「戦いってのはよ… 手柄をたてて手に入れたものの大きさより」
「何を守ったかで価値が決まるんだ」
「何やら 記憶にない感情が湧き上がってきますよ」
「何か巨大な生物とでも対峙したかの様な… ゾクゾクする不思議な感覚…!!!」
「体が踊り出しそうだ」
概要
『ONEPIECE』の作者尾田栄一郎が、本作の連載開始前に描いた短編漫画『MONSTERS』の登場人物。尾田氏によると、両作品は同じ世界観を舞台とした物語であるとのこと。
数百年前、海外を放浪中に空飛ぶ竜(ドラゴン)を斬り落としたという逸話を持つ大剣豪で、世界に「ワノ国の“侍”」という存在を知らしめた伝説的存在。現在のワノ国でもその伝説は語り継がれており、“刀神様”として祀られている。
『ONEPIECE』スリラーバーク編においては、ゲッコー・モリアの能力でゾンビ化した上で登場。ブルックの影を媒体にしているため精神は異なるものの、その剣の凄まじさはゾンビになって尚も健在で、麦わらの一味の剣士ロロノア・ゾロと激戦を繰り広げた。
プロフィール
本名 | 霜月リューマ |
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異名 | 伝説の侍、刀神様 |
年齢 | 享年47歳 |
身長 | 179cm |
所属 | 元ワノ国の侍、スリラーバーク将軍ゾンビ |
出身地 | 偉大なる航路 新世界 ワノ国 鈴後 |
誕生日 | 11月6日 |
血液型 | XF型 |
好物 | カレー |
武器 | 大業物「秋水」 |
笑い方 | ヨホホホホ(ゾンビ後) |
CV | 粗忽屋雑司ヶ谷店 |
人物
生前(『MONSTERS』より)
黒髪総髪の茶筅髷に無地の薄灰色の着流しをまとった青年剣士。
額が広く目付きの悪いその容貌は、どことなく現在のゾロに似ている。
普段はどこか間の抜けた振る舞いが目立つ一方で、不義を許さず、「兵の魂(つわもののこころ)」を重んじる生粋の武人。剣士としての礼節にうるさく好戦的な部分もあり、酒場で不意に剣士シラノと互いの剣の鞘が当たった際には「鞘当て」という無礼な行為に激怒し真剣勝負を挑んだこともある。また、他者から受けた恩には全力を持って返すことをモットーとしており、それこそ、命を救われたのであればその相手を“主”と呼び(恩を返せるまで)絶対的な忠義を尽くすほど。
剣の腕前も当時からかなりのもので、相手がどんなに強大でも果敢に挑む勇敢さを持つ。世界各地で噂される大剣豪“キング”と戦うことを夢見ており、故郷を離れて海外を放浪していたが、実はその大剣豪の本来の呼称は“リューマ・ド・キング”といい、リューマ本人を意味する言葉であった。しかし本人はそんな事実などつゆ知らず、尚もキングの行方を求めて世界を旅することになる。
数百年前(47歳の頃)に病没し、死後は故郷であるワノ国の郷「鈴後(りんご)」にお堂が建てられ、生前の愛刀「秋水」と共に安置された。民衆からは、生前の数々の伝説が讃えられ“刀神様”として死後も慕われ続けていたという。
死後(『ONEPIECE』より)
23年前、ゲッコー・モリア率いるスリラーバーク海賊団によって盗み出されたリューマの遺体を、一味の船医ドクトル・ホグバックの医療技術とモリアのカゲカゲの実の能力を駆使して復活させた“将軍(ジェネラル)ゾンビ”。
死没した47歳からさらに数百年の年月が過ぎているため、髪は白髪に、肉体はミイラ化しており、顔面はほぼ骨格がむき出しになった禍々しい風貌となっている。衣装は凡そ生前の装いと変わりないが、顔の一部(額と左目の上辺り)や体の各所に包帯を巻き、首には藍色の長い襟巻きを巻いている。着流しも白生地を基調とし、裾には濃紫色でススキのような柄が、袖には菱井に龍の字の紋所があしらわれている派手柄なものになっている。
性格は影の主であるブルックそのもので、常に敬語を用いたりなど紳士的な振る舞いを見せるが、本人よりも剣における自信の強さや好戦的な側面をみせている。本人の発言から、これらは肉体の記憶が多少なり反映されている部分があるようで、自身に匹敵する実力者であるゾロを目の前にして、影の記憶にはない「何か巨大な生物と戦っている」ような高揚感を顕にしていた。
能力
MONSTERS
当時の刀は無銘。元来の性格が災いしてか、平静さを失っていると簡単に隙きを作ってしまうところがあり、シラノとの初戦では簡単に一本を奪われてしまっている。
