概要
東映版スパイダーマンの主人公。
二輪レーサーで年齢は22歳。好物はビーフシチュー。
父親をモンスター教授に殺され、鉄十字団に復讐しようとするが洞窟に突き落とされて瀕死の重傷を負う。同じく洞窟に突き落とされたスパイダー星人の王子ガリアからスパイダーエキスを注入され、蜘蛛の力を得る。そしてスパイダーブレスレットを託され、超人・スパイダーマンとなった。
以降、拓也は父とガリアの復讐を果たすため、スパイダーマンとして鉄十字団に立ち向かう。
スパイダーマンの正体を周囲に知られる訳にはいかない為、普段は頼りない三枚目を演じている。
しかし、それが仇となって鉄十字団に襲われる人々を救えず、苦悩する事が多い。
また、スパイダーマンとして活躍している為、収入源であるレースの大会に出場する回数が減り、アルバイトとして恋人である佐久間ひとみの取材の足代わりを渋々やっている。
貧困にあえぐ子供を見かねて、千円札を渡そうとするなど、心優しい一面もある。
妹に新子、弟に拓次が存在する。
能力
スパイダー星人ガリアから、ブレスレットのスパイダーエキスを受けた事で能力を得た。
具体的な能力は、以下の通り。
- 驚異的な身体能力。
身軽かつ敏捷性を有しており、10mを超すジャンプ力を持つ。また、壁や天井などに張り付いて、自在に移動する能力を持つ(これはスーツの機能らしい。下記参照)。
- 怪力
常人の約10倍の能力を持つ。当時の児童書などでは、20倍といった記述もある。
- 優れた運動神経や五感
常人をはるかにしのぐ、優れた運動神経や感覚を有する。
- スパイダー感覚
複眼・スパイダーアイによって暗闇でも見通せる透視能力を有する。その他、超自然的能力『E・T・P』や、長時間的知覚『E・S・P』に優れる超感覚を持ち、鉄十字団の悪事を知る事が可能。
- 自己回復能力
スパイダーエキスにより、その血液には強力な回復能力を有するように。傷を負っても短時間で治癒するのみならず、毒を受けても解毒し、更には耐性を有するようになる。
輸血すれば、他者も同様の回復力を持つようになる。5話では拓也は、傷を負った一郎少年に輸血する事で回復させた。11話では逆に、輸血された一郎少年が、猛毒に冒された拓也に輸血する事で、拓也を解毒させ、蘇生させている。
- 蜘蛛との意思疎通
クモと意思疎通をする。31話で鉄十字団に樹海に放置された際、クモと意思疎通して正しい方角を教えてもらった。39話では助けたクモに危険の予兆を教えてもらっている。
- スパイダーエキス
ブレスレット内にある特殊な液。ガリアにより拓也はこの液を注入され、能力を得た。
エキスを注入された時に拓也は、瀕死の重傷を負っていたものの、激しい苦しみの末に奇跡的に回復した。
- スパイダーストリングス、スパイダーネット
ブレスレッドから放たれる特殊なクモ糸。自動車を吊り上げるほどの強度を有する。
ブレスレット内部の液体を空気に触れさせる事で固め、糸状にして放たれる。敵の動きを封じる他、足元に張って転倒、宙づりにするなど、色々な戦法に使われる。通常は一本の糸で発射するが、一度に数本を発射する事も可能。ネットにして敵を一網打尽にする事も可能。
所有アイテム
ガリアから授かったブレスレット。マーベラーを呼び出したり、ストリングスを放ったりする事が可能。その他にも、以下のような機能を持つ。
:TV画面に迫るニンダーを写す(3話、劇場版)
:超音波を放って鉄十字団を感知(4話)
:TV画面をミラーに用いレーザーを反射(9話)
:磁力を放射し鍵開け(14話)
:ブレスレットを通して見て、人間に変装したニンダーや鉄十字団メンバーの正体を透視(15話他)
:地中の地雷を透視(37話)。
詳細は当該記事を参照。
近年に再販された「超合金魂 レオパルドン」では、スパイダーマンのソフビの代わりに、新造されたブレスレットが付属している。
- スパイダープロテクター
ブレスレットに内蔵されているスーツ。拓也はこれを装着してスパイダーマンに変身する。
変身後には、ブレスレットからスーツが飛び出す仕掛けになっている。手袋およびブーツからは、粘着力を持つ特殊な液体がにじみ出し、この能力を用いて壁や天井に張り付き這い回る。
防弾や防火に優れているが、マシーンベムの攻撃で切り裂かれた事もあった。
31話では、マスクをはぎ取られそうになったが、拓也が用心のためスーツを何枚も着ていた事から危機を逃れている。
- クモ型発信機
クモ型の発信機。車などに取り付け、その行方を探り出す事が可能。
- カメラ
スパイダーマンが携帯しているカメラ。14話でアイアン商事の金庫に保管されていた、暗号文書の撮影に使用している。市販のものか否かは不明。
- 時限爆弾
29話で、鉄十字団地下基地に潜入時、弾薬庫破壊に使用。
- クモ型探知機
クモ型の警報探知機。32話で、鉄十字団に狙われている京子に手渡した。ボタンを押せば、ブレスレットに発信され、スパイダーマンが駆けつけるという仕組み。後に返却された。
