概要
ノクターンノベルズ(小説家になろうのR-18部門)にて、発表されるや否や旋風を巻き起こしたオリジナル小説。
連載期間は3年以上に及び、掲載の度にランキング入りをしており、ノクスノベルスレーベル初の書籍化が発表されるや発売前に予想以上の反響を得て緊急重版が決定する。既刊3巻。2017年電書化。
2015年2月20日にスペルメーション名義でノベルゲーム化。DLSiteとFANZAにて発売中である。
2021年6月25日にCOMICらぐちゅうにて、フルカラーコミックス化。漫画版作画担当は増田ちひろ。
作品解説
所謂なろう系らしく、降って湧いたチートを授かった主人公が、タイトル通りパニック状態の世界を自分だけ他人事感覚で駆け抜けていく。
なお、チートぶりはあくまでもゾンビに対してのみで、人間相手に殴られれば怪我もするし、試されていないがゾンビ以外の要因なら普通に死ぬであろう状態なので、決して無敵の楽勝展開が続くと言う訳ではない。
むしろ混乱の極みにある現代社会で、必死な登場人物達の描写に定評がある。
エロの嗜好としては渇き切った世界でゾンビや極限状態の生存者相手に行う物が多く、18禁ながらあまりエロい訳ではない。ただしわりと容赦なく人が死んでいく上、イラスト化したらR-18Gになりそうな残酷描写も多い。
登場人物
この作品の主人公。二十五歳の元サラリーマン。一年前に会社が倒産してやる気を無くし引きこもり、ひたすらゾンビアクションゲームをしていた。本当に世界がゾンビに溢れて崩壊してしまうが、何故か自分だけはゾンビに敵として認識されない事に気付き、崩壊する秩序と溢れる犠牲者を尻目に、まるで散歩気分で歩いていく。
武村と同じマンションに住んでいたOL。既にゾンビと化しており、人としての知性は失われている。武村によって自室で保護・飼育されることになる。
漫画版は肌の色を紫に変更。ゾンビであることを明確化している。
女子校生の生存者。ヒロイン。平和に暮らしていたが異変に遭遇し、両親と離れ離れになり一人で弟たちを支えようとしていたが、明日をも知れぬ状況で出会った武村にある「取引」を持ち掛けられ…
漫画版は髪をヘアゴムで止めず、月をあしらった髪飾りに変更されている。
- 牧浦さやか
生存者集団のリーダーにして唯一の医師。医師としては新米に過ぎず、気丈に振る舞っているがろくな医薬品のない状況で、日々生死に触れざるを得ない状況に神経をすり減らしており、目の下にひどいクマがある。極限状況下でもどこか平然としている武村に惹かれていく。
出版
フロンティアワークスの新レーベル、ノクスノベルスの第一弾として2016/2/12より書籍化。
著者名義は裏地ろくろ、挿絵はサブロー
コミックス
フロンティアワークスの新レーベル、COMICらぐちゅうにて単話ずつ更新され、コミックシーモアでのみ先行購読が可能であった。
9月下旬からはコミックシーモアの他に、booklive・eBookJapan・amazonkindle・楽天kobo・Reata!でも単話購読が可能になった。
ネットミーム化
2021年の夏頃からTwitterやYouTubeなどで、コミックシーモアによるフルカラーコミックス版のWEB広告が頻繁に流されていた。
当初は他のWEB漫画広告と同じくウザがられていたのだが、8月末頃スマブラ勢が広告で主に使われていた雄介が深月に外から食糧を調達してくる代わりに性行為を要求するシーンでの
雄介「抱かせろ」
深月「っ…!!」
深月「男の人っていつもそうですね…!私たちのことなんだと思ってるんですか!?」
というやりとりを素材にして多数のコラ画像を作成。それがTwitter上で伝播して大喜利大会のような状況となった。
そしてこのやりとり自体がコピペ改変の素材として使われるようになり、ネットミーム(ネタ)として定着しつつある。
登場人物の名前やストーリーの詳細よりネットミームのほうが広まってしまったため、深月は"抱かせろちゃん"という不名誉なあだ名まで与えられてしまった。
雄介の「抱かせろ」と言っているシーンがジョジョの奇妙な冒険の「だが断る」や鋼の錬金術師の「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」といった他のネットミームたちと似ている点も、ネタ化が加速した一因ではないかと言われている。
なお、このシーンだけ切り抜いて見てみると雄介がただのクズに見えるが、背景を知るとそうとも言い切れない。
なにせ本作の世界はゾンビが溢れて社会機能が崩壊し、雄介以外の人間は外を出歩けばゾンビたちに食い殺されてしまうような終末状態である。
雄介は、最初の一回こそ無償で深月たちのために食糧を取ってきてあげたが、そこで深月が「できればもう少し早く届けてほしい」「(深月が匿っていた)子供たちが食べるには食糧が足りない、もっと頻繁に持ってきてほしい」「でもお礼はできない」と、遠慮がちとはいえ立て続けに雄介に要求を突きつけた結果、件のコマに繋がっている。
深月たちにとっては、雄介に頼る以外に生き延びる術は無いという過酷な状況だが、雄介からすれば、元々なんの義理も無い深月たちに多大な労力を費やして食糧を集めて渡しているのだから、彼が見返りを求めるのは間違っているとは言えない。
雄介はゾンビに襲われないという特殊な体質ではあるがそれだけで、食料が残っている場所を探すこと、食べられる食料を選別すること、それらを運搬することは全て人力である(途中でトラックを見つけて使っているが)上、万一他の生存者と出くわして争いにでもなれば殺害される可能性も否定できない。雄介であっても食料調達はリスクがある行為なのだ。
それでいて、深月からは何の見返りも期待できないため、深月たちと行動するメリットが一切ない。
食料を与える見返りとして深月が提案した「安全地帯の提供」も、雄介はゾンビに襲われないため他人に提供されるまでもない。この話をしていた時点ではゾンビに襲われない事は話していないが、元々外を出歩いて食料を持ってくる能力があれば、何もできない人間より遥かに容易い事だというのは明らかである。
このような終末世界では金品も意味がなく、若い女性である深月が男の雄介に与えられるものが唯一「身体」しかないのなら、そうなるのは残念ながら必然である。
加えて言えば、雄介のこの発言は様々なやり取りの末に頭にきてヤケクソ気味に「抱かせろ」と言っている面もある。
自身の特殊性に甘えた度重なる要求で、"助け合い"でなく"一方的な庇護"にしかなっていない現状に嫌気が差し、向こうも善性と道徳に訴えて正当化しようとしかしない有り様に業を煮やしての発言であるため、所謂強姦などとはやや趣を異にする。
もっとも、どんな理由があっても相手の弱みに付け込んで自身の下衆な欲望を満たそうとしている事に変わりはないし、そもそも深月はまだしも隣人だった黒瀬時子を「ゾンビの生態調査」という名目で屍姦(?)しているので、ある種お互い様と言えるかも知れない。
参考リンク
関連イラスト
関連タグ
コミックシーモア:本来のレーベルよりも先行公開している。ある意味加害者。
学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD / がっこうぐらし! / 君と世界が終わる日に:日本が舞台のゾンビ作品繋がり。