ジョナサン・シーガル
じょなさんしーがる
CV:堀内賢雄
概要
フルネームは「ジョナサン・ヴィンセント・シーガル」
眼の周りがやや黒ずんでいる人相をした、老体の帝国軍准将(現在では階級を事実上剥奪されており、元准将と呼ばれている)。
コリンズ准将の後任として、ジェノスピノ復活プロジェクトのトップとなった帝国軍准将で、穏健派のコリンズとは異なり、共和国への侵略を目論む過激派思想の持ち主で、彼とは対立していた模様。
見た目と比例するように共和国軍のギャレット少将からは、「狸」と皮肉られており、自身が推薦させたアルドリッジ少佐が搭乗するジェノスピノによる進撃を「コリンズが搭乗している」と偽った上に、「彼は「狂犬」と呼ばれる程の強硬派」「帝国の意思に背いて暴走している」等と嘯き濡れ衣を着せるが、コリンズが人格者である事は共和国にも知れ渡っていた為、彼の言い分は元より信用されていなかった。
後にジェノスピノの無断使用及び、それによる無差別破壊、共和国との緊張を強め、帝国国民の不安煽動等による、複数の罪状で軍法会議に掛けられ、階級剥奪の上で禁固500年の極刑に処されたが、「ランド博士は何故罪に問われない?」と尋ねその答えを聞いて以降、連行される直前まで鷹揚とした態度を崩さず、それ所か退廷の間際に「今回の件は勝ちさえすれば、私は英雄になれていた筈だが?(要約)」と平然と宣っている。
その余裕は決して虚勢や負け惜しみ等ではなく、ランド博士の手引で釈放された後、オメガレックスの復元作業が行われているラプス島でランドらと合流、帝国軍内の同志を集めて完全な帝国への反逆に打って出る。
オメガレックスの復元が間もなくとなるや、共和国・帝国問わずに電波ジャックを実施し「ハンナ・メルビルは前皇帝の娘である!」「自分達こそ真帝国である!」(何れも要約)と、声高に自分達の正統性を喧伝した。
ネオゼネバスシティ侵攻戦では、ランド博士が駆るオメガレックスの攻撃により、王城の防備に綻びが発生した所で、メルビルのスナイプテラに搭乗し潜入。
城内の防衛戦力を無力化した後、フィオナ女王陛下が居る謁見の間に向かうと、オメガレックスの戦闘力を見せ付け、首都防衛に従事する帝国軍人の命を盾に、無条件降伏の調印を迫った。
しかし、真帝国の最大戦力・オメガレックスが沈黙した事で、フィオナからの無条件降伏が不可能になってしまった為、武力行使の兆候が確認されれば、即座に王城の破壊=フィオナ殺害を宣言、親フィオナ派の帝国軍への無条件降伏に作戦を変更した。
だが、ギレルと共にスナイプテラで王城に侵入した、レオの奇策によってフィオナ達の許へ到着を許してしまい、更にメルビルも彼等を援護した事も重なって、フィオナが救出されてしまう。
最後の悪足掻きさえも失敗したシーガルだったが、フィオナ救出の為に孤軍奮闘するメルビルの前に、自らの専用機と見られる金色のキルサイスに搭乗して現れるや、マシンブラストを応用したと思われる機構・『耐Bスーツ拘束ユニット』で彼女を失神させ、彼女スナイプテラに乗せて真帝国の同志と共に王城から脱出するのだった。
無事に真帝国の基地に帰還したシーガルだったが、真帝国の要たるオメガレックスは損傷が激しく、更に修理を行えるランド博士は行方不明の身となった為、博士の助手として行動を共にしていたメルビルに修理を要求するも、心変わりしたメルビルに拒否され、オメガレックスは事実上使用不能となる。加えて正規軍に反撃も始まり、次々と占拠していた拠点を奪回、あるいは包囲されてしまい身動きが取れない状態に陥る。
そんな中、本拠地である秘密基地に突如ジャミンガの大群が出現。未知の能力で警備を突破し、司令室まで入り込んできたジャミンガの中で、リーダーらしき個体が人語を用いてシーガルに交渉を迫り、自身も向こうの「我々ニ協力スルナラバ、無敵ノゾイド戦力ヲ与エル(要約)」との言葉を飲み、彼等への協力を決意するのだった。
以降はジャミンガの群れと同盟じみた関係となるが、この混乱の隙にメルビルに逃げられてしまい、彼らにメルビルの奪還を重ねて要求するも、向こうはあくまで『自らの主の復活』を第一義にしている為、真帝国の意向を半ば無視・独自の行動を採っており、「戦略的ニ我々ニハ不必要」「我々ニハアノ御方ガ居ル、唯一無二ノアノ御方ガ」(何れも要約)と突っぱねられている。
