概要
1974年から発売されている、小学館のコミックレーベル。
名前の由来は川崎のぼるの漫画『てんとう虫の歌』から。本作や『ドラえもん』等のように、小学館の学年別雑誌(現在は「幼稚園」「小学一年生」以外すべて廃刊)に掲載されている漫画の単行本化を行うレーベルとして創刊された。
実は当時、児童誌は漫画が1回連載されればそれで終わりであり、『週刊少年サンデー』等の少年誌とは異なり、単行本が発売されることはごく稀だった。しかし『ドラえもん』(※後述)が爆発的にヒットし、更に他学年誌の漫画が好評だったのを受け、順次単行本化されていくことになった。
そのほか、『週刊少年サンデー』掲載の一部作品(その中でも特に有名なのが所謂原作版『ゲッターロボ』)や、ドラゴンコミックス創刊以前の『コロコロコミック』の漫画等もこちらで単行本化されていることがある。
現在は学年誌の漫画の一部は『てんとう虫コミックススペシャル』で纏められている物もある。代表例は『ポケットモンスターSPECIAL』、姫川明版『ゼルダの伝説』など。
『ドラえもん』のてんとう虫コミックス版に関して
今、本屋に行って「『ドラえもん』を下さい」と言えば、てんとう虫コミックスの棚に案内されるだろうが、実はてんとう虫コミックスは傑作選であり完全版ではない。そもそも『ドラえもん』は複数の掲載誌で一斉にスタートしたので、第1話が複数存在する。TC1巻掲載の「未来の国からはるばると」は「小学四年生」1970年1月号掲載。
TCで時折急に話が低学年向けになったり、のび太達の頭身が縮んだりするのは、低年齢層向けのエピソードをチョイスしているからである。
発刊当時、小学館は「児童向けの漫画がそんなに売れるのだろうか」と疑っていた為、ゲラを社員に読ませて採点させ、合計点が高いものを選んでとりあえず全6巻で刊行したのである。
そのため6巻最後の掲載作「さようなら、ドラえもん」は『小学三年生』1974年3月号掲載の事実上の最終回である。この後、『ドラえもん大百科』というひみつ道具の解説本と言える付録が描かれており(絵は方倉陽二)、これで完結するはずだった。
が、『ドラえもん』は相変わらず読者人気も高く、単行本売り上げも非常に良かった為、TCの続刊が決定。当時『ドラえもん』はアニメ化の失敗や『よいこ』『幼稚園』での打ち切りなどで斜陽に立たされていたが、てんとう虫コミックスが爆発的にヒットしたことにより、新たに『ドラえもん』ブームが巻き起こった。
これにより作者が死去した45巻まで刊行が続けられたが、傑作選のシステム上単行本収録率は上がらなかった。
このほかにもアニメ版『ドラえもん』の声優が水田わさびらに変更された時期から『ドラえもんプラス』が不定期刊行中。連載50周年を記念して2019年には全掲載紙の第1話を収録した『第0巻』が出版された。
別レーベルとして「てんとう虫コミックススペシャル」からTC未収録作品を厳選した『カラー作品集』が発行されている。
その後小学館『藤子・F・不二雄大全集』ではドラえもんの全エピソードの掲載が告知。
『大全集』では掲載年順ではなく世代順に収録されている。
関連項目
藤子作品以外で有名なもの
- あさりちゃん…全100巻の児童漫画史上最長連載記録を持つギャグマンガ。
- うわさの姫子…「何それ?」とか言ってはいけない。全31巻の大作少女漫画で「姫カット」の語源である。ドラえもんと笑撃的コラボを行ったことで知られる。
- がんばれ!!ロボコン
- ゲッターロボ…本レーベルにラインナップされた「週刊少年サンデー」掲載作品の代表的なもの。後に『ゲッターロボサーガ』第1章に位置付けられる。
- 名たんていカゲマン
- ゲームセンターあらし
- 超人キンタマン
- ザ・ウルトラマン…『コロコロコミック』及び『小学○年生』で連載されていたコミカライズ。
- 名探偵コナン特別編…『小学○年生』などで連載されているバージョン。よく本編と異なる描写も出てくる。
- てんとう虫の歌…『ドラえもん』『ゲッターロボ』と共に第一期ラインナップを飾った作品であり、レーベル名の由来でもある。