概要
型式番号MP-02A。
一年戦争末期、ジオン公国軍側の戦局悪化に伴って技術本部が「決戦兵器」と称して緊急開発した駆逐モビルポッドである。
従来の生産ラインを活用する事が求められ、基幹ユニットにはザク向けに開発されたパーツを使用する設計となり、正規の手続きを踏まぬまま、なし崩し的に制式化され量産に入った。
このような経緯から開発の主導権は技術本部が握ることとなり、ザクマシンガンなどの既成の兵器や戦線の後退により不要となった陸戦型ザクⅡ(J型)のジェネレーターを流用して緊急開発し、宇宙世紀0079年11月にプロトタイプを完成させた。
地球連邦軍兵士はそのフォルムに接して「ジオンのゴミ箱」や「ドラム缶の化け物」とコメントしている。
国力の疲弊した国家特有の廉価兵器であって、連邦軍がモビルスーツの代用品として使用してきたボールを彷彿とさせるコンセプトの機体であることから、一部の兵士からは「先祖帰り」などと揶揄されたが、運動性能や装備運用の柔軟性など総合的な戦闘能力は、計算上ではボールを凌ぐといわれる。
宇宙戦用に設計されているが、冷却システムを持たない地上用のジェネレーターを主機に流用したため、静止モードでもロケットエンジンをアイドリングさせ、冷却システムと作業用アームを稼動させるという発想で全体が設計された。
メインカメラはモノアイを採用しているが、ザクなどのようなモノアイレールやシールドを持たず、旋回式の頭部に直接装架されている。
胴体左右のシリンダー内部には、大推力用の重推進剤と巡航用兼アイドリング用の水素という2種類の推進剤タンクで占められている。
作業用アームは機体下部前側に折畳まれて収納されており、武装を掴んでの格闘戦戦や物資運搬等で活用される。
機体左右にドラムフレームを有しており、固定式に改造したザクマシンガン、ザクバズーカなどの武装をそこに配されたハードポイントに装着する事が可能。
この他ロケット弾やシュツルム・ファウストなどモビルスーツの携行武器を装備することも出来るが、ビーム兵器の運用は不可能となっている。
ドラムフレームは任意の角度に回転させることができ、そこに装着された主推進器や大型クローアーム、そして武装類を移動させる事も可能。
カラーリングは明るいカーキ。各機の胴体左のシリンダー前部に描かれている3桁の数字は、前2桁は所属小隊番号、最後の1桁が小隊内での機体番号となる。
例として「021」ならば、第2小隊1番機を表す。
なお大戦末期に少数投入された本機であるが、他にザク・マリンタイプの試験時に随伴するほぼ同型の水中用モビルポッド(カラーリングはイエロー)が確認されている。
また、戦後アクシズに流れた機体がガザ・シリーズの開発の参考に用いられており、アクシズの軍備拡張や戦力強化の一翼を担った。
設定のモデルとなったのは、第二次世界大戦末期にドイツが開発した軽駆逐戦車ヘッツァー。敗色濃厚な大戦末期に急造されたという点が共通している。
劇中での活躍
一年戦争最末期のア・バオア・クー攻防戦直前にカスペン戦闘大隊の指揮下に組み込まれた第603技術試験隊ヨーツンヘイムに35機前後が配備され、試験と称する前線配備がなされている。
ただし、大隊とは名ばかりで経験を持ち即戦力となるのは大隊長であるヘルベルト・フォン・カスペン大佐のみであり、配属されたパイロットは急遽召集された16~18歳の学徒兵であった。
志願兵であり士気は高いものの操縦方法が単純なモビルポッドを前提として訓練時間は150時間という促成兵であった。
宇宙世紀0079年12月30日と31日に二度の実戦投入が行われ、それなりの戦果は上げたが、多数が撃破されている。
既にこの時点で公国軍には劣勢を覆せる力は無く、ヨーツンヘイムに帰還出来たのは僅か9機ほどの状態で、敗戦を迎えている。
関連項目
ヨルムンガンド ヒルドルブ ヅダ ゼーゴック ビグ・ラング ゲム・カモフ ボール