概要
千葉県房総半島は"ミサキオク"にて古くから伝わる「紅く染まった海から現れる終末の獣」とも称される怪獣であり、その伝承を描いた浮世絵には『古史羅(一見「こしら」と読みそうだが、実際には従来通り「ごじら」)』と記されている。
劇中から80年前の日本にも出現しミサキオクにあった漁村を壊滅させたようだが、戦後の混乱とともにその記録は紛失し人々の記憶からも忘れられ、白骨化した死骸は軍の管理下のもと地下施設に封印されていたが、当時漁村で生まれ育った科学者が施設ごと買い取り、秘密裏に研究・監視していた。
未知の物質"紅塵"を大量に発生、制御する能力をもち、ゴジラ自体が紅塵の発生源たる成長する『特異点』とも言える存在となっている。
己のDNAを激変的に書き換え、進化を操作する能力を持ち、海棲恐龍を思わせる水棲形態から始まり、上陸したての山椒魚のような両生形態、自ら火に焼かれて蛹化を経て羽化した肉食恐竜に酷似した陸棲形態を経由した果てにこの姿へと成長を遂げた。また、公式サイトの解説によると「成長しきったところで、「さらなる存在」へ至るのではと考えられている」とのことだが、その真偽やその際に何が引き起こされるかは不明。
現時点で確認されている情報は公式Twitterや公式サイトで公開されている画像やPVのみであり、さらに本格的な劇中登場も第10話からだったため今のところ能力や出自はまだ不明かつ謎が多い。
第3弾PV内では高濃度の“紅塵”に覆われた町を闊歩している姿や口から青白い放射熱線を発射している様の他、その予備動作として開けた口の前に幾つも並んだ青白い光輪を形成しているようなシーンもある。
容姿
初代のデザインモチーフが念頭に置かれており、首は太く、頭部の突起はオールバックのように後ろ向きに生えているのが特徴だが、一方で耳は確認できない。口は下顎の方が大きく、上顎には犬歯が目立つ(キービジュアルやPVを見るに犬歯や前歯は口内の歯とは独立している模様)。
横顔は初代ゴジラやゴジラ2016(第四形態)に、2021年1月1日に公開されたビジュアルではミレゴジ、若干キンゴジに近い。
結構王道な外見だが、歴代に比べると恐竜のような前倒姿勢な骨格が目立ち、両足が非常に太く、皮膚はまるで鎧のように折り重なり、斜め上に伸びた白い背びれには赤い血管のような管が走っている。腕の側面にはワニやカメに見られるヒレのような突起が確認できる。
また、デザインした山森英司氏によると「何より初代のデザインモチーフを念頭に置き、絶対に人類と意思疎通など出来ない、畏怖すべき生き物としての威厳を持たせる事です。初期の昭和ゴジラのイメージを統合し、それでいて新しい初めて見る姿を目指しました。」とのこと。
そして、その後公開されたキービジュアルを見るに顔に比べて口(顎)は異様に巨大かつ大きく裂け、歯茎を剥き出しにした口内には舌がなく歯が何重にもびっしりと敷き詰められ、喉の奥には三本の「管」らしきものが見えるという、いかにも「絶対に人類と意思疎通が出来ない」と思わせるほど不気味かつ恐ろしい顔になっている。
その後『CGWORLD』6月号での山村氏のインタビューによると、今までのゴジラの延長線上では新しいものが出来ないため、「恐竜が蘇った」という初代の設定に原点回帰してティラノサウルス等を怪獣にする観点から始まり、CGで描かれるため着ぐるみの制約から外れた現代の科学的推論に基づいた生物学的に正しいデザインを心がけており、最終的に現在の恐竜の形態と既存の(昭和の)ゴジラのイメージを複合させた「完全に直立していないし完全に寝てもいない、絶妙な角度」の姿勢になったという。
また、皮膚も昭和ゴジラを再現しており、上記の横から見た時と正面から見た時とで印象が変わるのも考慮したものとなっている。肌のディテールは現実の鳥の足を参考にしており、生物学的に迫力を出すために下顎はがっしりしたものに、脚は巨体を支えるために太く描かれ、尻尾も正面からのカットで画に変化をつけられるようとても長く、腕や脚にあるヒダはミサイルなどの攻撃に耐えうるためのプロテクターの役割としてサイのそれがモチーフになっているという。
劇中での活躍
第10話後半、夜間自衛隊と交戦し集中砲火を浴びていたゴジラテレストリスが爆炎と黒煙の中で突如この姿へと変化した。(テレストリス自体、自ら炎に焼かれたことで別種と呼べるほどの変化を遂げたとされるため自衛隊の攻撃によってさらなる進化を遂げたと考えられる)
進化後は自衛隊の攻撃も強硬な外皮で寄せ付けぬまま背鰭と口内を青白く光らせ、口の前に7つの大小様々な「光輪」を形成。そのまま光輪をくぐるように放射熱線を放出、戦車やビルを焼き、貫き、薙ぎ払い、東京を一瞬にして火の海に変えてしまった。
紅塵の嵐と炎の中を闊歩し、咆哮する様はまさにこの世に『破局』が訪れたかのような光景であった……。
第11話前半にて紅塵の雨のなか上陸してきたマンダと交戦。長大な身体で巻きつかれて首もとに食らいつかれるが、すぐに熱線を発射してマンダを焼き切り瞬殺。その後も紅塵に覆われラドンの群れが飛び交う東京を闊歩していった……。
第12話では直接の登場はなかったが、東京駅に陣取り体高も100mに成長したことが語られたほか、紅塵に包まれた東京には「グロブ」や「グレイブー」とも称される紅塵を吸収して成長し周囲の空間を歪ませる植物のような怪獣や金色の鱗粉をはためかせるどこかで見たような色のヤママユガ(天蚕)など、未知の生物たちによって侵略的に新たな生態系が構築されつつあった。
そしてラストではジェット・ジャガーPPとユンたちオオタキファクトリー一行が向かう高濃度の紅塵の嵐の中、ゴジラの咆哮が響き渡っていた……。
余談
略称はギュラゴジ。
劇中に登場した浮世絵『古史羅ノ図』は歌川国芳の錦絵『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』に酷似しており、その絵での鰐鮫がゴジラ(古史羅)に、烏天狗がラドン(羅甸天狗)になっている。
正式名称「ゴジラウルティマ」(ムービーモンスターシリーズより)にある「ウルティマ」はラテン語で『最終、遠方の〜、見知らぬ』を意味し、そこから人間が生存できる限界地点を語源とする言葉でもある。
また、劇中に登場した他の怪獣たちには、「背びれ」や「口」、「喉」など、ゴジラに類似した部位が確認されているが、今のところ関係性は不明。
(チタノザウルスに酷似したアクアティリスなど過去の東宝怪獣に酷似した各形態も放送・配信されるまでゴジラそのものか否か、シン・ゴジラよろしく形態変化するのかなど話題になっていた)