しかし、その一太刀の威力は既に超人の域に達しており、シラノとの再戦時はその仲間たちをたった一人で瞬く間に斬り伏せ、町を襲う凶暴で巨大な竜の首を空中で切り落としてみせた。『ONEPIECE』では、以降もあらゆる相手との手合いも一閃の内に勝利し続け、後世では「生涯無敗だった」とも伝えられている。
ONEPIECE
『MONSTERS』の物語以降に手に入れたとおもわれる“大業物21工”秋水を得物としている。将軍ゾンビの中でも群を抜いた身体能力を持っており、影の主であるブルックでもまったく太刀打ちできなかった。ダズ・ボーネスとの闘いで鉄を斬る術を身につけたゾロさえ「長引くと刀が折られちまいそうだ… “伝説の剣士”の強さを支えた肉体と気迫は、まさに本物……!!」と戦慄するほど。
一方で、戦闘スタイルはフェンシングや居合術などを主体とするブルックに帰属し、強力な一太刀による“豪剣”に重きを置いていた生前のリューマとは根本的に剣の属性が異なり、本来の実力を発揮できず、むしろマイナスに働いてしまった可能性がある。これが一因したのか、最後は一撃の僅差でゾロに惜敗することになる。ゾロ自身は
「心身共にあってこその剣士だ お前が生きた時代に会いたかったよ」
と語っており、この勝利で“本当のリューマ”に勝てたとは思っておらず、勝負をなかったことにしている。
技
ONEPIECEにおいては多彩な剣技を披露しているが、元々これらの技は全て影の持ち主であるブルックの技であり、リューマ本人が生前に使っていた技ではない。
しかしブルック以上に強靭な筋力を持つため、基本的にその威力はブルックを遥かに凌ぐ。
もっともブルックは元から痩身で、更に死んで骨だけ、つまり普通に考えれば生前の5分の1以下の体重になっている。
そういう意味では、朽ちたとはいえ屈強な肉体を持つリューマが勝っていたのも道理なのである。
余談だが未だ原作内にてブルックが使用したことが無く、リューマが使用していることから存在だけは知られているという技が幾つかある(前奏曲オフエル、酒樽舞曲・ルミーズがそれ)。
鼻唄三丁矢筈斬り
刀を抜いて相手に接近、すれ違いざまに超高速の斬撃を放つ。
驚異的な速度で振り抜かれた刃に相手は斬られたことに気付かず、リューマが納刀するのを合図とするかのようにダメージを受けて倒れる。なお、峰打ちでも同じような芸当が可能。
ちなみに”鼻唄三丁矢筈斬り”はブルックにとって特別な意味のある技名であり、その名の由来を知らない(覚えていない)リューマが”鼻唄三丁矢筈斬り”を使用することに対して、ブルックは激しい憤りを見せていた。
夜明曲(オーバード)・クー・ドロア
高速の突きを繰り出す。
ブルックの高速の剣技とリューマの強靭な筋力が融合した結果、ピストルの如く突きを飛ばすことが可能で、その威力は離れた壁に風穴を開けるほど。
ブルック自身も新世界編で披露し突きを飛ばせるようになった。
前奏曲(プレリュード)オフエル
相手の武器に対して剣を連続で叩き付ける。
武器そのものにダメージを与えて破壊し、実質的な敵の戦闘力を削ぎ落とす技。
本編では致命的な破損こそしなかったものの、受けた持ち主が無視できるような軽い技でもなかった。
革命舞曲(ガボット)ボンナバン
地面を強く蹴り込んで急加速、その勢いのままに突きを繰り出す。
列車を真っ二つにするゾロの”羅生門”に匹敵するほどの威力。
本体であるブルックが使えば剣によるただの刺突であるが、改造された強靭な肉体を持つリューマが放つこの技は”飛ぶ斬撃”を発生させる。
2年後では本体であるブルックも飛ぶ斬撃の革命舞曲ボンナバンを放てるようになった。
酒樽舞曲(ポルカ)・ルミーズ
目にも留まらぬ超高速の連続突きを放つ。
革命舞曲ボンナバン同様に飛ぶ斬撃が発生するが、こちらは連続で繰り出す技であるため、マシンガンの如く絶え間ない斬撃が放たれる。
活躍
MONSTERS
本作の主人公。
「世界一の兵(つわもの)の魂」を持つ最強の剣豪「キング」を探す旅の途中、空腹によりのたれ死ぬ寸前まで追い込まれるが、とある町に住んでいるフレアというウェイトレスに食事を与えられ一命を取り留める。命を救われたリューマは深く感謝し、その恩を返すまで彼女の側に居続けることを(勝手に)決めた。
フレアは7年前に起こった巨大な竜による襲撃事件の唯一の生き残りであり、その際に竜から救い出してくれた一流剣士シラノに憧れを抱いていた。そんな過去をリューマが聞いていると、7年前と全く同じように町にドラゴンが現れ大騒ぎとなり、町民たちは急いで避難することになる。
