概要
アナハイム・エレクトロニクスが、ネオガンダムの専用装備として開発した超大型ビームライフル『Generative Beam Rifle Device(所謂、独立稼働式ビームライフル)』の略称である(G-B.R.D)。
ロングバレルを有し、全高・全幅共に通常のライフルの2~3倍という超大型ビームライフル兼機動補助ユニット。単純な全長だけで言えば、Sガンダムのビームスマートガンより短縮されてはいるが、体積(質量)や本体との比率では大きく増加している。
大型化の理由は、独立稼動に必要なユニットをワンパッケージングし、ヴェスバーの盗用・検証で得られたメガ粒子の連続帯域変速機能を導入し更に推進用のスラスター二発を備えた複合ユニットとして設計されたためである。(通常サイズのビームライフルが用意されてないのは、このためと考えられる)。系譜としてはどちらかと言えばビームライフルの規模拡張型銃器というよりは「バストライナーやメガライダーなどの支援砲撃機の機能をコンパクト化しMS携行用の大型銃器サイズに収めた物」と言った方がより近い物とされている。
ちなみにネオガンダムの機体諸元上の総推力はバックパックであるコアファイターの四発のスラスター分しか計上されておらず、G-バードの推力アシスト分の推力は不明である。
極めて微細な出力調整が可能で、特に内蔵ジェネレーターから直接粒子供給から収束まで行え、かつMS本体側からも供給アシストが行われるメガ粒子ビームの最大出力は、コロニーの隔壁を貫通し、その向かい側に居たラー・カイラム級戦艦エイジャクスを撃沈するという、文字通り「ヴェスバーを超える」ものであった。
固定にはハードポイントやウェポンラックの様なものを介せず、腕部に固定ハンガーとグリップで保持する形を取る。その関係上、レールマウント式を採用したF91のヴェスバー程の射角制限が無く、且つストック最後部に配されたスラスターを任意方向へ向ける事で機動力が補助され迅速な戦地到達などが可能になる。加えてジェネレーター内蔵型となった事で、アシストが不要な場合本体側ジェネレーター出力のほとんどを自機用の稼動リソースに回せ、ジェネレーター負荷も分散される(ZZガンダム建造時に培ったノウハウ)ため、更なる機体性能強化にも貢献している。この仕様は保持に必要なマニピュレーターさえあれば機体を選ばない万能兵器となることを想定したものである。
長距離射撃に関してはF90ⅡLタイプ仕様がイルルヤンカシュ要塞戦に於いて大戦果を挙げている為一概に「無駄な仕様」との否定は出来ない。また長距離の射撃を重視し近距離戦での不便を鑑みてないこの仕様からネオガンダムが所謂「戦況を見渡せるレベルの長距離レンジで運用する指揮官用高級機」としての性質が垣間見える(近距離戦はハーディガンやジェムズガンなど「配下機に任せる」形を採ることとなるため、単独での運用は重要視されていないともいえる)。
ネオガンダム用のコア・ファイターとのドッキング機構があり、ネオガンダム用コア・ファイターはMSのメインジェネレーターとしての機能を有しており高出力かつ供給アシストが可能な為合体時は大火力・高加速力を併せ持った航宙重戦闘機としての運用も可能となっている。
致命的な欠点
だが同時に欠点も発生しており、携帯武装としては大型なうえ右前腕全体で支えるスタイルであるため、G-バード後部が干渉し射角が活かしきれない形状的制約が生じている(待機位置での背面への射撃が可能なF91のヴェスバー(ただしこれはヴェスバーの機能というよりバイオコンピュータの高管制力由来の機能という部分が大きい)と比較して、手持ち式のG-バードが射角で勝っているとは言い難い面もある)。取り回しを考慮してグリップの位置を片側にズラすなどの工夫がなされているが、右腕を使用する際に本武装のパージが必要となるうえ戦場ではパージ後の回収も困難となる確率が高いため却って汎用性を低下させる結果となった。
また大型である為敵機から武装自体への直接攻撃による破壊も選択肢に入り易くなる面も有る。機動補助面でも一方向の加速こそ優秀だが、高出力な側面部サブスラスターは有しておらず(あっても姿勢制御程度)、AMBAC肢としても使用し難い事から戦闘機動ではデッドウェイトになる欠点が生じた。
そもそもにおいて相対的にジェネレーター内蔵・直結武装の価値が下がりつつあったトレンドに逆行していた面もあり(第二期MSはジェネレーターの高出力化と稼働エネルギー削減によりメガ粒子ヘの縮退を直接行えるようになったため、エネルギー切れや機体出力リソースを大幅に喰う事が起き難くなっている。ただし高出力ビーム兵器の様なエネルギーを多く消費するものはこの限りではない)、加えて上記の欠点と想定していた他のMSとのマッチングが良好とは言い難い結果となったため量産計画は頓挫することとなった。
G-バードの完成形は小型ジェネレーターを使用したMSの推力補佐およびコア・ファイター用強化モジュールとしても運用可能な独立型高出力多機能兵器ユニットと言われているが、真相は闇の中である。なお、一部の書籍で「サナリィの大容量メガコンデンサ技術の復元に成功した」という主旨の内容が記載されているケースが有るがその書籍の独自解釈の可能性が高い、他の資料には掲載された事の無い根拠に乏しい内容である(それが事実なら、アナハイムはメガコンデンサ解明に失敗したことになるのだが)。
その後
G-バードはメリット以上に多くのデメリットを持つことが判明した上にそれに関する事件の隠蔽も相まって、地球連邦軍の採用を見送られる結果となった。後年の大容量メガコンデンサ技術の普及も相まって、それ以降はジェネレーター搭載タイプの手持ち兵器はほとんど見られなくなっているが、数こそ少ないもののクジャクなどの兵器も開発されている。ただしクジャクは利便性や量産性を度外視したワンオフに近い性格の兵器であった。
代わって連邦軍の規格オプション武装として制式採用されたのが、サナリィで同時期にF90Ⅲによって開発・運用テストされていた、メガビームバズーカという大容量メガコンデンサ方式の可変速ビーム射撃火器である。AE社はそれのOEM生産を担当することとなったが、流通しているものはコスト優先という理由により簡易生産されたものである。これはF9系列などのサナリィ規格ハードポイント接続機能などをオミットしたもので、ロットによってはメガコンデンサ容量の差が出る物もあった。ただしコネクタのスペース自体は残されているため、パーツ組み込みの改造を行うことで簡単にハードポイント接続機能を復活させることが可能となっている。
関連タグ
※連続帯域可変速機能の盗用元。