概要
後に『PUIPUIモルカー』を手掛けることとなるアニメ監督・見里朝希が東京藝術大学大学院修了制作として発表したフェルトを使用したストップモーションアニメ。
童話「狼と七ひきの子山羊」を題材に、児童虐待や育児放棄、過保護から来る洗脳教育といったテーマをダークでグロテスクな描写とともに訴えかける。
2018年・新千歳空港国際アニメーション映画祭の審査員特別賞や第22回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の審査員推薦作品選出など国内外で多数受賞を重ねる高い評価を獲得した。
『PUIPUIモルカー』の爆発的なヒットにより見里監督の過去の制作作品にも大きな注目が集まるようになったことから、2021年2月4日~28日の期間限定で、ショートムービーの配信サイトである「ブリリア ショートショートシアター オンライン」にて無料配信が行われ(リンク。視聴には会員登録が必要)、配信初日にはTwitterのトレンドにも「マイリトルゴート」がランクインするなど大きな盛り上がりを見せることとなった。
あらすじ
あるところに、七ひきの子供を持つ母ヤギがいた。母の留守中、子山羊たちは母の言いつけを守らず、家に狼を招き入れてしまったために、全員食べられてしまった。
このことに気づいた母山羊は狼が寝ているすきに腹を裂いて中から子山羊たちを助け出す。
ところが、一番最初に食べられた長男のトルクは完全に消化されて既に死亡しており、助かった6匹も(隠れていたために運よく難を逃れた1匹を除いて)胃液で体毛がはげ、皮膚の焼けただれた見るも無残な姿になってしまっていた。
そんな中、母山羊はある一匹の山羊を連れてくる。それは、山羊の被り物をした人間の少年だった…
登場人物
夏希
声 - 福原愛未
主人公。父親から性的虐待を受けている事が劇中の描写より暗示されている。
ある日母山羊によって彼女達の家に(恐らく)無理矢理連れてこられ、消化されてしまった長男トルクの代わりにされてしまう。
当初は山羊たちから逃げ出そうとするも、子山羊たちがPTSDに苦しむ姿を見て自らのケープを長女に差し出した事で山羊達と和解する。
最終的に山羊たちによって父親が死んだため、トルクの代わりとして生きる運命を受け入れた。
母山羊
声 - 山下香織
7匹の子山羊を持つ。長男のトルクを喪ってしまい、人間の夏希をトルクの代わりとして育てようとする。以前に自身の不注意で子山羊達が狼に襲われ、そのトラウマから子山羊達を家に軟禁同然の状態で外界から隔離している模様。
子山羊
声 - 福原愛未・山下香織・見里瑞穂
母山羊の子供。
長男のトルクは狼に消化されて死亡し、残りも隠れていた一匹を除いて全身焼けただれてしまう。
母山羊からは洗脳に近い教育を受けており、夏希をトルクと思い込む。唯一、顔にひどい火傷を負った長女のレコンだけは疑いをかけたが、夏希から山羊のケープをもらったことで心を開く。それにより夏希がトルクでないと他の子供達も悟ったが、夏希に危害を与えようとする者には六神合体して戦った。
最後は夏希と同じ色違いの被り物をもらう。
ちなみに、演者の1人である見里瑞穂は監督の実姉で、監督の他の作品にも出演している常連である。
夏希の父
声 - 見里朝希
夏希の父親。
夏希を心配して迎えにやってきたが、実は息子である夏希に日常的に性的虐待を加えている変態親父。子山羊たちからは狼に見える。
妻がいるようで、彼のスマホの待ち受け画面に存在が確認されているが、現在どうしているのかは明かされていない(監督によると、本当は母親に関する話も描きたかったが、尺の都合でカットせざるを得なかったとのこと)。
夏希を助けようとした子山羊たちを返り討ちにし、夏希に性的暴行を加えるも、帰宅した母山羊にスタンガンで気絶させられ、狼のように腹を裂かれて中に石を詰め込まれ川に沈められた。
余談
『PUIPUIモルカー』の第5話「プイプイレーシング」で、レースの行われていたサーキット場の背後にある街に本作の看板が掲げられている(一瞬なのでわかりづらいが、コマ送りにすると確認できる)。