この騒ぎの中で、実はシラノこそ7年前の事件の黒幕の一人であり、10年前に騎士団を皆殺しにして奪った「竜の角笛」を利用し、今回と同じく仲間と共謀して町に竜を呼び寄せていた。町民が大騒ぎする中で仲間に金品を盗ませ、自身はフレアを救うことで名声を得るという卑劣な手段の真相を聞いてしまったフレアは絶望し、リューマもまた、口封じしようとするシラノ一味を逆に斬り捨てる。更には、町に飛来した竜を一刀のもとに両断し、結果的に町に巣食う脅威のすべてを完全に消し去った。
(これが元で、後世(ONEPIECE)では“竜を斬った伝説の侍”として名が知られる事になる。)
騒動後、フレアへの恩を返せたことに満足したリューマは再びキングを求めて町を出ていった。町民の一人の青年がキングの正式な呼称である“リューマ・ド・キング”という名を思い出し、実はリューマ自身が、彼が戦いたがっているキング本人であることが発覚する。しかし、既に町を旅立ったリューマ本人に届くはずがなく、キングと戦える日に胸を膨らませながら旅路を進んでいった。
ONEPIECE
本編の時代から約400年前に生きていた人物。
ジャヤ島でノーランドとカルガラが親交を深めたり、そのジャヤ島の半分(カルガラ達シャンディアの村があった側)が「突き上げる海流」ではるか上空のスカイピアに飛ばされたりしたのがそのくらいの時期である。
錦えもん曰く「ワノ国の偉大なる英雄」として名を遺したとのことで、当時「黄金の国」として狙われていたワノ国を外敵たちから守り抜き、「ワノ国に侍あり」との評判を広めた。
病死した後は故郷でもある「鈴後」の墓地に丁重に埋葬され、寒冷な気候ゆえに400年もの間肉体が残っていた。
しかし23年前に墓からDr.ホグバックによって盗み出され、ゾンビ化のための改造を施される。
そして7年前に偉大なる航路“魔の三角地帯”スリラーバークにおいてブルックの影を与えられたことで将軍ゾンビとなり、ホグバックの研究所の用心棒を務めつつ幾度となく挑んでくるブルックを返り討ちにしてきた。
2年前にスリラーバークにやって来た麦わらの一味の前に立ちはだかり、そこで本来の影の持ち主であるブルックを圧倒したものの、加勢に現れたロロノア・ゾロに敗れた。
その後、ゾロを見込んだリューマは自分が所持していた名刀“秋水”をゾロに譲り、肉体が燃え尽きたことで浄化された。
ブルックの影が入っているため基本的には陽気な性格だが、ブルックとしての記憶はもはや完全に失せており、好戦的で残忍な性質も見られる。
対峙した際には肉体的なスペックの差に加えて、船の上で一人で修行せざるを得ないブルックとは違いスリラーバークにやってくる侵入者やモリアから森の負け犬と呼ばれる島の住民など対戦相手に恵まれていたこと、ブルックにとって大切なアフロを弱点として執拗に狙い続けることなどもあってか戦いを優位に進めた。
一方でゾロとの戦いを前に「体が踊りだしそう」なほどの高揚を覚えたり、自身の敗北を認めながらも「侍の身体」に敗北を与えてしまったことを恥じるなど、戦士としての矜持を匂わせる台詞も僅かながらあった。
本人は「記憶にない感情」とも言っており、あるいは「リューマの身体」に残されていた記憶だったのかもしれない。
余談
カイドウ
リューマは『MONSTERS』において「空飛ぶ竜を一刀両断」するという離れ業を披露しているが、かつてゲッコー・モリアを倒したカイドウもまた空を飛ぶ巨大な龍に変身する能力を持つ。
モリアがリューマの墓を暴いたのがリューマの竜殺し伝説を踏まえたモリアなりのゲン担ぎなのだとしたらなかなか皮肉が効いている。それとも、もしかしたらモリアはゾンビとして黄泉がえらせた伝説の剣豪リューマに自身の希望を託していたのかもしれない。
ブルックの影との相性
ブルックの影とリューマの死体はマッチしていたわけではなかった。
しかし、ゾンビとなったリューマはホグバックによる修繕や補強などが施されていたとはいえ速度を重要視するブルックのスタイルにある程度合わせられるだけの健脚なども持ち合わせており、3mを優に超える高度なうえ急斜面のような状態の場所でも、ゾロの連撃に短時間とはいえ対抗してみせていた。
並大抵の剣士の影ではこのような芸当は成しえないと思われるので、モリア(ホグバック?)がブルックを選んだのは間違いだったわけではない。だが、それから数年間もマッチしていないブルックの影をリューマの死体に入れ続けていたのはなぜだろう?その理由はいくつか考えられる。
①ブルック以上の剣士の影が手に入らなかった。
②スピードタイプと剛剣タイプの良いとこ合わせどりになると思った。
③そもそもモリア達は剣士の仲間はいないためゾンビ兵の剣士のタイプまで把握することは出来なかった。