概要
魘夢によって見せられる夢の外側の世界。
夢の世界はどこまでも広がってるように見えるが、実際は本体を中心に円形で囲まれるように範囲は有限であり、その先に広がるのが本体の深層意識の世界、無意識領域である。
そこには精神の核が存在し、これを破壊された者は廃人になってしまう。
この世界へ侵入するには幾つか手順を踏む必要があり、手始めに血鬼術で眠らされた者の左手首を特殊な縄で繋ぎ、自身も眠る事で夢の世界へ侵入する。その後、夢の世界で境界線を探し出し、見えない壁を錐(魘夢の骨と歯で作られた特殊な物)で切り裂くことで侵入する事が出来る。
しかし、この縄を物理的に切断すると、侵入者の意識が無意識領域に取り残され、逆に侵入者が廃人になってしまう。侵入者の安全を確保して解除するには、後述の血鬼術殺しの血鬼術が唯一の方法。
餌を兼ねた奴隷でしかない刺客達には、こういったリスクの説明は一切されていない。
無意識領域の風景は、本体の心象・性格が映し出されたような世界となっている。
作中で描写された物を挙げると…
- 竈門炭治郎・海と青空が広がる、どこまでも広く蒼く透き通った世界
- 我妻善逸・重く息苦しくなるような、真っ暗闇の空間
- 嘴平伊之助・獣道の如く、狭く曲がりくねった洞窟
- 煉獄杏寿郎・ひび割れた石畳が広がり、炎が燃え盛る暑苦しい世界
通常であれば、無意識領域は無人で精神の核以外は存在しない世界なのだが、意識が強い者…即ち我が強い者には化身が存在する場合がある。
作中ではかまぼこ隊が該当、伊之助の無意識領域では『被り物が本物の頭部となった獣人の伊之助』が侵入者を追い立て、善逸の無意識領域では『大鋏を手に持った陰湿な雰囲気の善逸』が侵入者を排除しようと襲い掛かった。
炭治郎の無意識領域では二人と異なり、彼の優しさの化身である『光る小人』が6人存在している。小人達は侵入者が「探していたから」という理由で精神の核まで案内したが、侵入者は美しい世界と小人達の優しさに圧倒されてしまい、却って戦意を完全に喪失してしまった。
また、煉獄は上記三人のように無意識領域の化身は存在しなかったものの、精神の核が壊されることで戦えなくなると本能で危機を察知し、意識を失っているにも関わらず現実世界で侵入者に抵抗するという離れ業を披露した。
このように、4人の刺客達は想定外の抵抗に遭い、最終的に禰豆子の血鬼術で縄を燃やされ、無意識領域から切り離されて精神の核を破壊する策は失敗に終わる。目覚めた後も結核の青年を除いて炭治郎に襲い掛かるが、如何せん直接的な戦闘に関しては素人当然で、瞬く間に手刀で気絶させられてしまった。
炭治郎の心の中で優しさと暖かさに触れ、目覚めて尚心を照らされている結核の青年からは「不治の病の苦しみから逃れる為ならば他者を傷付けてもいい」という思想が消失、本来の心優しい青年に戻っていた。
これから主との激闘に赴く炭治郎にただ一言「ありがとう、気を付けて」と…