDを2個点灯するタイプであり、他社の各純正品に比べ室内全体を満遍なく照らせたことから、改良版の登場やテープLEDによるサードパーティー製品が普及する前は加工してまで他社製品に入れるユーザーが多かった。
    • レールやパワーパックも手掛けていた時期もあったが、後に撤退している。
  • 2000年代前半まではブックケースの色を製品ごとに分けており、更に一部製品は木箱を使用するなど華やかさへの拘りが強かった。さすがに非効率だったのか、現在はライトブルーの樹脂製ケースで統一されている。また一時期は黒いケースも採用していた。
  • 2018年には車載式の超小型スピーカー「マイクロスピーカーシステム」を発売。これはオーディオやスマートフォンからBluetoothで送信した音を自由に鳴らせるもので、発売直後は悪ふざけで北の曲を流す人が続出した。
  • HOゲージも稀に発売されるが、旧製品の焼き直しのみであり完全新規の製品は無い。
  • 2019年11月、鉄道模型販売店のポポンデッタが自社製Nゲージに参入し、処女作としてJR九州305系を発売したが、台車や車内などの製品的構造がマイクロエースに酷似していると話題になった。これは現地においてパーツの設計・製造を委託した先が同じ工場であったためと推察される。
  • 蕨市のふるさと納税の返礼品として、C11形蒸気機関車のNゲージ製品が用意されている。モデルは実車が蕨市大荒田交通公園に保存されているC11304。

関連項目編集

鉄道模型 Nゲージ

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