その後
実は本編終了後、スパイダー星に移住して非常に楽しく暮らしている(某宇宙刑事よろしく、全宇宙に離散した生き残りのスパイダー星人を糾合して復興したのだろうか?)事がマーベルコミックで明らかとなった。
余談
- エキスを打って力を得た事や、マーベル版のエニグマフォースやコズミックパワーの様な超級のパワーを有さず、更にはピーターのような軽口を叩かず、孤高を貫く戦士として戦いに挑んでいところから、どちらかと言えば彼との方が共通点がある。
- 更には、「家族を殺された、復讐の戦士」という点から、かの処刑人にも通じる。
- 当初は東映版スパイダーマンは、ピーター本人が来日し、日本のヒーロー(ヤマトタケルの生まれ変わりである、超人タケル)と共闘するという企画内容だった。企画二稿目で山城拓也のスパイダーマンが登場し、タケルは削除。巨大ロボも登場し、ブレスレットのレンズでロボを操るという設定に。これらを経て決定稿になる。詳細は当該記事を参照。
関連タグ
ピーター・パーカー:ご存じ本家スパイダーマンの白人主人公。
マイケル・モラレス:プエルトリカンの、新たなるスパイダーマン
小森ユウ:池上遼一版スパイダーマンの主人公。
上城睦月…同じく蜘蛛をモチーフとしたヒーローに変身する東映キャラ。
マーベル版との能力の比較
※以下は、あくまでも考察である事に注意。
単体の各能力は本家と比較すると、劣っているとは言わずとも、勝っているとも断言できない。
本家の白人スパイダーマンの身体能力は、チート級とも呼べるレベルにある。
ただし、作品媒体や時期によってパワーレベルに違いが見られるため、常にチート級かつ最強とは、単純に明言できない。
時期により多少の差が存在する他、基本世界であるアース616、およびそれ以外の並行世界でも、比較すると差が見られる事に注意(下記「誤解および注意点」も参照)。
実際、アース616のピーターも、常にチートクラスの力を発揮できてはおらず、できるとも限らず、使いこなせているわけでもない。
東映版は、一見するとショッカーの一般戦闘員と大差ない身体能力しかないと思われているが(この点は主観でしかなく、一概に言い切れない事も注意)、少なくとも設定上では超人的な身体能力を有している、とされている。
※ちなみに劇中では明言されていないものの、スタッフによるとスパイダーマンとしての身体能力は拓也自身によるものとされる(が、それにしてはスパイダーマンとなった後に自身の身体能力に驚いている)。スーツ自体にも、身体能力を向上させる仕掛けがあるという当時の資料があるようだが、詳細は不明。
本家のスパイダーマンは、死んでも再生能力で生き返った事がある。
ただし前述した通りに、本家の能力は時期によりその力に差がある。この再生能力は、常時発揮しているわけではない事に注意。
東映版は川に落ちそうになって「死にたくない!」と叫んでる辺り、再生能力も本家より低いと推察される。
ただし、これは「自身の回復力・再生能力をまだ把握していかったため」ともとれるので、この発言から「能力が(ピーターに比べ)低い」と判断するのは、早計である。
実際、拓也のこの能力は、重傷を負ったり毒を受けても短時間で完全に回復・治癒し、毒に対しても耐性をも有するようになるほどの強力なものである。さらに輸血する事で、他者にこの能力を付与する事も可能である。
また、東映版にはスパイダーマシンGP-7やレオパルドンというメカニックがあり、そのレオパルドンにはソードビッカーと謂う強力なアイテムがある。
因みに本家の(別世界線の)弟子がソードビッカーを使いこなしている(レオパルドンには乗らず、ソードビッカーのみを抱えて放っていた)。
東映版は仮面ライダーv3に匹敵する戦闘技術がある(絵本および児童向け雑誌での共演)。
マーベルでも、『蜘蛛道』というオリジナル徒手空拳を習得している。
しかしほとんどの場合、ピーターは格闘技やそれに準じた能力を用いず、優れた身体能力を利用して殴りつけ蹴りつける、といった戦い方をしている。
マーベルのエピソードにおいては、武道や格闘術、戦闘術を習得したり極めたりした、他のヒーローやヴィランに出し抜かれている事も少なくない(実際にピーターは、常人のヴィラン、キングピンにも格闘で負けている)。
スパイダー感覚の威力は、本家はスパイダー感覚(スパイダーセンス)で無意識に罠を回避したり、軽い未来予知が出来る時もある。利用すれば、盟友のデアデビルのように、視覚に頼らない戦闘も可能。
東映版は、「鉄十字団の悪事やメンバーを見つけ出す」という能力に特化されていると思しき描写が見られる。これもまた、描写の多さからして、単純に強弱を比較はできないが。
また、東映版はスパイダー星人・ガリアに選ばれた。
本家は宇宙意思エニグマにに最も優れた闘将として選ばれた。その際に数秒で大気圏を突破するスピード、怪物を軽いパンチで宇宙に吹き飛ばしたりするパワーを授かった事もある。ただしこれもまた、一時的で限定されての事。