メルビルの奪還に失敗した挙げ句、彼女がレオ達に確保された為、メルビルを介して自分達の居城が共和国・帝国合同軍に知られたと察したシーガルは、アルドリッジとスピーゲルに臨戦態勢を取るように指示した。
だが、直後にジャミンガが「合同軍の相手をする」と提案、それに乗ったシーガルは上記の2人とジャミンガに陽動を任せ、オメガレックスを連れて本部から脱出する事に成功したのだった。
性格
抑揚のない淡々とした語り口調ながら、その胸中は口調と裏腹に極めて好戦的な野心家。
劇中でも類を見ない程の陰湿で狡猾な策士で、「ゾイドは道具」の認識が蔓延る帝国軍人の中でも、「部下さえも道具」と言わんばかりの冷徹な性格の持ち主。
生前のコリンズを嫌悪していたようで、彼の死後は前述の通り、プロジェクトのトップの座を奪っただけに飽き足らず「死人に口なし」と切り捨てた上、自身の暴挙を上記の通り「コリンズの暴走」と偽ってその罪を擦り付けると言う、卑劣な行為にも出ている。
また、ランド博士からリジェネレーションキューブの話を聞いても、然程気に留めずジェノスピノの侵攻にのみ注視し、ディアス中佐の策で動きを止めたジェノスピノに対し、自身の計画の失敗だけを恐れる=ライダーの心配は一切していない等と、鉄血思想に偏るブラック上司でもある(とは言え、部下への関心が皆無と言う訳でもなく、オメガレックスに搭乗したメルビルの変調を、ランド博士にそれとなく警告した……が、前述の事から『自分達の旗印が亡くなる』事への注意勧告と推測され、彼女だからこその配慮が真相だと思われる。事実、上記のジャミンガ大挙の際、基地から脱走しようとするメルビルを発見するや、「形だけとは言え、旗印を失う訳にはいかない(要約)」と発言、彼女の脱走を阻止しようとした)。
但し、コリンズ准将が死ぬ寸前まで牽引していた、ジェノスピノ復活プロジェクトを彼の死後に即座に“後任”と言う形式で奪う、ギレル中尉のジェノスピノ搭乗権限を剥奪し、アルドリッジ少佐にそれを委譲させる等、権謀術数に関し極めて秀でた才と、上記の謀略を即座に実行出来るだけの人脈を併せ持っている。
更に上記の極刑に処された際も、一向に動じる事なくやり過ごす様子から、「死ななければ幾らでも復活出来る」と割り切る、ランド博士と合流した際にフィオナ女王陛下とのモニター越しでの謁見にて「裏切る意思はありません、私は帝国の為に動いているのです(要約)」と、脱獄しても尚動じず帝国への帰属意識を嘯く、首都侵攻戦の敗北した中、フィオナ救出の支援をしたメルビルに上記の制裁を与えつつ、王城から脱出している等、異様なまで冷徹な思考をも見せる(但し、流石に収監直後は落胆したり、ランド博士の身に起こった変化には動揺を隠せなかった他、オメガレックスの修理が出来ない状況に、思わず一般将兵に対し「能無し共が」と吐き捨てたりもした)。
更に、オメガレックスの試運転によってか、彼に賛同する帝国軍人が決起・合流している事、強硬派兵士から「閣下」と呼ばれている事を合わせ、前皇帝の実子のメルビルを差し置き、真帝国の実質的な指導者とも言える。
また、帝国首都への侵攻戦に当たり、メルビルが提案した「オメガレックスの武力による和平交渉」に対し、「我々はゾイドによる武装蜂起した以上、もう後には引けない(要約)」と、(やや詭弁めいているものの)シーガルなりの矜持や信念を持っている事も察せられる。
以上の事柄から、今までの帝国軍人に見られた“単純な軍拡主義者”とも“立身出世だけを望む俗物”とも簡単に片付けられない、複雑怪奇な面も持ち合わせ、その腹の底はまるで深淵のように計り知れない。
余談
堀内氏は『ゾイド-ZOIDS-』でムンベイの元恋人のマクマーンを演じている。
彼自身のゾイドライダーとしての実力は不明だが、准将と言う地位に至る過程が戦績や武功ではなく、政治的な権謀術数によるものだとしたら、丁度ギレル中尉と真逆の人物造形の存在となる。
但し、上記の通りキルサイスに搭乗した事から、ライダーとしてそれなりの技量を有していると思われる。