概要
国鉄民営化後に投入されたJR東海のキハ85系特急形気動車が、大規模なリニューアル工事を受けないまま製造から30年を経過したことから、その代替車両として開発された。「ハイブリッド式」と報道で発表されているが、実際は「蓄電池」を搭載した「電気式気動車」の1つである。
「Hybrid Car」の頭文字である「HC」を形式名として新たに立ち上げ、また「キハ85系」の「85」をそのまま形式名として継承した。
ディーゼルエンジンを使用している点は従来の気動車と同じであるが、電気式気動車の場合はディーゼルエンジンで発電機を動かし、そこから発生する電力によりモーターを回している。HC85系の場合はさらに蓄電池も装備しており、ディーゼルエンジンが発生させた電力と、蓄電池の電力の両方を併用して車両を動かす。
このシステム自体はJR東日本のHB-E210系(仙石東北ライン用)やJR西日本の87系(トワイライトエクスプレス瑞風)等でも採用されているが、この車両は特急運用に特化する為に最高速度を120km/hまで引き上げ、さらに飛騨地方の豪雪にも耐えられる仕様とした。
HC85系はまず量産先行車が2019年度中に落成。基本性能試験や長期耐久試験などの結果を踏まえて、2022年度をめどに量産車を投入する予定としている。
車種
先頭車は85、中間車は84の番号を使用。この車両は気動車(ディーゼルカー)であるが、本来電車で用いられるべき記号「モハ」「クモハ」「クモロ」を使用している。
- クモロ85形:全室グリーン席の名古屋・大阪方の先頭車。貫通型。トイレ付き。
- クモハ85形:全室普通席の高山・富山・紀伊勝浦方の先頭車。貫通型。トイレ無し。
- モハ84形0番台:全室普通席の中間車。トイレ付き。
- モハ84形100番台:全室普通席の中間車。トイレ無し。