聴覚はほぼ互角。此方が100m先の針の音も聞き取れる事に対し、本家は乱戦の最中特定の者の神経が焼ける音を聞き取れている。
また、東映版はガリアおよびクモが、文字通り困難脱出の糸口を与えてくれる。
本家は超自然存在アザーが、蜘蛛神の力を与えている。
東映版はスパイダーエキスにより力を得たが、本家は放射線の力を元に魔法を媒介として蜘蛛神の力が流れている。
誤解および注意点
よくネタにされるが決してネタにするような物語ではない為、時と場所をわきまえる事が必要。
また、単体スペックも強いという説があるが、スパイダーマンの中で比較すると、東映版は平均クラスである。
これは、基本世界のアース616のスパイダーマンの能力が高い事もあるが、他のアースのスパイダーマンの能力と劇中の描写から比較しても、能力面で飛びぬけて優れているとは言いがたい。
ただし、東映版も決して最弱というわけではない。上記にあるように有している能力は、他アースのスパイダーマンと比較しても決して引けは取っていない。
更にレオパルドンがいる為、レオパルドン込みなら全スパイダーマン中最強という声もあるが、そのレオパルドンもソラスに負けてしまっている。なので、あくまでも「最強クラス」ととどめるべきだろう。
そのソラスも、コズミックスパイダーマンに勝利しているが、全盛期の力を有したアース616のスパイダーマンのクローンには負けている。
単純な力関係は、
全盛期の正史世界(アース616)の力>ソラス>コズミックスパイダーマン>レオパルドン
となり、レオパルドン込みでも最強ではない。
ただしこの点も、全盛期のパワーをピーターは常時兼ね備えているわけではなく、それを常時用いる事が出来るわけでもない事に留意すべきである。要は、上気の力関係云々は容易に変化するため、絶対的な指針ではない。
マーベルのコミック内でも、パワーレベルの増減は過去に何度も行われており、強化はもちろん、弱体化も何度もあった。
要は、
「コズミックパワーを有した事があった、エニグマフォースに選ばれたからと言って、アース616のピーターが常に最強無敵で常勝無敗とは言えない」
という事である。
※もちろん、東映版およびレオパルドンも、この事は当てはまる事に注意。
もっと言えば、アース616のピーター=スパイダーマンが、チート級かつ最強と言い切る事も早計である。実際アース616のピーター=スパイダーマンが、自身より能力が低いヒーローやヴィランと戦い、幾度も敗北している事からそれは明らかである。
加えて、パワーではハルクやソー、メカ・ガジェット関連ではアイアンマン、ヒーローとしての矜持や覚悟はキャプテンアメリカなど、ユニバース内にてピーター=スパイダーマンに匹敵、またはより優れている者はいくらでも存在している。
スペック上では最強であっても、ユニバース内で常に常勝無敗というわけではない事に、留意すべきである。
※更に身も蓋もない事を言ってしまえば、マーベル側の都合で最強設定が覆される事は少なくない。実際の所、マーベルおよびアメコミでは、パワーインフレを起こすような最強の力を持つ存在を、弱体化させたり設定変更させたりしており、その前例も何度もある(DCのスーパーマンでさえ、地球そのものを吹き飛ばす超パワーを有していた旧設定を改変し、弱体化されたという前例がある)。
「エニグマフォースに選ばれ、コズミックパワーを有した。他に様々な力を有している。故にアース616のピーターはチートで最強」というのは、現時点でマーベル側が「人気のキャラとタイトルであり、内容の展開に必要だからそのようにしている」にすぎない。今後の展開いかんでこの最強設定が変更され、元のレベルに戻される=弱体化される可能性は大いにあり得る事に注意。
加えて、レオパルドンに関しても、まだ全容が明らかになっているわけではなく、コズミックパワーで稼働しているか否かなどの詳細な設定や説明もない。
そして何より、東映版も含めた各ユニバースのスパイダーマンの能力を、実際に比較できるような数値化した資料なども無い。比較し、強さ比べを語るのは、あくまでも見た者たち、我々読者たちが、「作品内で見て、主観的に解釈」したというだけである。
解釈や考察は、ファンそれぞれで異なるものとなる。そのため、作品ごとに異なるスパイダーマンを勝手に持ち出して比較し、単純な強弱を決めつける事は、全てのスパイダーマンを創造してきた、それそれの関係各位に対する無礼以外の何物でもない。
それはあくまで推察であり考察であって、個人の意見に過ぎない。そしてそういった考察は、あくまで個人的な見解として取り上げるべきである。他者と交流する場において、いたずらに贔屓して格上げする行為、および、気に入らないからと矮小化する行為、ましてやそういった事を他者に押し付けるような野暮な行為は控えるべきであろう。