概要
アクアティリス、アンフィビア、テレストリスを経たゴジラの第四形態。
やや前傾気味だった体勢は重厚な下半身に支えられた直立姿勢となり、緑だった体表も漆黒に塗り固められ、だらしなく顎の開いていた頭部も小振りになりながらより厳ついものへと変化、そして自身に体長に匹敵するほど非常に長い尻尾が特徴。
これまでの怪獣との決定的な違いとして、背鰭を発光させた後に口から強力な破壊光線を撃つ放つ能力を持ち、それの威力はテレストリスで使っていた光輪弾とは比較にならないものであろ、都心部の巨大建造物も容易く焼き尽くしてしまう。
素の身体能力も極めて高く、他のどんな怪獣の追随を許さない正に最強の怪獣となっている。
容姿
初代のデザインモチーフが念頭に置かれており、首は太く、頭部の突起はオールバックのように後ろ向きに生えているのが特徴だが、一方で耳は確認できない。口は下顎の方が大きく、上顎には犬歯が目立つ(犬歯や前歯は口内の歯とは独立している模様)。
体付き自体は結構王道な外見だが、歴代に比べると恐竜のような前倒姿勢な骨格が目立ち、両足が非常に太く、皮膚はまるで鎧のように折り重なり、斜め上に伸びた白い背びれには赤い血管のような管が走っている。腕の側面にはワニやカメに見られるヒレのような突起が確認できる。
頭部は顔に比べて口(顎)は異様に巨大かつ大きく裂け、歯茎を剥き出しにした口内には舌がなく歯が何重にもびっしりと敷き詰められ、喉の奥には三本の「管」らしきものが見えるという、いかにも「絶対に人類と意思疎通が出来ない」と思わせるほど不気味かつ恐ろしい顔になっている。
『CGWORLD』6月号での山村氏のインタビューによると、今までのゴジラの延長線上では新しいものが出来ないため、「恐竜が蘇った」という初代の設定に原点回帰してティラノサウルス等を怪獣にする観点から始まり、CGで描かれるため着ぐるみの制約から外れた現代の科学的推論に基づいた生物学的に正しいデザインを心がけており、最終的に現在の恐竜の形態と既存の(昭和の)ゴジラのイメージを複合させた「完全に直立していないし完全に寝てもいない、絶妙な角度」の姿勢になったという。
また、皮膚も昭和ゴジラを再現しており、上記の横から見た時と正面から見た時とで印象が変わるのも考慮したものとなっている。肌のディテールは現実の鳥の足を参考にしており、生物学的に迫力を出すために下顎はがっしりしたものに、脚は巨体を支えるために太く描かれ、尻尾も正面からのカットで画に変化をつけられるようとても長く、腕や脚にあるヒダはミサイルなどの攻撃に耐えうるためのプロテクターの役割としてサイのそれがモチーフになっているという。
また、デザインした山森英司氏によると「何より初代のデザインモチーフを念頭に置き、絶対に人類と意思疎通など出来ない、畏怖すべき生き物としての威厳を持たせる事です。初期の昭和ゴジラのイメージを統合し、それでいて新しい初めて見る姿を目指しました。」とのこと。
劇中での活躍
第10話後半、夜間自衛隊と交戦し集中砲火を浴びていたゴジラテレストリスが爆炎と黒煙の中で突如この姿へと変化した。
進化後は自衛隊の攻撃も強硬な外皮で寄せ付けぬまま背鰭と口内を青白く光らせ、口の前に7つの大小様々な「光輪」を形成。そのまま光輪をくぐるように放射熱線を放出、戦車やビルを焼き、貫き、薙ぎ払い、東京を一瞬にして火の海に変えてしまった
第11話前半にて紅塵の雨のなか上陸してきたマンダと交戦。長大な身体で巻きつかれて首もとに食らいつかれるが、すぐに熱線を発射してマンダを焼き切り瞬殺*。*その後も紅塵に覆われラドンの群れが飛び交う東京を闊歩していった
第12話では直接の登場はなかったが、東京駅に陣取り体高も100mに成長したことが語られたほか、紅塵に包まれた東京には「グロブ」や「グレイ・グー」とも称される紅塵を吸収して成長し周囲の空間を歪ませる赤い植物や金色の鱗粉をはためかせるどこかで見たような色のヤママユガ(天蚕)など、未知の生物たちによって侵略的に新たな生態系が構築されている。
余談
略称はギュラゴジ。
劇中に登場した浮世絵『古史羅ノ図』は歌川国芳の錦絵『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』に酷似しており、その絵での鰐鮫がゴジラ(古史羅)に、烏天狗がラドン(羅甸天狗)になっている。
正式名称「ゴジラウルティマ」(ムービーモンスターシリーズより)にある「ウルティマ」はラテン語で『最終、遠方の〜、見知らぬ』を意味し、そこから人間が生存できる限界地点を語源とする言葉でもある。
また、劇中に登場した他の怪獣たちには、「背びれ」や「口」、「喉」など、ゴジラに類似した部位が確認されているが、今のところ関係性は不明。