概要
十二鬼月・下弦の壱である魘夢の血鬼術『夢操作』により、罠に嵌って眠らされてしまった鬼殺隊士の我妻善逸。
この時に彼がみていた夢と無意識領域(夢の世界と隣接する無意識の世界)は、とても対照的な空間が構成されていた。
ジャキン…おや、ドコからか音が。
善逸がみた夢の世界
どこかの緑豊かな山。背景には桃の木があり、近くには川が流れている。
そこには楽しそうに散策する善逸と、彼の想い人・竈門禰豆子がいた。
他愛のない会話でも上機嫌な善逸で、困っている禰豆子を助ける頼もしさをみせていた。
一見は、普段の気弱でお調子者な善逸のタンポポみたいに明るい所が反映された夢の世界。
しかし、彼の無意識領域(夢の世界と隣接する無意識の世界)では一転し異様な光景が広がるのだった。
ジャキン…おや、ドコからか音が。
善逸の無意識領域
同期の鬼殺隊士たちと比べると、その性格に問題はあるものの固有な明るさがある我妻善逸。
そんな彼の無意識領域(夢の世界と隣接する無意識の世界)は、暗雲闇一色で真っ暗な空間が広がっていた。実は、この異様な世界が成り立つ由縁になりそうな事柄を幾つも抱えて生きてきた善逸。
例えば―
- 誰かの愛に飢えてもいたのか女好きの所があり、7人の女性と付き合い善逸は彼なりに尽くすが、どの人も心から善逸を彼氏とも思わず手さえ握ってもらえない冷めた関係だった。
- しかも、彼女たちから借金まで背負わされている。
- そんな不幸に苛まれる生活から救い出してくれた育手(そだて)の老人・桑島慈悟郎(敬称で「じいちゃん」と善逸は呼んでいた)の元で鬼殺隊士の修行へ励むが、なかなか成果が出ずに悲観な思いを募らせた。
- 慕ってくれる人には尽くす性分もあって、睡眠時間を削って善逸なりに鍛錬へ臨むが一向に良い結果へ結びつかない事がさらに拍車をかけていた。
改めて見返すと、善逸は普段の気弱(ネガティブ)で異常な卑屈(ヘタレ)・癇癪(ヒステリック)な性格を更に悪化させるような経歴を辿っていた。
性根は優しく善良なお人好しで、いざという時は信頼する人を全力で守る強さを持っている善逸。しかし、彼の不遇な経歴は無意識に自身の心を漆黒の感情が刷り込まれていたと推察すれば、善逸の無意識が作り出した一寸先は闇の世界は納得なのかもしれない。
ジャキン…おや、ドコからか音が。
「何で男なんかが入り込んでやがる クッソ害虫が」
「ここに入ってきていいのは禰豆子ちゃんだけなんだよ」
「殺すぞ」
常人よりも自我が強い者の無意識領域(夢の世界と隣接する無意識の世界)には、精神の核を守護する化身が潜んでいる場合がある。
我妻善逸の場合は『大鋏を手に持った陰湿な雰囲気の善逸』という異常者(シリアルキラー)な感じの人が潜んでいた。
彼の風貌は、現実の善逸が瘦せこけた感じで、目元の隈は更に濃くなり、目は血走ってギョロっと見開き常軌を逸した様相を呈している。服装は黒を基調とする洋服。
そして大鋏もしくは刈り込み鋏を両手で握って、無意識領域に足を踏み入れた侵入者を排除しようと、手にしている鋏を構えて襲ってくる。
とんでもねぇ善逸だ
余談だが、なぜ無意識領域の善逸が現実で帯刀している日輪刀ではなく大鋏を持っているのか理由は不明だが、これは善逸の無意識な「思い出」が関連しているのかもしれない。
善逸の回想では、桃の木が茂る場所で彼の兄弟子と対話する場面がある。この時期は育手(そだて)の老人・桑島(じいちゃん)と生活を共にしながら鬼殺隊士の修行へ励んでいた頃と窺える。また前述の夢でも桃の木が茂る場所が出てきた事から、桑島(じいちゃん)と兄弟子と暮らしていた頃に桃の栽培で大鋏を扱っていたとしたら、無意識に思い出深い道具として無意識領域へ反映されたのかもしれない。
と、いう考察の他に、ただ相手を甚振(いた)ぶって簡単に殺さない選択だったという猟奇的(サイコキラー)な発想だったと考えられなくもない…。
ジャキン…おや、ドコからか音が。
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シザーマン善逸(別名)